「……な、何してるの、二人ともぉぉぉぉ~~~~!?!?」
姉の顔は見てはいけないものを見たということで、紅いような、蒼いような、見たことのない顔色をしている。
妹の情事を見てしまったという羞恥心。
その相手が自らの友人(♀)というショック。
その他にも色んな感情がない交ぜになっているようだ。
……しかし、困ったなぁ……。姉一人ならいくらでも言いくるめられる自信があるけど、キウィちゃんもいるのはちょっとなぁ……。
私は姉もキウィちゃんも性的に大好きだ!
姉に対しても、姉妹以上の感情を抱いていることを告白しているし、キウィちゃんにも絶賛アプローチ中。
……そんな私のこの状況。
こりすちゃんはさり気なく身だしなみを整えているが、顔はまだ、とろんとしているし、口の周りは私とこりすちゃんの唾液でてらてらしている。
……ついでにこりすちゃんの下着は結構湿っているし、何してたの? と問われれば、ナニしてたんだよ、としか言えない状況。
……何と言うか、浮気現場に踏み込まれた的な?
いや、別に姉ともキウィちゃんとも付き合っているわけではないので、厳密には浮気でもなんでもないのだが……少々ばつが悪いのは間違いない。
……だが、そんな状況でも、私は動じない! やらしいことはしてても、悪いことしてるとは思ってないもんね!!
「……こりすちゃんと性教育してだけだよ? 実践でね♡」
私が悪びれもせず、そう言うと、姉は、口をぱくぱくさせた。
言いたいことは色々あるんだけど、口にできないようだ。
……そして、色々考えた挙句、ぷしゅう、と頭から湯気を出すようにしながら、姉はいきなりぶっ倒れた!
「ちょっ!? おねぇ!?」
「うてなちゃん!?」
慌てて駆け寄る私とキウィちゃん。
……姉は口から泡を噴いていた。それだけショックな状況だったんだろう。
そりゃあまあ、そうだろう。
私はおねえちゃん大好きのシスコン妹で、ちょっとえっちな悪戯はしてくるけど、姉にとってもかわいい妹だ。
こりすちゃんは姉の友達で、姉もこの年下の友達のことは、過去の自分でも投影しているせいか、非常に大事にしている。
そんな年端もいかない二人が、だ。
まさか、ベッドでくんずほぐれつしてるなんて、当然、想像の埒外だったのだろう。
姉がオーバーヒートしたのも頷ける。
……姉よ、すまぬ。でも、私は悪くないと思うんだ。
「……もう、おねぇったら。おねぇだってキウィちゃんとこれくらいのことはしてるでしょ?」
「……え?」
「……え!?」
私の言葉にキウィちゃんが声を上げ、その声に私が声を上げる。
……ま、まさかこの二人……まだ、私とこりすちゃん未満のことしかしていないというのか!? いや、いざというときに、姉が日和ったであろうことは察してはいたけれども、それってもっと直接的な下の方の粘膜接触的なアレかと思ってたんだけど、もしかして、もっと基本的な方だったの!?
ばっ、と私はこりすちゃんの方を見る!
ふるふる、と首を振るこりすちゃん。
べたべたいちゃついているけど、そういうことしているのは見たことないよ、とのことだ。
……二人して何でそんなに奥手なんだ……。
じとっ、とした目でキウィちゃんを見る。
「……いや、どっちかと言うと、つぼみの手が早すぎるんだからな?」
……そうかな? 私としては、多少際どいことしているとは思ったけど、まだじゃれてるレベルだったんだけど……。
「……大体、お前とこりすが何でそんなことになってんだよ?」
少し不満気なキウィちゃんが、ぶすっとした声で私たちを睨む。
……だが、私は声を大にして言いたい!!
「キウィおねえちゃんたちがこりすちゃんの悪い見本になってるんだからねっ!?」
◇◆◇
こりすちゃんの交友関係は狭い。
学校ではほとんど一人だし(周りが愛でているのは置いておくとして)、外でだって誰かと遊ぶことなんてほとんどない。
姉たちと出会ってからこそ、結構活動的ではあるが、基本大人しい女の子なのだ。
人間関係というのは、周囲の人間を見て学ぶことが多い。
親、姉妹、友人……そう言った付き合いの中で成功したり、失敗しながら、経験を積み上げていくものだ。
しかし、こりすちゃんはそういった経験がとても希薄だ。
こりすママは結構多忙らしく、こりすちゃんと一緒に団らんする時間は少ないし、私と違ってこりすちゃんには姉妹もいない。そして、これまで、まともな交友関係もなかったようだ。
学校、というシステムの中にあっても、彼女は、あまり周囲に関心を持っていなかったのだろうし、関心がないものから学ぶこともない。
そんな彼女が人間関係を学んでいるのは、友人という存在ができた、ここ最近になってから、と言っても過言ではないだろう。
……さて、そんな彼女の友人関係を改め考えてみよう。
姉とキウィちゃん。最も彼女と仲が良いであろう二人は、親友を自称しているが、端から見れば、はよ、くっつけや、と言いたくなるくらいにはらぶらぶゆりゆりだ。
次に、ネモちゃん、真珠ちゃんだが、こっちはネモたまかたまネモかが問題になるくらいで、ガチ勢だ。
……ついでに、田中と多田さんの関係も、健全とは言い難い。あれで田中が細長くて縛るためのアレな感じで多田さんに甘えているとか笑えるが。
……まともなのは、はるかちゃんくらいかな?
更に言えば、こりすちゃんのネロアリスとしての活動状況も考えれば、私としていたことなんて日常の範疇内だろう。
……端的に言って、純真無垢なこりすちゃんが、色々染まっていてもおかしくないよね? ってことである。
◇◆◇
……と言うようなことを簡単に説明すると、キウィちゃんは明後日の方向に視線を泳がせ、何とか復旧した姉は自分たちの失態に顔を青くしている。
……色々教育に悪いことをしていた自覚はあるのだろう。
そんな姉たちの様子を見て、私は、ふふん、と鼻を鳴らす。
「……っていうことで、正しい友人の距離感と性教育を、と思ったわけで♡」
「……♡」(///▽///)ポッ
色々語る私にこりすちゃんが腕を絡めて恥ずかしそうに微笑む。
「「……」」
……おぉ、何と姉とキウィちゃんの視線の冷たいこと!
「……それで落としちまってるのはどうかと思うぞ……?」
それなっ!!!!
「いやぁ、これは私も予想外というか、うっかりというか……」
だってだって!! 親友だとは思ってたけど、私が思っていた以上に好感度高かったんだもん!! そんで思ってた以上にかわい過ぎて止められなかったんだもん!!
……いやぁ、危なかった。姉たちが来なかったら、たぶん、最後までいってたよ……。私だってハジメテだけど、興味はあるし……。言い方は悪いし、こりすちゃんにも悪いとは思うけど、
……だって、ヘタだって思われたくないし!
その点、ハジメテ同士のこりすちゃんとは相性良かったと思うんだよ。お互い手探りでもおかしくないお年頃だしね。
……ついで言えば。
……言い訳に聞こえるかもしれないが。
……こりすちゃんは色々わかった上で私を誘っていた、とも思う。
「……♡」
くす、と微笑むこりすちゃんは、まるで何も知らないようにも見えるけれども。
純真無垢に見えるその瞳から、逃がさないぞ、という意志とともに、ぎゅう、と私の腕を抱きしめてくる。
……彼女が私に好意があるのは間違いない。
……だけど、それ以上の思惑があるのも間違いない。
そして、それを知られてもなお、私が逃げられない、と確信して天使のように微笑む。
……親友、あんたは魔性の女だよ……。
つぼみちゃんたち未満の行為……具体的にはちゅー