悪の女幹部にあこがれて   作:MIA

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87 ファーストキス♡

 ……背後にみふゆ、正面にあきほ、両側にはなつなとこりすちゃんという人体四面楚歌状態の私……。

 

「あ~……やっぱり、こうなっちゃったか~……」

「あはは……」

 

 その状態を見たはるかちゃんと姉は苦笑していた。

 

「……見てないで助けて……」

 

 ……さすがの私も足がぷるぷるし始めたよ? だって、みんな遠慮なく体重預けてくるんだもん!!

 

 特にみふゆっ!! 離さんとばかりに両足で私の体をホールドしないで!?

 

「……! ……っ!?」

 

 そして、こりすさぁん!? 

 これはわたしのだ、って、威嚇しないで!?

 何で振り払わないんだ、って、むっすぅぅぅっ、とした顔でこっち見ないで!?

 

「なんだよー、こりすー。なつなとつぼみはもうちゅうしている大人な関係なんだぞー♡」

「あ……それ、あきほも……♡」

「みふゆも♡」

「……!?」

 

 ……何てこと、とばかりにこりすちゃんが怒り半分、悲しみ半分で私を見てくる。

 

 ……いや、子どものしたことですよ?

 

「いや~……それだと私もそうなっちゃうのかぁ♡」

 

 ……はるかちゃん!? 火に油を注がないで!?

 

「……え……? 花菱さん……それってどういう……?」

 

 姉よ!! 余計な好奇心は出さなくてよろしい!

 

「ほら、つぼみちゃん、もっと小さい頃はウチに遊びに来てたでしょ? よくおままごととか付き合わされたし」

「……つぼみがおままごと……?」

 

 姉は変なことを聞いたような顔をしながら、首を傾げている。

 

 ……そりゃあね!? 姉からすれば、小さい頃の私は、そんなかわいらしいことするような性格じゃなかっただろうけどね? 私がやらなくても三姉妹は別だし、興味がないわけじゃなかったからね?

 

「……私とつぼみちゃんが新婚で、妹たちが赤ちゃん役って感じで、よくやってたねぇ♡」

 

 ふふ、と微笑みを浮かべながら、はるかちゃんが当時の様子を思い出しながら微笑む。

 

◇◆◇

 

『帰ったよ、つぼみ』

 

 今よりは幼いはるかちゃんが、Yシャツからネクタイを外す仕草をしながら、部屋に帰ってきた振りをする。

 ……それを出迎えるのはエプロン姿の私。

 

『おかえりなさい、あ・な・た♡ ごはんにする? おふろにする? それとも……わ・た・し?』

『……もちろん、お前だぁ♡』

『きゃあ~♡』

『『『……どきどき♡』』』

 

 新婚さん定番のやり取りをしながら、夜戦への突入! それをこっそり見つめる三人の娘……。

 

 ……これが本当におままごとだったのかは未だに謎だが。割と三姉妹がやりたがっていたシチュエーションである。

 

『……え~っと、つぼみちゃん……ここからどうすれば?』

 

 ……しかし、はるかちゃんの思い描いていたおままごととはほど遠く、アドリブができるような代物ではなかったので、小声で私に問いかけた。

 

『ん~……? ちゅっ、てしてくれれば、なつなたちも満足するんじゃないかな?』

 

 ……かく言う私もこれのオチはどうするんだろう、とか考えながら、とりあえず、三姉妹を満足させるように動こうとしていた。

 

『えっと……それじゃあ……って、んぅ♡』

『おっとと……ぁん♡』

 

 ……はるかちゃんが私の頬に、ちゅうしようとして、緊張でもしていたのか、バランスを崩してしまい、それを私が受け止めようとして失敗。

 ぺたんとお尻をついた私にはるかちゃんが私に覆いかぶさるような形になり……。

 

 ……ちゅっ♡

 

『……あわわ! キスしちゃった♡』

『……されちゃった♡』

 

 

『『『ほわぁぁぁぁぁぁ♡』』』

 

◇◆◇

 

「……って、こんな感じ?」

「それ……おままごとなの……?」

 

 ……姉よ、それを言うな……。私も疑問だったんだ。最後まで疑問のままだったんだ!

 

 いや、それよりも!?

 

 私は、ばっ、ばっ、と左右を確認するっ!

 

 ………………………………よかった。いない。

 

 いや、ホント……ここに薫子ちゃんがいたらどうしようかと!! 

 

 薫子ちゃんがいたら余計に面倒な事態になるところだった……。

 

「……はるかちゃんとのは事故だからノーカンだもん」

「あはは……そうだねぇ」

 

 ……それで流していいんだ、はるかちゃん……ファーストキスだと思うんだけど。

 

「なつなとは……甘酒事件のときだっけ? 二人して、甘酒飲んで酔っ払って、せっかくきてた着物を脱いじゃって……見つけたときには、二人で裸でちゅ~して倒れちゃってたよねぇ♡」

 

 やめてぇぇぇぇ!? 私の黒歴史を掘り返さないでぇぇぇぇ!?

 

 なつなはばっちり覚えてるけど、それ、私は朧気にしか覚えてないのぉぉぉぉ!?

 

「あきほは……お化け屋敷のときかぁ♡ あきほはわかるけど、あのときはつぼみちゃんも腰抜かしちゃって大変だったねぇ……。帰り道で泣き止まないあきほに、つぼみちゃんが……♡」

 

 あきほと私を抱えて、はるかちゃんは大変だったねぇ!? その節は大変お世話になりましたぁぁぁぁ!?

 

 でも、余計なことまで思い出さないでぇぇぇぇ!? あきほが全然泣き止まないから已むに已まれなかったのぉぉぉぉ!?

 

「……みふゆは……うん、まぁ、あの感じは私も予想外だった……。普段、お転婆な二人が、レースのカーテンでおよめさんごっこしながらちゅうしてるとは思わなかったよ♡」

 

 ……あのときの私ぃぃぃぃ!? 雰囲気に流されすぎなんだよぉぉぉぉ!?

 普段、一緒にお転婆してるみふゆが「やめるときもすこやかなるときもみふゆをあいするとちかいますか?」なんて舌ったらずに言ってくるから、流されちゃったんだよぉぉぉぉ!?

 

 ……ぽっ、と三人が恥ずかしそうに頬を染めているけれど、全部、子どものときの話だからぁぁぁぁ!?

 

「……ぜぇんぶ写真撮ってるから♡ うてなちゃん、よかったら、今度、私のウチで、一緒に見ようよ!」

 

 ……何でそんな写真撮ってるんですかねぇ、はるかさん……っ!

 

 いや、彼女からしたら妹たちの成長の記録だから撮っていてもおかしくないのか?

 

 でも、完全な黒歴史をばっちり写真を撮られている私はどうしたら……っ!?

 

「……っ!!」

 

 ぷっくぅぅぅ、と頬を膨らませたこりすちゃんが、ぐいぐいと私の手を引っ張って抗議してくる。

 

 ……えっと? わたしとはもっとすごいことしてるでしょ? ……いや、そうだけど、ここでそれは言わないで!?

 

 こりすちゃんの言いたいことを察したらしい姉からは絶対零度の視線がっ!?

 

 

「……本当にこの子は……」

 

 ……はぁぁぁ、と姉は深いため息をついて呆れ顔だ。

 

「……おねぇ、他人事みたいな顔してるけど、私のファーストキスはおねぇなんだからね!!」

「……そりゃあ、はじめてのかわいい妹だったんだもの。ちゅうくらいするよ?」

 

 姉は全く動じた様子がなくそう答えた。

 

「ふふ♡ そうだね! ……実はなつなたちもファーストキスははるかおねえちゃんだよー♡」

 

 くすくす、と笑いながらはるかちゃんが衝撃の事実を告げる。

 

「「「……っ!?」」」

 

 三姉妹がショックを受けた顔をしている。

 

 ……まぁ、彼女たちからすれば、私とのキスが初めてだと思っていたわけで……。

 

「……そ、そんな……うてなちゃん……っ!?」

 

 ……そして、ショックを受けている人がもう一人!

 

「あ、あの!? キウィちゃん!? つぼみは妹だからね!? 家族同士のキスはノーカンでしょ!?」

 

 なぁんだ、そっかぁ、と三姉妹はホッとした様子だが、キウィちゃんにそんな詭弁は通用しなかった。

 

 ……まぁ、キウィちゃんにしてみれば、いちおー私は恋敵に分類されるのだろうしね?

 

「……キウィおねえちゃんだって、キウィママとちゅーくらいしてるでしょ?」

 

 私の指摘にキウィちゃんが、ぴたり、と動きを止めて、色々思い出そうとして……。

 

「……あれはノーカン……あれはノーカンなんだ……っ!!」

 

 ……と何やら自己暗示をかけている様子。

 

(……キウィママのことだから、ぺろんぺろんちゅーしてそうだね……)

 

 見た目ちっさいキウィママだけども、キウィちゃんのこと大好きすぎるからね。そりゃあ、かわいい娘だものぺろぺろだってしちゃうよね♡

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