(……キウィちゃん……!!)
マジアベーゼは自分が汚されることを予感しながら、自分に恋をし、今、自分が恋しようとしている少女の姿を思い浮かべる。
初めての友達。
……そして、それ以上を意識していた少女。
(……ああ……あのとき、強引でも最後までしておけば……!)
自分に勇気がなかったばっかりに、幸せなハジメテが失われていく。
悔しさに、ほろ、と涙が零れた。
「だいじょーぶだよ、ベーゼ様♡ 優しくしてあげるから♡ 私がちゃあんと愛してあげるから♡ きっととっても気持ちいいよ?」
マジアアトラがベーゼの頬を流れる涙を指で掬い、その雫を、ぺろ、と舐めて笑う。
……何が悔しいって、悔しいはずなのに、嫌ではないのだ。
嫌悪しても良いはずのその手を何故か本能的に拒むことができない。
アトラの手が脇腹の辺りを、つー、と触っていく。僅かに冷たいその指の感触と彼女に吸われていく魔力の感触で、緩く快感が導かれていく。
「くっ……あ……♡」
「ほら、怖くないでしょう、ベーゼ様♡ ……ここから先は、もっと気持ちよくしてあげる♡ ほら、この、くぱぁ、って空いたエッチな穴……汗が溜まってるみたいだし、一緒にキレイにしてあげる♡」
そう言った、アトラが大きく口を開けて、舌を出してその下腹部の辺りに顔を近づけ……。
「……ちゅ、ぺろっ♡ あー……む♡ ちゅぱっ、ちゅろ♡ ……ふふ、甘じょっぱくて、おいしー♡」
アトラはベーゼのおへそに舌をねじ込み、その中をほじるようにしながら味わう。
「やめっ!? ……あ、あっ……はっ、あぁぁぁぁぁん♡」
執拗におへそを舐められすぎて、ベーゼはあまりの快感故に、目の前が、ちかちか、と白く輝いた。
続けて、アトラはベーゼの体にキスの雨を降らせていく。
「ちゅ♡ ……ちゅっぱ♡ ……ちゅ~っ♡」
胸の下、脇の下、鎖骨の辺りにキスをすると、アトラは、嬉しそうな目をしながら、頬に一つ口づけをすると、、ぺろ、と舌を出して本丸である唇に近づいていこうとしていた。
「……何をしとんのや、こんエロガキがぁぁぁぁ!」
マジアサルファが『雷霆掌・連』が、ばちばち、と電撃を放ちながら、アトラを襲う。
アトラはそれを左手で受け止め、電撃を吸収し尽くすが、サルファはそれすら知ったことばかりに、そのまま拳を押し出す。全身で特攻をしたような状態のサルファはそのまま、力の限りアトラを押すと、最後には回転しながら、アトラの頭を狙って蹴りつけ、しかし、それは後退したアトラに避けられる。
……だが、サルファの役割はそれだけで良い。
アトラを少し離れたところで、マジアアズールは自らが作った氷の剣で、ベーゼの体を戒めていた蔦を切り払う。ベーゼに肩を貸して立ち上がった彼女は、そのまま、ベーゼをマジアマゼンタのところまで連れて行くと、少しだけ、ほっ、としたようなマゼンタが、ベーゼに回復を施した。
「……トレスマジア……!」
ぎり、とアトラが歯を鳴らし、憎々し気な様子でトレスマジアを睨んだ。
ぎろり、と冷たい視線が三人を睨み、そして……特にアズールに対しては更に刺々しい。
「……いいところだったのに……! 私の邪魔をするなんて!! ……特にアズール!! ソレは私のだ!! 気安く触れるなっ!!」
「わ、私っ!?」
いきなり名指しされたアズールは困惑した。
しかし、どうやらベーゼに触れていることが気に食わないらしいと気付く。
「……一体、どういうこと……?」
確かに、アトラは以前も、目的はマジアベーゼであると語っていた。
それはてっきり、因縁とか復讐とかそういうものだとばかり思っていたのだが……。
「……察しの悪いやっちゃ。さっきまでアトラがやってたこと考えたら、
ジト目のサルファは、少しだけ頬を紅くしながら、ベーゼとアトラを見た。
……マジアアトラはマジアベーゼに執着している。性的に!
「……え……えぇぇぇ!?」
「そうなのぉ!?」
アズールは、思いもよらなかった、とばかりに、ぽかん、と口を開き、マゼンタは少しだけ頬を染めて、心なしか、わくわくしているように見える。
「……………………………………は?」
だが、そんな二人よりも、間の抜けた反応をした者がいる。
……マジアベーゼである。
「……マ、マジアサルファ……言っている意味がわかりません……っ!!」
困惑。狼狽。混乱。
魔法少女に対する『悪』として存在するベーゼにとって、魔法少女がまさかそういった感情を向けてくるとは思わなかったのだ。
……強いて言うならば、以前のアズールは該当するが、それにしたって、ベーゼ個人に対するものではなく、ベーゼの行為に対するものだ。アトラの執着とは少々事情が異なる。
「……アンタ、ホンマ、鈍いな……。せやから、アトラは性的にアンタに色々したい、っちゅーことや! わかるやろ!? さっき、散々、えっちぃことされてたやん!?」
逆に、何でわからないんだ、とばかりのサルファの言葉に、ベーゼは目が点になった。
「……これまで、私がやってきたえっちぃことに対する仕返しとかじゃなく……?」
「そうや」
「……え、なんで……?」
「知らんがな! 自分の胸に手ぇ当ててみぃ?」
……絶賛、混乱中のベーゼはとりあえず、サルファの言葉に従って、自分の胸に手を当ててみる。
(………………………………どうしよう、まるで心当たりがない!!)
マジアベーゼに因縁のある相手など、それこそ、トレスマジアとシオちゃんズ以外にいるわけもない。
マジアベーゼの恰好は、変身を解けば、知っている者に見られるのは恥ずかしいものだと理解はしているが、それに好意を持たれるかと言われれば疑問が残る。体型はそれなりだが、それにしてもレオパルトやロコムジカの方が目を引くだろうし、肌色面積はベーゼの方が大きいかもしれないが、エロさ加減で言えば、どっこいどっこいだ。
アトラが『悪の女幹部』にあこがれる、というのは、ベーゼ自身が『魔法少女』にあこがれるのと同じで、『推し』ではあっても、特定の誰かに執着するような『好意』とは少々異なる。
だから、サルファの言うところの『好意』を向けられるような相手には、全然これっぽちもないのである!
更に言えば、柊うてなとして考えた場合でも、誰かに恨まれるようなこともなければ、ごく少数の例外を除いて、好意を抱かれるようなこともないのだ。
全然! これぽっちも! 思い当たる相手がいない!!
「……あばばばばばっ!?」
……ベーゼの脳みそは処理限界を超えた。
ごふぅ、と血を吐いた後、ぶくぶく、と口から泡を吹いて、ベーゼは目を回す。
「ちょっ!? 大丈夫!?」
マゼンタが慌てて回復をするも、完全な気休めだ。
「……いずれにしろ、あの子の目当てはアンタっちゅーことでな? このまま戦わせるわけにはいかんねん……わかるやろ? アンタは下がっときぃ……ここはウチらに任せぇや!」
ぐる、と肩を回して、サルファがアトラに向けて拳を構える。
「……レオパルトが何か考えているみたいだしね。アトラを元に戻すため……私たちが少しでも時間を稼ぐわ!」
凛々しい顔をしたアズールが剣を構える。
「……サルファ……アズール……」
そんな二人の姿にベーゼは目が熱くなるのを感じた。
正しい魔法少女の姿。自らが求める魔法少女の姿がそこにある。
「大丈夫だよっ! 任せてっ!」
ぱぁ、と輝くような笑みを浮かべて、マゼンタが槍を構えた。
何の根拠もない言葉……だが、その笑みを見るだけで、全ての不安が吹き飛ぶようだった。
「……マゼンタ……ええ、ここは任せましたよ、トレスマジア!!」
(……あぁ!! やっぱり、トレスマジアは最推し!!!!)
推し成分を補給したベーゼのお肌はつやつやだった。