……ふ。いい感じにまとめてやったZE☆
ベーゼ様やその他の面々に見えないようにどや顔を決めながら、私は宙を漂って、トレスマジアの三人を倒した位置を探す。
回復を受けたマジアアズールが一番最初に気づきそうなものだが……。
マジアサルファも余力はなかったが、気合で何とかしそうな気もする。
最後まで粘ったマジアマゼンタはこの二人に比べると一番消耗が激しいと思うが、一番責任感が強いのも彼女だ。
……下手すると、全員、すでに気が付いているかもしれない。ちょっと面倒。
できれば、全員寝ててくれないかなぁ……。
(……お?)
アズールが立ち往生(死んでない)したままではあるが、私に都合のいいことに、まだ全員寝ているようだ。
私はマゼンタの近くに降り立つと、まずは彼女を回復し始める。
手をかざすと、ぽぁぁ、と黒い光が彼女の体を包む。
……あ、回復するときに、ちゅーする必要は別にないんだよ? キウィおねえちゃんが相手だったのとベーゼ様の反応が面白そうだったからそうしてただけ。
「……ん……」
ゆっくりとマゼンタが目を開き、ぽぉっ、とした表情のまま、私を見つめる。
「……気が付きましたか、マジアマゼンタ?」
「……アトラちゃん……? アトラちゃん!! よかったぁ!! よかったよぉぉぉぉ!!」
私に気づくなり、マゼンタは飛びつくようにしながら、私を抱きしめて、わんわん泣き出した。
……結構、ゲスなことをしたのに、こんなに感動されるとちょっぴり罪悪感……。
「……ありがとう、マジアマゼンタ。あなたの声、聞こえていました」
きゅ、と私も彼女を抱き返す。
……ま、まぁ? 彼女たちは、私が正気だったとか知らないと思うし?
「アトラちゃん……」
涙を拭きながら、マゼンタが、えへへ、と笑った。
……うむ! 傍目には、マゼンタの優しさをきっかけに、私が元に戻ったみたいに見えることだろう! あっはっはっは! 計画通り!
「マジアサルファとマジアアズールも回復しましょう。……手伝ってくれますか?」
「うん!!」
私とマゼンタは手を繋いだ状態で少しずつ魔力を高めていき、サルファとアズールへ回復魔法をかけていく。
「……ぁ……」
先に目を覚ましたのはサルファの方だった。
そして、私とマゼンタの方を見て……手を繋いでいる様子を確認して、ひく、と頬を引き攣らせた。
「……マゼンタ、アトラ……その様子なら、何とかなった、っちゅーことやんな?」
「おかげ様で。アズールはともかく、あなたはまだ全快には程遠いので、もう少し大人しくするように。文句は後で伺います」
「……ちっ!」
私の言葉にサルファは体を起こすと、胡坐をかいてどっかりと地面に座り込んだ。
……それにしても、アズールは十分に回復しているハズなのに、どうして未だに気絶したままなのか……?
「……マジアマゼンタ、おそらくアズールはこれ以上回復しても意味ないでしょう。彼女、魔力切れでもダメージが原因でもなく、純粋に気絶しているだけでは?」
……なんかそんな気がする。この女、たぶん、気持ち良さのあまり失神してやがるんだ!
サルファの頑張りとか、マゼンタの健気さとか台無しだな……あ、私も人のこと言えないか。
あそこでマゼンタの手を拒否るとかないわー……どん引きだわー……でも、私はそういう自分が結構好き。空気に流されない女、それが私。
……レオパルトのは違うのかって? あれは愛だよ、愛!
どうやって起こそうかなぁ、と考えながらアズールに近づいた私は、彼女の無駄にでかい乳に、いらぁ、とした。
「……てぃ!!」
ばちーん、ばちーん、と乳びんたする。
……うーん、でかい。下手に人の顔にびんたするより、手に重さを感じる。
しかも、反発力がすげぇ……打つと、ばるん、って跳ね返ってくるの!
思わず、二回ぶっちゃったね☆
「……んぁぁん♡」
……と言うか、これで感じるアズールの節操の無さには、さすがの私も驚くわ……。
マゼンタは、アズールが気づいた様子に、ほっとしているが、サルファは頭抱えてるし。
「はっ……!? 皆、無事!?」
……言葉だけは、皆を心配している立派なもんなんだよなぁ……
「……おぅ、アズール、涎拭けや……!」
サルファの言葉のとおり、アズールの顔は若干蕩けていて、唇からは涎が垂れていて全く締まらない。
……ベーゼ様は、コレがお気に入りらしいが、この残念さと、無駄にデカい乳とすごくデカい乳と駄乳に、いらっ、とするんだよねぇ……私、アズールって嫌い!
……その点、サルファはほっとする。うんうん、同志同志! 身長といい、胸といい、あなたは私の同志!
「……なんやねん、アトラ……その目は」
「……いいえ、特には。私、アズールは気に入りませんが、あなたのことは結構好きですよ?」
私の言葉に、アズールは、がぁぁん、とショックを受けた表情で、ちょっと涙目だ。でも、評価を変える気はない。だって、嫌いだし。
「……アトラちゃん、私は!? 私は~!?」
むぎゅ、と私の後ろからマゼンタが抱き着いてきた。
「……嫌いじゃない……いえ、あなたのことは尊敬していますし、大好きですよ?」
これは結構本心だ。
彼女を姉が推す理由もよくわかったし、少々甘いところはあるが、最も魔法少女
姉が彼女を推す限り、私も彼女のことを推そう! だが、アズール、テメーはダメだ!
「あ、えと……あ、ありがとう?」
私の答えにちょっと照れ臭くなったらしいマゼンタは、もじもじ、と体を捩らせた。
私は彼女の手を取ると、その白い手に、そっと口づけをする。
「……ん♡」
マゼンタはくすぐったそうにしながら、ちょっとだけ、頬を紅くした。
……サルファがすんごい顔して私を見てる♡
「……まぁ? アンタには、借りがあったからなぁ……これで貸し借り無しや」
ふん、とサルファは面白くなさそうな顔をしながらも、嬉しそうにしているマゼンタに水を差すつもりはないらしい。私の意中の相手がベーゼ様ということも知っているだろうし、私が自分より年下のおこちゃまであることも加味して、ちょっとじぇらってるものの、大人(笑)の余裕を見せている、というところか。
「……むしろ、私の借りの方が大きくなったかもしれませんね。今の私に返せるものはありませんが……」
すすっ、と私はサルファに近寄り、彼女が身構えるより早く、彼女に首に抱き着く。
……ちゅ、と頬にキスをすれば、彼女はあっという間に顔を紅くした。
「……な……なにすんねん!?」
「……ささやかなお返しです♡」
くすくす、と耳元で笑い声を上げれば、サルファが、うがぁ、と私を引き離す。
ほわぁ、とマゼンタが顔を紅くして、わくわくした顔をしている。
……ついでに、アズールが物欲しそうな顔をしているので、努めて無視した。
「……さて、私はこんなところで失礼しますよ。またいずれ」
ふわ、と体を宙に浮かそうとするが、マゼンタが私の手を握って引き留めた。
「……アトラちゃん……やっぱり、私たちと一緒に戦ってはくれないの?」
マゼンタとしては、私がトレスマジアに加わることで、戦力の増強を、と考えているのかもしれないが、かつてのエノルミータならともかく、今のエノルミータには無意味だ。
彼女たちも薄々は感じているのかもしれないが、それでも万が一に備えるため、私の勧誘という選択肢を取らないわけにはいかないのだろう。
…………………………まぁ、答えは断じて、否、なんだけどね?
「マジアマゼンタの気持ちは嬉しく思いますが……あなたたちトレスマジアは三人だからこそバランスが取れているのです。そこに、私が加わっては、その調和を乱すでしょう。……ですから、そのお誘いはお断りします。……そして、私には私の目的がありますから」
……そう、私には新しい目的があるのだ!
「……アンタ、今度は何を企んでるん?」
「企みなんていやだなぁ、マジアサルファ。私は魔法少女として新しい目的を立てているだけですよ?」
くふふ、と私が笑えば、サルファも同じように、うふふ、と笑った。
「……アンタがそんな殊勝なこと考えとるとは思えへんなぁ?」
「別に信じていただく必要はありませんよ?」
笑顔の裏で、私たちは、ばちばち、と火花を散らす。
サルファとお腹の探り合いするのは、意外と楽しいかも。
いずれ、そちらの方はじっくりたっぷり楽しませてもらおうかな。
私はやんわりとマゼンタの手を離すと、きらきら、と黒い光のエフェクトを散らしながら、空へと昇っていく。
「……それでは、ごきげんよう、先輩方♡ 鍛錬は怠らないように。もし程度が下がるようであれば、あなたたちの出番、私がもらっちゃいますからね♡」
くすくす、と私は悪戯っぽく笑みを残しながら、空を駆け、その途中で自分の掛けた結界を解除していく。
ぱりん、と割れた結界の中と現実の世界が混じりあい、私が散々ぶっ壊した建物が現実に塗り替えられていく。
……まるで、夢のような時間だった。
そして、まだまだ、私の夢のような時間は続くのだ。魔法少女である限り!
悪の女幹部にあこがれていたけれど何故か魔法少女になった私が夢を叶えるために東奔西走する話。
さぁ、始まり始まり!
「……くふふふふっ♡」
……タイトルは最終回っぽいし、ラストも最終回っぽいけど、もう一話はやりますよ?