悪の女幹部にあこがれて   作:MIA

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93 とあるフェティシストの終焉

(……思っていたほど強くはないな)

 

 ふぅ、と息を吐いたルベルブルーメは、ロコムジカが吹き飛ばした影の様子を見て安堵していた。

 

 かつてのロードエノルメのように魔物を作り出す能力を持った魔法少女が相手かとも考えたがどうにも毛色が違う。

 

 自らが影を使う能力であるからか、単なる魔物とは異なることを何となく感じていた。

 

(……何かの模倣……強いて言うなら、影絵のようなものか?)

 

「……ふふふっ! ロコにかかればこんなものよ!!」

 

 どやぁ、とロコは胸を反らして上機嫌であった。

 

(……調子乗ってんなぁ……)

 

 ……相手があまり強くなかったことはあまり考えていないらしい。

 

「さぁ、ルベル! 早く合流する……わ……よ……?」

 

 上機嫌だったロコが、ひきつった笑みを浮かべる様子を見て、ルベルは後を振り返って……頭を抱えた。

 

「……まぁ、あの程度で終わるわけはないって話だよなぁ!?」

 

 ……増えていた。

 

 この手の相手が物量で押してくるのは考えてみればわかる話だ。ロードエノルメの戦い方もそんな感じだったし。

 

「……こっんのぉぉ!! 吹き飛びなさいっ!! ヴォワ・フォルテ!!」

 

 ロコの魔法が影を吹き飛ばす。彼女の魔法の威力()()は、レオパルトに次ぐ。……その威力は流石と呼べるものではあったが。

 

(……やっぱり増えるのか……面倒だな)

 

 ロコの活躍を嘲笑うかのように、影は増えた。

 

「……影操り」

 

 ……面倒だから、一箇所に集めて、ロコに吹き飛ばしてもらおう。そう考えての『影操り』だったのだが。

 

(……!? 操れねぇ!? ……同系統だからか!? 魔法耐性とかあんのかよ!?)

 

 これまで戦ってきた相手に魔法が効かなかったということがなかったが故の衝撃である。

 

 ……しかし、自分の魔法が効かないのなら……?

 

「……ちょっ!? ルベルぅ!?」

 

 ロコが慌てたように声を上げるが、ルベルには関係ない。

 

(……よぉく見えるぜ……いつもどおりになぁ!!)

 

 定位置。ルベルの特等席。……ロコムジカの影の中!

 

「……やだっ!? 見ないでよぉ!?」

 

 ロコが体を捩る。しかし、真下にいるルベルには関係ない。どれだけ隠そうが丸見えだ。

 

「……あっ……やっ……すまん……そのぉ……まだ、そんなことになってるとは思ってなかったんだ……」

 

 ……お出かけ前。二人はナハトベースのホテル内で……散々互いを貪った!

 

 割といつものこととは言え、際限ないほどに溢れてくる感情のまま、互いが互いを求め続けた。

 

 ……結果、つぼみに指摘されるほどの雌の匂いがしていたわけだが。

 

(……一応、シャワーも浴びたんだけどなぁ)

 

 ちなみにシャワーは別々だ。第二回戦が始まってしまうから。

 

 ルベルの方は多少の疼きはあれど、それほどではなかったのだが……。

 

 ロコの方は別だった! ぬっちょぬちょである!

 

(あー……さっきの衣装選びのせいか? ……いや、何考えてんだが)

 

 ナニを考えているのだろうが!

 

 だが、その恥じらい故に、ロコの魔力は最高潮である。

 

「……見ててやるからよぉ……やっちまえよ、ロコぉ♡」

「……あ、アンタ……こんなときに、何言って……!? ……でも、ルベルが言うなら……♡」

 

 ……ロコの手がそっと下半身に伸びる。

 

 ……ごくり、とルベルの喉が鳴る……そして、はたと気づく。

 

「……って、ちげぇ!? さっさと吹き飛ばしちまえ、って言ってんだよぉぉぉ!?」

「あっ!? そ、そうよね!? そっちよね!?」

 

(……まぁ、ロコが一人でするところは、また次回にじっくり見るとして)

 

「……吹っ飛びなさい!! フォルティシモ・カノン!!」

 

 ロコの声が、高まった魔力とともに、爆風をもって全てを薙ぎ払う。

 

 ……爆風が服を靡かせ、ロコの白いお尻を露わにする。

 

 特等席でルベルはロコのお尻と秘部を見ながら、鷹揚に頷いた。

 

(……おっぱいもいいけど、やっぱり尻だな♡)

 

 多くの者は習性故から、ロコの胸に視線を向けがちだが、ルベルからすれば、それはまだ浅い!

 脱がしてみればわかるが、ロコのエロさは胸だけでは完成しないのであるっ!

 特に下からのぞきがちなルベルからすれば、胸よりも尻なのであるっ!!

 

「……ねぇ、ルベル……さっきから変な視線を感じるんだけど」

「誰だよ!? アタシのロコをタダ見してるヤツは!?」

 

 許さん、とルベルが憤慨する……自分がソレだとは思いもよらないらしい。

 

「……こんの……後でおしおきするからっ!」

「えぇぇぇ……何でだよ!?」

 

 理不尽、とルベルは思うが、ロコからすれば、理不尽でもなんでもない。

 

(……おしおき……おしおきかぁ……♡)

 

 互いに攻めとか受けとかそのときの気分の二人ではあるが、ロコがそう言うからには、もの凄い攻めてくるということだろう。

 

 影の中、という誰にも表情を見られない場所にいるからこそ、ルベルは、ふへへ、とだらしなくにやけた。

 

 ……影の増援はなさそうだ、と二人は安堵していたのだが。

 

「……おやぁ? ……ロコムジカに……、ソレはルベルブルーメですかねぇ? ……こちらはハズレですかぁ」

 

 ……間延びした声が響き渡る。

 

「……アンタ……! シスタギガント!? これまで一体どこにっ!?」

 

 ロコが臨戦態勢を取る。

 それに併せて、ルベルも影から出る。

 

「……いや、それよりもだ。……これはお前の仕業か、シスタ?」

 

 ロードエノルメは魔物を作り出す能力を持っていたが、シスタギガントは自分の体を大きくする能力だったハズである。仮に新たな能力を得ているのだとすればとてつもない脅威であった。

 

「……いいえぇ? この件については、私には関わりのないことなのでぇ……もっとも? 利用できるなら利用したいとは思っていますぅ」

 

(……完全無関係ではないが、コイツ自体は何某かの目的があって姿を現した、ってところか?)

 

 ルベルはシスタのことは一時期同僚であったというだけで、そこまで深い関係ではない。

 ……だが、嘘をついていないことは何となくわかった。

 

「……『利用』するってことはよぉ……少なくともこうなった理由とか、タイミングとか……そういうのはわかってた、ってことだよなぁ?」

 

 ルベルの問いに、シスタは、くすり、と微笑みを浮かべる。

 

「……だとして。どうするつもりですかぁ、ルベルブルーメさぁん?」

 

 挑発的なシスタの言葉が終わる前に、ルベルもロコも行動を起こしていた。

 

「ヴォワ・フォルテ!!」

 

 正面からは、ロコの魔法! ルベルは影移動でシスタの背後を取る!

 

「……この程度ですかぁ……やはりあなたたちはハズレですぅ」

 

 ずがぁん、とロコの魔法が何かに当たって弾ける。

 それを気にした様子もなく、にたり、と笑ったシスタが振り返った瞬間とルベルは目が合った。

 

 ……そして、ルベルの視界は暗くなる。

 

 次いで衝撃。

 

「がはぁ!?」

 

(……何だ……何をされた……? ……いや、それより、ロコを逃がさねぇと……!)

 

 思考が十分に働いていない状態でもそれだけは考え、自らの体を影の中に沈めて移動する。

 

(……今のシスタはやべぇ! 少なくとも、レオと戦っていたときの比じゃねぇ!!)

 

 影の中を必死に藻掻くように移動して……呆然と立ち尽くすロコを影の中に引きずり込む。

 

「……おやぁ? 逃げられてしまいましたか……まぁ、ハズレはどうでもいいですぅ。もう一つの方を見に行きましょうかぁ」

 

 くるり、と踵を返したシスタを見送って、ルベルは自分たちの体を物陰に出現させた。

 

(……見逃された、か。……アイツ、アタシがどこに潜んでたか、わかってやがったな?)

 

 体がバラバラになりそうな痛みの中で、ルベルは考える。

 

 シスタはどうやら敵のようだ、と。そして……。

 

(……目的は、ベーゼか、レオか、アリスか……もしくは、アトラっていうこともありえるな……何れにしろ、早く合流を……っ)

 

「……ちょっ!? ……ルベルっ、ルベルっ!?」

 

 動こうとする意志に反して、体は反応を起こさず、ルベルはふんわりとした何かに受け止められた。

 

(……息が……できない……っ!)

 

 形を変えて、あったかくていい匂いがするソレは、ルベルの顔を包み……窒息させる。

 

 ……だが、幸せだった。

 

(……やっぱり……おっぱいも……いい、も……ん……だ、な……!)

 

「……ルベルぅぅぅぅぅぅ!!」




……念のため言っておきますが、死んでませんw

でも、僕は死に様はこうなりたいと思います!!
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