大宮の地でセイリュウの力を手に入れ、襲撃してきたドミネーターズを撃破した龍生達。
彼らが次に向かうのはどの地か…
「ということで!今回のコラボ動画は以上だ!ミツキチャンネルのリンクは概要欄に貼ってあるから皆見てくれ!」
「私のチャンネルでは道の駅のフルーツ特集をやってるのでそちらも是非。」
「それじゃあ皆、次の動画で会おう!ぐっば~い!」
龍生達はお互いの愛車に跨り次なる聖獣と出会うために東京から北上していた。
その道中ふとリュウセイチャンネルとミツキチャンネルのコラボ動画を撮ろうと言うことになり、彼らは道中のサービスエリアでカメラを回していた。
「これがリュウセイ達のやってる動画作成って仕事なのか?」
「ああ、そうだ。」
「なんつーか、すげえ楽しそうな仕事だな。」
そんな彼らの撮影風景をキリンジも見学していたが、笑顔で食事をする2人の様子にこれが本当に仕事なのかと驚いている。
「まあな。楽しい仕事だぜ。編集とか構成考えんのは大変だけど、こうやってカメラの前で色々とする時は特に楽しい!」
動画作りについて目を輝かせながら語る龍生に、カメラなどの片づけを終えた美月が声をかける。
「わざわざコラボ動画まで撮ってくださってありがとうございます。」
「良いってことよ!俺達の旅でも色々と手伝ってくれてるし、コラボするのは当然だ!」
今回のコラボ動画を撮れたことは美月にとってかなり嬉しいことであった。チャンネル登録者が少ない配信者が、チャンネル登録者数の多いチャンネルとコラボできることは自身の知名度向上やチャンネル登録者数の増加などに繋がるが、それ以前に美月は憧れの配信者である龍生と共に動画を撮れること自体が嬉しい経験だ。
「それじゃあ、休憩はこの辺で…そろそろ行くぞ。」
「おう!今回は長旅だからな。しっかり頼むぜ。」
撮影を終えた龍生と美月は再びバイクに乗り目的地に向かっていく。
彼らの目的地は関東を出てさらに北の地、かなりの長旅になるからか先を急ぎたいキリンジも休憩や息抜きをすることを許した。サービスエリアでは美月の愛車のガソリンも補給することができ、この先の長旅もこなせそうであった。
「結構遠いな~」
「まあな。しかも結構山奥の方だ。」
キリンジが示す次の聖獣がいるという地は東北の福島県や宮城県も超えた先にある岩手県だ。
バイク旅慣れしている美月からすれば、難なく行ける距離ではあるが龍生からすれば陸路で行くのは遠いと感じる場所だ。新幹線ですら時間がかかってしまい、飛行機で行くのが1番早く龍生もかつて動画の企画で盛岡の地を訪れた際は飛行機で移動していた。
「これホントに今日中に着くのか?」
「それは問題ない。俺の計算では夕方に着く。」
「となると、聖獣探しは明日か…宿予約したのは正解だったかも。」
今回の目的地が遠いためか、既に龍生達は宿を確保している。往路と復路でそれぞれ1日かかってしまうため、宿を2泊分確保確保し、初日は行きの移動、2日目は聖獣の捜索、3日目は帰り道という2泊3日の行程を予定している。もし見つからなければ泊まる日を増やす予定だ。
「とりあえず、長い行程になるしよろしく頼むぜ。」
「勿論だ。」
とは言え、キリンジ自らが動くことができるためか、龍生は移動時の負担や集中力低下などの弊害が少ない。キリンジも初めての高速道路を楽しんでいる。
そして東京を出て約8時間。
時刻は17時となり空も少し暗くなってきた頃に龍生達は岩手県の山の方にある民宿に到着した。
「着いた~!」
「結構暗くなっちゃいましたね。」
亀澤旅館と書かれた看板のある建物の前に龍生と美月がバイクを止める。
「それじゃあ休憩だな。またK-フォンで通話しようぜ。」
「ああ。それじゃあお先に~」
バイクに積んでいた荷物を手に持ち、龍生と美月は宿の戸を開けて中に入っていく。
風情のある木造和風建築の宿の受付カウンターには70近い年齢の白髪の穏やかな表情の女性がおり龍生達を出迎える。
「ようこそ亀澤旅館へ。私が女将の亀澤千代です。」
「予約していた平良です。」
「平良様ですね。お待ちしておりました…」
この民宿の女将を務める女性は、予約者の名簿を確認すると龍生の名前を見つけて改めてお辞儀をする。
「本日はお越しくださいましてありがとうございます。お二人の部屋は松の間となります。夕食は予約通りの18時でよろしいでしょうか?」
「どうする?美月、何時ぐらいがいい?俺は結構腹減ってるけど。」
「私も早い方が良いですね。」
「それじゃあ、18時で!」
受付を済ませて説明を終えると食事時間の話になり、予約通りの時刻での食事で問題ないと答える。到着から余り経っていないが、長旅で空腹気味の2人には丁度良い時間であった。
「それでは2階の食事会場でお待ちしております。それと大浴場の方は24時までなのでご注意を。」
「OKです。」
「それでは、お部屋まで案内いたします。」
旅館の説明を終えた女将に2人は部屋に案内され、ようやく休息の時を迎える。
「とりあえず飯までゆっくりしつつ周辺の地図でも見とくか~」
2人が案内された部屋は床が畳の和室で、黒い机の上にパソコンを置き座布団に座ってパソコン上で地図を開く。
「キリンジさんが教えてくれた座標の近くには、神社があるみたいですね。」
「なるほど…この夜坂神社ってとこか。」
パソコンで開いている地図サイトと、龍生のK-フォンに表示されているキリンジから送られてきた座標をそれぞれ見ながら聖獣の眠っていそうな場所を2人が探す。そして目に入ったのは夜坂神社という場所だ。山奥にある神社で石段、鳥居、社と神社に必要最低限な設備だけがあるこじんまりとした印象の場所だ。
『明日はここに行くのか?』
「そうだな…行ってみよう!」
「他にも聖獣さんが良そうな場所をいくつか探してみましょうか。」
2人がパソコン上の地図を画面に穴が開くのではないかというほどじっくりと見て、明日探す場所の目星を付けている間に夕飯の時間を迎えた。
「おお~!美味そうだな!」
予約していた食事時間に2人が下に降りると、食事会場のテーブルの上には豪華な料理が並んでいた。
「付近の海で取れた海鮮と山で採ってきた山菜を使った手作り料理になります。お2人のお席はこちらです。」
食事会場で待っていた女将に案内されて2人は指定された席に腰掛ける。
「こちらは穴から煙が出てからお食べになってくださいね。」
女将が1人用鍋の下の固形燃料に火を付けてから受付の方に戻ると龍生と美月が視線を交わし手を合わせる。
「「いただきます。」」
手を合わせて割り箸を2つに分ければ、早速目の前の料理を口に運んでいく。
「この刺身美味い!」
イカ、鯛、サーモン、マグロなどの刺身を口に入れていけば、醤油と絡み合った風味やその噛み応えのある身を2人が楽しむ。
「煮魚も美味しいですね。」
煮詰められて醤油などの味が染み込み、身も柔らかくなった魚の煮つけを食べていく。2人共魚の身を箸を使って骨から上手く剥がして柔らかくなった身を口に運んでいく。あっという間に煮つけも食べ終えるが皿の上に残った骨にはあまり身は残っていない。
「美月も最後の方まで食う方なんだな。」
「ええ、頬の部分も美味しいし、それに折角命を分けてもらってるんですから食べれるところは全部食べたいですし。」
「うん!俺もそう思う!」
他の客であれば魚の頭部までは食べないだろうが、2人は頭部の身もしっかり食べていた。しっかり最後まで食べるお互いの食事のスタイルが同じなことにお互い笑みを零す。
「次はいよいよ鍋だ!」
2人が魚の煮つけを食べ終えるころには鍋の固形燃料は溶け切り、1人用鍋の中身はすっかり温まり切っていた。ふたを開けると白い湯気が飛び出してきて、その下にはすき焼き風の出汁に煮込まれた肉と野菜がある。卵を割って取り皿に入れかき混ぜると、2人はそれぞれの鍋から野菜と肉を取り出しては溶き卵に付けて食べていく。
「卵と出汁が混ざり合っていい味だ!肉も勿論美味いし!」
すき焼き風の鍋料理などを楽しみ、舌が幸せな食事の時間はあっという間に過ぎてしまっていた。
その後部屋でゆっくりした2人は一度分かれてこの宿の目玉である場所に向かう。
「今は…私しかいないみたいですね…」
そう、大浴場である。
この日一日だけでなく、日頃の疲れを体の汚れと共に洗い流してくれるだけでなく、風で冷えた体を温めてくれる。その温泉はちょうど人もいない様子で1人だけで満喫できそうな雰囲気であり、美月は少し安心した様子で脱衣所のロッカーを開ける。
「1人ならゆっくりできそうですね~」
そう独り言を零しながら部屋に備えられていたタオル類と浴衣を置くと、自身の赤い髪を縛っていたゴムを外してから自身の上着として着ていたセーターを脱ぎ、他に身に着けていたものも次々と外していく。
「行きましょうか…」
生まれたままの姿となりEカップの豊満な胸をタオルで覆い隠しながら浴室に入っていく。腹回りに無駄な肉もなく、尻など腰回りも引き締まっていて男性陣からすれば理想的な肉体をしている。顔も可愛らしくもし大学などに居れば多くの同級生や先輩後輩を魅了してしまうだろう。海にでも行けば周囲の男性陣の視線を集めかねない。身体を一通り洗ってから美月は露天風呂に向かう。天然温泉故に温泉成分が溶け込んで白く濁った湯に足から浸かっていく。
「気持ちいい~」
肌の保湿成分と、身体の疲れを癒す成分が溶け込んだ湯に体を浸からせていく。
「良いお湯~」
普段から保湿に気を使っていて肌質も良い状態の美月であるが、温泉成分によって肌のさわり心地はより滑らかになる。自分の手でお湯を付けて温泉成分をさらに体に染み込ませていく。
(今日はずっとバイクに乗ってたから、温泉が身体に効く~)
特に今日は美月は6時間以上バイクに乗って移動していたためか、肩や背中などが凝ってしまっている。温かい温泉に身を付けることで血管を広げて硬くなってしまった身体を癒していく。
「ハハッ!いい湯だ~」
ここは露天風呂だからか、隣の男湯でゆっくりしている龍生の声が響いてくる。
「そっちも気持ちいいですか~?」
「おう!って言ってもほとんど同じ温泉だと思うけど!」
男湯も女湯もそれぞれ人がいないからか、男女を分ける壁越しに昭和の銭湯のような会話を2人が繰り広げる。
「この宿を選んでおいて正解だったな!」
この宿を予約した龍生自身は食事の内容や温泉の気持ちよさに満足している様子だった。男湯の方は女湯と構造は変わらず出ている温泉も同じでそこに龍生1人が浸かっている。裸体の龍生は引き締まった体が露になり割れた腹筋などを曝け出している。
「さーて、明日頑張るか~」
龍生と美月は温泉で身体を癒し、明日に備えるのであった。
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「じゃあ行くか、夜坂神社に。」
そして翌朝。早速龍生と美月は昨日目星をつけた神社に向けて歩いていた。
龍生はキリンジのハンドルを握りながら押してやって、山道を移動していく。
道路はある程度舗装されているからか移動の際の足腰への負担は少ない。
「それで、俺が渡した座標的にはこの辺なんだよな?」
「そうだな。例の神社とか他に俺らが目星付けた場所はもうすぐそこだ。」
『ああ、どうやらアイツがこの辺にいるみたいだな。アイツの気配を感じるぜ。』
下調べをしていたからか、龍生達はすぐに次なる聖獣が眠る場所に近付いていた。
セイリュウも自分の仲間が近くにいることを感じ、ディスクが宙に浮かんで龍生達の周囲を浮遊する。
「それで、この地に居るっている聖獣さんは誰なんですか?」
『ここにいるのは間違いねえ。ゲンブの野郎だ。』
「玄武…」
玄武と言えば青龍に並び四神の1体としてよく知られている霊獣である。
彼もまた青龍と同様に惑星レインの四聖獣であり、伝説の戦士であるようだ。
「北はやっぱり玄武だったか。」
大きな亀に蛇が纏わりついたような姿をしていると伝わっている玄武だが、彼は四神の中でも北を守護する存在と言われており、その伝説通りといっても良いのかは分からないが日本国内でも北の方である東北地方に眠っていた。青龍は東を守護する存在であり、彼も日本では東側に当たる地に眠っていた。
「それで、セイリュウ。玄武ってどんな奴なんだ?」
『ゲンブはまあ、俺と違ってHardでHeavyな奴だ。分かりやすく言えば厳格な奴だ。』
「お堅い方なんですね…」
始めから龍生達にフランクに接してくれているセイリュウと違い、ゲンブは気難しい性格だそうだ。
『ただ、義理堅い性格だからな。昔の仲間の俺とかキリンの坊やの子孫がいるなら話は聞いてもらえるだろうな。』
「じゃあ、ゲンブ見つけた後は俺とセイリュウさんで色々と話して協力してもらうのが良さそうだ。」
厳格な相手を説得すると言うことで、何か話の過程で間違いがあればこちらに手を貸してもらえないというリスクがある。そこで彼と直接話すのはキリンジやセイリュウと言った彼と関りのある者達が行うことになった。
「よし、登るか。」
「俺は一旦ここで待っておくから、何かあったらK-フォンで連絡してくれ。」
「分かった!」
龍生達が夜坂神社という神社に到着すると、その神社は山の上にあるようで石段を登る必要がある様子だ。麓にある広いスペースにキリンジを駐車しておき、龍生達はその石段を登っていく。
「き、キツいです…」
階段の段数はかなりあるようで、登る途中で美月はバテテしまっているが…
「ん?俺はまだまだ余裕だぜ。」
龍生は体力がまだまだある様子で平然と石段を登っていく。
龍生は普段の旅や、様々な企画をこなす程度には体力があり、学生時代も体育で良い成績を残し続けていた。陸上部などの運動部からたびたび勧誘を受けていたが、本人にやる気がなかったのでそれらは全て固辞していた。
「これでちょうど半分だな。」
「ま、まだ半分何ですか…」
恐らく100段ぐらい彼らは石段を登ってきたが、それでちょうど半分ぐらいである。
龍生はまだ体力に余裕があるが、美月は息切れして膝に手をついて下を向いている。
「よし!一気に行くか!」
「あ、ちょっと…!」
体力的な余裕がある龍生は石段を一気に駆け上がっていく。
美月はそれに付いて行けず、ゆっくりと石段を登っていくが、龍生との差が徐々に広がっていってしまう。その時だった…
『グアアアアアアア!!』
突如山上の方から雄叫びと地鳴り音が響いたかと思えば、地面が大きく揺れる。
少しバランスを崩した龍生が姿勢を低くし手を地面について、石段から転げ落ちないように踏ん張ってから上を見上げる。
「なんだあれ!?」
『アイツは…ゲンブ!』
先程まで鳥居などが見えていた山の上の境内に突如山のような金属の塊が現れる。その姿は巨大な亀と言えるような姿をしており、前後の足は戦車の様なキャタピラになっている。その尾からは伝承上の玄武と同様に蛇が生えている。そのゲンブの巨体の大きさは神社の本堂を超えており山の上に鎮座するその姿は白や要塞にも見える。
「あれが聖獣なのか…けどなんで急に出て来たんだ?」
『分かんねえ。それに昔よりもBigになってやがる!』
「巨大化までしてるのか…」
突如出現したゲンブの存在に驚いていると、甲羅の前側が開いて幾つかの砲門が現れる。大砲は山の下の方を向いている。
『アイツまさか!』
「セイリュウ!キリンジ!力を貸してくれ!」
「わかった!」
ゲンブの甲羅にある窓が次々と開き、大砲が顔を出すとそれらがこの周囲の山々や麓の街や集落に向けられているのが分かる。その瞬間龍生はK-フォンを手に取りキリンジに呼びかける。すると龍生の腰にレイバドライバーが出現する。
「美月は宿に戻って皆に逃げるように言ってくれ!これからヤバいことになる!」
「わ、分かりました!」
龍生に追いついた美月もこの光景に少し驚いていたが、彼の指示を受けて下に降りていく。
『セイリュウライナー!』
『ローディング!』
そして龍生はセイリュウのコアディスクをドライバーに装填する。
「変身!」
『アップロード!ドラゴンパワー!』
龍生の身体は青いイナズマを纏いながら仮面ライダーレイバ・セイリュウフォームの装甲を身に着けていく。
『サンダードラゴン!』
龍を模した列車、セイリュウライナーへと姿を変えたキリンジが石段の上に現れたゲンブに向けて線路を伸ばし、その上を駆け上がる。
「いくぞ!キリンジ!」
レイバ自身の登っていくセイリュウの上に飛び乗り、彼と共に夜坂神社の境内に向かう。
その境内に鎮座するゲンブの甲羅から展開される大砲が火を噴く。砲門から飛び出した鉄の球が放物線を描きながらレイバとキリンジに迫っていく。
「ハアッ!」
レイバがレイズナギナタを両手で持ち、刃先を砲弾に向けた状態で構えれば剣先から青いイナズマが放たれて砲弾に当たればその鉄球は粉々に砕けてその欠片は地面に落ちていく。
「それ!」
雷を纏うセイリュウの身体が、ゲンブに激突すると山のようなその巨体が揺れる。
「アレは!」
相手に激突した後、軌道を逸らし退避するセイリュウライナーの上に乗るレイバは、ゲンブの上にいる何者かを目撃する。
「あれがケンタロノイドを倒したレイバか…」
それはタコ、と言うより伝説上の生き物である大海の巨大タコのクラーケンの姿を模したクラークノイドであった。
「龍生はアイツを頼む。俺はゲンブを抑える!」
「分かった!」
キリンジもクラークノイドがこの場に居ることを把握すると、セイリュウライナーとなった自分自身がゲンブを抑えてその間にレイバにクラークノイドと戦ってもらうという指針を決める。
セイリュウライナーから飛び降りたレイバがゲンブの甲羅の上に着地すると、眼前にいるクラークノイドと向き合う。
「来たかレイバ。だがゲンブを手中に収めた私に勝てるかな?」
「手中?どういうことだ?」
「それは、こういうことだ!」
ゲンブの甲羅の上で対峙するレイバとクラークノイド。クラークノイドが右手を上げると甲羅の上側の扉が開いて幾つかの固定砲台が顔を出す。固定砲台はガトリングガンやライフルなど様々な重火器が取り付けられており、複数の固定砲台の銃口がレイバに向けられる。
「撃て。」
その銃口が火を噴き、鋼鉄の弾丸が次々とレイバに向けて放たれる。
「マジか!?」
無数の弾丸に反応したレイバは全身に青い稲妻を纏う。
稲妻を自身の足元に向けて放つと、レイバは空中に向けて飛び上がってゲンブから放たれた弾丸を全て回避する。
「追撃せよ。」
固定砲台の砲手が動いて上を向き、宙に浮くレイバを狙う。
一方のレイバは稲妻を足から出してその推進力で空中を歩く様にして飛び、飛んでくる弾丸を回避していく。
「なんでゲンブはアイツの指示を…?」
クラークノイドの指示を受けて甲羅の上に展開した固定砲台を使ってレイバに攻撃を仕掛けるゲンブ。
「何でこっちを撃って来るんだよ!?ゲンブとセイリュウは仲間じゃなかったのか?」
ゲンブのかつての仲間であるセイリュウライナーの姿になったキリンジに対しても、ゲンブの放つ砲弾が容赦なく飛んでくる。
列車が何両にも連なる巨体に稲妻を纏わせて砲弾を跳ねのけて防いでいく。
『Hey!ゲンブ!俺だ!撃つのをやめてくれ!』
セイリュウ自身もゲンブに呼びかけるが、その意に応えることなく新たな大砲から砲弾が放たれる。セイリュウライナーは自身の車輪部からレールを伸ばして砲弾を弾く。
「何でずっとこっちを狙ってくるんだ?」
『分かんねえ!』
さらにゲンブの尾から伸びる大蛇が口を開け鋼の牙を向けてセイリュウライナーに向かっていく。
「ここは容赦なく、行くしかない!」
説得は通じないなら全力で戦い、敵の攻撃を防ぎつつ攻めるしかない。
そう考えてセイリュウライナーとなったキリンジは全身に雷を纏わせて、レールを大蛇の頭部まで伸ばすと全力力で突進していく。
「おりゃあ!」
大蛇の頭部とセイリュウライナーの頭部が激突するとともに稲妻が放たれて大蛇が弾かれてゲンブの甲羅内に退く。
「厄介な砲台だ…」
固定砲台による攻撃を空中で回避し続けるレイバ。手から放つ稲妻とレイズナギナタによる斬撃で大小さまざまな弾丸や砲弾を防いでいく。
「なんでゲンブは俺やセイリュウ達に攻撃してくるんだ?もとは味方なのに!」
雷を纏い勢いよくレイバが甲羅の上に降り立つと、その周囲に青い稲妻が放たれて固定砲台を打ち砕いていく。
「当然だ。我々の技術力によってこのゲンブは我が手の中にある。」
「どういうことだ?まさか…お前がこのゲンブを操っているのか!?」
「ご名答。聖獣を操る機械を作るなどこの私にとって容易なこと。そしてゲンブの力を我が物とし、この地球を収めるも私にとっては容易なことだ。そのついでに巨大化までさせた。これで効率もさらに上がる。」
クラークノイドはドミネーターズが誇る知恵者であり、技術者である。特殊な武器や装置を用いてドミネーターズの勢力拡大に努めてきていた。そんな彼が行った策とは、聖獣を操る装置を作り聖獣の力を自らのものにすることであった。
「へえ~そういうことか。じゃあとっととコイツを開放してやんねえとな。」
ゲンブがなぜ今自分達の敵となってしまっているのか分かってしまえば、レイバは防衛から攻撃に切り替える。レイズナギナタを構えるとその先端部からクラークノイドに向けて雷を放つ。
「防ぎなさい。」
するとゲンブの甲羅の鱗が展開し、盾となって雷を防ぐ。
「硬いし、銃撃も来る…けどそれは、ゲンブの力だ!」
雷による攻撃は防がれてしまったが、レイバはクラークノイドに向けて走り、展開された鱗も飛び越えて再び雷を放つ。
「…っ!」
その雷はクラークノイドに向けて放たれたもので、その一撃を触手で防ごうとするが強力な雷によってクラークノイドの持つ8本の触手の内1本が撃ち落とされる。
「さて、一騎打ちだ!」
「御断りです!」
レイバは更にクラークノイド自身を狙ってレイズナギナタを振るい、攻撃を仕掛けるが彼とクラークノイドの間にゲンブの背から展開された新たな固定砲台が現れてレイバの進路を妨害するとともに装備されたライフルの弾丸を浴びせる。
「そう簡単にはやらせてくれないってことか…」
銃撃を受けて後退したレイバを、更に展開された固定砲台が取り囲む。
「キリンジ!頼んだ!」
レイバの一声と共にセイリュウライナーの車体がゲンブの甲羅に巻き付く。
「痺れるぜ!気を付けろ!」
ゲンブに巻き付いたセイリュウの全身から青い雷が放たれる。セイリュウの身体から作り出された電撃はゲンブの全身を駆け巡りダメージを与えると共に、彼の甲羅の上に立つクラークノイドにも流れる。
「な、なんだ!?」
レイバ自身も雷の力を使うことができるためか、ゲンブに流れる大電流による影響は受けていないが、クラークノイドにはかなりのダメージが与えられている。
『グオオオオオオオオ!!』
そして、何よりもダメージを受けていたのはゲンブ自身であった。巨大な金属の塊である彼の身は、セイリュウの身体から作り出される大電流を通しやすくその電撃は全身に伝わり、ゲンブの体内にある重要な機関にも負荷をかけてしまう。
「お、落ち着くのです!ゲンブ!」
ダメージを負ったゲンブの身体が激しく揺れていく。自身が立つ場所が揺れることでクラークノイドは敵の眼前で動揺を隠せない。
「ゲンブを!返せえ!!」
その隙をレイバが見逃すはずもなく電撃を纏うレイズナギナタを縦横無尽に振るい、一撃、二撃と何度もクラークノイドの身体を切りつける。刃で切られるだけでなく、そこから雷が身を襲うことでクラークノイドはかなりの傷を負い、ゲンブの甲羅の上を転がる。
「し、しまった!」
そんなクラークノイドの横に真っ二つに割れたデバイスの様なものも転がっている。
そのことにレイバとクラークノイドが気付くと共に、ゲンブの巨体が光を発する。
「これは…」
ゲンブの巨体があった空間が一瞬にして無となる。自分達が先程まで立っていた地を失ったレイバとクラークノイドは地面に向けて落ちていく。
「龍生!」
空中でレイバの身体はセイリュウライナーに受け止められると、特にダメージもなくセイリュウと共に地面に降り立つ。
「クソッ…!洗脳装置が破壊されてしまったか…」
一方で、クラークノイドはそのまま落下して地面に叩き付けられる。何とか触手でダメージこそ軽減できているが、彼にとってもっと痛い事態が起きていた。それはゲンブを操っていた洗脳装置が破壊されてしまった事だ。ゲンブの巨体が突如消滅したことも洗脳装置の故障が原因であった。そして…
『貴殿らが我を救ってくれた戦士か…久しいな。セイリュウ。』
コアディスクのみとなったゲンブが光を纏って浮遊し、レイバの下に向かう。
『まあな、こいつらが俺の新しいBrotherだ。ちょっくら力を貸してやってくれ。』
『当然だ。我を救ってもらった恩をここで返す。』
クラークノイドの洗脳から救われたゲンブは、恩人である龍生達に協力して欲しいというセイリュウの願いを聞き入れた。
『貴殿ら、名は?』
「俺は平良龍生、仮面ライダーレイバだ。」
「そして俺がキリンジだ。よろしく頼みます!」
『ウム、では龍生、キリンジ、共に戦おう。』
ゲンブのコアディスクが龍生の手に収まる。
『ゲンブタンク!』
『ローディング!』
レイバは自身のベルトからセイリュウライナーコアディスクを引き抜き、新たにゲンブタンクコアディスクを挿入する。
『アップロード!タートルパワー!』
そしてレバーを引くと、伝承上の玄武と同じく亀と蛇が組み合わさった幻影が現れる。玄武の幻影が2つに分かれ1体はレイバ自身に、もう1体はキリンジに入っていく。
『タートルフォートレス!』
レイバの身体は灰色に変色し、胸部や肩部は亀の甲羅を模したアーマーに包まれる。両手両足、両肩にそれぞれ2本の砲塔が装備され、背中からは蛇を模した尾が生えている。キリンジの姿も先程彼らが対峙したゲンブタンクの姿に変わる。だが、彼らと対峙した時は城ほどの大きさであったが、キリンジが変化したゲンブタンクの大きさは各国の軍が用いる戦車などよりも小さくなっている。複数名が乗れる装甲車程度の大きさではあるが武器は十分に装備されている。
「いくぜ!」
「おう!」
仮面ライダーレイバ・ゲンブフォームとなった2人が各々の身に装備された砲塔を、クラークノイドに向けるとその砲門から火を噴けば複数の鉄の球がクラークノイドに放たれる。
「防ぎ切れるかッ…!?」
クラークノイドは自身の金属の触手を振るって砲弾を防ごうと試みるが、レイバ自身の身に搭載された砲塔は12本。ゲンブタンクからは甲羅上から大きめの砲塔が3本、側面からは左右3本ずつの計6本。そして前面には甲羅の戸が開いて顔を出す砲門が3つと合計12本の砲塔が敵を狙っている。そこから放たれる砲弾の数は多く、防ぎ切れないためかクラークノイドはその身に何発かの砲弾を直撃させてしまい火花を散らしながらクラークノイドは地面を転がる。
「小癪な!」
だがすぐに体制を立て直し、金属の触手を伸ばしてレイバに向けて振るう。
「ハアッ!」
自身に振るわれる触手に対し、レイバは正面からパンチを打ち出して防ぐ。
拳と触手がぶつかるとともに、両手に装備された砲門が火を噴き砲弾を放てば拳と砲弾が同時に当たることによって触手が弾かれてレイバは触手による攻撃を防ぎ切る。
「どれだけ撃とうと無駄だ!」
だが、レイバに向けて放たれる触手は複数本あり、砲弾でその触手が自身の身に達する前に撃って攻撃を防ぐことにレイバは集中せざるを得ない。
「龍生!任せてくれ!」
クラークノイドにとって脅威的なのはレイバ自身だけではない。彼自身が手にしようとしたゲンブタンクの姿になったキリンジである。体の大きさを失った代わりに機動力を得たゲンブはキャタピラを回転させてクラークノイドに向けて突撃する。
「頼むぜ!蛇ちゃん!」
ゲンブタンクの行動に反応したクラークノイドが触手を伸ばすが、それに対応するようにゲンブの尾から伸びる蛇が鞭のようにしなって伸びてくる触手を弾く。そして幾つもの砲塔から弾を放って他の触手も撃ち払って突破口を開く。
「お!それ良いなあ。俺も使っちゃおう!」
レイバも自身の背から生える蛇の姿を模した尾を伸ばし、鞭のように振るって自身に向かう触手を防ぎながら敵の周囲を駆ける。
「さあ、撃ちまくれ!」
レイバがクラークノイドの後方に回り込めば、クラークノイドの前面からはゲンブタンク、後方からはレイバの放つ砲弾が敵を襲う。
「防ぎ切れない!アアッ!!」
前後から放たれる幾つもの砲弾をクラークノイドは複数本の触手を振るうことで防ごうとするが、その防御を搔い潜った砲弾がクラークノイドの身体に当たりダメージを与えていく。クラークノイドの持つ触手は8本であったが、先程のレイバの攻撃で1本失っていたため残りの7本で2方向からの攻撃を防ごうと試みていた。
「撃ち落とせ!」
「OK!」
さらにレイバとゲンブがそれぞれ1本ずつ触手を狙い、そこに複数の砲弾を一気に撃ち込み破断させる。
「馬鹿な!?」
この攻撃で3本の触手を落とされ、クラークノイドが8本持っていた触手は4本になってしまった。
「決めるぞ!キリンジ!」
「おう!」
『ゲンブパワー!フルバースト!』
弱体化してしまったクラークノイドにトドメを刺すべく、レイバはドライバーのレバーを引く。
灰色のエネルギーをその身に纏ったレイバが飛び上がると共に、ゲンブタンクが砲塔からレーザービーム放たれる。その攻撃を防ごうと伸ばしたクラークノイドの触手も全て撃ち落とされて地面に落ち、ビームはクラークノイドの身体を撃ち抜く。
『ゲンブ!フォートレスフィニッシュ!』
「嘘だあああああ!!」
そして、レイバの飛び蹴りが全ての触手をクラークノイドの胸部に炸裂するとともに、脚部の砲塔が火を噴きクラークノイドの身体が吹き飛ばされる。
「ドミネーターズに!栄光あれ!」
体にたまったダメージが限界を迎えたクラークノイドの身体が地面に倒れ伏し、爆散して金属の破片を散らす。
『見事な戦いだった。』
敵を打ち倒したレイバとキリンジに、ゲンブからの賞賛の言葉が投げかけられる。
「うん!ありがとう!」
『見事な絆であった。我も今後貴殿らと共に戦わせてもらうとしよう。』
「頼りにしてます!ゲンブさん!」
変身を解除した龍生の手の中に、ゲンブのコアディスクが収まる。
「それじゃあ、美月達のとこに戻るか。」
「そうだな…」
そして龍生はキリンジに跨り、旅館に帰っていく。
「龍生さん!キリンジさん!戦いはどうなりましたか?」
「おう!勝ったぞ!」
戦いを終え、旅館に戻ってきた龍生らの下に美月が戻って来る。
「住民達の方は大丈夫だったか?」
「はい、一度旅館に戻って話をしたらすぐに皆さん避難してくれました。あのお城みたいなの、旅館からでも見えたので…けどそれが見えなくなってから皆さん戻ってきました。」
「オッケー。俺達も何とか事件を解決できたよ。ありがとう。」
住民たちの避難誘導をしてくれた美月の頭を、龍生は優しく撫でる。
「あ、ありがとうございますッ…」
頭をなでられた美月は、恥ずかしそうに両頬を赤く染める。
「それに良かった。ここの旅館や他の人達も守れて。これからも頑張ろうな!」
「はい!」
龍生達とドミネーターズの戦いはまだまだ続く。
だが、龍生は無事な様子の旅館やそこにいる人々の様子を見て笑みを浮かべる。
ここに居る人たちを守れたことの嬉しさが、龍生の気持ちを支えてくれるのであった。
「動画でも撮る?」
「そうしましょう。」
「ああ、好きなだけ撮ってこい。俺もちょっと休みたいからな。」
平和に戻ったこの地で2人はカメラを回し動画を撮ることにし、キリンジも優しく2人の様子を見つめるのであった…
仮面ライダーレイバ
『ヒーロー!』
『ローディング!』
『アップロード!ザ・ヒーローアーマー!』
ヒーローコアディスクによって龍生とキリンジに与えられる力。
変身者は特殊な変化をしたライドレイニウムで形成されるボディに包まれ、キリンジはレイバとなった変身者をサポートする武器を装備する。
通常形態はヒーローコアディスクで変身するヒーローフォーム。嘗ての惑星レインの英雄の力を持つ。
見た目
黒のボディスーツの上から黄色の機械的でアーマーが装着されている。
頭部はマシンキリンジと似た2本の角が生えたヘルメットが装着されている。
主な装備
レイバドライバー
マシンキリンジから生成されるベルト。
ヒーローコアディスクを挿入することで変身者の身体にレイバのアーマーを装着させる。
また、特殊なコアディスクを装填することでレイバとキリンジに様々な力を与える。
レイズヘルメット
変身者の視覚をサポートする機能があり、サーモグラフィーや暗視などの機能が搭載されている。
レイズブレード
レイバが装備する2本の剣。
それぞれにコアディスクを装填することが可能。
レイヤーキャノン
マシンキリンジのシートカウルに装備されるレーザーキャノン。