悪の女幹部にあこがれて   作:MIA

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110 厄介な相手

「……暴君のお茶会(Nero's tea party)。私たちのことはそう呼ぶといい」

 

 かぽ~ん、と口を開けたベーゼ様♡ 遠い目をして乾いた笑みを浮かべているレオちゃん♡

 

 トレスマジアも呆然としており、シオちゃんズも驚愕している。

 

 ………………んんっ~~~~、きんもちい~ぃ♡♡♡

 

 ふはははは! 私とシスタが新チームを結成しても驚かないだろうけど、ここにアリスちゃん……ネロちゃんの裏切りとそのリーダーをネロちゃんにするというのは予想外だろう!

 

 普通に考えれば、私がリーダーをやりそうなもんだからねっ!

 ここまで絵図を描いといて、(アトラ)じゃないのかよ!? と大半の人が思うだろう!

 

 ……だが、私にとってこれは既定路線。

 

 まぁ、ネロちゃんの実力を考えれば当たり前なんだけど……。

 

 …………いやぁ、何で暗黒真化してるんでしょうねぇ……?

 

 シスタは私の魔力を分け与えた形なので、暗黒真化するのは想定内。……何故かロリ化したけど。

 

 ネロちゃんが、真化目前まできているのはわかってたけど、まさか、暗黒真化するとは……。

 

 暗黒真化自体は悪いことじゃない……自分の魔力と暴走気味の他人の魔力を使うことで、真化よりも強力な力を得ることができる。

 

 マジアマゼンタの場合、中に入ったベーゼ様の魔力が悪い方向に作用しているから、何かえっちくなってるけど、その能力自体は強力だと思う。

 

 ……対して、私の魔力を取り込んだ場合はどうなるのか。

 

 シスタはロリ化した以外はふつ~だし、単純に真化した以上の力を得ていることは間違いない。

 

 ……ということは、私の魔力の副作用ってロリ化……? 何かヤダなぁ……!

 

 ……しかし、ネロちゃんは、別にロリ化してないし。私の魔力じゃない可能性もワンチャン……!

 

「……♡」

 

 くふ、と笑ったネロちゃんが私に腕を絡めてくるが……あぁ、うん、これ、私の魔力だわ……。

 

 ネロちゃんの肌から伝わってくるのは、私の魔力とネロちゃんの魔力が絶妙に入り混じっている感覚である。

 

 ……しかし、注入したわけでもないのに、何故、ネロちゃんに私の魔力が……?

 

(…………あっ!?)

 

 ……気づく。

 ……魔力の多くは何に宿るか。

 

 ファンタジーものの王道に曰く。魔力が多く含まれるのは、髪だったり、爪だったり……体液だったりするわけで。

 

 …………変身前でも、変身後でも、割とべたべたしてたし、求められるまま、結構な頻度でちゅ~してたからかっ!?

 

 ぺろ、と舌を出して笑う親友! ……さては確信犯だな、貴様ぁ!

 

 ……ま、まぁいいや。戦力が充実しているのは悪くないし。

 

「……ネロちゃん、お願い」

「……(こく)」

 

 準備はしてきた。戦力も整った。……後は私たちが私たちの歩むべき道を進むだけ。

 

 ネロちゃんが空間に大きく穴を開ける。行先は私たちの拠点、<不思議の国>。

 

 私の魔力とネロちゃんの能力で作り上げた場所。

 

「……今日のところはお披露目までとしましょうか。それでは皆様ごきげんよう?」

 

 ネロちゃんはベーゼ様たちを振り返ることなく踵を返して、穴の中に入ると、それを追うようにシスタが。……そして、私は恭しくカーテシーをする。

 

 ……さぁ、宣戦布告は済んだ。

 

「……最初の相手は彼女たちか」

 

 おそらく真っ先に敵になるであろう相手に一瞥をしつつ、私は<不思議の国>へと足を踏み入れた。

 

◇◆◇

 

「……あ、アリスちゃん……!」

 

 マジアアトラたちが去った瞬間、マジアベーゼは、がくっ、と膝を付いた。

 

(まぁ、ベーゼちゃんはアリスのことを結構甲斐甲斐しく面倒見てたからなぁ……)

 

 そのショックは大きいだろう。

 

 一方でレオパルト自身はそうでもない。

 

(……つぼみとこりすが仲の良さを考えれば、アトラに与するのはあり得ることだったけど)

 

 想像の範疇内のことであったから、ベーゼ程の衝撃はない……ないが、モヤっ、とするところはある。

 

(……何をするつもりなんだアトラたちは……?)

 

『……私の最終的な目標は、この世界の魔力の全てを私の……私たちのものとすることです。……だから、魔法少女たちはいらない』

 

 アトラはそう言ったが、おそらくそれだけではあるまいと考える。

 

(……最終目標としてではなく、中間的な目標……あるいは、これ自体が手段と考えた方がしっくりくるな)

 

「……くっ……! 何であっちの暗黒真化は普通やねん!?」

 

 レオパルトが真剣に考えている横で、マジアサルファの愚痴が聞こえ、思わずレオパルトは力が抜けた。

 

「そこかよっ!? もっと、見るべきところがあるだろうがよ~、サルファ~?」

「あァン!? シスタギガントがロリ化してもおっぱいぼ~ん!! ってことかっ!? なんやねん、アレ!? ウチもあの乳、ビンタしてやりたかったわ!!」

「……アトラの乳ビンタは見事だったわねっ! ……じゅるり♡」

「おう、アズール! 涎拭けや!!」

「……ねぇ、やっぱり、あたしの暗黒真化と、ネロアリスたちのって違うの?」

「…………ち、違わんよ…………?」

「……どうして、目をそらすのぉ!?」

 

(……実際、マゼンタの暗黒真化と違って、アイツらの精神はそのままみたいだからなぁ……)

 

「……あれ? 思ってた以上に厄介じゃね……?」

 

 暗黒真化による強大な力をしっかりと計算立てて使ってくることが予想される。

 

 シスタギガントの巨大化。ネロアリスの玩具を操る能力。

 

 これらが暗黒真化によってどう変貌しているかも予測が付かず、しかし、彼女たちはその能力を十全と使ってくる。

 

「……ぐすっ……そりゃあ、厄介に決まってるよ、レオちゃん……」

 

 アリスの離脱のショックから抜け出せていないベーゼは未だに涙目だが、しっかりとその脅威度は考えていたらしい。

 

「……それに、暗黒真化だけが脅威じゃなくて……マジアアトラとネロアリスの組み合わせはおよそ最悪に近い……っ!」

 

 強力な能力を持つネロアリスの弱点……おねむ。

 

 これは彼女自身が幼い故の問題でもあるが、もう一つの要因は強大な能力故の魔力消費量。

 

「……シスタに行っていたみたいに魔力を分け与えられるなら、アリスちゃんはほぼ無制限に能力を使うことができるっ!」

 

 同種の組み合わせならば、マジアマゼンタとネロアリスという組み合わせも考えられるが、マジアマゼンタの魔力量は有限だ。いずれ、その魔力は尽きる。

 

 対してのマジアアトラ。

 彼女は自らの魔力量は少ないが、周囲の魔力を吸収し、自身の許容量を超えた魔力は翼という形でプールできる。

 

「……魔力切れの心配なくアリスちゃんの能力が使えるっていうのは、最早チート……! ……本当にアトラは何を企んでいるのでしょうか……?」

 

(……つまりは、そこまでしないと不可能ってことか。……本気、ってことだな、つぼみ……!)

 

 妹分が本当に何を企んでいるかまではレオパルトにはわからない。

 

 ……しかし、一つ信用していることはある。

 

(……まぁ、悪いことにはならんだろ~)

 

『大好きなもの、愛せるもの……一緒に増やしていこーぜ』

 

 ……かつてキウィの言ったその言葉をつぼみが違えることはないということ。

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