「~~♪」
MIDIキーボードでメロディラインをなぞりながら、私は鼻歌を奏でている。
頭の中だけでも曲は作れるが、それが実際にどんな音で響くかは実際に音にしてみないとわからないし、声を載せて初めて『歌』になる。
……それを作るのは割と楽しい。……いや、楽しくなってきた、と言うべきか。
「……つぼみ? ……また曲作り?」
「……おねぇ……ノックくらいしてよ。私があられもない姿で、いや~ん♡ なことしてたらどうするの?」
……いや、姉なら実際はバッチ来い! なんだけどもね?
むしろ、見せつけてもいいよ!
「ご、ごめん……」
しおっ、とアホ毛がしおれて、しゅん、としている様子の姉はかわいい♡
「……おねぇ、何かご用事?」
「ううん。つぼみの部屋から奇麗な歌が聞こえるからつい、ね」
姉はそのまま部屋の中に入ってくると、私のベッドに、ぽすっ、と腰掛ける。
……お風呂上りで、ほかほかしている姉。
しっとりしている髪、まだ、わずかに赤い頬。つやつやの肌。
……う~ん……色っぽい。押し倒していたずらしたくなるなぁ……。
「……うぇっひひ♡」
「……え……? な、なに、その笑顔……?」
……おっと、思わず欲望が表情に出てしまった。
さすがの姉もちょっと引き気味だが……。
「……や、おねぇもたまにおんなじ顔してるし」
「え!? うそっ!?」
……残念ながらマジである。
こういうときに姉妹だなぁ、と思うのは私だけだろうか。
「……き、気を付けないと……!」
……無駄だと思うなぁ? 大体、皆すでに一度は見てるんじゃないだろうか。
「……キウィおねえちゃんに嫌われたくないから?」
「うん、そぅ……って、違うよっ!?」
……いや、そうでしょ? まぁ、心配ないだろうけども。
「……キウィおねえちゃんだったら、いい笑顔してるな、って思うだけだと思うよ?」
好きな人の残念なところを見て、熱が冷めるか、あるいは、それすらもかわいいなあ、と思うか……キウィおねえちゃんは完全に後者である。私もだが。
「……うぅ……っ」
姉が少し落ち込んだ様子を見せる。ちょっとだけ涙で目が、うるっ、ってなってる!
「……えぃっ!」
私は姉をベッドに押し倒した! 隙を見せた姉が悪いんだもんね!
「……きゃっ! な、なぁに、つぼみ?」
ふんすふんす!
姉の胸にダイブした私は自然、姉の胸に顔を埋めている。
そんな状態になったら、揉むか、吸うか、ぱふぱふするかの三択しかない! とりあえず吸ってみた!
前よりもボリュームアップしている姉の胸は私の両頬をふよんふよんと包み込み、お風呂上りのボディソープの匂いがいい感じである。
うーん……これは良いぱふぱふ感!
ぐりぐり、と私は頭を動かしてベストポジションを探る。
「ちょっ!? こ、こらぁ、つぼみ!?」
……いやぁ、姉の「こらぁ!」は全然怖くないなぁ! むしろもっと言って?
「……えへぇ♡ おねぇ、ぱふぱふ!」
うぷぷぷぷぷ♡ きんもちぃぃ♡
「………………こ、この、や、やめなさい! もぅ!」
姉が体を起こすと、体重差もあり私は簡単にひっくり返される。
ぽふん、というベッドの感触。……そして、ぽよん、という感触。
……おぉ!? 姉からおっぱい押し付けられてるぅ!? ……でも、ちょっと苦しい! でも、しゃあわせぇ♡
「……もがもが♡」
苦しがる振りをしつつ、私の顔を塞いでいる双子の膨らみに手をかける。
「……あ、つぼみ、ごめん……! って!? ……ぁん♡」
もにゅうん、と姉のおっぱいを揉んだら、なんかえちぃ声が聞こえた♡
「……も、もぅ……変ないたずらしないのっ!」
めっ、と体を起こした姉からほっぺを突かれる。
う~ん……なぁに、このかわいい生き物……はいっ! 私の姉ですっ!!
「えへぇ♡ おねぇ、すきすき~♡」
声を上げて姉に抱き着けば、姉も、仕方ないなぁ、とばかりに私を抱きしめてくれる。
「……つぼみ、今日は甘えたい日?」
よしよし、と髪を撫でてくれる姉は神っ!
「……ん~……甘えたいよりは、幸せを感じたい、って感じかな?」
「?」
何でそんな感じなのか姉は不思議そうだ。
「さっきの曲……ネモちゃんに頼まれて、真珠ちゃん用の曲を作ってたんだけど……」
あ~……、と姉は少し苦笑気味だ。おそらく、ネモちゃん経由で真珠ちゃんの荒れてる様子を聞いているのだろう。
「……どうせなら、幸せに思える曲にしたいなぁ、って」
……幸せ。
以前までなら、他者の幸せなんて考えることなんてなくて。
姉さえいれば、幸せすらどうでも良くて……。
……でも、そうじゃない、と言ってくれる人がいたから。
私は私の幸せを、姉の幸せを願うことができるようになったのだ。
「……つぼみ、ちょっと変わった?」
「……そう?」
「……大人になった、と言うか……いい意味でわがままになったと言うか……そ、その、キウィちゃんっぽくなったって言うか……」
「あ~……キウィおねえちゃんに影響されてるのはあるかも」
……姉は、もちろん、私とキウィちゃんが……マジアアトラとレオパルトとして殴りあったことは知らないんだろうけど。
……しかし、それでもその変化には気づいたのだろう。
幼い頃は、やんちゃで問題児だった私は、小学校に上がる頃には、大人しく……いい子ちゃんになっていた。
その頃には、姉以外はどうでもいいと思い始めており、余計な干渉を受けないように、優等生の仮面を着けた。
……それは、実のところ、子供っぽい抵抗だと姉は気づいていたのだろう。
今、その仮面を脱ぎ捨てて……それでも、いい子のままわがままを言い始めた私こそが大人だと姉は言う。
「……こんな私、おねえちゃんはきらい?」
「……どんなつぼみだって、おねえちゃんは大すきだよ」
きゅ、と姉が私の頭を抱える。大切な宝を抱きしめて、慈しむように。
「……私も、おねえちゃんが大すきだよ………………すんごくえっちでもね♡」
「……は? ……え!?」
「……おねぇ、中学生でSMに興味持つのはどうかと思うの。い、いや、おねぇがしたいなら、私はいつだって付き合う覚悟はあるんだけど……そ、その……キウィおねえちゃんとそういうことするのは、同意を得てないと気持ちよくないと思うのね? その点、私はいつでもうぇるかむだから、最初は私にしたらいいんじゃないかな? それがいいよ! 何なら女王様セット買っとくからさぁ?」
……私はスマホの画面に姉の秘蔵のエロ本の表紙を表示する。
姉の顔が、さっきまで、妹を慈しむ女神の顔だったのか、さーっ、と血の気が引いて、青白いミイラの顔みたいになった。
「な……なぁっ!?」
「……ちなみに、私が告げ口するまでもなく、ママにはもうバレてるからね? だから自分で部屋の掃除くらいすればいいのに……」
……まぁ、机の引き出しに入れてるだけだから、すぐバレるよね、って話だ。
マジな顔したママに、「アンタたち、変なことしていないでしょうね……?」って言われた私の気持ちも考えて欲しい。
……そして、真っ先に姉が仮にそういうことするなら私と考えられてしまう辺り……姉に対するママの信用度が伺える。
「……………………おわった……っ!」
姉がORZの姿勢で私のベッドに突っ伏した。
「大丈夫、大丈夫! 世のおかあさんは皆通る道だからさ……ママも気にしてなかったよ? ……成績以外は」
エロ本持ってるくらいなら健全なものだろう……中身はSMだが。
それにしたって買えるものではないから、拾ってきたのだと思えば、後生大事に隠していても、この年頃の子はそういうものということらしい。
……ママが寛容なだけか、それとも、自分も同じだったからか……。
……いや、私の性格も考えれば、絶対、遺伝だよね……。
柊家はみんなえっちです♡
……ごめんね、おねえちゃん、恥ずかしかったから、誤魔化したかっただけだよ♡