悪の女幹部にあこがれて   作:MIA

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あ、今回は割と真面目な部類です。


105 マジアアトラの誘い

「……マジアアトラ……っ!」

 

「……ごきげんよう、シスタギタント」

 

 路地裏に出現したシスタギガントに声を掛けると、彼女は恐ろしいものでも見ているかのような視線で私を見た。

 

 ふる、と小さくシスタの体が震えているのがわかる。

 

 ……なんでわかったかって? 彼女のおっぱいがそれにあわせて、ぷるぷるぷるぷる~っ、って震えているからだよ!!

 

 末端の小さな震えが、おっぱいの上で増幅されて、ばるんばるん、って……! 何なの!? 私に対する当てつけなのっ!?

 

 じぇらった瞳で彼女を見れば、彼女は泣き笑いの顔を更に引き攣らせている。

 

 ……いや、ある意味殺意の籠った瞳で見たことは間違いないけど、そこまで怖がらせるつもりもなかったんだけどなぁ?

 

「……怖がる必要はありませんよ、シスタギガント。……何もあなたを取って食おうと思っているわけではありませんので」

 

 ……いや、そのおっぱいは私に取って付けたいとは思ってるんですけどね?

 

「……どうして、あなたがこんなところにぃ……っ!」

 

 ……そんなに意外だったかな?

 まぁ、彼女にしてみれば、誰もいないと確認した上で、魔法を解いたのだから、驚くことではあるのかもしれないけど。

 

 ……便利だよなぁ、ルベルブルーメの影魔法。これさえあれば、私はほぼ何処にでも一瞬で出現できますよ? ナハトベースとかがある空間には、ワープゲートを通ってしか行けないけど、それ以外なら、ほぼ何でも大丈夫。何なら姉が着替えている最中の真下の影に潜んで、はぁはぁしながら見上げることもできるっ!! ……いや、見るだけなら堂々と下に潜り込んだ方が、姉の驚いた顔やらが見れるし、誤って踏まれるのも、またヨシっ!!

 

「……ふふっ。私は何処にだっているわよ? ……わかるでしょう、シスタギガント?」

 

 意味ありげにそう答えれば、彼女は勝手に邪推してくれるだろう……たぶん!

 

 それに一概にウソでもないしね!

 

 ロードエノルメは魔力を魔物に、マジアベーゼ様は鞭で叩いた物を魔物にする能力があるけれども……私はプールした魔力に形を持たせることができる。これはベーゼ様の魔力を解析した結果から、私が私で使いやすいように最適化したものだが、結果は、ロードエノルメのものに近いだろう。

 しかし、彼女のものとの決定的な違い……それは作り出したモノに意識を乗せることができることだ。

 これは私が自身を含めて二人分の思考を行ったところで問題ないからこそできる芸当ではあるが……。

 

 柊つぼみとマジアアトラは同時に存在し得る。

 

 これは他の魔法少女たちと比べて圧倒的なアドバンテージだ。身バレ防止のためのアリバイ作りもできる。

 

 ……もっとも、キウィちゃんやこりすちゃんには既に中身が知られているので、彼女たちが知ったら、また、何かやらかしてやがんな、と思われることだろう。

 

「……今回のこともお見通し、というわけですかぁ」

「さて? あなたが何を企んで、()()()一体誰の差し金か、はわかりかねるけれど?」

 

 ……とは言っても、想像はできる。

 

 シスタギガントは目的のためならば、誰を裏切ることも厭わない……ある意味では利己主義と言ってもいいだろう。

 

「……ご苦労なことね。クリーチャー()()の犬になって、危うい橋を渡ってまで調査をするなんて。……いえ? 犬、というよりは、コウモリの方がいいのかしら? ……ねぇ、シスタギガント?」

 

 おそらく、クリーチャーの内の一人は、ヴェナさんだろう……あの人(?)も秘密主義ではあるけれど、ベーゼ様たち以外にも手駒があるのはわかっている。彼女はその一人だ。

 

 もう一人はヴェナさんと近しい存在だが、必ずしも互いに友好的ではない相手だろう。トレスマジアの周りをウロチョロしているヴァーツとかいうのかとも思ったが……まぁ、アレはちょっと違うだろう。あちらとこちらの考え方の差異が大きすぎるが故に、完全に善性の存在とは言い難いけど、腹芸は無理そうだしね。腹芸が得意だったら、最初にマジアマゼンタを選ばずに、マジアサルファを選ぶでしょ? マジアマゼンタの良い子ちゃん振りと言ったら、眩しすぎて、私ですら浄化されそうだもの……。

 

「……お目当ては私? ……それとも……」

 

 彼女の目標はあの場にはいなかった。

 そうなれば、相手は限られてくる。

 

 少なくとも、あの結界を打ち破ることができる能力……あるいは、魔力を持っていることが前提。

 

 ……魔力を持っていない柊つぼみの活躍はシスタギガントからすれば予定外もいいところだっただろう。

 

 加えて言うならば、結界が破られたわけではないので、エノルミータの面々が中にいたことも、予定外かもしれないが……彼女自身は元々エノルミータの人間だ。正体が誰かを知っていて、あえて、という可能性もないわけでないが。

 

 ……彼女が主導していたわけでもない、というところもポイントの一つだ。

 

 おそらく、何かが起こることは知っていたから、彼女はそれを確かめるために現れた。

 

 彼女以外の何者かが、何を企んでいたのか……結界を破りいち早く到着した魔法少女への何らかのアプローチ。

 

 …………いや、違うな。アプローチなんていう軽いものじゃなく、手っ取り早く殺して魔力を得るつもりだったのかもしれない。

 

 ……ただし、その前提は、私とアリスちゃんとサルファが先にある程度壊してしまっていた。

 

 黒幕である誰かさんにとっては、私たち三人が協調をとって戦うことすら予想外だったし、逃げる間もなくあっさりやられることも想定外だったのかもしれない。一当りして引き、然る後に、今回の事件を……出来損ないの影ではない、彼女たちが行う……。

 

 それに対応しようとする魔法少女たちはどうなるか。サルファはともかく、マゼンタ辺りは、戦うことすら難しいかもしれない。

 

 その結果、魔法少女が死ねば、その魔力を回収……それができなくても、精神的ダメージを狙って、魔力暴走を引き起こす、というところか。

 

 これに加えて、シスタが何かを探していた、という事実を加えるなら、彼女が探していたのは、魔力暴走を起こした魔法少女、ということになるが……そう単純でもなさそうだ。

 

 ……単純な魔力量ではベーゼ様。暴走気味の一撃の威力ならレオちゃん。

 

 この二人は真化を済ませており、戦力の分析も進んでいて、ある意味で安定してしまっている。

 

 一度暴走を経験したベーゼ様は当然に暴走に至る事態を警戒しているし、その意味では最も暴走させるのが難しい。対して、レオちゃんは、一瞬一瞬の爆発力は高いとは言え、ベーゼ様ほどの暴走を起こせるかと言えば、疑問符が浮かぶ。

 

 ……となれば、一番底が見えないアリスちゃんこそが本命と考えるべきだろう。

 

 魔力の底は見えず、能力の全容も掴めず、しかし、精神的には最も幼い……暴走させるにはうってつけ、と考えられてもおかしくはない。

 

(……まぁ、あのアリスちゃんが素直に暴走してくれるわけない、っていうのが私の意見なのだけど)

 

 ……たぶん、暴走するにしろ、斜め上か斜め下に突き抜けると思う。そういう意味では、絶対に目論見通りにならないという信頼感はあるけれども。それを彼女に教える義理もない。

 

「…………ネロアリス、かしら?」

「…………それも、選択肢の一つではありますぅ」

 

 ……まぁ、アリスちゃんは、代替プランの筆頭、というところか。

 

 やはり、というべきか、本命は私だろう。

 

 クリーチャーたちの魔力を集める、という目的に最も適しているのは私だ。『吸収』という能力は実に都合がいいのは間違いない。しかし……。

 

「……やれやれ……ネロアリスが選択肢の一つに過ぎないとは、見る目がないね」

 

 ……私からすれば、アリスちゃんの方が向いていると思う。……というか、ぶっちゃけた話、私の能力以上に壊れ性能なアリスちゃんの能力は、使いこなすことができたら、やべぇどころの話ではないのだ。

 ……アリスちゃんがすぐに活動限界に至って『おねむ』になってしまうからこそ、彼我のバランスがとれているに過ぎず、彼女が十全にその力を振るったとしたら……。

 

(…………蹂躙だなぁ)

 

 敵味方関係なしに、体も心も蹂躙される。

 

(絶対に敵にしたくはないね!!)

 

 味方にできないのならば、敵にしないのが最善だ。その意味では、既に、シスタギガントとその黒幕は失敗していると言ってもいい。

 

 しかし……。

 

 じっ、とシスタの姿を見る。

 

「……?」

 

 彼女は不思議そうな目で私を見返してくるが……。

 

(…………えちぃ)

 

 ばいんばいんのぼいんぼいんのぷるんぷるんだ。

 

 キウィちゃんはその小さな体に限界目一杯、真珠ちゃんはアイドルらしく女の子の理想を、という感じにおっぱいが乗っかているわけであるが。

 

 シスタギガントは欲望のままに膨らませました、という感じの下品な感じの巨乳がとてもえちぃ♡ こういうのも私は好きだっ!!

 

(ふ~む……このまま、私やアリスちゃんに敵対していたら、『シスタギガント終了のお知らせ♡』になることは間違いない……それはそれで、ねっちょねちょのぐっちょぐちょにするから楽しくはあるんだけども。このおっぱいを失ってしまうのはあまりに大きい損失っ!!)

 

「……シスタギガント。そのままクリーチャーたちに味方したところで明日はなく……あなたの夢が……野望が成就することはないでしょう」

 

 そう呟いて、私があごに手を置きつつ、少しだけ頭を反らし、見下すような目線でシスタギタントを捉えると、彼女は、びくり、とその体を震わせた。

 

「……だとしたら、どうしろというのですかぁ……?」

 

 私としては特に意図したわけではないが、言葉に、このおっぱい手に入れたぁい♡ と、欲望という名の魔力が乗ってしまったらしく、シスタギガントは顔にびっしりと汗を張り付かせている。

 

(……さて、彼女は乗ってくれるだろうか)

 

「……シスタギガント。あなたがあなたの夢を、野望を手にしようと望むなら……私に、マジアアトラに跪きなさい」

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