悪の女幹部にあこがれて   作:MIA

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いやー、前話はとんでもない間違い書いていましたね……すみませんでした。
そして、毎回、誤字も結構な数が……!
誤字報告、ご指摘頂いております皆様方ありがとうございます。


39 作戦

「……マジアアトラぁぁぁ!? アリスちゃんにそんなことしたら消されちゃうでしょ!?」

「綺麗事を言わないでよ、ベーゼ様! 幼い魔法少女が出てきたら、そんなこと関係なく悪戯するんでしょ!? エロ同人みたいに! エロ同人みたいに!!」

「そっ!? そ、それは否定できないこともないことないかもしれなくもないけども……それはそれ! これはこれでしょう!?」

「大人の言い訳をして誤魔化さないで! 私にだってしたじゃない!!」

「ぃや……!? でも、あのときはもうちょっと大きかったし……!」

 

 チョドーン、と魔力で周囲を破壊しながら、マジアベーゼとマジアアトラは争っている。

 

(……………………仲いいなぁ!?)

 

 周囲の被害はとんでもないことになっているし、マジアベーゼは未だ激怒モードではあるものの、会話の内容そのものにはあまり緊張感がない。

 事情を知るレオパルトにしてみれば、たまにしか見ないものの、割りとどうでもいいことでケンカする柊姉妹の日常風景にしか見えなかった。

 

 ……別に止めなくてもいいのでは? と、そんな考えが頭を過るが、レオパルトは、ぶんぶん、と首を振って、その考えを吹き飛ばす。

 

 ……今はアトラが遊んでいるだけだからいいかもしれない。だが、ここで止めなければ、確実にアトラは自らが死ぬように立ち回る。

 

 そうなったら最悪だ。選択肢は一つ一つ潰されて、最終的には選択肢すら選べなくなる。

 

「……トレスマジア! ベーゼちゃんの援護して!」

 

 アトラの意識をベーゼから一瞬でも引き離すのは絶対条件だ。

 そのために、最適な相手はトレスマジア以外にいない。

 

「あぁん!? 何でアンタに指図されなあかんのや!? ベーゼに任せてアレやぞ!? ……いや、まぁ、確かに元には戻ってるみたいやし、今のアレはアトラなんやろうけども!? 暴走闇落ちしてたら、意味ないやん!?」

 

 今のアトラは体を乗っ取られていたときとは別物だ、ということは、アトラの姿を見れば、トレスマジアの三人でもわかる。

 先ほどまでとは異なり、今のアトラには悲壮感がない。馬鹿げた魔力出力でベーゼと戦ってこそいるが、それが心底楽しくて仕方ない、という感じが伝わってくる。

 

 ……まぁ、結果、サルファの表現したとおり、暴走闇落ち状態の様相ではあるが。

 

「……だぁぁぁ!! こんなときにまでごちゃごちゃ言うんじゃねぇ、サルファ!? アトラが死ぬぞ!?」

「んぐっ……!?」

 

 レオパルトとマジアサルファの相性は良くない。どうしても互いに意地を張り合ってしまう傾向があるが、しかし、今は緊急時だ。

 互いににらみ合いながらも、サルファが先に面白くなさそうに視線を外す。

 

「……援護するのはいいけれど……何か策はあるの、レオパルト?」

 

 普段はまともなマジアアズールは、変なスイッチが入っていなければ冷静だった。

 

「……あるにはあるけどさー。それにしたってギリギリだ。絶対に、なんて口が裂けても言えねー。……ただ、このまま戦いが続けば、絶対にアトラが死ぬ」

「……あれだけ魔力を暴走させて、更に取り込んでいてはね……」

 

(……そうじゃないんだけどな!?)

 

 言わぬが花、という言葉もある。

 勘違いしているアズールの言葉にレオパルトは沈黙で答える。

 

「……援護だけでいいの?」

「……できれば、ベーゼちゃんを引き離したい。ベーゼちゃんが相手じゃマズいんだ」

 

 思案顔のマジアマゼンタの言葉にレオパルトが答えると、トレスマジアの三人は、うんうん、と頷いた。

 

「……せやろな。ベーゼの魔力も上がりっぱなしやし。引き離す、っちゅーんは、ウチも賛成や」

「そうね。受けるのは私に任せて! 二人もフォローをお願いね!」

「……なぁ、なんでちょっと嬉しそうなん?」

「そ、そんなことないわ!? 今のアトラの攻撃なら凄い愛を感じられそうとか思ってないから!」

 

((思っとるんかい!))

 

 アズールが何を考えているのかわかってしまったレオパルトとサルファは呆れた顔をしながら同じことを考えていた。

 

「……ベーゼちゃんの引き離しに成功したら、こっちで次の作戦に移る。わりぃけど、全部説明している時間はねー……任せるぞ、トレスマジア」

 

 レオパルトの真剣な言葉に、マゼンタが笑顔で頷く。

 

「任せて! 行くよ、アズール、サルファ!」

 

 サルファは何か言いた気ではあったものの、マゼンタがそう答えたならそれに続かざるを得ない。

 

 アトラに向かっていく三人を、レオパルトは、口元に笑みを浮かべて見送った。

 

(……わりぃな。残念だけど、ここから先、トレスマジアは邪魔なんだ)

 

「……何を考えている、レオパルト。わざわざトレスマジアを遠ざけて何をするつもりだ?」

 

 演技する相手がいなくなったイミタシオはかつての尊大な態度で口を開いた。

 

 本来、ベーゼの援護をするのであれば、戦力的にはシオちゃんズを充てるべきだ。

 

 ……しかし、レオパルトはそうしなかった。

 

「……パンタノペスカ。アレ出してくれよ、アレ♡」

 

 きひひ、と笑ったレオパルトは、とびっきりの悪戯を思いついたような悪い笑みを浮かべていた。

 

「……アレ?」

 

 はて、と首を捻るパンタノペスカにレオパルトはそっと耳打ちした。

 

◇◆◇

 

 今のマジアアトラの厄介なところは単純に手数が多いことだ。

 

「くふっ♡ くふふっ♡ ほぉら、ベーゼ様、捕まえちゃうよー? 捕まえたらどーんなえっちぃことしようかなー♡」

 

 しゅる、と蔦が四方から伸びてくる。

 

「メナスロンド!!」

 

 蔦たちは、衝撃波の魔法を絡めとり吸収するために、一時的に動きを止めるが、当然のことながらダメージはない。

 

「……ふっ!」

 

 鞭を振るい、蔦たちを薙ぎ払う。

 

 アトラ相手に魔法は相性が悪すぎた。

 今のところ、マジアベーゼの対抗手段は、鞭での直接攻撃しかない。それにしたって、蔦を一時的に刈り取るくらいで、アトラ本体にダメージが通っているかと言ったらノーだ。

 

「黒星!!」

 

 そんなベーゼに対し、アトラの方はやりたい放題だ。

 

 近づけば『黒霆』が。少し離れれば蔦が。距離を取れば『黒星』が。

 

 ……ベーゼに襲い掛かってくるのだ。

 

「メナスロンド!!」

 

『黒星』を撃墜することはできるが、反撃に移る余裕はない。

 

 しかも、今のところ、ベーゼも魔力が溢れ出てくるが、アトラはそれ以上に周囲から魔力を吸い上げている。

 

 持久戦になれば不利なのは明らかだった。

 

 それに……。

 

(……これだけの魔力……吸収し続けて無事だとは思えませんが……?)

 

 レオパルトと自分の胸を揉み、ネロアリスを嬲り、更には中指を立ててくれたアトラに怒り心頭であったため、ベーゼもそこまで気が回っていなかったが、あの状態は相当危険な状態になっているのではないか、と気づく。

 

 アトラの体を乗っ取っていた何かは、集めた魔力で碌でもない願いを叶えようとしていたようだが、アトラもそれ以上の何かを叶えようとしているのか。

 

 ……だが、今の彼女は、戦闘を楽しんでいるようにしか見えない。

 

 それ故に、そこまで魔力を集め続ける理由がベーゼにはわからなかった。

 

「……動きが鈍ってるよ、ベーゼ様?」

「しまっ……!?」

 

 にや、と笑ったアトラが、一瞬の隙を付いて、自らの分身たる蔦でベーゼの右足を捕らえた。

 

 ぐん、と勢い良く地面に向けて足を引っ張られ、ベーゼはその勢いのまま、地面に衝突させられる。

 

「がはっ……!?」

 

 碌に受け身も取れず、ベーゼの視界は一瞬、闇に飲み込まれた。

 

 しかし、ずる、と引きずられる感覚、と天地がひっくり変えるような感覚で、自分が、逆さ吊りにされている状況に気づき、歯を食いしばりながら、目を開ける。

 

「……ベーゼ様、つかまえた♡」

 

 両手を頬に当て、うっとりした表情で、そう言ったアトラは、数多の蔦を、しゅるしゅる、とベーゼの方に向かって伸ばしてくる。

 

 粘液で濡れているもの。

 棘のついているもの。

 白い液体を噴き出しているもの。

 先に大きなつぼみがついているもの。

 

 ……それらが何をするためのものなのかを理解して、ベーゼは顔を青くした。

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