「……よしっ! じゃあ、帰るか~! ……ふんぬっ!」
キウィおねえちゃんは足をぷるぷるさせながら私をお姫様だっこした。
……私が重いんじゃないよ?
「キウィおねえちゃん!? あんまり無理しないで!?」
私もあごにいいのを食らっているから、足腰に力が入らない状態ではあるが、キウィおねえちゃん……レオパルトはそれ以上のダメージがあるハズだ。
「……あぁん!?
びたん、びたん、と明らかに無理をした様子で、レオパルトはそれでも一歩一歩出口に向かって進む。
「………………………………………………うん♡」
ぴと、とキウィおねえちゃんの肩に頭を乗せる。
あぁ~♡ ちょっと汗交じりの匂いが香しい♡
あと、おっぱいがむにゅうって密着してしゃあわせ~♡
(……おねぇとキウィちゃん、それに私。三人一緒に住むなら、防音がちゃんとした一戸建てで~、キングサイズのベッド買って~……いろぉんなことするために、地下室もいるかな~? ちょっと汚しても大丈夫な設備がいるよね♡)
あんまり幸せな未来とか想像したことなかったけど、これはこれで楽しそうだ♡
……準備しなきゃだね……!
……私の愛と肉欲に塗れた、らぶらぶえっちな自堕落ライフのために!
「……くふふっ♡」
出口に向かい、必死に歩くキウィおねえちゃんに見えないよう、私は、にやぁ、と笑った。
◇◆◇
「……っしゃぁぁぁぁ、おらぁぁぁぁ!!!!」
マジアアトラをお姫様だっこしたまま、レオパルトはネロアリスのドールハウスの出口を潜った。
「……レオちゃん!! マジアアトラ!!」
多少ボロボロになっているが、二人とも無事だった。
その事実を確認して、マジアベーゼは、ぽろぽろ、と涙を流しながら、二人に近寄った。
どしゃ、とアトラを抱えたまま、レオパルトは地面に膝をついた。
「……たっだいま~、ベーゼちゃん!」
そう言って、笑ったレオパルトをベーゼは、ぎゅぅ、と抱きしめる。
ベーゼの胸に顔を埋めた形になったレオパルトは、少しだけだらしなく、顔を緩めた。
そんな二人を下から眺めていたアトラは、テーン、と悪いことを思いついた顔をして、体を起こした。
「……ありがとう、レオパルト♡」
そう言いながら、アトラはレオパルトの頬に顔を寄せ、ちゅ、とその柔らかい唇を押し付けた。
「……お?」
「なぁ!?」
レオパルトは少し照れ臭そうな、そして、ベーゼは、がびーん、という顔をした。
「……マ、マジアアトラ……それはいったい、何のつもりですか……?」
「……私の精一杯の感謝を伝えたつもりですが、何か?」
ふるふる、と震えるベーゼに対し、アトラは、ふふん、と挑発的な笑みを浮かべる。
「……レオちゃん!? いったい中で何をしたんですか!?」
アトラの様子から、まさか、中でえっちぃことでもしてたのか、とベーゼは邪推する。
しかし、ベーゼの問いに、レオパルトは、不思議そうに、首を傾げた。
「え~? ふつ~に殴り合っただけだけど?」
その言葉にベーゼは、改めてレオパルトとアトラの姿を確認する。
……まだ、腫れてきてこそいないが、顔のそこかしこに殴り合った痕が残っていた。
「……って、二人して、顔、ボコボコじゃないですか!?」
「あ~……アトラ、遠慮なく殴ってきたからな~……鼻折れてっし」
「折れ!?」
鼻血こそ止まっているが、レオパルトの鼻が常とは違う方向を向いていた。
「ご、ごめんなさい、レオパルト……すぐに直しますから♡」
アトラがレオパルトの鼻に、ちょん、と口づけをする。
ぱぁぁ、と黒い光が放たれ、レオパルトの顔を中心に回復していく。
「……お? ……おぉ~! すげぇ!? また、アリス病院に入院かと思ったけど、一発で回復かよ~!?」
ひゃっほ~、と喜ぶレオパルトに対し、出番がなくなったと知ったアリスはちょっとだけつまらなそうな顔をした。
「……マジアアトラ、いちいちレオちゃんに、キ、キスする意味はありましたか……?」
「……おや? 嫉妬ですか、マジアベーゼ? 私はあなたの大ファンではありますが、レオパルトのことは大好きなんです。……それを行動に移すことに何か問題が? あなたはレオパルトの何だというのですか?」
にやにや、と意地の悪い笑みを浮かべるアトラに、ベーゼは、んむむ、と怒りで顔を紅くした。
……だが、反論できることはない。
今のベーゼとレオパルトの関係。
友人。同僚。あるいは上司と部下。
言葉にするならば、その程度ではあっても、それ以上ではない。
何か言おうとしながらも言い返せないベーゼの様子に満足した様子を見せたアトラは、くす、と笑うとベーゼの頬にも、ちゅ、とキスをする。
「な!?」
「……意地悪が過ぎましたね、マジアベーゼ。あなたにも百万の感謝を♡」
にぃ、と人差指を唇に当てながら微笑むアトラは、その幼い容姿からは想像できないほど妖艶に見える。
「……イミタシオ、ベルゼルガ。手数をかけました」
立ち上がったアトラは、カーテシーをするような仕草で、イミタシオとベルゼルガに頭を下げる。
「パンタノペスカ。良い能力です。大事にしてください」
くす、とパンタノペスカにアトラは微笑みかける。目はとても真剣だった。
「ルベルブルーメ。影で操るだけではないあなたの
くふ、とアトラがルベルブルーメに悪戯っぽく微笑むと、ルベルブルーメはとても嫌そうな顔をした。
「ロコムジカ。中々良い一撃でした……でも、ルベルブルーメを虐めるのはほどほどに♡」
ルベルブルーメの演技……その原因を作ったであろうロコムジカを揶揄うように言葉をかけられ、ロコムジカは、恥ずかしそうにしながら、顔を紅くした。
「ネロアリス。あなたがいなければ、レオパルトの作戦は実施不可能なものでした。ですが、あなたの能力はもっと自由なものです。固定観念にとらわれることなく、もっと遊びなさい」
言いながら、アトラはそっと唇に人差指を立てた。
能力の持ち主であったアリスは中のことを全部承知しているだろうから、黙っているように、とのことだ。
……無論、アリスもそれを喧伝するつもりはない。
くす、と笑うとアトラ同じように、唇に人差指を立てる。
「……さて、シオちゃんズ。エノルミータ。ここにはおりませんが、トレスマジアも。私の体乗っ取りから始まり、大変迷惑をかけてしまいましたが、この通り、最終的にはレオパルトのおかげで、私も元の姿に戻ることができました。……今後もこの身は魔法少女としての行動する予定です。助けてもらったにも関わらず恐縮ですが、次会うとき、エノルミータとはまた敵対することになるでしょう。……次、会うときは容赦しないよ?」
うふふ、とアトラは最後だけ言葉を崩して、悪戯っぽく笑った。
ベーゼは、彼女はこれかも役割を続けるつもりなのだ、ということを知り、だばぁ、と涙を流した。
ただでさえ魔法少女狩りの結果、魔法少女が少なくなっている昨今、彼女まで引退したらと思うと、とても悲しかったからである。
ばさり、と黒い一対の翼を広げたアトラは宙に浮かぶ。
「……結界解除前に、私はトレスマジアの回復に行きます。それではみんな、ホントにありがと♡ では、ごきげんよう♡」
ふよふよ、と去っていくアトラの姿を見つめていたレオパルトは、傍らのアリスが、レオパルトにも、しー、の合図を送ってきたので、同じように、指を立てて、笑う。
そして、レオパルトら、そのまま、ごろん、と地面に横になった。
ダメージは回復しても、体力はまだ全快していないのだ。
「……だぁぁぁぁ……つっかれた~~~……」
「……だ、大丈夫、レオちゃん……?」
「あ~、ベーゼちゃんが、ちゅう♡ してくれたら、回復するかも♡」
「も、もう……♡ 仕方ないなぁ♡」
アトラの様子に中てられてか、普段なら人前ではやらないが、ベーゼはレオパルトの横に座ると、髪をかきあげるようにしながら、目を瞑って、ゆっくりと、頬に唇を近づけると短く、ちゅ、とキスを降らせる。
(……アトラ、グッジョブ!!)
レオパルトは、ベーゼの熱いヴェーゼを受けながら、