悪の女幹部にあこがれて   作:MIA

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84 二人の朝

 珍しく予定のない休日の朝。

 

 普段ならママがいるから、それなりにちゃんとしていることが多いけど、今日はママが不在。

 

 ……ということは?

 

 私たち姉妹の超ゆるゆるタイムだっ!!

 

「……ふぁ……っ!」

 

 姉はパジャマを着直すのも面倒くさがって、長めのTシャツを一枚羽織っただけ……!

 ちらちら見える下着……お尻の形がとってもGOODです!

 

 朝食は、ママがある程度用意してくれていたらしく、冷蔵庫には盛り付け済みのサラダ。テーブルの上にはハムエッグが用意してあり、食パン……焼き立てがおいしいので、そのままお皿に置いてある。

 

「……おねぇ、ミルクはホット? アイス?」

 

「ん~……ホットで……はちみつ入れて?」

 

「んふふ♡ あまぁくしてあげる♡」

 

 ……ちなみに、私は姉と同じように下着の上にTシャツを着け、一応、台所に立っているからエプロンをしている。……結構マニアックだな。さすがの私も寝起きでゆるゆる状態のところで、アピールするつもりもないから、裸エプロンというわけにもいかないし。

 

 トースターをセットし、ミルクパンで牛乳を温めていく。

 

 ちらり、と姉の方を見れば、ぽやん、とした目のまま、私の方を楽しそうに見ていた。

 

 ……ちょっとサービスした方がいい? こう、ちらっと、おパンツが見えるように。

 

「……何だか、こんなにまったり二人きりなのは久しぶりだね」

 

「そうだねぇ……最近は朝からキウィおねえちゃんが来ていることも多かったし」

 

 ……そう言えば、姉のこんなゆるゆるな恰好をダイニングで見るのは何時以来だろうか。

 

 私は嬉しいだけだから、普段からこんな感じでもいいのだが、いかんせん、ママはその辺うるさいので、ママがいると、姉もあまりこういった恰好はしないし。

 

 出来上がったホットミルクをカップに移し、はちみつを心持ち多めに入れる。

 

「はい、ホットミルク♡」

 

「ありがとう、つぼみ」

 

 ふーっ、と息を吹きかけて冷ましながら、姉がちょびっとだけ口を付ける。

 

「ん……あまぁい♡」

 

 幸せそうに目を細める姉に、胸をトゥンクとさせながら、私も一口……ん~、程よい感じの甘味♡

 

 そうこうしているうちに、チン、とトースターが音を立て、パンが焼きあがる。

 

「おねぇ、トースト、何にする? ジャム? バター? ……それともつぼみ汁?」

 

「そうだなぁ……って、つぼみ汁ってなに!?」

 

 ちょっとした悪戯心だったのに、ちゃんと反応してくれる、おねえちゃん、すき♡

 

「……それはちょっと、恥ずかしくて言えないかな♡」

 

「……食べ物で遊んじゃダメだよ?」

 

「冗談だよ。つぼみちゃん特製黒蜜……今日の夕食のデザートに使おうかなって、昨日仕込んだんだけど。これ塗って、きな粉かけて~な感じ?」

 

「……おいしそうだね、じゃあ、それで」

 

「じゃあ、私も♡」

 

 まだあったかいトーストの上に黒蜜をとろ~り。上からきな粉をぱっぱ。

 

「はぁい♡ 特製つぼみ汁ときな粉のトーストだよ♡」

 

「……おいしそうだけど、つぼみ汁って聞くと、食欲なくなるからやめてね?」

 

「……ちぇ」

 

 ……今度作るときは、水の代わりに本当につぼみ汁を使おうかしら♡

 素知らぬ顔でおねえちゃんに出して、にやにやするのは中々楽しそうだ。

 

 ……でも、ママに間違って使われたら最悪だな。……これはボツ!

 

「「いただきます」」

 

 二人で声を揃えて、手を合わせた。

 

 私はママのサラダに手を伸ばす。

 

 ……うん。ふつー。まぁ、千切って切っただけで、ママはドレッシングを手作りしないし、大きな失敗がない代わりに、感動もない。

 と言っても、忙しい中、おかずだけでも準備してくれたママには感謝である。

 空いた時間分、私は姉をゆっくり眺めることができる。

 

 姉はトーストに手を伸ばして、大きく口を開けている……少しだけ口の中が見えた。

 

 くぱぁ、って赤く開いたお口ってえちぃよなぁ……とか余計なことを考える。

 

 さくっ、と音を立てて、姉がトーストにかぶりつく。

 

「……ん~♡」

 

 口の中に広がった甘さに思わず声が出たのか、幸せそうに姉が微笑んでいる。

 

 ……メシの顔いただきましたぁ!

 

 すきな人が自分のご飯を食べて幸せそうにしているのを見るのってさいこ~♡

 これは作り手だけの幸せだよね♡

 

 ……それに今はそんな姉の幸せそうな表情を独り占め。

 

 キウィちゃんたちと囲む食卓がイヤなわけじゃないけど……それはそれ、これはこれと言うか。

 

 ……私が目指しているのは、大すきな人と夢のおうちに住むことだけど、皆と一緒もいいけれど、独占欲的なものもあるわけで……。

 

(……悩ましいなぁ!?)

 

 おねえちゃんだけといちゃこらするのもいいけれど、たまにはキウィちゃんに混ざっていちゃいちゃしたいし……キウィちゃんとだけしたいときもあるし。

 

 ……これって私が欲張りなだけ?

 

 そんなことを考えながら、はむっ、とトーストに噛り付く。

 

 まずは、さくっ、としたトーストの食感と焼けた小麦の香ばしい香り。……そして、きな粉の風味と甘みがする。

 もぐもぐ、と咀嚼を進めると、黒蜜独特の香りと甘さが口の中を支配していき、しかし、それでも、トースト自体の甘さも感じる。

 

 ややもすれば黒蜜ときな粉の味で押しつぶされてしまいそうなものなのに、しっかりと食パン自体の味を感じさせるのは、さすがはパン屋さんの食パンと言うべきか。

 

(……パンはたまにしか焼かないしなぁ)

 

 食パンから手作りしたい気持ちはないではないが、結構手間だし、家庭用のオーブンではやはり専門店ほどの性能はなく、ちょっと一味足りなく感じてしまう。……中華もおんなじ感じかな。

 

 できるだけおいしいものを作りたいと思っても、材料や設備などどうしても負けてしまう。

 

(……夢のおうちには、ちゃんとしたオーブンとか、火力強めのコンロとか、石窯とか用意するんだっ!)

 

 ……あと、レコーディングルームとか、グランドピアノとか?

 

 夢のおうちは夢が詰まってるのであって、私の邪なえちぃ設備だけで構成されてるわけじゃないんだよ?

 

「……つぼみ、お塩とって」

 

「はぁい」

 

 姉の言葉に私は食卓の上のお塩を姉に手渡す。……どうやらママのハムエッグを食べるらしい。

 

 私はソースをどばー。

 

 姉が「……うわぁ」とでも言いた気な表情でこちらを見ている。……いいじゃん、ソースはいっぱいかかってる方がおいしいよ?

 

 ……う~む……それにしても、我が家は目玉焼きの食べ方の好みが違い過ぎるなぁ……。

 

 姉は塩(普通)。私はソース(多め)。ママはしょう油(ちょびっと)。

 

 ちなみに、キウィちゃんは気まぐれ! ケチャップかけたり、マヨネーズかけたり……デスソースかけたり。

 

 ……まぁ、ちゃんと食べるので私は文句は言わない。でも、デスソースはこりすちゃんが真似しそうだからできればやめてほしい。

 

(……今日のハムは厚めだな)

 

 スーパーで売ってるぺらぺらなやつじゃない。単品でハムステーキできそうないいやつだ。

 

 ……そう言えば、貰い物のハムが冷蔵庫に眠っていた気がする。私が自分で買ったヤツじゃないので、あまり気にしてなかったけども。

 

 フォークとナイフで切り分けながら、はむっ、と一口。

 

(ん~……分厚いハムっておいしい♡)

 

 ハムエッグのハムが厚いと豪勢な朝食を食べている気になる。

 黄身を崩しつつ、ソースと絡めて白身と黄身の固いところとハムを切り分けて、口に入れる。

 

 ソースの塩気とフルーティーな甘み。卵の濃厚さ、ハムから染み出る肉汁を白身が受け止めて……うんまい!

 

 ……材料の良さで味をカバーしている気がしないでもないけど、これはちゃんとおいしいよ、ママ!

 

「……朝からこの厚さのハムだと幸せだねぇ」

 

 もきゅもきゅ、と口を動かしつつ、姉の様子を伺う。……何か微妙そうな顔してこっち見てる?

 

「うん、まぁ、そうだけど……つぼみのその食べ方ってどうなの?」

 

「おねぇこそ、塩だけでお上品振って食べるより、私みたいにソースどばーってして食べた方がハムはおいしいよ?」

 

「だって、それだとソース味になっちゃうでしょ?」

 

「違うよ! ソースと卵と肉汁が混然一体となっておいしいのハーモニーを奏でるんだよ!」

 

「そうかなぁ……?」

 

 年に何回は議論に発展する。色々な物の食べ方の話。

 

 普段控え目な姉だが、こういうときは意外と持論を朗々と述べたりする。

 

 若干、どや顔をしながら、自分の食べ方がいかに理想的かを語る姉の姿に、私は、くすくす、と笑みを浮かべた。

 

 ……いつもの朝。二人きりの朝。すきな人との朝。

 

 ……くだらない会話がとても幸せなんだって思う。




油断しているゆるゆるうてなちゃん♡

【挿絵表示】


絶対的に狙ってやっている小悪魔つぼみちゃん♡

【挿絵表示】


PixAIで作成
Model:Haruka v2

うてなちゃんのLora:Utena "Magia Baiser" Hiiragi (柊 うてな) - Gushing over Magical Girls (魔法少女にあこがれて)
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