(……パンタノペスカですかぁ)
マジアアトラ曰く、シオちゃんズにおいては、イミタシオよりも警戒が必要だという。
……しかし、シスタギガントは彼女に対してそれほどの警戒は必要ないと思っていた。
マジアブラン……ベルセルガとは異なり、その活動期間はシオちゃんズ結成以降であることから、シスタの知る限り、パンタノペスカが最も経験が浅い魔法少女である。
わずかの期間で真化に至っている点については、確かに警戒すべき点はあろうが、それにしたって、イミタシオの存在があってこそのものだろう。
……よって、ベルセルガの戦闘力やイミタシオの能力と比すれば、パンタノペスカの脅威度は低い。少なくとも彼女たち以上ではない。……そう判断したのだ。
「…………なるほどなるほど! 間近で見れば、何というけしからんおっぱい! 元からけしからんおっぱいが、ロリ化した結果、よりけしからん状態になるとはっ!? いいですわぁ、いいですわぁ♡ 滾りますわぁ♡ 捗りますわぁ♡ ……じゅるり♡」
……まぁ、眼鏡をくいくいしつつ、好色な瞳を向けてきて、涎を啜っているような輩にまともに警戒をしろというのも確かに無理な話なのだが。
「……気持ち悪いのでぇ……早めに退場いただきますぅっ!!」
……一撃で十分。
がぁぁぁぁん!!
轟音が響く……土煙が舞う……そして、ごぅ、と風が吹いた。
(……………………何故……?)
シスタは、ぎゅっ、と右手を握りしめ、己が放った一撃の感触を再度確かめる。
……ルベルブルーメやロコムジカを一撃で仕留めたあの攻撃。自らの攻撃に失敗した点はない。
だが、その手応えは、肉を打つそのものとは明らかに異なり……。
(……まるでコンクリートでも殴ったかのよう……な……!?)
……気づく。
そして、風が全ての土煙を吹き飛ばした先に見えるのは、最初の位置から動いてさえいないパンタノペスカの姿であった。
「……ふむ。予想通りですわね」
自慢の胸を強調するかのように胸の下で腕を組み、右手で、くぃ、と眼鏡を押し上げて、パンタノペスカは、にやり、と笑った。
「…………超高速での魔法展開と魔法の範囲を制限することによる集束化、といったところでしょうか。……シスタギガント様の能力は、巨大化、でしたかしら? ……はて? でも、この能力であれば、それだけでは成り立たないと思いますが? ……巨大化だけではなく、伸縮と肉体強化も含まれる?」
(…………この一瞬で私の魔法を解析した……!? いや、そんなことができるわけ……!?)
……構える。
シスタの視線の先には、余裕の笑みを浮かべるパンタノペスカの姿。
「…………ああ、そう言えば、シスタギガント様? ……超高速魔法展開と集束化。……
ずががぁぁぁぁん!!
……轟音。衝撃音。土煙が舞うその直前。
シスタにも見えた。
岩でできた巨大な拳が自らの巨大化した拳とぶつかる瞬間を!
「……刹那の瞬間に前腕部から先を巨大化させて、相手にそのまま当てているわけですか。予備動作がなければ、相手は何をされたかわからないですわね? もっとも? あなた様の能力がわかっていて、事前情報があればどういった攻撃か予測するのは容易いわけですが。……私たちがあなた様の情報を集めていないとでもお思いでしたか?」
(…………なる、ほどぉ…………マジアアトラが警戒するわけですねぇ……?)
……パンタノペスカの解析能力は、魔法少女たちの中でも頭一つは抜きんでている。
(……おそらくはマジアアトラほど、魔法そのものへの理解力は少ないにしろ、見たもの、感じたものを解析・分析する能力は同等……あるいは、それ以上なのかもぉ……?)
いずれにしろ、アトラが要警戒としていた理由をはっきりと理解する。
(……長期戦は、不利、ですかぁ)
シスタが考えている以上にパンタノペスカは厄介だ。
長時間戦えば戦うほど、自らの能力は丸裸にされていくし、取っておきたい切り札まで使わされる可能性が高い。一度使った切り札は、当然に対策されるだろうし、より最悪なのは、その切り札を元により強力な魔法を開発されるおそれすらある。
……だが、それでも、マジアアトラを相手にするよりはよほどマシである。
(……あちらは本当に手の付けようがありませんけどぉ……こっちはまだ何とでもなりますしぃ?)
マジアアトラは魔法を吸収することでシスタの魔法を無効化できるが、パンタノペスカは対抗する方法が持てるということでしかない。
……即ち。
「……潰してあげますぅ!」
シスタの結論は単純だ。
対抗されようが、問答無用ですり潰す。
体を巨大化し、その圧倒的物量で叩き潰す。
マジアアトラには通用しなくても、パンタノペスカには通用する。
「ふふっ」
……しかし、パンタノペスカは巨大化したシスタを見て、笑って見せた。
「……シスタギガント様? 私の魔法が何かをお忘れで?」
ごごっ、という地鳴りとともに、地面がせり上がり、巨大化したシスタと同程度の大きさの人型を象った。
「……ゴーレムクリエイトですかぁ……土人形ごときで私が止められるとぉ?」
シスタはゴレームとがぶり四つに組み合う。
(……中々のパワーですが、これくらいならぁ!)
……こちらが有利、とシスタは力を込めるが。
「あはぁ~♡ いいですわぁ、いいですわぁ♡ 丸見えですわぁ♡ ……それにしても、やっぱり履いてらっしゃらないんですのね~♡ じっくりはっきりぱっくり見えますわぁ♡」
「……なぁっ!?」
パンタノペスカはゴーレム操作をそっちのけで、シスタの真下から……シスタのソレを見上げ、観察していた!
……しかし、羞恥心でそこを隠そうとすれば、ゴーレムが更に力を入れてくる。
「……くっ、このぉ!」
シスタとしては、隠すのを諦め、押し返すしかない。何とか隙を探ろうとするが……。
「さぁさぁさぁさぁ♡ シスタギガント様♡ こんなのはどうですかしらぁ♡」
いやらしい目をしたパンタノペスカは……更に空中に、巨大な岩の手を作った。
……わきわき、と両手が動いている。
「……ま、まさか……!?」
そのまさかである。岩の両手はシスタの豊満な胸へと移動して……。
むにゅん、むにゅん♡
「……はぅ♡ こ、このぉ!?」
「なるほど!? なるほどぉ!? こ、これはぁ!? 大きさと柔らかさは至高なのは言うまでもないことですが、この胸の奥にある若干の固さ! これはこれからの成長の余地を示しているとぉ!? なるほど、これがロリ巨乳!! 奥が深いですわぁ♡♡♡」
むにむに♡ くりくり♡
「……あっ♡ や、やめっ!?」
「感度も良好ですわぁ♡ 巨乳だから感度が悪いなんてことはないのですわぁ! むしろ、この先っちょは、巨乳だからこそより強く感じてしまうのですわねぇ♡ わかりますぅ♡」
やたらとえちぃ揉み方をしてくる岩の手にシスタは何とか歯を食いしばって耐える……っ!
「……あらあらぁ? あらぁ~♡ そんなに感じてくれているんですのねぇ、シスタギガント様♡」
何かに気付いたらしいパンタノペスカの声に、シスタは羞恥で顔を一層赤くした。
「……それではご期待に応えまして♡」
くふっ、と微笑んだパンタノペスカが更に岩の手を宙に生み出し……。二本の指がくいくいと震えるように動いている様をシスタに見せつける。
「……あぁ……う、うそぉ……!?」
それがどこに向かうかなんてわかりきったことである。
シスタは赤かった顔を一転、青ざめさせた。
まさか。こんなところで。何なら現在の様子は全国中継されてすらいるのに。衆人環視の中で。そんなことに。
……さすがにそこまでしないよね、とパンタノペスカの様子を伺うが。
「ぐへへ♡」
……絶対にとめそうになさそうだった。
そして、その指がシスタの秘所に触れようとするその瞬間……。
……ぷち。
……シスタの中で何かがキレた。
「……いい加減にしろですぅぅぅ!? このド腐れ眼鏡女ぁぁぁぁぁぁぁ!!」
限界のその先。シスタは体を更に巨大化させると、ゴーレムごとパンタノペスカを……。
ぷち。
(……あ~……やっちまったかもぉ、ですぅ……)
何か潰した感触があった場所からそっと足をどかす……その場所に血だまりが………………なかった。
『ふぅははははは~☆ ……やっちまったと思ったでしょう? ……思っちゃいましたよね~? と~ころがどっこいおすもうどすこ~い☆ 私は無事でしてよ~♡』
いぇ~い、とダブルピースでご満悦なパンタノペスカの映像が上空に映った。
背景はどこぞの廃墟のようだが……その奥には。
『巨乳×巨乳! とってもいいものですわぁ♡ 良いデータが取れましたわぁ♡ おかげでとっても捗りますわぁ♡』
……モデル体型のシスタギガント(真化前)×ロリ巨乳なシスタギガント(真化後)。
たわわなあれが二人でもっちもっちしていた。
『良い画が撮れそうですわ♡ ……シスタギガント様、データの提供、ありがとうございました☆ それでは、あでゅ~♡』
……そう言い残して、映像は途切れ……。
……しゅるしゅると小さくなったシスタギガントは、血の涙を流しながら地面を叩いた。
「…………殺してやるですぅ……次、会ったら絶対殺してやるですぅ! あのド腐れ巨乳好色淫乱眼鏡女ぁぁぁぁぁぁ!!」
シスタギガントVSパンタノペスカ!
……パンタノペスカの試合放棄でシスタギガントの勝ち……?