悪の女幹部にあこがれて   作:MIA

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107 ナハトベースで二人きり♡

「…………………………うぅ~ん…………」

「どしたの、うてなちゃん? ……便秘?」

 

 ナハトベースの総帥席で、うんうん唸っているうてなに、キウィはスマホから目を離さずにそう声をかけた。

 

「違うよっ!?」

 

 即座のツッコミ。わたわたと顔を赤くしながら否定するうてなの姿を横目で見て、キウィは、きひひ、と笑う。

 

(……はぁぁ♡ 慌てて恥じらううてなちゃんはばかかわええ♡)

 

 ……まぁ、キウィからしたら、どんなうてなでもかわいいのだが。

 

 一日中何かを考えていて、浮かない顔をしていたうてながようやくらしい表情を見せたことに、きゅん、とする。

 

「……んで、どしたん? この間の件?」

 

 こりすのおもちゃを買いに行っただけなのに、魔物っぽい影が出るやら、つぼみが無双するやら、シスタギガントが現れるやら、とエライ目に遭った。

 

 こりすはこりすでちゃっかりおもちゃを確保していたが、元々はキウィたちで何かを買ってあげる予定だったので、それはそれでまた日を改めて、ということになった。

 

「……そうですね。この間の件です。……どうにもシスタギガントの言動が解せないので」

「あぁ~……あの、アタシよりおっぱいでっかいアレなぁ~……」

 

 つぼみに思う様乳首を蹂躙されてエラい顔を晒していたのは笑えるが、そのスタイルと言動はちょっと笑えない。

 

(……ちっ! もげろっ!! ……まぁ、乳はそれでいいとしても)

 

 ……うてなが懸念していることは何となくわかる。

 

「……言葉どおりじゃね? あの影の魔物は、シスタは直接関与してないだろうし。むしろ問題は……」

 

「……誰を、何を探していたか、ですか」

 

 エノルミータの面々ではないことは明らか。しかし、彼女はトレスマジアのことは知っているハズだ。

 彼女が不知の存在と言えば……シオちゃんズか、マジアアトラということになるが……。

 

「……マジアアトラを探していた、と考えるのが自然でしょうけど。彼女はメディア露出も多く、彼女を見るだけならあの場である必要はないんですよねぇ……加えて言えば、彼女の強さは見るまでもないというか」

 

『吸収』というチートな能力を持っているマジアアトラの強さは、SNSで拡散されている映像を確認するだけでもわかる。

 

 ……彼女の暴走事件以降後の戦闘している姿は数える程だが、それ以前と以降でも大きく異なる。

 

 一度暴走したことで壁を壊したのか……彼女を取り巻く魔力の量は、他の魔法少女たちとは一線を画していると言って良いほどだ。

 

「……そう言えば、こりすちゃんからは、アトラ、サルファと共闘で、あの影の元のような魔法少女を撃退したと聞きましたけど」

「……無関係とは考えられね~よな~」

 

 その際、うてなもキウィも間に合わなかった……いや、それ以上に決着が早かったと言うべきなのかもしれないが。

 

「……こりすちゃん……アリスちゃんは瞬殺。アトラも一蹴。サルファは新技を披露して、二人に比べれば辛勝といったところ」

「いや~……アリスとアトラと比べたらいかんでしょ。さすがのアタシでもサルファに同情するわ」

 

 キウィ、レオパルトはマジアサルファが嫌いだが、それでも比べるのが可哀そうな相手である。

 

 チート&チート。天災と天才。

 

 マジアサルファのスピードと戦闘センスは高い方ではあるが、理不尽の極みとも言うべき二人と比べるのは酷だ。

 

(つぼみ……アトラに至っては、魔法も戦闘もやべぇし、やる気を出したアリスは、ハマればアトラだって勝てやしないだろう……まぁ、すぐにおねむになっちまうのが唯一弱点か)

 

「………………ふむ。前の襲撃を布石と考えるなら…………今回のアレはアリスちゃんを狙った……? でも、それをつぼみが台無しにしちゃった……?」

 

(……つぼみが一般人だったなら……巻き込まれてケガして、アリスがぷっつん……あり得なくはないけどなぁ……?)

 

 ……しかし、中身を知っているキウィからすればあり得ない展開であるし、これはこりすも同じだろう。

 

 ……もっとも、本気で素手で撃退するとは思ってもみなかったのだが。

 

「……マジアアトラか、ネロアリスか、それともその両方か。あるいはそれ以上か……」

「……まっ、警戒するしかないよね~」

 

 エノルミータ側としては、情報が少なすぎる。ヴェナリータなら何かを知っている可能性は無きにしも非ずではあるが……。

 

(……どうせ、あれは話す訳ないしなぁ……)

 

 何某かの思惑があるのはわかるが、それを容易に話すほど単純な相手ではない。見た目どおりお腹の中まで真っ黒な存在である。

 

「……そういや、こりすは? ……あの後、ナハトベースに全然来てなくねぇ? つぼみんとこ?」

「……こりすちゃんですか? それがどうにもつぼみと一緒でもないんですよね……。あの子、最近は学校から帰ってきたら、家事するか、パソコンに向かって映像編集してますし」

 

(……こりすがつぼみと一緒にいない?)

 

 ……不自然過ぎる。

 

 キウィが見る限り、こりすはせっせとつぼみの外堀を埋めている段階なので、引く、ということ自体があり得ないハズだ。普段の彼女であれば、つぼみが構ってくれないまでも、部屋まで上がって引っ付くくらいはするのが当然。

 

 ……それをしない、ということは、こりすにとってそれ以上の優先順位のことがあるということになるわけだが。

 

(……ありえねぇな)

 

 今のこりすにつぼみ以上の最優先事項などあり得ない。

 

 ……だとすれば、つぼみ攻略のために、つぼみと離れていると考える方が自然だ。

 

 しかし、キウィにはその理由がわからなかった。

 

(……ついでに言えば、ナハトベースのカラオケやホテルの使用率の高いネモたまもきてねー)

 

 普段ならストリップカラオケで真珠の歌唱力強化を行ったり、ホテルの一室にこもって、何やら嬌声を上げていたりする二人も、今日はいない。

 

(………………あれ? もしかして、今って、アタシとうてなちゃんの二人きり……♡♡♡)

 

 ……そう意識すると、シスタギガントの企みなんか至極どうでもいいことのように思えてくる。

 

 俯き加減で何やら、じっと考えているらしい、うてなの凛々しい顔を見ながら、キウィは胸をきゅんきゅんさせた。

 

「……………………う~て~な~ちゃぁぁぁぁん♡♡♡」

 

 うてなに抱き着いて、その顔を自分の胸に埋める。

 

「ぅわぷっ!? き、キウィちゃん!? な、何を!?」

「えっへへへ~♡ うてなちゃん、今は二人っきりだね~♡」

「……えっ!? あ、……そう、ですね……?」

「……イイことしちゃう? ホテル行っちゃう? ホテル行こう? ホテル行きます!」

「あ、あのっ!? き、キウィちゃん!? ……って、力強っ!?」

 

 総帥椅子にへばり付くうてなを抱きしめつつ引き離し、なおも抵抗するうてなを、ずり、ずり、と少しずつ、会議室からナハトベースのホテルの方へと引っ張っていくキウィ。

 

(でゅふふふふふっ♡♡♡ 今日こそ、今日こそうてなちゃんと♡♡♡ ……いや、アタシからは何もしないよ? 一緒にお風呂に入って、裸のまま、ベッドに入って、うてなちゃんがその気になるまで誘惑するだけ♡♡♡ アタシは待てる女だからねっ!!!)

 

 ……それを待っていると言っていいのかは激しく疑問が残るのだが。自分から手を出さない分だけ、まだ理性はある…………………………んだろう……、たぶん、きっと、Maybe……。

 

「き、キウィちゃぁぁぁぁぁぁぁぁん!?」

 

 ドップラー効果を残しつつ、うてなは会議室から連れ去られ、気づいたときには、ナハトベースのホテルの一室にいた!

 

「……ほらぁ♡ うてなちゃん、一緒にお風呂いこ♡」

 

 既に全裸になっているキウィの姿を見て、うてなはそっと両手で顔を覆った。

 

「……もうっ! キウィちゃんは、もうっ!!」

 

 ……この間のスパとは違う。

 純粋な気持ちでお湯に浸かるのと、えっちぃ気分になってシャワー浴びて一緒にお風呂に入るのは全然違う。

 

 しかし、ここまで好意を前面に押し出されて、かつ、自身も気があるとなれば……!

 

「…………っ!」

 

 うてなは覚悟を決めて、服に手を掛けて…………………………。

 

 

 

 

「うてな、キウィ! またこの間の影が現れたよ!」

 

 

 

「……って、またかよっ!!!! いい加減、ぶっ壊すぞ、世界っ!!!!」

 

 ヴェナリータによる邪魔に、キレ散らかすキウィ。

 

 ……その隣で、ほっ、とうてなは息を吐いた。

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