悪の女幹部にあこがれて   作:MIA

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96 掴んだ勝利!

 つぼみが勝利を示すように拳を天に突き上げた。

 

 見た目は死闘を制した勇者のような感じではあるが、現実は……。

 

(……ひっでぇな~……)

 

 ……レオパルト、本日二度目のドン引きである!

 

 まぁ、つぼみならシスタギガント相手であろうと何とかするだろうと思って、彼女のサポートをした訳ではあるが、レオパルトの斜め下方向に突き抜けた決着であった。

 

 シスタは気を失ったせいか、自らの魔法が解けて、元のサイズに戻っているが、びくんびくん、と体を震わせているし、白目剥いてるし、口からは泡を吹いているし……彼女が倒れている地面がちょっと湿っている。端的に言って、よい子にはお見せできないよ、って感じである。

 

 ……付近に撮影しているような人がいなくて良かった……シスタの尊厳的に。

 

(つーか、つぼみにとっては、大きくなったことで丁度いい感じの的になったんだろうけども……ないわ~……あれはないわ~……)

 

 つぼみ流・絶技、(乳)首狩り……恐ろしい技である。

 

 拳ではなく、オープンハンド……場合によっては、指のみで的を打っていたのだが、恐るべきはその多様性だろう。

 

 無呼吸で無数の突きを放ちつつ、手の形を変え、あるいは当て方を変える。

 

 あたかもそれは、無数の人間から一か所を愛撫されるような感覚を与えたことだろう。

 

(……あれ? もしかして、アイツ……ものすごく()()のでは……!?)

 

 レオパルトはちょっとゾッとした。

 

 ……その手技が自分や彼女の姉であるうてなへ本気で向けられたとしたら……?

 

 ……現状のシスタより酷い状態で、GO TO HEAVEN だろう。やべぇ!

 

(……え? 何でそんなに巧くなったの? 自分で試したのか? いや、アイツ、確かにそっち方面早熟というか、大分進んでるのは知ってるけども! うてなちゃん然り、若干アブノーマルな感じなのも知ってるけども!? でも、それだけでここまでって何なん!?)

 

 ……そして、ふと気づく。

 

『ウチの娘が天才過ぎて辛い!』

 

 レオパルトことキウィもよく見ている動画……彼女の学習速度は驚くほど早い(飽きっぽいが)!

 

(……ま、まさか……!? こっち方面もなのか!? 成長しているのか!? 実戦の中で! もの凄い成長速度で!)

 

 うてなへのマッサージ(やや性的)。この間はキウィのおっぱいを吸ってたし! 更にはこりすにも……!!

 

 そういった諸々のアレコレで彼女は、相手を悦ばせるツボを学んでいたのだろう。

 

 ……恐るべき才能である!

 

 レオパルトが戦慄する中、ネロアリスは、ぽっ、と頬を染めていた。

 

(……いや、アリスぅ!? そこは頬を染めるところじゃなぁぁぁぁい!! 『……壊れちゃうかも♡ どきどき♡♡♡』じゃなぁぁぁい!?)

 

 なまじ付き合いが長いせいで、彼女が何を考えているのかがわかってしまうレオパルトは頭を抱えたくなった。二人が最近アレな感じなのは、ばっちり目撃してしまったので理解はしているし、その関係性自体を否定するつもりは全然ないのだが、妹分たちのそういった生々しい情景を想像したいわけではない。

 

「……やはり素晴らしい逸材……っ!」

 

 マジアベーゼはマジアベーゼで感心したようにつぼみに改めて熱い視線を送っていた。

 

(ベーゼちゃぁぁぁん!? 新境地を見たような目をしないでぇぇぇぇ!?)

 

 ……いや、ベーゼとしては、新しい魔法少女の嬲り方を見て、今後の参考にしようとしているのであろうが。

 

 ……その前に、自分の妹が色々とアレな方向に進んでいることに危機感を抱いてほしい。

 

 …………。

 

(……あぁ……いや……今更、かぁ……)

 

 ふっ、と笑みを浮かべて、レオパルトは天を見つめた。……映るのはコンクリートの天井だが。

 

(……つぼみだもんなぁ……)

 

 色々と諦観めいた感想であるが、レオパルトの気持ちはその一言に集約された。

 

「いやっふぅぅぅ! 勝ったよぉぉ♡ おっぱいお化けに勝ったぁぁぁ♡」

 

 うへへぇ、とあまり人様にお見せできない笑顔を浮かべたつぼみが、くるくる、と回りながら、勝利の雄叫びを上げた。

 

 ……彼女がどうしてシスタギガントに向かっていったのか。それをよく表した言葉であった。

 

「ふはははははっ! 巨乳、死すべしっ! 慈悲はないっ! ……あっ、レオちゃんのは良い巨乳なんで別枠でっ! YES、きょぬー!」

 

(どっちだよ!?)

 

 ……まぁ、敵対する巨乳には容赦しない、ということなのであろうが、それにしても極端である。

 

(……それにしても、テンションたっかいなぁ~……)

 

 勝利の余韻、と言うべきか、それとも戦闘をしていた緊張が抜けたからなのか、つぼみのテンションがいつにも増して高い。

 

 きゃっほぅ、と奇声を上げながら、つぼみがアリスに抱き着き、アリスが、仕方ないなぁ、という表情をしつつ、ちょっと嬉しそうに彼女を抱きとめる。……普段と逆な感じである。

 

「……おぅ、お疲れ~」

 

 レオパルトも頑張った妹分を労うために、彼女に近寄ると、ぽむぽむ、と彼女の頭を撫でる。

 

 えへ~、とつぼみがちょっとだらしない笑みを浮かべるが……。

 

「……おっとと?」

 

 ふらり、と体をよろめかせ、アリスがそれを、きゅっ、と抱きしめた。

 

(……いや、そりゃそうだよなぁ……)

 

 つぼみがマジアアトラであり、こういった戦闘にも慣れているとは言え、今の彼女は変身前……それに守るべき相手が四人もいて、一人で魔物相手に立ち向かったのだ。

 

 彼女の精神性が若干バーサーカ……げふんげふん! バトルジャン……いや、勇敢であるとは言え、その疲労は相当なものであったことは間違いない。

 

「……つぼみちゃん!?」

 

 そんなつぼみの疲労具合を見て駆け寄ってきたのは、はるかであった。遅れて彼女の妹たちも続く。

 

 うるうる、と涙を目に浮かべたはるかは感極まったかのように、アリスごとつぼみを抱きしめた。

 

「もう! 心配したんだから! よ、よかったぁ~! ……それと、ありがとね♡ 私を……私たちを守ってくれて♡」

 

(……はるかっぴ、今、妹ちゃんたちのこと抜いてなかった……?)

 

「……アリスちゃんも、最初に助けに来てくれてありがとう♡」

 

 よしよし、とはるかがアリスの頭を撫でると、アリスは満更でもなさそうに、むふぅ、と満足そうな笑みを浮かべている。

 

(……んん~っ……? アリスの反応はわからないでもないんだけど……?)

 

 何せこりす本人が割とはるかには懐いているので、彼女に褒められるのは嬉しいのはわかるのだが、はるかがアリスにあまり拒否感を抱いていないのには違和感を覚えた。

 

 ……アリスに助けられたから、というのはわかるが……それでも、彼女はエノルミータに所属する悪の女幹部なのだ。……現にはるかはレオパルトからは微妙に距離を取っているし。

 

「「「……つぼみ~!!」」」

 

「……ちょっ!? 今はむりぃぃぃ!!」

 

 三姉妹がつぼみに飛びつくと、堪えきれずにつぼみはアリスとはるかをも巻き込んで床に倒れこんだ。

 

「つぼみ、さいきょー!」

「……つおい!」

「さすがつぼみ!」

 

 わちゃわちゃとじゃれてくる三姉妹を確かめるように、つぼみが抱きしめて……へへっ、と誇らしそうに笑った。

 

「……怖くなかった、三人とも?」

 

「「「うん!!」」」

 

「……なら良かった。……っはぁぁぁ~……つっ……かれたぁぁぁぁぁ~……っ!」

 

 大きく息を吐いたつぼみは、三姉妹のなすがまま、完全に地面に体を任せて大の字になった。

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