旅させてくれないから家出したわwww   作:ガチャ石は貯めない

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本気でこい(1)

「参加するのはいいけど、そもそも参加方法ってなんだよ。」

「ポケセン行こうね〜」

 

【ポケモンワールドチャンピオンシップス】への挑戦を決意した一般通過トレーナーであるユウキは、現在はオーキド博士の研究所でダラけていた。

 

そもそもバトルは好きだがもう目立ちたくない彼にとっては、こんな大会に参加する気はサラサラなく、親友の頼みを聞く為だけの参加みたいなものだった。

 

「と言っても……今シーズンはもう終わってるし、参加となると来シーズンになるな。」

 

「へ〜……となると、かなり先になるんじゃないか?」

 

「そうだな。……でも、それでいいだろう?育成の時間も取れるし、何よりオーキド博士とウチの親が支援してくれるんだからさ。」

 

「そりゃあ、その通りだがよぉ……」

 

やはり乗り気になれない。

しかし、仕方の無いことなのだ。

 

彼は自由に旅をして、強くなろうとしていた。

それは際限なく、止めどなく溢れていた。

しかし……今はそれがなりを潜めている。

 

理由は単純。

今の現状が、ポケモンジムの挑戦や旅をして多くの発見や出会いが全くと言っていいほどないからだ。

 

彼は自分から決めたこと、他人にやらされても興味があれば進んでやり始める性格である。

故に、今の彼はやる気がデフレ状態なのだ。

 

ミアレシティでのポケモンの育成は終わったのかって?結論から言うと、結局できてない。

 

なんなら、嫌な予感がして即帰宅したのでポケモン達が"殆ど育ってない"ままなのだ。

しかも、その育成が自分の育てたポケモン達を見てさっさと自ら訓練し、強くなった事でやる気が大層無くなった。

 

"殆ど育ってない"とは言ったが、それはトレーナー目線の話。レベルではちゃんと育成されてるのでさらに気分がブルーなのである。

 

わがままだって?

"抑制"されてきたものは"爆発"させたら気の済むまでやるもの……我慢のし過ぎが良くないのはこういう事なのだろう。

 

兎にも角にも、彼は"不自由"から"自由"になったことで今の今まで好きに生きていた。

 

カントー、ジョウト、アローラ。

 

前提条件(旅を始めた理由)は色々違うが、それでも自分の意思(・・・・・)で進んできたし、旅の終わり(目標)を自分で定めていた。

 

そして結果として、彼の旅は一度終えた。

 

それ以降の旅は全て、エピローグ後の平凡で非日常な日々(エンドコンテンツ)

 

要は、旅を始める理由が"強制"されたとしても"誰か"からの支援を受けたくはないのだ。

 

彼のハッチャケ(・・・・・)によって色々な人たちの手を借りることはあったし、色々な人に迷惑を掛けた。

 

それについては反省しているし、(後悔はしていないが)出来る限り迷惑をかけないようにしている。

 

────故に、今回の"イベント"は参加したくないのだ。

 

旅の費用、育成の費用───それらは元々"ポケモンリーグ"に挑むために"ポケモンリーグ本部"からの支給もあった。

 

………まぁ、序盤の序盤にしか使わなかったのだが(バトルほぼ無敗)。

なんだこの初心者トレーナー!?となったであろう関係者各所の皆様の顔が浮かぶかもしれない。

 

けれども、彼はその"不自由"すら楽しんで、己の糧にして旅をしていた。

おかげで、大抵の事はできるようになったし、ポケモンとも仲良くなった。

 

さて、そんな彼にとって今回のイベント──【ポケモンワールドチャンピオンシップス】は彼にとって興味が引かれるものなのだろうか?

 

 

─────興味はある(・・・・・)。だが、そこまで熱意はない。

 

 

それが、今の彼の答えだった。

 

己の成長がない……なんて馬鹿なことは言わない。

 

けれど、挑む為にはいずれ背負う"期待"、それを背負う"責任"。

 

それを、一度でも"理由"があっても"放棄"したのだ。

 

─────それを再び、背負える気概は、彼にはもうなかった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、そんなグータラなユウキを遠め越しに見ている3人が居た。我らがカントーのレジェンド達である。

 

「「「…………」」」

 

ユウキという、超新星"だった"存在が今のような状態になっていることに、3人は酷く痛ましさを感じていた。

 

アローラリーグ、チャンピオン戦での敗北

その後の昏睡による、カントー・ジョウトリーグへの未挑戦。

 

更には、過去のイッシュ地方へ飛ばされ世界を(間接的に)救い、ヒスイ地方でのポケモン達との再開。

 

そして、ミアレシティでの一件など……たしかに、出会いや別れがあったがそれだけ。

 

今回のイベント──【ポケモンワールドチャンピオンシップ】もそうだ。

 

出会いもある。

別れもあるだろう。

強いトレーナーとの手に汗握る勝負(バトル)もあるだろう。

 

けれど、3人は理解していた。

 

そんなの(・・・・)、道中であればいいのだと。

 

彼が求めているのは、その上で多くの興味を惹き付けられながらする旅路(・・)なのだと。

 

それが例え、危険なことであっても、試練であっても、強大な悪意であろうと───

 

─────そんなものすら楽しむ(・・・・・・・・・・)、そんな旅がしたいのだと。

 

 

故に、【ポケモンワールドチャンピオンシップ】には"興味"はあるが、気が進まないのだろう…。

 

それを、3人は理解していたのだ。

 

しかし、それを理解していても………

 

 

今の彼の、ユウキの状態を許すことはできなかった(・・・・・・・・・・・)─────!

 

 

リーフは物陰から、ユウキの元に歩いていく。その様子を、他2人は黙って見ていた。

 

 

「………ねぇ、ユウキ。」

 

「───あ、リーフさん。こんにちは。」

 

「ええ、こんにちは。そして───

 

 

リーフは手を腰に伸ばし、そこからボールを1つ取り、ユウキに向けた。

 

 

バトル(・・・)よ、今すぐ立ちなさい。」

 

「─────!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………なんでいきなり、なんて言いませんよ。──トレーナーたるもの、目と目が合えば、それがバトルの"合図"──ですから。」

 

「そうね。けど───」

 

「今の君に、私が倒せる?」

「そうかな?やって見なきゃ分からねぇぞ?」

 

その言葉と共に、ユウキとリーフは互いにポケモンを繰り出した───!!

 

「ピカチュウ!」

「ドードリオ!!」

 

リーフが繰り出したのはドードリオ。

ユウキは警戒しつつも、先手を取りに動いた。

 

「ピカチュウ突っ込め!」

 

ユウキは即座にピカチュウに指示を飛ばす。

ピカチュウはユウキの指示の通り、ドードリオに向かっていく。

 

「────」

 

しかし、リーフは何も言わない。指示を出さない。

 

「(指示を出さねぇ…何かを、誘っている──?)」

 

ユウキの疑問はつかないが、警戒を怠らずに次の指示を伝えようとして───

 

「「「ギョアーーー!!!」」」

 

「「!?」」

 

突然ドードリオのクチバシによる攻撃が始まった。その攻撃は、ドリルのような突き!

 

「(ドリルクチバシ!!)アイアンテール!!」

 

「ピカ!!チュゥピッカァ!!」

 

ピカチュウのアイアンテールとドードリオのドリルクチバシの打ち合いが始まる。

手数はドードリオに分があるが、ピカチュウはギリギリを見極めて受け流している。

 

「そこ!!」

 

ユウキの指示は、的確。一瞬の隙も見逃さない。

 

「──今。」

 

しかし、それはリーフも同じ。

短く、淡々と指示を出した。

 

早かったのは────ドードリオ。

 

「ギョア!!」

「ビッガ──!?」

 

ピカチュウはドードリオの僅かな隙を攻撃しようとしたが、その行動を咎められる形で横からドリルクチバシを食らう─!!

 

「「「ギョアギョアギョアギョアーーー!!」」」

「ビッカァァ!?」

 

その一撃を受けたことで均衡が崩れ、そのまま為す術なく連続でダメージを受ける!!

 

「ピカチュウ!?」

 

「───終わらせて、恩返し」

 

対応に遅れたユウキを咎めるように容赦なく一撃が入る

 

「「「ギョアーーー!!!」」」

 

「ピカぁぁ…!?ピカ……チュゥ…」

 

「ピカチュウ!?」

 

そして、ユウキの1番手は呆気なく倒れた……。

 

「……ごめん、ピカチュウ。ゆっくり休んでくれ。」

 

ユウキはピカチュウをボールに戻し、次のボールに手をかける。

 

「………ユウキ。今の、ドリルクチバシだと思った?」

「──え?(何を──?)」

 

「今のは"みだれつき"よ。」

 

「───!?」

 

ユウキは、これまで相手の技を見間違えたことが殆どなかった。

 

そもそも指示を飛ばされているので間違いようがないのだが……それでも、聞こえるかどうかは今は関係ない。

 

問題なのは、"今まで"予測が外れたことが、殆ど無かった事。

 

良くも悪くも、"トレーナーとのバトル"では知識がものを言う。

 

相手のポケモンの覚える技やその動き方、技を出すタイミング等……色々と要因はあるが、その知識はある程度の"対応"のスピードに差が生まれる。

 

ユウキは、かつての"生活"により類い稀なる"膨大な知識"持っている。

それにより、相手の技の対応が"異様に"上手いのだ。初見の技を、次々といなせるのは映像と文献による知識の集約。

 

───要は、"認識"が早いのだ。

 

コンマ0.何秒で状況が変わるポケモンバトルにおいて、"認識"が早ければ早いほど"対応"も早い。

 

───ならば、その"認識"を利用できるのではないか?

 

 

そうリーフは考えた。

 

 

そう、これは"偽装"だ。

よく見ればわかる、子供騙しのようなものだった。

 

────だが、"認識"が早いということは、"偏見"で動くと言うこと。

 

"偏見"───ユウキのそれは、慎重過ぎるが故に、殆どないに等しいもの。

 

だが、しかしそれは

 

───敵にのみに、作用するだろう。

 

───自分に対する、小さくも積まれたその"自信"。"経験値"とも呼べるものが、彼の中であるのなら───生まれるのだ。

 

 

────絶対に見間違わないという自信という名の"油断"が

 

 

「私が最初、指示を出してないように思ったでしょう?けど、本当は私、出していたの。」

 

「事前に、ね?」

 

 

そう、所謂"番外戦術"。

 

リーフは先手を取るために、あえてそうした。そうしなければ、騙せないと分かっていたからこその対応だった。

 

二度目はない、一度きりの博打。

 

それを、こんなところで使ってきたのだ。

 

 

「───────」

 

 

「これで分かった?───今から、アンタのポケモン全滅させるから。本気で抗いなさい。」

 

「────その上で、地べたに叩きつけてあげる♡」

 




ピカチュウ「え、オレの出番これだけ?」

はい………(ごめん)

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