……そんなわけでやってきましたスパ!
キウィちゃんが持っていた優待券があってもそれなりのお値段……これを気にしないのは私とキウィちゃんくらいかな? 真珠ちゃんは、お財布の中身と見比べて、ぐぬぬっ、という顔をしたものの、スパの魅力には抗えなかったらしい。何やら決意の瞳でこの場にいる。ネモちゃんは……課金をちょっと我慢する感じ? こりすちゃんはよくわかってない顔をしているけれど、これは相場がわからんからだろう。彼女のお財布は大分温かいし、そもそも玩具以外ではあんまり無駄遣いするタイプでもないし、そんなに困ることはないだろう。
……ところで、我が姉はというと……?
趣味人である姉は日頃から魔法少女グッズを買い漁っているわけだが、別に潤沢なお小遣いがあるわけでもない。お年玉やら何やらを貯めていたとしても、全コンプする勢いでお金があるわけもない……そんな姉の資金源とは何か……答えは我が家の動画の広告料によるものである。
母が撮り、私が演じ、姉が編集。
そんな感じに分担されているので、お小遣いのほかに、姉には報酬が支払われているわけだが……。
アホ毛をうねらせて悩んだ姉は最終的にはこの場にいるものの、今後購入予定のグッズの価格を考えれば断腸の思いであろう。……まぁ、すぐに返せるレベルだから、ママにお小遣いを前借りするか、私がそっと貸すことになるかな?
……はるかちゃんたちは、早めに帰宅して良かったかもしれないなぁ。はるかちゃん一人ならまだしも、三姉妹も、となると結構なお値段だろうし。花菱家のお小遣い事情は詳しくは知らないが、基本的にははるかちゃんが自分の分も含めて三姉妹のお財布を握っているようだけど、彼女たちはふつーのしょーがくせーとちゅーがくせーのお小遣いだから、たった一回、されど一回という感じのお値段具合である。
……まぁ、また機会もあるだろう。花菱四姉妹とはスパよりも銭湯のような気もするが。
スパと言っても、今日のメインはお風呂でさっぱりすること。だったらふつーに銭湯でもいいじゃない? いやいや……このラグジュアリーな雰囲気は大人な感じがしてとても良い!
「……これで私も大人の階段をまた一つ……っ!」
素っ裸の状態で私は拳を突き上げる。かぽーん、という音とともに、私の声が高らかに響いた……ような気がした。
「……ちゃんと隠しなさい」
「……うぃ」
姉にバスタオルを巻かれつつ、私は周囲を見る。
……何か私の真似をしていたらしいこりすちゃんは私の隣で、キウィちゃんにタオルを巻かれていた。
……しかし……う~ん……!
私と同じで、基本的に隠す必要がないと思っているこりすちゃん!
別に減るもんなんてねぇよ、と開き直っているネモちゃん!
この辺は裸族でも気にしない勢だが。
……恥ずかしい、とタオルをがっちり巻いてガードの堅い姉!
露出癖があると思われるのに、こういう場だと無駄に肌……というか体形を見せたくないらしい真珠ちゃん!
そして、意外にも、別に見せるのは構わねーけど、マナーはマナーとばかりにちゃっかり隠しているキウィちゃん!
……ちっぱい軍団ときょぬー軍団で奇麗に対応がわかれているっ!?
「……うーん……公の場で胸を隠す方がおっぱい大きくなるのかな……?」
「……そんな訳ないでしょ」
姉に速攻で否定されるが、本当にそうだろうか。ちっぱいは凹凸がないから恥ずかしくないもんって、感じだけど、きょぬーは他の人より大きいのが恥ずかしいからあんまり見ないで、って感じでしょ? あれ、でもそれだと、大きくなったから恥ずかしくなって隠すのであって、隠したから大きくなるわけではないか? いや、でも……!?
「……卵が先か……鶏が先か。それが問題だ!」
はぁ~……、と姉のため息が聞こえた。私は難問に挑戦してるのにっ!!
「……早く体洗って、お湯に浸かりなさい」
「……うぃ」
「……♡」
呆れた様子の姉の言葉に返事して、こりすちゃんに手を引かれて洗い場へ向かう。
……ははぁ。これは私を洗いたい、と?
「……っ♡」
……悪戯っぽい笑みを浮かべる親友に、私は逆らえません!
大人しく洗い場に座ると、こりすちゃんが楽しそうに私の髪を洗い始める。
「……♪ ……っ♪♪♪」
予洗いからシャンプーを泡立て、わしわし、と私の髪を丁寧にその細い指を滑らせるようにして洗っているのだが……う~ん、ちょっと慣れていない感じなのが趣深いよね!
ついでに私も姉以外に洗われる機会は少ないので新鮮!
お湯でシャンプーを流しつつ、トリートメントして……また、流して。
最後にタオルで髪を拭かれると、こりすちゃんが、頑張って頭の後ろにお団子を結ってくれた。
……こういうのって、自分のは何となくできるけど、他の人にするのって意外と難しかったり。もしかして練習したのかな?
次は体、とばかりにこりすちゃんが、ふんす、と気合を入れると、使い捨てのボディスポンジを手に取り、ボディソープを付けると、こしこし、と私の背中を流し始めたのだが……。
(……めっちゃくすぐったい!?)
遠慮しているのか、それとも単純に力が弱いのか(おそらく後者だが)、何なら本当にくすぐられているような気さえしてくる!
「……っ……くふぅ……!」
こみあげてくる笑いを堪えて、ぷるぷる、と体が震えるが、こりすちゃんはそんなことにはお構いなしに、こしこし、と一定のペースで洗い続ける。
(……お、終わった……?)
やがて、その手の動きが終わり、やっと解放されると思った私は、こりすちゃんに悟らせないように、こっそりほっとしていると……むにっ、と背中に柔らかいものが当たった。若干の、こりっ、とした感触も併せて。
「……♡」
耳元で、くすっ、とこりすちゃんの小さな笑い声が響く。
「……な、何やってるんですかねぇ、こりすさん……っ!」
私の声に反応するように、背中に当たっていた柔らかいものが上下に移動する。
むに、むにっ♡ くり、くりゅ♡
「……ちょ!? やめやめ!? そんなえっちぃ洗い方はダメだって……!?」
いや、まぁ、悪ふざけの範疇内かもしれないけど、近くには姉もおるのだ! バレるのはやべぇ!
「……っ」
振り返ると、こりすちゃんは、ぷく、と頬を膨らませていたが、私をちょっとからかったつもりなのだろう。それにこだわることもなく、改めてボディスポンジを私の体の前へ……って!?
「いやいや!? そこまではいいから……って、ひゃん♡」
にゅる、とこりすちゃんの手が私の太ももの内側に滑りこみ、そこから上へとなぞられる。するとそのなんだ……デリケートな部分も通過するわけで。……思わず変な声が出てしまった……。
「☆」
こりすちゃんはどや顔というか、悪戯っぽい顔というか、やってやったぜ、的な顔をして満足そうにしていた。
……そして、私が怯んだ瞬間を見計らって……!
くるくる、と私のぽっちの辺りを洗い始め、もう一方の手はお腹の辺りを摩るようにしながら私を洗ってくるのだが……
(……っ!? ……その辺を今触られるのはちょっとぉぉぉぉぉ!?)
こりすちゃんが執拗に私の身体に触れてくるから、スイッチが入りそうなのに!
よりにもよって私の弱点のおへその近くにこりすちゃんの指が!?
……悪い予感しかしねぇ……っ!
そんな私の気持ちを見抜いたように、こりすちゃんが、にたぁ、と邪悪な笑みを浮かべ……!
(~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ……♡♡♡♡♡♡)
………………………………私は何とか声を出さずに我慢することができた、とだけ言っておこう。