悪の女幹部にあこがれて   作:MIA

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69 臨戦態勢

 マジアアトラは、三人で連携して戦うのではなく、一対一を三つ同時に行うことにしたらしい。

 

 マジアサルファもその判断には納得だ。

 

 妙に仲が良さそうに見えるアトラとネロアリスであれば、連携もこなすかもしれないが、サルファ自身は不可能だろう。付け焼刃の連携はかえって破綻しかねない。それならば、最初から連携しない方がマシだ。

 

 ちらり、と自分と肩を並べるアトラとアリス、そして、相手の三人を見比べる。

 

 アトラの能力は言わずもがな。その強さは良くわかっている。

 加えて、アリスとはガチで戦ったことこそないが、その能力の得体の知れなさはその身で味わっている。

 

 ……いずれにしろ、アトラ一人でも一蹴可能だろう、と考えれば、一人相手にするのは気楽なものであった。

 

 ……無論、負けるつもりなど一切ないのだが。

 

「……アンタはんとは、お初やねぇ? どこから来はったん?」

 

 まずは情報収集。

 

「悪の組織に答えることなどありません」

 

(頑なやなぁ……バカ女(レオパルト)でももう少し愛想あるっちゅうのに!)

 

 内心のイラ立ちを顔に表すことなく、サルファは笑顔で言葉を続ける。

 

「いややわぁ、ウチのどの辺が悪の組織なん? 一応、トレスマジアっちゅうチームでこの街の魔法少女をやらせてもろてるんやけど?」

「……トレスマジア? 知りませんね。口で幾ら語ったところで、あなたが悪の組織なのは見ればわかります。はらぐろイエローさん?」

「誰がはらぐろイエローやねん!?」

 

 勝手に命名され、自動的にはらぐろ認定されたサルファは思わず咆える。……まぁ、合ってるけど。

 

(しかし、これで決まりやな……知名度で行けば、ウチらは魔法少女の中でもかなり上の方なのに、それを知らん、っちゅうことは……)

 

 洗脳か、それとも、操られているのか、どんな状態かはわからないが、普通ではないことだけは確かだ。

 

 アトラも既にこの状態を看破しているだろう。

 

『色々お話したい』。サルファも同感である。

 

(……半殺し。まぁ、そうするしかあらへんなぁ……)

 

 勝つのは難しくない。しかし、丁度良く加減できるほどではない。

 

 生死を問わないならば、アトラ一人で片づけるかもしれない。

 だが、確実に生かして、となれば難しい。

 

 何某かの理由で正気ではないと思われる彼女たちではあるが、その実力は、サルファたちトレスマジアと比較しても、劣るものでは決してない。

 

 実力が近しい相手に手加減などできるわけもなく、致命を避けるためには全力行動が必須である。

 

「……しゃあないなぁ……そしたら、ぶっ倒してからお話聞かせてもらおか?」

「できるならどうぞ?」

 

 緑の騎士は剣を抜き、雷の天使はその拳を構えた。

 

◇◆◇

 

 ……表情にこそ表していないが、ネロアリスはかつてないほど激怒している。

 

 つぼみと一緒に夕飯のおかずを買って、一緒に料理を作って、あ~んし合いながら夕ご飯を食べ、あわよくば……と考えていたのに! つぼみと一緒にいる時間が減るではないか!

 

 うてなが今日は補習で遅くなり、それに伴ってキウィも来ないという絶好の機会だったのに!!

 せっかく昨日から今日までの感じから、もうちょっと先までイっても大丈夫だと思ったのに!!

 

 ……トレスマジアやシオちゃんズ、エノルミータであったならまだいい。

 

 ある意味、彼女たちはネロアリスにとっては友人(玩具)のようなものだ。それに付随するあれこれに楽しさを感じているし、新しい発見もある。一緒に遊ぶのはやぶさかではない。

 ……つぼみとの時間が減ったことの落とし前はつけさせるが。

 

 ……しかし、今、目の前にあるコレは何か?

 

 ()()()()()()()()()()()()に自分がその時間を使う価値があるか?

 

 ……ない。……一切ない!!

 

 だが、つぼみが……マジアアトラが()()()で遊ぶというなら是非もなし。

 

 せいぜい楽しく遊んでやろう、と赤いのに視線をやる。

 

「……悪の組織であるなら、子どもであっても容赦しない!」

 

 彼女の背後から炎の熱気を感じる。どうやら臨戦態勢のようだ。

 

 アリスはいつものようにお気に入りのねこのぬいぐるみに乗って応戦の構えを取り……。

 

 ……にやぁ、と大きく笑った。

 

 ()()()()()()()しており、ねこがねずみを甚振る時間の始まりだ。

 

◇◆◇

 

(……めんどいなぁ)

 

 私としては、既に終わっている勝負には興味もなく、時間を割く意味もないのだが。

 彼女たちがどういう状況になっているのかを知る必要はある。

 

 ……考えを巡らせる。

 

 脅迫? 誘導? 洗脳? 操られている?

 

 ……そこまで単純ではないだろう。

 

 何せ、私は()()()()()()()()()()()

 

 ……こちとら、姉に付き合って、全国津々浦々の魔法少女全部覚えてんのよ?

 

 新規チームや新メンバーもネットに流れれば、即暗記しますよ?

 

 じゃないと姉の好みとか、今の推しとかの話に付いていけなくなるし!

 

 そんな私が魔法少女を判別できない方がおかしい。

 

 加えて彼女たちに感じる魔力による干渉。

 

 ……強制的に魔法少女にした上で操っている? それにしては、やけに練度が高く見える。真化はしないのか、できないのかわからないが、できてもおかしくないレベルだ。

 つまりは実力もあるということ。……だからこそ、余計に私が知らないのはおかしい。

 

 それに、私がAtraであるということに気づかないのも不自然だ。

 

 手前味噌ながら、新人にしてはかなり売れていると思う。これはトレスマジアも同じだろう。

 加えて、私もトレスマジアも売り文句は、現役魔法少女であるということである。

 

 同業者であれば、チェックしていないわけがないだろうし、周囲の友人などから情報が入ることもあるだろう。当然ながら、ネットやSNSでは大いに賑わっているから、私を見て、いきなり悪の組織認定してくるのは明らかにおかしいのだ。

 

 ……ふと、私は以前から考えていたことを思い出し、脳内で検証してみる。

 

 ……なるほど、そういうことか、と思いつつも、それはまだ確定ではない。

 

 ……話と交渉ができる状態ではないとは思うが……敵の状況を知るには必要なことだ。

 

 幸い、公園内にいた人達は、避難させた上で、人払いの結界をアリスちゃんが行っている。入ってこれるのは関係者のみだろう。

 

 ……イメージダウンするような戦い方はできないからね。普段のエノルミータ相手だったら、楽しく攻めて責められしつつ、お色気シーンもちゃんとやるんだけども。

 厄介ごとであろう彼女たちに、そんなサービスは必要ない。

 

 ……どういう仕組みかじっくりたっぷりねっとりと調べようではないか!

 

「ねぇ、ちょっとお話しない?」

「悪の組織と話すことなんてないわ!」

 

 ……いや、まぁ、話通じないことはわかってるんだけどさぁ……。

 

「……そんなことは言わずに。お互い誤解があるかもしれないし?」

「話すことなんてないっ!」

「いやいや、私、魔法少女だよ? マジアアトラ。結構有名だと思うんだけど?」

「あなたと話すことなんてないわ!」

 

 ……こうまで話が通じないと、イラッとするよねぇ?

 

「……………………少し、頭冷やそうか?」

 

 ……生憎、私には都合よく非殺傷の攻撃魔法なんてないので、自力で頑張って欲しい。

 

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