悪の女幹部にあこがれて   作:MIA

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125 桃森百花は考える

「……そう言えば、多田さんは学校、行けました?」

 

 百花とつぼみの繋がりは、彼女と比較的仲の良い田中と、その同棲相手である蘭朶を介したものでしかない。

 

 だから、自然、話題になるのは二人に関係することになることは自然ではある。

 

「……と言うと?」

 

 百花が、はて、と首を傾げると、つぼみは困ったような顔をした。

 

「いや、田中のコンビニに行ったら、てんちょーが田中が季節外れのインフルエンザだ~、って」

 

 ……つぼみがどうして蘭朶のことを気にしたのかと思えば、その答えはそんなものだった。

 柊うてなともコンビニではよく遭遇する。その妹である彼女があのコンビニを利用しているのはごく当たり前のことだし、何よりギャル店長は顔も広く、面倒見が良い。週6でシフトに入っている田中の姿がないことを不思議に思った彼女にそういった話をしていることはあり得ることだろう。

 

「……なるほど、そういうことですか。……蘭朶もインフルエンザみたいですわね。……ほら」

 

 今朝方、蘭朶から送られてきたメッセージの画面を見せる。

 

「……ふ~ん」

 

 ……何やら含みのある顔のつぼみ。

 

「……何か気になることでも?」

「……いや、ホントにインフルエンザかな、って」

 

 まるで何かを確信しているような目。

 

(……まさか、二人が不在ということに気づいて……?)

 

 ……百花がそんな風に考えたとき、つぼみとこりすの二人が顔を赤くした。

 

「……だって、あの二人でしょ? だったら……ねぇ♡」

「……///」

 

(……あ、……あぁ~……)

 

 どうやらこの二人。田中と蘭朶の関係を正確に把握しているらしい。

 

 つまりはインフルエンザとは口実で、激しく熱い夜を過ごしたのではないか、と想像しているようだ。

 

(……う~ん、おませさん♡)

 

 きゃっきゃと楽しそうにしている二人は、まるで自分たちもそういうことをしたいと語っているようにも見える。

 

(……ロリ……! ……尊い……っ!)

 

 百花は思わず目を瞑った。

 

 ……そして、想像の中で、この幼い二人がくんずほぐれつする様子を思い描く。

 

 ……つーっ、と鼻血が零れ落ちた。

 

「……おっと、失礼」

 

 取り出したハンカチで鼻元を押さえる様子を対面に座った薫子が、げんなりした顔で見つめていた。

 

「……ホンマ、節操ないな、アンタ……っちゅーか、この二人でそれはあかんやろ……」

 

 しかし、そういう薫子も、百花が何を考えたのか、正確に当ててきた、ということはちょっとは想像したということである。現に、彼女の頬も若干赤いのだ。

 

「……アリね……っ!!」

 

 きりっ、とした顔で血迷ったことを言う小夜。

 

「……おぅ、小夜……アンタまでやめ~や……!」

 

 ……っ、はぁぁぁぁ、と薫子が大きくため息をついた。

 ……そして、何の気なしに、隣に座るはるかの様子を伺って……ごん、と頭をテーブルに突っ込んだ。

 

「……っはぁぁ♡ それってとってもかぁいいかも♡」

 

 きらきらと瞳を輝かせながら、はるかが目をハートにしている。えっちぃかえっちくないかは置いといて、つぼみとこりすの二人がかぁいいことには間違いはないが……。

 

「ぇ~……わたしとの方が楽しいですよぉ~?」

 

 一人不満そうなのは、巨乳の少女である。

 

(……ロリ巨乳……! 確かに逸材っ! でも……)

 

 彼女の肉々しい体つきは、尊さよりも淫靡さが勝る。

 

 エロもいい……だが、てぇてぇは見ているだけで癒されるのだ。決していやらしい気持ちだけではない! ……まぁ、当然にいやらしい気持ちもあるのだが!

 

「……んみみぃ……!」

 

 ……いい加減にツッコミ疲れた薫子が鳴いた。

 

 想い人がハート目をしているだけでは飽き足らず、親友は脳が湧いたことを言っているし、新しい知り合いはそれらを簡単に凌駕するくらいに変態だ。

 ……そして、色々な妄想をされているであろう、当の本人たちは、何言ってるんだろうな、と不思議そうな顔で援護射撃もない。

 

 ……いや、年齢を考えれば、それが当然なのだけども。

 

(……あら、かわいい♡)

 

 そして、百花にとっては、当然のことながら、薫子も守備範囲内である!

 

『んみみぃ!』と鳴く彼女からは子猫のようなかわいらしさを感じるので、それはそれで妄想が捗るのである。

 

(ん~~~~……っ! インスピレーションが湧きますわぁ♡♡♡)

 

 ……家に帰ったら、色々アレしよう、と百花は決意する。

 

 つぼみ×こりすは当然として、はるか×薫子、小夜×はるか、つぼみ×はるかも当然いけるし、つぼみのへたれハーレム総受けなんて言うのも考えられる。子猫薫子のにゃんにゃん大作戦♡ なんかもイケるし、巨乳の少女はおそらくMなので、ハードに調教するのもいいだろう。小夜のくっころなんかは、悔しい、だけど、感じちゃう♡ びくんびくん♡ な感じで実にえちぃだろうし。

 

 ……しかし、淑女たる百花は、そんな妄想をしているとは思わせない綺麗な笑顔で取り繕う。

 

 不意打ち気味に鼻血を出してしまったこと以外は、お嬢様然としたその姿を崩さない。

 

「……でも、そっかぁ。ホントにインフルエンザならお見舞いに行くのはダメかなぁ? ……いや、私、多田さんの家知らんけども」

「……感染ったら、あの二人も気にしてしまうでしょうし、お気持ちだけで十分では? 支援物資は私の方から差し入れておきますので。皆さんが心配していたことはちゃんとお伝えしますわよ?」

「……じゃあ、そうしようかな。元気になったら、またお夕飯にでも誘おう。……ねっ、こりすちゃん」

「……☆」

 

 つぼみの言葉に、こくこく、と相槌を打つこりす。

 

(……ふむ? 純粋に心配している……?)

 

 もっと何かあるのではないか、と勘繰ってしまうのは、百花が穿った見方をしているせいだろうか。

 

 しかし、こりすはともかく、つぼみの方は本心を隠すのが巧いように見える。

 

 何せ()()うてなの妹なのだ。腹の内にドス黒いものを抱えていたとしても、百花は別に驚かない。

 

(……とは言え、この程度の話題では彼女のその部分がわかるわけでもないし……)

 

「……なぁ、ぼちぼち、場所変えへん……?」

 

 未だ若干涙目で疲れた様子の薫子からの提案。

 

 そもそも百花は彼女からの連絡により合流したのだ。

 

 ……トレスマジアとの共闘。そして、彼女たちとエノルミータにも接触をするために。

 

「あ、ごめんごめん、邪魔だった?」

「邪魔なことあらへんよ。元々、待ち合わせしてただけやもん」

「そうですわ♡ つぼみさんやこりすさんはとても目の保養になりましたし♡」

 

 くふ、と百花はつぼみに笑みを返し、はるかたち三人と席を立った。

 

 ばいばい、とばかりに小さく手を振るこりすの姿にほっこりしながら、つぼみたちに別れを告げて、会計が終わった後に店を後にする。

 

「……あれが、柊つぼみさんですか。……とても魔物を殺せるようには見えませんでしたが」

「すごかったよ~♡ びゅ~ん、って投げたりしてねっ!」

「……元々、活発な子だから」

「……見た目こそちんまいクソガキやけど、鍛えっぷりはちょっと普通やないで?」

 

 直接目にしたはるかは疑問を抱く余地もないが、小夜もこれに関しては疑問を持っている様子はなく、薫子はさも当然のように思っている。

 

(……それこそが異常なんですけどね~)

 

 魔物の強さは大の大人よりも強い。しかし、それを素手で殺せる柊つぼみは、人相手でも、何なら殺せる。

 

 ……そして、おそらく、彼女は、魔物だろうが、人だろうが区別しない。

 

 黒々とした彼女の瞳は、人に対しての愛着がなく、必要とあれば虫のように人を殺すのだろう。

 

 ……人間の中に人間の顔をした悪魔がいるような気持ち悪さ。しかしながら、彼女は奇妙なほどに周囲の人間を惹きつける。

 

(カリスマ、と言うよりは、魅了の類……彼女が一般人であることを喜ぶべきでしょうか)

 

 こりすや巨乳の少女に比べれば、無いに等しいくらいには魔力が薄い……。

 

 マジアベーゼはスカウトしていたようだが……あれでは、魔法少女にはなれないだろう、と百花は考え……。

 

 ……ズキ、と頭痛を感じる。まるで何かを警告するかのように。

 

(……いえ、それよりも今は、トレスマジアとエノルミータを共闘させることこそが重要。蘭朶とみち子様を解放しなくては!)

 

 ……変な妄想をしている、と思われがちな百花ではあるが、一応は仲間のことも考えているのである。……一応は!

 

◇◆◇

 

「……女王さま、情報収集はこれで十分なのですか?」

「うん♡ ……さぁ、忙しくなるよ?」

「……♡」

 




<茨の女王>マジアアトラ イメージ

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<暴君>ネロアリス イメージ

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