傍に立つ君は完璧で究極のアイドル   作:カミキヒカラナイ

12 / 46

今回はJIF編の導入ということでアクアの三人称一元視点で進行します。
辛気臭ぇ(ツラ)しやがって、こちとらお前を早くギャグ落ちさせたくて震えてんだよ!



第二章 JIF編
12.自薦


「『今ガチ』……評判いいよ。やっぱり君を使った俺の目は間違ってなかったかな?」

 

 打ち上げが行われている会場の外。少し湿気を含んだ夜風に当たりながら、上等なスーツをラフに着崩した壮年の男が紫煙を(くゆ)らせつつ笑った。

 

 インターネットテレビ局「ドットTV!」所属、鏑木(かぶらぎ)勝也(まさや)。恋愛リアリティショー「今ガチ」の統括プロデューサーであった彼は、機嫌良さげにしながら美味そうに煙草を()む。

 その視線の先にいるのは一人の少年だった。蜂蜜色の金髪に日本人離れして整った顔立ち。そして星のきらめきを映す海色の瞳が目を引くその少年──星野(ほしの)アクアは、感情の読めない無表情のまま「どうでしょうね」と謙遜を口にした。

 

「俺は最後まで引き立て役でしたから。そう言われるほど大した仕事はしてませんよ」

「そうでもないさ。確かに目立っていたとは言い難いが、君がいなければ『今ガチ』はもっと纏まりのないものになっていただろう。君やMEMちょ君のように視野が広く周りに気を配れるタレントが一人でもいると番組の進行がぐっと楽になるからね。君、バラエティの司会とかMCとか向いてるんじゃない? その手の仕事があったらまた使わせてもらおうかな?」

「……どうも」

 

 アクアは思いがけない高評価に面食らったように鼻白むが、評価される分には悪いことではないと思い直す。

 元より番組に貢献することを条件に生前のアイに関する情報を貰う契約だったのだ。良い印象を持たれるに越したことはない。

 

「ところで、シオン君のことについてなんだけど」

「……それに関しては色々と言いたいことがあるんですが」

「ははははは」

 

 思わずジト目を向けてしまうアクアに対し、鏑木はバツが悪そうに笑いながら頭を掻く。笑って誤魔化そうとする魂胆が透けて見える態度だった。

 

「いやいや、それについては済まないと思っているよ。急に七人立てに変更になって大変だったろう?」

「問題なのはそもそもの人選の方ですよ。あいつを悪く言うつもりはありませんが、下手すれば何人か潰れてましたよ」

 

 当初は六人構成と聞いていたのに、直前になってのメンバー増員。確かに驚いたし混乱もあったが、それ以上に人選が問題だった。

 

 桐生(きりゅう)紫音(シオン)。カリスマ読モ「シオン」の名で知られていた彼は恐るべき爆弾だった。

 言うなれば甲子園にメジャーリーガーが殴り込みをかけてきたようなものである。それだけ紫音の存在はメンバーの中で突出していた。

 

 神が手ずから作ったかのような人間離れして整った美貌。肌が粟立つような圧倒的なオーラ。その一挙手一投足に否が応でも視線を吸い寄せられる、魔的と称すべきカリスマ性。

 才気煥発(かんぱつ)という言葉が陳腐に思えるほどの、まさに輝くばかりの素質の持ち主だった。黒川(くろかわ)あかねが十年の練磨によって磨き上げられた末の宝石であるとするなら、紫音は未だ磨かれぬカリナン原石である。

 

 そう、原石なのだ。紫音の芸歴は一年にも満たず、専門の勉強や訓練を積んできたわけでもない。率直に言って素人(しろうと)と称して差し支えなかった。

 にもかかわらずあの輝き。彼は彼であるが故に、あるがままに天才だった。磨かれぬまま誰よりも強く光り輝き、しかもまだ成長の余地に溢れている。

 

 恐らく「今ガチ」のメンバーは誰もがその事実を肌で感じたことだろう。だからアクアは「潰れてもおかしくなかった」と言ったのだ。

 本当に、誰かしら心折られていても不思議ではなかった。現時点での輝きにではない。今はまだ目に見えぬ、果てのない伸び代の(まばゆ)さ故に。

 

「だが、結果的に誰も折れなかった」

「結果論ですよ」

「結果論だろうが何だろうがそれが全てさ。彼らは僕が思うよりずっと非凡で優秀だった。勿論君もだよ、アクア君」

「……どうも」

「本当に『今ガチ』はメンツに恵まれたよ。君達は実力を以てただの研磨剤でないことを証明してみせた。やっぱりダイヤモンドを磨けるのは同じダイヤだけ、ということかな?」

 

 調子良いこと言いやがるこのオッサン、という暴言をアクアは(すんで)のところで飲み込んだ。鏑木は業界でもそこそこ名の知られた名物プロデューサー、うっかり機嫌でも損ねようものなら実績のないアクアなどあっさり干されかねない。

 

「で? その紫音がどうしたって言うんですか」

「ああ、そうそう。彼、ようやくプロになることを決めたんでしょ? 君のところの事務所はどうするつもりなのかなって」

「苺プロが?」

「君とシオン君は仲が良いだろう? 苺プロが勧誘したらあっさりそっちに行くんじゃないかと思ってね」

 

 そういうことか、とようやく腑に落ちたアクアは小さくため息を吐いた。何を聞かれるのかと身構えていたが、杞憂だったらしい。

 

「うちの事務所はどうもしませんよ。というかあいつの口ぶり的にもう所属先は決まってそうな感じだったんで、そもそも勧誘なんて端から頭にはありませんでしたよ」

「あ、そうなの? いや、それなら良いんだ。実はシオン君とは僕の後輩の紹介で知り合ってね。今回のキャスティングに関してはその後輩からシオン君を借りたようなものだったんだよ。その結果他所の事務所にとられちゃったら面目ないから、不躾かもしれないけど釘を刺しとかないといけないと思ってね」

 

 聞くところによると、(くだん)の後輩とやらは紫音が読者モデルとして撮影に応じていた事務所に所属するファッションプロデューサーであるらしい。

 

(……もしかしなくても、その事務所って不知火フリルの所属してるプロダクションか?)

 

 そんな話を入学式の日にしていたのを思い出したアクアは内心で冷や汗を垂らす。あの不知火フリルの所属事務所といえば大手も大手、苺プロとは文字通り桁が違う最大手の芸能プロダクションだ。そんなところから紫音ほどの人材を横から掻っ攫うような真似をすれば、苺プロ自体が芸能界から干されるような事態になってもおかしくなかった。事務所のパワーバランス的に決してあり得ないことではない。

 元より勧誘するつもりなどなかったが、そうなる可能性もあったという事実だけで大いに心臓に悪い。アクアはズキズキと痛みを発し始めた頭を手で押さえた。

 

(何か「今ガチ」が始まってからこっち、紫音のことで振り回されすぎじゃないか俺……?)

 

 そして何より、この振り回されている状況を満更でもなく思い始めていることが一番の頭痛の種だった。

 そこらのモデルやアイドルを鎧袖一触にして余りある美貌とオーラに、恒星のように輝くばかりの溢れる才気。何よりあの吸い寄せられるような天性の瞳。性格はおろか性別すら異なるはずなのに、どうしようもなくアイを想起させて止まない同年代の少年に、アクアは事ある毎に母親の幻影を見てしまっていた。

 

(あり余る才能で無自覚に周囲を引っ掻き回すあたりがホントにそっくりなの勘弁してほしい……)

 

 これでは紫音の写真を据わった目で凝視しながら譫言(うわごと)のようにバブバブ言っていたルビーのことを笑えない。アクアは(かぶり)を振って紫音のことを思考の中から追い出すと、咳払いをしつつ鏑木に向き直った。

 

「とにかく、これで契約は果たした……そういうことで良いですよね?」

「ああ、君は実に良い仕事をしてくれた。報酬はキチンと支払わないとね。そうだな……来週あたり寿司でも食いに行かないかい? アイについてとっておきの話をしてあげよう」

「空けておきます」

 

 何にせよ、長かった「今ガチ」の撮影もこれで終わり。黒幕に辿り着くための復讐の道は未だ半ばだが、少なくともこれで一歩前進したと言えるだろう。

 たかが一歩、されど一歩。この一歩に至るまでの十年以上の歳月を思えば実に感慨深いものがある。アクアは小さな達成感と共に、無意識に強ばっていた肩の力を抜いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ねぇ、アクア君。苺プロってどんな所?」

 

 「今ガチ」の最終回が放送されてから何日か経ったある日の昼下がり。事の始まりは紫音のそんな一言が切っ掛けだった。

 

 微妙にクラスから浮いているため、人気(ひとけ)のない校舎の屋上を避難場所代わりにし昼食を食べていたアクアと紫音。

 そんな折のこの質問である。アクアは箸を止めると、一見穏やかに見える表情で口を開いた。

 

「お前は絶対うちには来るな」

「まさかの出禁!?」

 

 紫音は星の瞳を見開き、ショックを受けたように愕然としている。

 だが一番ショックを受けているのはアクアの方だ。何故苺プロ(うち)に興味を持つ? まさかうちに所属したいとか言い出さないよなコイツ──と警戒感MAXで身構える。

 何せつい先日鏑木Pから釘を刺されたばかりである。紫音は某プロダクションから熱烈なオファーを受け続けている身だ。そんな彼を招くような真似をして変な色気を出していると思われたくはないし、それでうっかり目を付けられるようなことになれば堪ったものではない。

 

「お前はもう大手からスカウト受けてんだろ? 何でうちみたいな弱小事務所のこと気にするんだよ」

「いや、僕は芸能事務所ってのがそもそもどういう所なのかよく知らないから、実際に事務所に所属してるアクア君にその辺聞いてみようかと思って……」

「ああ、そういう……別にうちに所属したいとかそういう話じゃないんだよな?」

「う、うん。そりゃあのアイ……さんを輩出した所だし興味がないわけじゃないけど、流石にお世話になった事務所のお誘いを無視するわけにもいかないから」

「そうか。いや、それなら良いんだ」

「何でこんなに警戒されてるんだ僕……?」

 

 ひとまず心配していたようなことにはならないようでアクアは安堵に胸を撫で下ろす。アクアとて友人を疫病神か何かのように扱いたくはないが、苺プロは身内(ミヤコ)が経営している事務所。万が一のことを考えれば神経質にならざるを得ないのだ。

 

「で、うちの事務所がどうって話だったな。まあどんな所かって聞かれても普通の芸能事務所だとしか答えようがないが……お前がスカウト受けてる所とは規模が全然違うし、参考にはならないと思うぞ?」

「そっかぁ……ねぇ、物は相談なんだけど──」

「駄目だ」

「まだ何も言ってないよ!?」

「……すまん、早まった。つい本音が」

「本音ではあるんだ……」

 

 みなまで言わずとも分かる。どうせ見学したいとかそういう話だろう。切実に勘弁してほしい。アクアはキリキリと痛みを発し始めた胃を手で押さえた。

 いや本当に、もし紫音を事務所に連れ込んでいることが某プロダクションにバレた時が怖いのだ。鏑木Pからの伝聞ではあるが、件の後輩だというプロデューサーは相当紫音に入れ込んでいるらしい。あれほどの規模の芸能事務所でプロデューサーをやっているようなやり手に、(まか)り間違っても目を付けられたくないというのがアクアの偽りない本音だった。

 

「だ、大丈夫だよ。宮田さんは優しくて話の分かる人だから。何かあっても僕がちゃんと説明するよ」

「あの規模のプロダクションの一部門を三十そこらの年齢で統括してる奴がただ優しいだけの人なわけねぇんだよ……優しいのはお前だからだよ……」

 

 何度断られようが一年に渡りめげずにアプローチを続けてきたあたりからもその入れ込みようが分かるというものだ。

 これだけの才能を目の当たりにすれば仕方のないことかもしれないが。あるいはアイを見出した壱護(いちご)社長も似たような心境だったのかもしれない。

 

「それにここだけの話、苺プロは今大きな仕事を抱えててな。ちょっと立て込んでるんだよ」

「大きな仕事……ああ、もしかして『JIF』?」

「……何で知ってるんだよ……」

「何でって、僕新生B小町のファンクラブのメンバーだし。当然初舞台の情報ぐらいは把握してるよ」

 

 ほら会員証、と言って取り出されたカードをまじまじと見つめる。確かにそれは新生B小町のファンクラブ会員証だった。表に紫音の名前がフルネームで刻まれており、その下には会員ナンバーが──

 

「会員No.4……ってこれ、お前ファンクラブ会員第一号じゃねぇか! メムが加入して正式にチーム発足したのついこの間だぞ!?」

「知り合いが二人も参加してるわけだし、元々僕はB小町のファンだったからね。当然マークしてましたとも」

 

 ふふん、と誇らしげに胸を張る紫音。まさかクラスメイトが(ルビー)のアイドルグループのファンクラブ会員第一号だったとは流石に予想外だったアクアは顎が外れんばかりに驚きを露わにする。

 付け加えると、メンバーが決定し公式のファンクラブが立ち上がったのはほんの数日前である。手が早いどころの話ではない。

 

「JIF……『ジャパンアイドルフェス』。日本最大規模のアイドルの祭典が新生B小町の初舞台だなんて凄いよねぇ。どう? 三人の調子は。もうフェスまで一ヶ月切ってるけど」

「……正直言って微妙だな。三人ともビジュアルは悪くないし個々の素質も決して低くはないんだが……如何せん基礎的な部分がな」

 

 仮にも記念すべきファン第一号に隠し立てするのも不誠実かと思い、アクアは正直に新生B小町の現在を白状する。

 

 鏑木PのコネでJIFの参加権をもぎ取ったまでは良かったが、このままでは新生B小町はその他大勢のアイドルの中に埋没するだけだろう。

 端的に言って纏まりがない。ついこの間まで誰がセンターをやるかで盛り上がっていたぐらいのレベルである。歌も踊りも練度はバラバラ、そもそも合わせを行った回数が数えるほどしかないのだ。発足して間もないため仕方のない面はあるが。

 

 確かにアイドルは歌手ではないしダンサーでもない。歌も踊りも必ずしも完璧なものを求められるわけではないが、並のパフォーマンスでは並の評価しか得られまい。文字通り星の数ほどのアイドルが集うJIFにおいて、並程度のアイドルなど無数にある雑多な星屑の中に埋もれて誰の記憶にも残らぬまま終わるだけだ。

 

「仮にもB小町の名を継ぐわけだし下手なパフォーマンスのまま舞台に上がってほしくはないが、このままだとそれなりの評価しか得られないだろうな。元プロダンサーで振り付け師の経験もあるぴえヨンさんの協力を取り付けられれば良かったんだが、今あの人休暇中で国外にいるんだよな……」

「そっかぁ、それは大変……ヴッ」

 

 すると、神妙にアクアの話を聞いていた紫音が急にくぐもった呻き声を発した。

 何事かと思い隣を見ると、彼は片耳を押さえて眉間に皺を寄せていた。まるで耳元で誰かに大声を上げられたかのような反応である。

 

「分かってるって、ちゃんと言うから耳元で騒がないで……」

「……どうかしたのか?」

「な、何でもないよ? ちょっと耳鳴りがしただけ……」

 

 「それより!」と気を取り直すように張り切ったような声を上げる紫音。ずい、と顔が寄せられ、キラキラとした星の瞬きを宿す紫紺の瞳が至近距離に迫る。

 気圧されたように身体を仰け反らせ、アクアは何事かと身を乗り出した紫音を見る。何故か恥ずかしさを堪えるように顔を赤くした彼は、意を決したかのように(まなじり)を上げて口を開いた。

 

「あ、アクア君! 提案があるんだけど!」

「お、おう」

「僕を新生B小町のコーチ役として雇わない?」

「おう…………はい?」

 

 思わず耳を疑ったアクアは間の抜けた声を上げてしまう。

 今こいつ何て言った? コーチ? 紫音が?

 

「あ、雇うってのは言葉の綾ね? 別にお金を取るつもりないよ。ルビーさんとMEMちょさんは友達だし、少しでも力になってあげたいんだ」

「いや……まあ確かに、コーチできる人なら誰でも良いから欲しいってのは本当だが……紫音が?」

 

 尊敬する芸能人の名前としてアイを挙げたり、発足後間もない新生B小町の追っかけやってたりと、紫音がそこそこ気合いの入ったドルオタであることは分かっていた。

 だがアイドルのファンだからといって、人に教えられるレベルでアイドルの歌と踊りに精通しているかはまた別問題だ。アクアとて前世から続く生粋のドルオタ(B小町限定)だが、ルビーのように自らも踊れる程にダンスを理解しているわけではない。

 

「まあ疑う気持ちは分かるよ。誰だって元読モで自称霊能力者で芸歴一年そこらのアマチュアに大事な自社のアイドルを任せたいとは思わないだろうからね」

「それ言ってて辛くならないか?」

「……だから、まずは見極めてほしい。僕が真にコーチ役を任せるに足るスキルの持ち主であるかを!」

「うん」

 

 ちょっと優しい気持ちになったアクアは生温かい眼差しを向ける。立ち上がった紫音はその視線から逃げるように距離を空けると、ビシッと出だしのポーズを決めた。

 そのポーズだけで彼が何を披露しようとしているのか、B小町限定で目の肥えているアクアは即座に察しがついた。

 

(「サインはB」か。まあ人気の曲だったし無難な選択だろう。ポーズも案外様になってる。だが……)

 

 アクアはあまり過度に期待しないよう自らに言い聞かせる。

 自他共に認める重篤なアイ単推しファンであるアクアは、無意識にアイと比較してしまうであろうことを自覚していた。如何に紫音がアイに匹敵する才能の持ち主だとしても、そのあり余る才覚の全てをアイドルという分野に全振りしていたアイと比べるのはあまりに酷というもの。

 

(まあコーチ役に自薦するぐらいだからそれなりに踊れるんだろうし、会わせてやればあいつらにとって良い刺激になるかもな)

 

 口では色々と言ったが、既にアクアは紫音を苺プロに連れて行く気になっていた。紫音は結構なB小町のファンのようだが、その口ぶりや態度から妙な下心などないことは分かり切っている。純粋な善意から力になろうとしてくれている友人の思いを無下にするのは流石のアクアにも憚られた。

 

「それでは聞いて下さい。B小町で『サインはB』!」

 

(本当にトラブった時はこいつに間に入ってもらえば良いよな)

 

 事務所絡みで何かあった際は迷わず紫音を人身御供(ひとみごくう)にすることを決意しつつ、アクアはお手並み拝見とばかりに品定めの視線を向ける。音源はスマホの音楽プレーヤーを使うようだが、果たしてそれでどこまで踊れるのか──

 

 

 

 ───……

 

 ─────………

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミヤコ、紹介する。JIFまでB小町のコーチを務めてくれる紫音だ」

「桐生紫音です! よろしくお願いします!」

「……??????????」

 

 その日の放課後。苺プロのオフィスには大真面目な顔で社長に紫音を紹介するアクアの姿があった。

 乱心したとしか思えぬ義息子の姿に、斉藤(さいとう)ミヤコは背後に宇宙を背負い呆然とするしかなかった。

 




桐生(きりゅう)紫音(シオン)
 元読モで自称霊能力者で芸歴一年のアマチュアで転生者で自分を呉爾羅だと思い込んでいるゲッターアーク。アイの英才教育により一晩の内に完璧で究極のアイドルへと進化を遂げた。たぶん写輪眼持ってる。
 ちなみにファンクラブはアイに脅迫され強制加入させられた。寝ずの番でずっとファンクラブのサイトに張り付いていた模様。

星野(ほしの)アイ】
『聞いたシオン!? JIFだよJIF! 新生B小町の初ライブがそんな大きなステージでできるなんて凄くない!? さっすがルビー♡ 私の娘♡
 えっ!? ルビーがオンチでピンチ!? こうしちゃいられないよシオン! 今こそ昨晩の特訓の成果を見せる時! ぴえヨンとかいうアヒル声の筋肉達磨なんかに私のルビーは任せられないね! ……え? 年収一億? ナマ言ってすんませんでした……(震え声)

星野(ほしの)アクア】
 着々と復讐の道を歩む星の子。ただしギャグ落ちの道の舗装も着々と進行している。試される大地がサイコロと共に君を待っているゾ★
 なお「アイと比べたら可哀想だし程々に評価してやるか……」と余裕綽々で呑気してたら物の見事に目を灼かれた模様。

斉藤(さいとう)ミヤコ】
 信じて送り出した義息子がガンギマリダブルピースで顔面偏差値天元突破無差別破壊兵器をコーチとして送り込んできた件について。あなたはスカウトマンとして雇うべきだったのかもね……(震え声)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。