「……シスタギガント。あなたがあなたの夢を、野望を手にしようと望むなら……私に、マジアアトラに跪きなさい」
シスタギガントにそう提案してきたマジアアトラの瞳は恐ろしいまでに冷たい。
(……これは……どう答えたらぁ……?)
反応が読みづらいアトラの対応にシスタは頭を悩ませる。
これが普通の相手なら、とりあえずはいはい頷いておいてもいいのだが……。
仮にその場しのぎとバレたらどうなるか……考えるだけで恐ろしい。
◇◆◇ CASE1
「……お断りしますぅ」
「なら死ね」
どごぉぉぉん!!
しすたぎがんとはしんでしまった
◇◆◇ CASE2
「……わかりましたぁ、従いますぅ」
「ウソをつくな。死ね」
どごぉぉぉん!!
しすたぎがんとはしんでしまった
◇◆◇ CASE3
「……もう少し考えさせてくださいぃ」
「許さん。死ね」
どごぉぉぉん!!
しすたぎがんとはしんでしまった
◇◆◇
(……理不尽極まる結果しか予想できないですぅ!?)
……そもそも対応の予想ができるほど、シスタはアトラと関わりがないし、ファーストインプレッションは魔王少女。理不尽の権化にしか見えないのだ。
(……何を答えても殺されるのではぁ……? あっ、これ、詰みなんですねぇ……悲しいですぅ……)
知らず、しくしく、とシスタは本当に涙が零れてきた。
別に彼女とて、好きでヴェナリータに協力してロードエノルメを裏切ったりしたのではない。彼女は彼女なりの目標があり、それを秤に乗せたとき、裏切っても構わないと思っただけだ。
……そして、もう一方の相手に協力しているのもまた同じ。
どっちつかずであるのは確かだが、それは彼女の目標……夢、野望のため……。
……夢半ばで倒れるなどできるはずもない。
(……何を選んでも殺されるなら、いっそ……!)
「……別にあなたを殺すつもりはないよ、シスタギガント。あなたが私に付こうが付くまいが、最終的な結果は変わらない」
シスタが事を起こすよりも先に、アトラは、くすり、とシスタに笑いかけた。
「……クリーチャーたちが何をしようと、魔法少女たちがどうしようと、私が私である限り、私以外の勝者はあり得ない」
傲慢とも思えるアトラの言葉……しかし、シスタはその言葉を否定することができない。その術を持たない。その力が無い。
……だが、マジアアトラには
「……これは幸せの分配だと思ってくれて構わない。私は一人でもいいけれど……あなたも……あなたたちも一緒の方がきっと楽しい!」
くすくす、と嗤う少女は酷く無邪気に見えると同時に……悍ましい別の生き物にも見えた。
「……さぁ、私に跪け、シスタギガント! 私の足を舐めて、偽りの忠誠を誓え! そのだらしない胸を曝け出して懇願しろ! そのでかいケツを振って希え! 私が……私だけがお前の望みを、夢を、野望を理解できる! 叶えることができる!
……………………さぁ、どうする、シスタギガント? ……私に従うか、否か?」
宙に浮いたまま、ふんぞり返って、足を組んだ彼女の姿は、魔王城、玉座の間で、玉座で尊大な態度を見せる魔王そのもの。
……その眼前にいるシスタギガントと言えば、旅立ち前の初期装備勇者Lv.1といったところか。
(…………あぁ……なんて……なんてなんて…………!)
……警戒を解き、頭を垂れる。
恭しい手つきで、アトラの靴を、靴下を、そっと脱がして……シスタは少女の強い香りがするその足の指先に舌を伸ばす。
「……ぁむ♡ ……っ、ちゅ、れろ、ちゅ、ぇろ……っ♡」
……丹念にその小さな足をしゃぶり、舐り……清め、そして、その唾液で汚していく。
(……なんてなんてなんて恐ろしい!)
従う、以外の選択肢がない。
それほどまでに圧倒的に、強く、悍ましい……!
シスタのちっぽけなプライドなど砕け散って、相手の足を舐めることさえ厭わない。
……それどころか愛おしいとさえ思える程に。
(……汗の味……♡ しょっぱくて、甘くてぇ……♡ こんな小さな子に、足を舐めさせられてぇ……こんなに屈辱的なのにぃ♡ ……どきどきしてぇ、切なくてぇ……♡)
「……あぁ♡ あぁ♡♡♡ 素晴らしいですぅ♡ 私の女王様ぁ♡ 我らが魔王様ぁ♡ ……んちゅ、はぷっ♡」
「……年端もいかない少女足を舐めて悦に入るなんて、とんでもない変態さんね、シスタギガント♡」
「んぷぅ!? ぁぷっ、ん、ちゅぁっ、ん、っく……♡」
シスタの口の中に足の先がねじ込まれる。喉の奥を突かれて、少しだけ酸っぱいものが上がってきても、唾液と一緒に飲み下し、必死に舌を動かして、アトラの足を味わう。
足を舐めさせられ、変態と罵られ、更に足を口の中に突き入れられて……しかし、シスタは歓喜した。
(……やはり、マジアアトラは……いぃえぇ、アトラ様は圧倒的♡)
ロードエノルメは借り物の力とは言え、その強さは相当なものだった。
マジアベーゼもその魔力量はかなりのものである。
……しかし、どちらもシスタギガントを屈服させるには至らず、結果、彼女はヴェナリータの手先として動いている。
……だが、マジアアトラは、
……偽りの忠誠? ……いいや、誠の忠誠を尽くさなければ、塵すら残さず、消されてしまう。
だからこそ……。
「けしからんおっぱいめ! けしからんおっぱいめ! こうしてやるっ! こうしてやるっ!」
「あっ、あっ、いやぁぁん♡ そ、そんなぁ……やめてくださいぃ……♡」
べちべち、と涎まみれの足で、シスタ自慢のおっぱいを蹴とばされようと……。
「でかケツめ! でかケツめ! こうしてくれるっ! こうしてくれるっ!」
「あっ、やぁ、あふぅぅん♡ い、いたいですぅぅぅ……♡」
ぺっちんぺっちん、と小さな手で、尻を叩かれようと……。
「……しゅご、しゅごいぃ、ですぅぅ……っ♡♡♡」
……シスタは全力でアトラに媚びを売る。それが本心であると、自ら思ってしまう程に。
「………………………………何だ、この気持ち悪いの」
……うわぁ、とアトラがドン引きしていることに気づかぬままに。
◇◆◇
「………………はふぅ♡」
「……勝手に悦に入って、勝手に満足しないでくれる……?」
……シスタギガントって、もっとこう……ミステリアスなおねいさんじゃなかったの……?
こんな気持ち悪いアズールみたいな感じじゃなかったハズなのに……。
……どうにも彼女……私のことが余程恐ろしかったらしい。
(……こんなちんちくりんのどこが恐ろしいのか)
いや、まぁ……この前の暴走以来、魔力圧、とでも言えばいいのだろうか。どうやらそれが強くなっているらしいのだが。
エノルミータやトレスマジア、シオちゃんズ辺りは慣れもあるのか、あまり変わった様子は見受けられなかったのだが……慣れていないと、こうなる、ということかもしれない。
「……はぁ……♡ それにしても、私を引き込んで、何をしようと言うのですかぁ……?」
「もちろん、楽しいことだよ、シスタ♡」
いひっ、と私は笑う。
ヴェナさんが書いたシナリオを滅茶苦茶にして、今回のシスタの裏にいたクリーチャーの思惑を粉砕し、私が私のやりたいことのために、世界を面白おかしく操作する。
「……さぁ、新しい勢力を作って、盤面をしっちゃかめっちゃかにしてやろう!」
私の夢に近づくために。
……あの子の夢を叶えるために。
エノルミータ
トレスマジア
シオちゃんズ
クリーチャーたち……に次ぐ新たな勢力!