悪の女幹部にあこがれて   作:MIA

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58 お泊り準備

 ……姉が一人で顔を赤くしたり、青くしたりしながら、何やら葛藤しているようだが、私たち四人での初めてのお泊り会が決定した。

 

 私の部屋は物がありすぎるので、全員で寝れないから、姉の部屋で寝るのが確定だ。

 

 ……本当なら、姉とキウィちゃんの間に挟まって寝たいが。

 

 ……それは大いなる力で色々制限されるため、私とこりすちゃんが一緒に寝るしかないだろう。

 

 姉やママ以外と寝るのは実に久しぶりだ。

 

 花菱三姉妹とは良く昼寝を一緒にしていたことはあるが、それ以来だろうか。

 

 元気娘ななつな。

 引っ込み思案なあきほ。

 やんちゃなみふゆ。

 

 姉のはるかちゃんと同じで裏表のない彼女たちは私の数少ない友人と呼べる人間だ。

 

 ……まぁ、三人揃うと何するかわからないので、面白いやら、恐ろしいやら。

 普段暴走気味なつぼみちゃんが、思わずブレーキ役に回る程ですよ?

 

 だからこそ、うまくいっていた、というところもあるのだろうが。

 

 こりすちゃんを交えてあの三人と遊んだことはないが、はるかちゃんに懐いているこりすちゃんなら、相性もいいのではないだろうか。一応、面識もあるらしいし。

 

 ……くいくい、と袖を引かれる感触。

 

 呼んだ? とばかりに、こりすちゃんが私の顔をじーっ、と見つめてくる。

 

 ……いや、確かに思い浮かべてはいたけれども。本当に勘がいいな、この子……。

 

「……お布団、出しちゃおうか。こりすちゃん、手伝ってくれる?」

 

 こくこく、と嬉しそうに頷く彼女を連れて、私たちは二階に上がって、客用布団を姉の部屋に運び込む。

 布団にシーツを敷いて、二人で布団を整えていると、こりすちゃんは何を想像しているのか、ほんのりと頬を赤らめている。

 

(……あー、これはあれだね。さっきの思い出してちょっと恥ずかしいのと、一緒に寝るときに、どこまでできるかな、というかさせるかな、っていうのを考えてる感じ? ……こりすちゃんは私が思っていた以上にえっちぃことに興味津々だなぁ……)

 

 ……こりすちゃんは無口で無表情に見えるが、実際に付き合って見ると、彼女の感情表現は思いのほか豊かなのである。

 

 目は口ほどに物を言う、という言葉があるとおり、慣れてしまえば、彼女が何を言いたいのか、何となくわかってしまう。……時に、彼女の美少女顔が崩れてしまう顔芸染みた表情をするのは、ご愛敬だが。

 

 近しい人間とこりすちゃんのコミュニケーションが成立するのは、周囲の人間の察する能力が高いからというだけではない。こりすちゃん自身が周囲の人間の感情を敏感に察知している、というのも一因だ。

 

 相手が考えていること、相手が言いたいこと、相手が自分に向けてくる感情。

 

 これらを敏感に察知しているが故に、視線と表情だけでも会話が成り立つ。

 

 ……私は認識に齟齬がないように、あえて口に出すようにしているので、独り言の多いやべぇヤツに見えるかもしれないけど。

 

 ……さて、ところで、私の隣で、ふんすっ、と鼻息を荒しくしているこりすさん?

 

「……今日はもう何もしないからね?」

「……っ!?」

 

 がびーん、という顔をしているが、さっきまでのあの状態で、あれ以上のことできるわけないでしょ!?

 

「……え? お風呂? おねぇが許すわけないじゃん。おねぇはキウィおねえちゃんと入りたいんじゃないかって? 少なくとも私たちがいる状況で、そういうことするために入る度胸はおねぇにはないよ?」

 

 ……私だったらやるけどな!

 ……あ、でも? お風呂の組み合わせを考えると、これって確定じゃない?

 

「……ま、こりすちゃんはおねぇに奇麗に洗われてくるといいよ」

「……~っ。……♪」

 

 ぷく、と一瞬頬を膨らませて、不満そうにしたものの、ちょっと考えなおしたら、友人と一緒にお風呂に入る、という楽しみも見出したらしく、ご機嫌になった。

 

 ……さて。

 おねぇとこりすちゃんがお風呂、ということは、私はキウィちゃんと、となるわけで……。

 

 ……つーっ、と鼻血が出た。私はごく自然な表情でポケットからティシューを取り出すと、そっと鼻血を拭う。

 

(……っぁはぁぁぁんっ♡ キウィおねえちゃんとお風呂!! つまりは、あのロケットのようなおっぱいが見放題触り放題弄り放題♡)

 

 ……思わぬ副産物だが、これは役得だ。

 

「こりすちゃん!! 私はお風呂掃除して、お湯貯めてくるね!!」

 

 ……善は急げだ! ひゃっは~♡

 

◇◆◇

 

「……つぼみ、その鼻のティシューは……?」

「……気にしなくていいよ、おねぇ♡」

 

 お風呂掃除しながら、色々作戦を考えていたら、思いのほか捗ってしまったせいか、一度止まった鼻血がまた噴き出してしまっただけである。

 

 ……シミュレーションは完璧。仕掛けも完璧。こう見えて私はデジタル機器の扱いはプロ級だよ♡

 

 ……何を仕掛けたかって? もちろん、ひ♡み♡つ♡ 私の夜の生活が充実するとだけ言っておこう!

 

「……にゅふふふ♡」

 

 姉は不思議な物を見るような目で、私を見てくるが、お風呂に行くために姉と手を繋いでいるこりすちゃんは、何か碌でもないこと考えてるな、とジト目だ。

 

 キウィちゃんはテレビに夢中で私の様子に気づいてないからセーフ!!

 

「……まぁまぁ。二人はゆっくりお風呂に入っておいで♡」

 

 えへ♡ と笑って、私はいい顔で二人をお風呂に見送る。

 

 ……姉だけの入浴では見ることができない新しい発見を期待している。

 こりすちゃん、結構、私たちの想定しないことするし、色んなハプニングが起こってくれるといいなぁ!

 

「……キウィおねえちゃん♡ おねぇたちお風呂に行ったから、二人きりだよ……?」

 

 姉とこりすちゃんのお風呂はこの後のお楽しみとして、私は私でキウィちゃんと二人きりの状況を楽しむのだ!

 

 ソファに座って、テレビに夢中になっているキウィちゃんを後ろから抱きしめて、耳元でそっと囁く。

 

「あ~、はいはい……」

 

 ……キウィちゃんのこの塩対応よっ!!

 

 んむむっ……最近は私がじゃれてくるのが当たり前になったと思っているのか、以前よりも態度が素っ気なく感じる!

 

 関係性が悪くなっているわけではない……むしろ、良くなってきているからこその雑さではあるが……。

 

 ……恋する妹はせつなくておねえちゃんを想うとすぐにイジワルしちゃうの!

 

「……いいもん。特製プリンは私一人で食べるからぁ!!」

 

 こりすちゃんが甘い物苦手なので、作ったものの出さずじまいだったつぼみちゃん☆特製プリン……!

 

 牧場から送られてきた高級な特濃ミルクと一個五百円する高級卵で作った一品。

 

 ……抗えるかね? 私に胃袋を掴まれているキウィちゃん!!

 

「……つぼみのプリン!? ……ご、ごめん、つぼみ! そんなつもりじゃなかったんだよ~!」

 

 くわっ、と目を見開いたキウィちゃんが、先ほどまでの態度が嘘のように優し気になる。

 

「……つぼみは傷つきました……」

 

 ぷくっ、と私は頬を膨らませてそっぽを向く。

 

「ごめんって! 機嫌直してくれよ~……。……あー、つぼみはかわいいなぁ!! 世界で三番目くらいにかわいいなぁ!! 具体的には一番はうてなちゃんで、二番はあたしだから、実質世界一かわいいなぁ!! つぼみのごはんを一生食べたいなぁ! つぼみのおいしいプリンが食べたいなぁ!!」

 

 ……ふふふふ。キウィちゃんってば、必死! 私へのプロポーズかな♡

 

 ……まぁ、キウィちゃん的には、私は、()()(柊うてな)の妹として見ているのだろうし、自らの妹分とも言うべき私から、ちゅきちゅき攻撃を受けているからと言って、(姉の手前もあって)デレデレするわけにもいかない、という意識が強いから、自然、素っ気ない態度を取るしかなかったのだろうけど。

 

 既に私に依存している食欲を刺激してあげれば、これこのとおり!

 

 ……計画通りっ!! くっふふふふ♡

 

「……もー♡ 今回だけだからね♡」

「さっすがつぼみ~、話がわかる~♡」

 

 私からプリンを手渡されて、ひゃっほ~ぃ、と喜ぶキウィちゃん。

 ……でも、その代償はお安くないよ?

 

「んふ♡ キウィおねえちゃん……この後、私と二人でお風呂だから……ね♡」

「……わ、わかってるって……ちょっとくらいなら大目に見るから」

 

 はい、言質いただきましたぁ♡

 

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