悪の女幹部にあこがれて   作:MIA

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136 ……帰宅したら、姉はお風呂を終えていたorz

「……ただいま~」

 

 玄関の扉を開けると、どこからかフローラルないい匂いが……ま、まさか!?

 

「……おかえり、つぼみ。……大丈夫だった?」

 

 ……その『大丈夫だった?』の真意は測りかねるけれども。

 

 ……な、なんてことだ……っ!

 

「……つぼみ?」

 

 ……姉の火照った顔。

 ……わずかに漂う湯気。

 ……そして、シャンプーとか、トリートメントとか、ボディソープとかのほのかな香り!

 

「……そ、そんなぁ……おねえ、一人でお風呂に入っちゃったの……?」

 

 風呂上り、パジャマを着て、ちょっとだけしっとりしている姉の姿は、毎日見ても飽きないほど眼福だが!

 

 ……確かに、今日はちょっと遅くなっちゃったけどさ?

 私がこりすちゃんを送っている隙にお風呂に入ってしまうことないじゃん!

 

 一緒に私と入ろうよ!? 何で!? 柊姉妹は仲良しのハズなのにっ!!

 

「え……一緒に入るつもりだったの?」

「入れるなら私は毎日だって一緒に入りたいし、一緒に寝たいっ!!!!」

 

 私は自らの欲望のままに宣言するっ!

 

 姉が「……あはは」と苦笑した様子なのは見ないこととするっ!

 

 ……まぁ、姉だって一人でコッショリしたいことだってあるだろうし、私も一人の方が捗ることはあるけれども。それはそれとして、シスコン妹は欲張りでお姉ちゃんを想うとすぐ一緒にシたくなるの!

 

「……よし、おねえ! 私ともう一回お風呂に入ろう!」

「……入らないよ?」

 

 ……デスヨネー。

 

「……うぅ……仕方ない……おねえの出汁が取れているお風呂に涙を流しつつ、一人で入るよ……」

 

 姉一番出汁……ごくり……! な、何て魅力的♡ 世界が獲れる旨味が溶け込んでいるハズ……!

 

「……つぼみ? まさかお風呂の水を飲んだりしないよね?」

 

 ……姉の顔は笑っているけど、目は全然笑ってない……!

 

「さ、さすがに飲まないよ……? ジョークだよ、ジョーク……でも、おねえならいい出汁取れてそうだし、これはこれでキウィちゃんも結構お金を出しそうだな……?」

 

 同好の士たるキウィ氏であれば、私の気持ちも理解した上で、ペットボトル一本でも気持ちよくお札を渡してくれそうだ。私が飲んじゃダメなら、他の人に飲ませたらいいじゃない!

 

「……つぼみ……ダメだからね?」

「いや、でも、キウィちゃんなら……」

「ね?」

「アッハイ」

 

 ……いや、さすがに本気じゃないですよ? イヤダナーアハハー。

 

「……はぁぁぁぁ……つぼみが言うと、本気なのか冗談なのか本っ当にわからないから……」

 

 ……うん。まぁ、私自身、行動に移すかどうかは割と五分五分だと思うし。

 

「……まぁ、今日は一緒に寝てあげるから、それで我慢して?」

「えぇ!? いいのぉ!?」

 

 一緒に寝るのは、毎日じゃないにしても、たぶん結構な頻度なんですけどね!

 でも、私にとってはご褒美なので!!

 

「……今日はお料理とか頑張ってもらっちゃたしね」

「あれくらいでいいなら毎日でも頑張るよ! 毎日お重でお友達の分までお弁当作ったらいいかな!?」

「いや、たまにで! たまにでいいから! ……あれ? ……と言うか、私、衣食住、つぼみに頼りすぎなのでは……?」

 

 ……ふふふ……それこそがつぼみちゃんの罠なのだよ、おねえちゃん!

 

 朝ごはん? いつもつぼみが作ってくれる。

 お昼のお弁当? つぼみがおいしく作ってくれる。

 晩ごはん? つぼみが頑張って作ってくれる。

 お掃除? つぼみが綺麗にしてくれる。

 お洗濯? いつの間にかつぼみがやってくれる。

 わぁ、つぼみがいてくれると楽ちん!

 つぼみがいないとダメだなぁ!

 

 ……と、こんな感じにね? 私がいないとダメにするわけですよ。

 そうすれば、あら不思議。おねえちゃんは私と離れられない、とこうなるわけです。

 

 家事分野で私とやりあおうと思ったら、最低でもはるかちゃんクラスを連れてこいってなもんです。

 

「……ぃよっしゃぁ! ぱっとお風呂入ってくるから、おねえはベッドで待ってて!?」

 

 おねえちゃんの体温で温まったベッド♡ おねえちゃんの香りがするベッド♡

 

「……いや、ゆっくり温まってね?」

 

 苦笑気味の姉に見送られつつ、私はダッシュで着替えを取りに行く。

 

「ふんふふ~ん♪」

 

(おねえちゃんと一緒に寝るなら、やっぱり勝負下着をっ! ……いや、でも、それだと無用の警戒心を抱かせるかもだから安心安全のこっとんぱんちゅが正解か……?)

 

 割と無駄なことを考えつつも、私は私を飾るのにふさわしい下着を選んでいく。

 

「……うむ。キミに決めたっ!」

 

 淡いブルーのストライプ。攻めすぎず、しかし、かわいらしさで心をくすぐる。

 

 姉もおそろいのを持っているし……もしかしたら、一緒の下着かも?

 

 これでかぶったら、相性ばっちりってことでしょ! ふふふ♡

 

 隣室では、ぱたん、と扉の閉まる音がする。姉はちゃんとベッドで待ってくれているようだ。

 

「さぁて、お風呂入ろ♡」

 

 お風呂場に入ると手洗いしたのであろう姉の下着が干してあった。ちょっとだけ装飾の付いた白のおぱんちゅとブラ。……最近買ったやつだろうか。まだ私が把握していないヤツだ。素材が良さそうなので手洗いするのがオススメではあるが、ズボラなところがある姉はそのまま、洗濯お任せにしているときもしばしばなんだけど……ちょっと残念。私が色々と念入りに洗ってあげるのに!

 

 ……あっ、下着と言えば、私のぱんつ……結局、こりすちゃんが後生大事に持ち帰って返してくれなかった。

 

 ……まぁ、気持ちはわかるけども。ナニに使われるのかと考えるとちょっと恥ずかしい……。

 

(……しかし、それを気持ち悪いとか思わないのが、私のこりすちゃんに対する気持ちの正体か)

 

 これの相手が田中とかだったら、「……うわぁ」とたぶん、さぶいぼが出るくらいには気持ち悪いし、たぶんゴミでも見る目になると思うんだけども。こりすちゃんが相手だと、恥ずかしいけど、まぁ、いいかくらいに思うのだからお察しである。

 ……なお、姉やキウィちゃんにだったら、もっと汚した上で積極的に渡してもいい。

 

 私は今脱いだパンツをぬるま湯に入れ、洗剤を加えて漬け置きする。

 

 その間に体と髪を洗っていく。ボディソープは姉と一緒だが、シャンプー・トリートメントは別のものだ。何せ柊家は基本的に癖っ毛である。私の髪もちょっと手入れを怠るともふもふになってしまう。さらさら状態を保つのは中々大変なのだ。

 

 十分に髪を洗い終えたら、タオルドライで髪の水気をとって、湯舟に髪が入らないようにタオルで包む。

 

 湯舟に入る前には、下着を濯いで、水気を取ったら、別のタオルに包んで水気を取る。

 

 湯舟には浸かるが、姉が待っているのでそこまで長風呂をするつもりもない。体が温まったらそれで充分だろう。……ついでに、お湯を抜いて掃除もしておく。

 

 お風呂から上がった私はとりあえず下着だけを身に着けると、洗った下着を姉の下着の隣に干す。

 

「……うむ!」

 

 姉妹の下着が仲良く干されているのは中々に絶景である。

 

 歯を磨き、磨き残しがないかを良く確認して、鏡の前で、口角を指で持ち上げて見る。

 

(……かわいく笑えてるかな?)

 

 指を離すと恥ずかしそうに微笑む自分の顔があった。

 

 ……なかなかいいんじゃない?

 

 思わず、くふっ、と笑みが零れるが、こっちの顔は割と邪悪なので、姉にはあんまり見せたくはないなぁ……。

 

 グレーのパジャマを身に着けると、私は、とんとん、と階段を上がり、自分のベッドから枕を持っていく。

 

 そして、姉の部屋の前に着くと、深呼吸を一つ。

 

「……っ、ふぅぅぅ」

 

 こんこん、とノックをする。

 

「……つぼみ? 入っていいよ~」

 

 姉の返事に、くすり、と笑みを浮かべて、私は姉の部屋のドアを開けた。

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