「……ちょっ!? こりすさんっ!?」
いちおー真面目なことを考えていた私は隙だらけだったのだろう。
ついでに言えば、お姫様のご機嫌伺いが疎かになっていたということもある。
……私にも非があったことは認めよう。
……でも、だからと言って押し倒されるのは違くない!?
「……~~っ」
そんなの関係ねぇ!! とばかりに、こりすちゃんは、むちゅぅ♡ と私に口づけしようと顔を近づけてくる。
……くそぅ、シスタを追い出してしまったから止めてくれる人がいない! ……いや、シスタがいたところで止めてくれるかは疑問だし、更なるカオスになっていた可能性もあるが。
私はこりすちゃんの肩を押して抵抗するが……って、力強っ!? 私の体勢が悪いことを考慮しても、こりすちゃんの力が強過ぎる!?
「待って、待って!? ……ちょっ、まぁぁぁぁぁっ!?!? ………んぁん、っ……~っ♡」
……私の抵抗も虚しく、こりすちゃんの唇が私のものと重なる。
ぷちゅ、と小さな水音……次いで、はぷ、はぷ、と唇を啄むように弄ばれ、わずかな隙に、ぬるっ、と舌が入ってくる。
(……何か日増しに上手くなっている気がする……っ!!)
……ちょっと前まではこんなことする感じじゃなかったのになぁ……! 誰だよこんないけないことを教えたのは!? ……私だよっ!? ……でも、正直、こりすちゃんがここまで積極的になるのは想定外というか……!?
「……~~っ♡ ……ちゅ……♡♡♡」
「……~~っ、ぷはっ! ……ちょっとぉ、こりすちゃぁん……?」
……う~ん、非難したくて声を掛けたが、私自身の声もちょっと甘くなっているぞ……?
いや、まぁ、嬉しいか、嬉しくないかで言えば、当然嬉しいし、気持ち良くないか、気持ち良いかで言えば、ぶっちゃけ気持ち良いのだけども!
……でも、私、結構重要なことを考えていたんですよ? それこそ、私たち……魔法少女全体に関わる重要なことを。……それなのに!
『うるせー! そんなことはどうでもいいから私と『ちゅう♡』しろ!!』とばかりにこりすちゃんが更に迫ってくる。
私としては止めたいのだが……。
「……♡」
……あ、これ、絶対、止まらなさそうな顔!
普段は大人しい感じのこりすちゃんだが、興が乗るとブレーキがぶっ壊れる。つまりは彼女がやりたいことを終えて飽きるまで止まることはない、ということである。
(う~ん……暴君!!)
名は体を表すというか、こんなに大人しくてかわいらしいこりすちゃんが、何故、『ネロアリス』と名乗っているのか……まぁ、こういう一面があるからだよね、と妙に納得せざるを得ない!
(……と言っても、このまま好き放題されるわけには……!)
こりすちゃんの欲望と執念で普段の何倍もの出力を出しているとは言え、単純な腕力では私の方が上である。ちょっとかわいそうだが、無理やり引き離せば……。
……かしょん。
(……『かしょん』……?)
何か変な音が……、と思って体を捩ろうとするが……。
(……あ、あれ~……?)
……動かん……と言うか……。
「……拘束されてるぅぅぅぅ!?」
「……っ☆」
こりすちゃんが、てへぺろした後に、にやぁ、と邪悪な笑みを浮かべた。
くそぅ、便利だな、このソファ……っ!! と言うか、こりすちゃんが創ったという時点でもっと警戒しておくべきだったか……!!
『不思議の国』。
この異空間の魔力の維持には、私の『吸収』の魔法も使われているが、中のものは基本的にこりすちゃんの『ドールハウス』の魔法を応用したものである。
……つまりは、彼女はこの世界の絶対的な女王様なわけで。
……もっと言うなら、『杜乃こりす』という捕食者のお腹の中である。
……結論。被捕食者である私こと、柊つぼみはたべられる運命にあるということ……。
「……いや!? いやいやいやいや!?!? そ、そんな無理やりになんてしないよね、こりすちゃん……?」
「……♡♡♡」
……私の問いへの答えは、とっても良い笑顔でした♡
「……んむぅぅぅ!? ……んっ、ちゅ……は、っ、っ……~~っ♡」
……舌が絡み合う。
途中途中、互いに息継ぎをするために、唇を離すが、つぅ、と唾液が舌と舌を繋いで橋を作る。
何度も口づけをした私の口元は自分のものかこりすちゃんのものかわからない唾液でべとべとだ。
こりすちゃんは、そんな私の口元の唾液を啜り、舐めとり、更に私の口内を犯していく。
「……ぁむっ♡ ……んぁ、れるっ……♡」
物理的に体の抵抗ができない私は、徐々にこりすちゃんの舌を、もっと気持ちよくなるように受け入れてしまう……!
(……あ、あかん……! ……これはとってもマズい……!)
……確かに、最初、私からこりすちゃんにこういうことをした。
だけど、それはいたずら半分というか、こりすちゃんに危機意識を持ってもらうためのもので……少なくとも最後までしようと思ってのことではなかった。
……だが、対するこりすちゃんはどうかと言えば……。
「……♡ ……~~っ♡」
情欲に濡れた瞳。上気した頬。熱い吐息。どくんどくん、と脈打つ鼓動。
……彼女が何を思って、こういった行動をしているのかは言わずもがなであろう。
そんな彼女が最後まで
(……でも、ちょっと、これはないんじゃない!?)
……半ば無理やりである。
でも、本当に嫌かというと……………………………………?
(……いや、少なくともこんなシチュエーションは嫌だよ!?)
私自身、こりすちゃんに好意があるかと言えば、当然ある! でも、姉やキウィちゃんに向けるものとはちょっと違っているわけで……。
性的な好意もたぶんある……時と場合によっては、最後までイくのも、吝かではない。おそらくはそんな感じの雰囲気になっていたら、流れでしちゃうし、まぁ、いいか、くらいの感じであろうとは思う。
ただ、積極的にしたいかと言うと、そういうわけではなくて! もっと、親友としての時間を大事にしたいという気持ちが強いと言うか!
……少なくとも、今ではない、という気持ちがとても強い。
(……それに……)
今、このまま身を任せることは簡単だ。
……しかし、それは未来の私たち二人の傷になる。
後悔よりも大きな……致命的な亀裂になるのではないか。
「………………だめ、だよ、こりすちゃん……」
……そんな不安が頭を過った瞬間、私はそう口にしていた。
「……」
ぷくっ、と頬を膨らませたこりすちゃんはとても不服そうだ。
……しかし、おそらく彼女も似た不安があったのだろう。彼女は静かに私の拘束を解いた。
そして、ぎゅう、と抱き着いてくる。私はそっと彼女を抱きしめ返す。
「……ごめんね。今は、まだ……」
「……~~っ」
きゅ、としがみついてくる彼女の顔を見ることはできない。
……見えないだけで、もしかしたら、泣いているのかもしれない。
……後悔? ……それとも、最後までを許さなかった私への怒り? あるいは悔しさ? それとももっと他の何かだろうか。
「……」
体を離したこりすちゃんの顔はいつものとおりで……あれ、何で私の下半身の方を見てるんですかね……?
「……♡」
くふっ、と妖しく微笑んだこりすちゃんの顔を見て、自分の状態に気づく……!
……いや、まぁ、うん……確かに、気持ち良かったから、さ……!
……そして、自覚すると、とっても気持ち悪い! じっとりねちょねちょしてるであろう下着はとっても気持ち悪い!
(……替えの下着持ってきてて良かった……!)
ネモたまの教えは偉大であるっ!
……だが、ここで更なる問題が。
体を起こそうとした私だが、体に力が入らないのである。
(……もしかして、腰が抜けた……?)
どうにもそうらしい。恐るべきは、ここまで技術を仕上げてきたこりすちゃんか。
「……こりすちゃん、私のぱんつ持ってきて……!」
私は顔を両手で覆いながら、こりすちゃんにお願いする。
……たぶん、私の顔は真っ赤になっているだろう。
ぽてぽて、とこりすちゃんが私のバッグからぱんつを取り出すと、私の側に戻ってくると、くす、と微笑みながら、首を傾げた。
……その意図するところは、「手伝おうか?」というところだろう。
「……うぅ……オネガイシマス……」
するっ、とこりすちゃんの両手が私のスカートの中に入ってくる。しゅる、とぱんつを引き下げられ……。
「……♡」
……こりすちゃんにその部分を眺められる。「あらあら♡ まぁまぁ♡」という心の声が聞こえてきそうな嬉しそうな、恥ずかしそうな表情。
……何か負けた気がするっ!
そして、こりすちゃんは、私から脱がせたぱんつを丁寧にチャック付きポリ袋に入れて、自分のポケットに仕舞うと、新しいぱんつを私に履かせてくれた。
………………うん? 今、何かナチュラルに変なことをしていたような……?
「……♡」
えへ、という良い笑顔で騙されておくことにしよう。