グリッドマンの戦闘描写普段やらない視点だからムズいなこれ…オリジナル怪獣も考える必要ありそう。出すとしたら誰か案くれないかなあ(願望)
もっと見てくれる人増えないと無理やろうなと思いました、まる
俺はとても重要なことに気づいてしまった。
そう、考えるまでもなかったはずなのだ。しかし俺は余裕がなかったのだから気づくのが遅れても仕方が無いと思う。
朝からあんな驚きの連続の展開ばかりだったのだ。なんなら俺は新条さんのことで頭が一杯だった。いや断じて変な意味じゃなくて、彼女と話すことだけを楽しんでいた。
自分の記憶に関しても考えていた時はあったが---いや、前置きは必要ないだろう。
いつまでも本題に入れなくなってしまう。
何はともあれ、俺は重要なことに気づいた。
俺は高校一年生。ツツジ台高校に通っていたらしく、当然ながら学生は授業を受ける必要がある。
もうここまで来たら言う必要はなさそうだが、せっかくなので言ってしまおう。
そう、なんと俺は授業が全く分からない!
なんてこった、周りは殆どが着いていけてそうではある。何人かはまともに聞いてないが、本人たちはだいたい分かってるのだろう。ここって他の高校よりも比較的偏差値高いらしいし。
だがここまで分からないものだろうか? 俺は生活に関しては今までは困ったことは無かった。道に関しては困ってたけど、家事は出来そうだったしお金の計算は出来た。
恐らく、日常的に使ってるようなものは体に染み込んでいるため体が勝手に何とかしてくれているが、学校の授業や思い出のようなものは肉体に関係ないから消失したと考えるのが妥当だろう。記憶喪失になったのは多分初めてだし医療関連も含めて詳しくないから知らないが。
それはともかく、ノートにはちゃんと記憶喪失になる前---昨日まではちゃんと書かれているが、俺にとってはもう専門用語にしか見えない。字は読める程度なので、綺麗ってわけでもなく至って普通だ。
でも数学なんて公式を覚えてないのだからどうしたらいいんだ。どう計算しろと?
当然ながら、当てられても分かりませんと素直に答えるしかなかった。
ちなみに後ろの席には俺と同じ記憶喪失者の裕太くんがいるのだが、休み時間に聞いたら彼も同様に分かってないらしい。
俺は更に裕太くんに親しみを覚えた。彼とは是非ともこれからも仲良くしたいところである。
まぁ、こうなっては仕方がない。結局学生の俺は授業を受ける以外選択はなく、分からない単語ばかりで頭が痛むのに耐えながら授業態度だけは真面目にしていた---理解してるとは言っていない。
長きに渡る地獄を終え、途中から眠気に襲われかけていたが俺は乗り切った。
ノートはちゃんと書いたし授業態度だけはよかったはずだ。
で、今は昼休み。
ちなみに新条さんとは登校時以外に喋ってなかったりする。流石に彼女が友人と話してる間に入れる度胸は俺にはなかったし、俺が話しかけて迷惑になってしまうのは嫌だ。
そして昼休みなのもあって、クラスメイトたちは弁当だったりパンを取り出したり、別のクラスに行ったりとそれぞれ分かれている。
それを見てそういえば昼飯の分を買ってなかったことに気づいた。
コンビニに行った時に一緒に買うべきだったかもしれない……まぁ一日くらい何とかなるだろう。
今日はちゃんと買い物に行こう。お金は贅沢は出来ないがあるし、この高校ってアルバイト出来るのかな。
うーむ、考えることが多すぎる。
「裕太、雨野。外で飯食おうぜ」
そう思ってたら、声が聞こえた。
俺はハッとして振り向くと、メガネを掛けた緑髪の同級生---内海くんが居た。
裕太くんも何か考えていたのか似た反応をしていたが、ほんと気が合うね。
というか裕太くんは友達だったらしいから理解出来るが、(多分)全く話してなかった俺まで誘ってくれるのか。普通に嬉しい。
「いやご飯なくて」
「飯忘れたん?」
「学校のことでいっぱいいっぱいで…」
「その気持ちは分かる」
俺の場合は冷蔵庫に何もなかったのと、ただの自分のうっかりのせいなのだが。
それはわざわざ口にしてもアレだし、飯ないのは自分の責任なので俺は我慢することにした。
朝は食べたし…ただ朝ごはん食べてるか分からない裕太くんが無いのは心配だ。ポケットに都合よく何か食べれるものが入ってたりはしないし、どうにか出来ないものか。
「---これあげる」
「え?」
聞き覚えのある声と共に、裕太くんの机にパンが置かれる。
スペシャルドッグと書かれており、パンの二倍はありそうなソーセージ、輪切りにしたゆで卵、レタスに千切りキャベツ、キュウリなどパンに挟まれてるもので栄養は良さそうなもの。
まさかと思って視線を移せば、やはり新条さんだった。
どうするべきか考えていたところだったので、ちょうどいいタイミングだった。
でも自らの昼ご飯だろうに、譲って大丈夫なのだろうか?
「響くん、武士は食わねど高笑い〜ってやつ?」
「えっと…?」
ちょきちょき、と両手の指を動かしながら新条さんが問いかけているが、裕太くんはどう返せばいいか分からない様子。
というか、何その指…可愛いんだけど。なんというか、あれ。
---バルタン星人
みたいだな、と思う。
あとなんかその言葉は間違ってるような気がする。高笑いはしないのでは? 確かそう、高楊枝…だっけ。
新条さんってちょっと抜けてるというか天然?
「えっと、新条さんいいの? これ、新条さんの昼ご飯なんじゃあ……」
「いいよ、響くん何もないんでしょ? スペシャルドッグあまってるからあげる! それに私は今日もらってるし…ね」
そう言いながら新条さんは机に置いたスペシャルドッグを裕太くんに差し出す。
その時にごく自然と俺に視線を向けてきたが、周りは何も気づいていないだろう。
このことを予測して奢ったわけではないけど、結果オーライというやつだな。
「? それなら……ありがとう」
「いえいえ♪」
裕太くんは受け取ることにしたらしい。
彼女の善意を無碍にするのも失礼だから、というのもあるのかもしれない。
「---やっばい!?」
今まさに裕太くんが受け取ろうとしていたところで、そんな危険を示すような声が聞こえた。
あまりに突然で、気になってしまうものらしく視線が声の主に集まる中、俺の位置がよかったのだろう。
俺は行動していた。
「裕太くん! 新条さん!」
何もしなくても大丈夫だとは頭ではわかっていても、体は自然と動いていた。
まともに位置を見る時間すらなく、咄嗟に手を伸ばす。
一瞬だけ見えたのは球状の、白いなにか。
俺の手は新条さんが差し出していた手を守るような形で伸ばし切っており---
「あぐっ!?」
見事手に当たった影響でボールがバウンドし、俺の顔面を打ち付けた。
お陰でボールは打ち上がり、勢いを失って落ちていく。
割と威力もあったせいか、残念ながら新条さんの手しか守れずスペシャルドッグは少し潰れてしまった。
空気が凍りついたかのように誰も動かなくなり、俺は顔を抑えながら落ちたスペシャルドッグを取る。
ボールに潰されるよりかはマシだろうけど、割と潰れてしまった。
そんなことをしていたら放送が鳴り、それがきっかけとなったのか。
「わああ! ごめん! マジでごめん!」
慌てたように謝りにきたクラスメイトが見える。
しかし当然ながら彼女の名前を俺は知らない。
「「問川外でやれ
問川というらしい。
新条さんとその友達の黒髪の女の子が見事ハモって言っていたが、それは俺も同感だった。
教室でボール遊びなんて何を考えているのか。パンだけだから良かったけど、大怪我したらどうする気なのか。意外と硬かったし、空気結構入ってたんじゃないかな。
「はい…反省してます…」
「雨野くん、だったっけ。大丈夫?」
「一応。
とにかく次からは気をつけてくれよ。それよりごめん。裕太くん、新条さん。パン潰れたけど……大丈夫?」
「あ、うん俺は大丈夫だけど……って!」
反省してるならいいかと俺は気にせず、むしろパンを守れなかったことに申し訳なく思いながら裕太くんに差し出すと、裕太くんはなにかに気づいたように突如立ち上がった。
「じゃなくって! 奏くん、血! 鼻血出てる!」
「え?」
妙にずっと鼻に違和感があるなと思って触れてみると、ヌルッとした温かい液体の感触があって、ポタポタと鼻血が流れていく。
手を添えることで地面には落ちないようにするが、どうやら自分の思ってる以上に当たりどころが悪かったらしい。
口の中にちょっと入って、変な味がする。鉄みたいな感じ。
軽くならまだしも、ここまで酷いと割と出てるなぁ、と他人事のように考えてしまう。
「ど、どどうしよう!?」
「お、落ち着けって裕太。とりあえずティッシュをだな…って、俺今なかった!」
「二人とも落ち着こうな」
「なんで当の本人がそこまで冷静なんですかねぇ!?」
俺のために行動してくれるのは嬉しいことだけど、自分よりこうも冷静じゃない人を見れば還って冷静になってしまうらしい。
「とりあえず、はいっ」
「ああ、ありがとう…」
横から差し出されたティッシュを受け取ると、新条さんが渡してくれたようだ。
しかもポケットティッシュからちゃんとティッシュを取って渡してくれたので有難い。
すぐに鼻を抑えるが一瞬で赤く染まってしまった。
これ両鼻から出てくるんじゃないか?
「うわ〜全然治まりそうにないね。保健室行く?」
「そうした方が良さそうだな…保健室どこか分からないけど」
「じゃあ俺が案内するよ……って、まだそこまで覚えてないんだった」
「内海くん、俺も分からないからさ。案内してもらっていい?」
「おう、ついでに裕太の案内も出来るしその方がいいか」
ティッシュを鼻に突っ込める余裕がないため、押さえながらの移動になる。
俺は新条さんと、ついでに周りに騒がしくしたことへの謝罪をしてから内海くんを促して案内してもらう。
もしここで新条さんに頼んでしまえば、周りは誤解して新条さんに迷惑かけるかもしれなかったし。
裕太くんも付き添ってくれるとのことで、どうせならとポケットに入ってるティッシュを取ってもらうことにした。
今手を離せばすぐに鼻血が流れるからね。
特に何かがあるってわけでもなく、保健室の先生が居たので事情を説明すると、両鼻に鼻栓を詰められて終わった。
特に鼻が折れてるってわけでもないので、安静にしてれば治まるだろう。
ちなみに問川の件は言っておらず、俺が転んだことになってる。変に話すようなことでもないし。
裕太くんも内海くんも今頃教室に帰ってるだろう。俺も戻るべく、保健室から出る前に頭を下げてお礼を言いながら扉を締める。
「---大丈夫?」
「おわっ!?」
完全に油断しきっていた俺は聞こえて来た声に両肩を跳ねさせると、振り向く。
そこにはポケットに両手を突っ込んだ新条さんが居た。
「…大丈夫?」
「だ、大丈夫。鼻も折れてるわけじゃないから、時期に治まるって。それより、どうしてここに?」
二重の意味で心配がないと答えると、先生に言われた通りのことを伝える。
しかし今気になるのは何故新条さんが保健室の前で待っていたのか、ということ。
「聞きたいことがあって」
「聞きたいこと? あまり答えられる気はしないけど……うん、どうしたの?」
「どうしてあんなことをしたの?」
ただ純粋に疑問に思ったような様子で言われて少し考える。
あんなこと、というのは恐らくボールを防ごうとした時のことだろう。
「分からない」
「え?」
「分からない。分からないけど…あのまま見て見ぬふりは出来なかったんだと思う。体が咄嗟に動いて、裕太くんや新条さんに怪我して欲しくないと思ったから。もしもの仮定でしか無かったけど、当たりどころが悪いと怪我するかもしれないし……」
だからこそ、俺は誠実に答える。
これしか答えが見つからなかったというのもあるが、嘘をつく意味もない。
俺は二人に怪我して欲しくなかったから動いた。
「今みたいに?」
「う……そ、そこは言わないでくれ。情けないところを見せたし……」
「そんなことないよー私を守ってくれたんでしょ?」
「まあ……パンは守れなかったけど」
「ありがとう」
「ん…どういたしまして」
パンに関しては気にしてないのか特に何も言われなかったが、新条さんは笑顔を浮かべてお礼を言ってくれた。
望んだものじゃないが、ただただ怪我したわけじゃないと分かって救われる。
「じゃあ私先に行くね。安静にしててよー?」
「さ、流石に二度も起こらない…と思う」
「それもそうだね」
何が起きるかなんて分からないけど、鼻にダメージはこれ以上はないとそう信じたい。
俺は新条さんを見送り、ちょっとした時間を空けて教室に戻ると、授業が始まるギリギリに席に着いた。
まだ少し変な感覚はあるが、授業を受けている間に治るだろう。
真っ暗な部屋。
ディスプレイからの灯りだけが部屋を照らしている中で、色んな文具と歪なフィギュアのような形を取ったものだけが机に置かれている。
カリカリと削るような音が響く。置かれたフィギュアはまだ未完成と誰もが分かるほどに途中だった。
『また怪獣かい?』
ディスプレイからマスクを被った異形が話し掛ける。
現実離れしたような見た目。それこそウルトラシリーズにでも出てくるような、宇宙人のような。
『何か嫌なことがあったんだねぇ。一体どんなことがあったのかな』
「………ねぇ」
『ん?』
さっきの異形の言葉にも答えず無言で作業に没頭していたというのに、突如声を発する。
低く、不機嫌そうな声音。
「悪いことを一切してなかった彼だけが一方的に傷付つけられるのは不平等だと思わない?」
『ふむ……詳しくは分からないが、確かにそうだ』
「でしょ? 不注意が原因。でも
ヒビの入ったメガネをつけながら、言い表しようのない感情をぶつけるように作業を続ける少女。
思い返されるのは今日起きた出来事なのだろう。
『うんうん、ルールを守らないのは良くないことだ。そういった存在がいると君の世界が汚れてしまう。それは実に良くないねぇ』
「だから正そうかなーって! そうしたら、このイライラも止まるだろうし同じことは起きない! 一石二鳥ってやつ?」
『フフフ……流石アカネくん。期待しているよ』
無邪気でありながらも、その言葉の意味は至極物騒なことだった。
そんな少女の、アカネの行動を止める者は誰もおらず。
彼女の中に存在する感情だけが、彼女を動かしていた。
なんやかんやあって。
六花さんの家の前に来た。
回想するならば、一緒に帰ろうと誘われた俺は裕太くんと内海くんと帰っていて、内海くんが俺に今日は災難だったなと同情し裕太くんには謝られたので、裕太くんに謝罪よりお礼の方が嬉しいと彼が気に病まないように伝えてお礼を言われ、その後内海くんにも話してたようでグリッドマンを見たいと言い出したのだ。
そしてちょうど六花さんが居たので、お願いして連れてきてもらったといったところである。
うん、自然だな。
でも裕太くんが目を覚ましてグリッドマンとやらの存在に気づいたのだから、そのグリッドマンというのが記憶の鍵かもしれない。
そう考えたら来ることは理にかなってる。何やら六花さんの家のところにいるようなのだ。六花さんは見えない?らしいけど。
絢という字が囲まれ、隣にはJUNKSHOPと書かれている。
ジャンク屋というやつか。
「ただいまー」
「んも〜表から入らないでよ。お客さんかと思うでしょ」
「いや…そのお客様がね」
どこか親しげな感じを思わせる会話が聞こえる。
恐らく声からして母親だろうか。
「またお邪魔します」
ひょっこりと覗き込む裕太くんと軽く会釈する内海くん。
俺は申し訳なさそうに頭を下げるという三者三様に分かれていた。
「ああ! 昨日の! で、どう? まだ記憶喪失?」
「あー…でも大丈夫です」
「あっそう」
裕太くんたちが入っていったので俺は後ろから入っていく。
面識あるのは裕太くんだけのようだ。内海くんはなんか周り見渡している。
会話に入る訳にもいかず、俺も周りを軽く見るが物珍しいものが並んでいる。
なるほど、ジャンク屋というのはこんな色々あるのか。
「じゃ六花お店お願い! 私外回り行ってくるから!」
「えー!…ま、誰も来ないか」
「ちょっと」
「あ、聞こえてた?」
「あんた晩飯冷奴オンリーね」
「ええ〜」
そう言って六花のママさんは店から出ていった。
にしても六花さん自身は経営している店なのにそれでいいのだろうか。
俺が心配することじゃないけど、あと聞こえてた会話からして仲のいい親子って感じだな。
「……仲良いんだね、六花ん家は」
「何が? 別に普通だと思うけど」
俺も同じことを思ってたが、裕太くんと俺そんな思考パターン合ってるのか? 境遇も似てるしこれはやっぱり友達になるしかない。
いやもう友達? 一緒に帰ってるから友達でいいのかな? 連絡先聞いてもいいのかな? 友達ってどうすれば友達なんだろうか…いやこういう思考してるからぼっちだったんだろう、きっと。
けど、あんな言い方からして裕太くんの家はそんなに仲良くない? うーん帰ってきてないみたいだから不明か。
俺はどうだったのだろうか……分からないことか。
「裕太ーどれがグリッドマンなの?」
そんなことを考えていたら、内海くんは分からなかったのか裕太くんに聞いていた。
さっきから動いて見渡してた理由は探していたからか。話が終わるまで待っていたのかもしれないが。
「そっちのパソコン」
裕太くんが指差した方に俺も六花さんも内海くんも見る。
やけに大きく、古臭さのあるパソコンだった。
その前に集まって見るが、近くで見るとより大きく見える。
「こんなパソコンあるんだな」
「この寄せ集め艦…まさしくジャンクって感じだな!」
その気持ちは全く理解出来なかったものの、裕太くんが前に来ると突如としてパソコンが音を立てた。
『……私はハイパーエージェント・グリッドマン』
「あ、それは昨日聞いたっす」
『裕太、急いでくれ---この世界に危機が迫っている!』
「危機って何?」
「裕太……? 誰と喋ってんだ……?」
「え!?」
「え?」
「内海にも見えないの?」
「うん……って、今声二つしなかったか?」
「え、あ…ごめん。いや、だっているじゃん、そこにグリッドマンってやつ」
何を言うかと思いながら俺はパソコンを指差すと、内海くんと六花さんはパソコンを見るが、なんの事か分かってないようだった。
「え、奏くんは見えるの!?」
「うん、ウルトラシリーズに出てくるような巨人…というか、あれウルトラマンエックスみたいな感じに画面の中にいるのがそうでしょ?」
「それはわかんないけど、そう!」
俺の目の前のパソコンには、ハイパーエージェントと名乗ったグリッドマンが存在している。
青色と紫色が主体のメカニカルな姿。
自分自身でも名乗ってたし裕太くんも言ってるんだから間違いない。
…あれ? なんで今ウルトラマンエックスって出てきたんだろう。やっぱり失う前の記憶の一部なのだろうか。
「…やばいな、こいつら」
「うん、やばい」
「失礼な。何がやば---」
『急いでくれ、危機が迫っている!』
「はい? 危機? なにそれ?」
「だから、何がって!」
本当のことを言ったらドン引きされるとかいう理不尽を味わったが、グリッドマンはなぜかそれだけしか言わない。
もっと具体的に言って欲しいんだけど。
「というか雨野…お前ウルトラシリーズ知ってるのか?」
「え、今そこ? まあ、一応…」
「マジでか! まさかこんな近くに同じ趣味のやつが居るなんてな!」
「いや、ごめん。グリッドマン同じことしか喋らなくて、そんな話してる場合じゃないというか……危機がどうたらしか言わないというか。なんで俺は見えるの?」
「…さぁ?」
「あ、確かに。奏くんだけだよね」
「もしかしたら記憶喪失だから---とかじゃね。知らんけど」
「ええ…そんな理由?」
話がウルトラシリーズに行きそうだったが、俺は意味的には同じことしか喋らないbotと化してるグリッドマンの言葉に疑問符だけを浮かべながら、今更ながらの話を振ったら適当に返された。
いやしかし、俺と裕太くんの共通の点を考えるとそうか……。
『
さっきからこの調子である。
もうちょっとさ、言語増やせないですかね? グリッドマン。記憶喪失の俺より喋れてないじゃん。
とりあえずもう一度言ってみるか。これで改善されなかったら、あれだ。多分プログラムされたやつなんだ。
「はっ…!」
「あの、ぐり---ッ!?」
「どうした?」
グリッドマンに伝えようとして、俺は裕太くんに遅れて違和感を感じた。
なんと言えばいいか分からない。
けど、こう…胸がザワつくような、妙な感覚。
「分かんないけど……なんかやばい感じが…」
「俺も。なんというか…嫌な予感がする……」
「さっきからお前らの方がやばいよ」
「もう二人とも病院行ってきたら?」
「そういうわけじゃなくて!」
散々なことを言われているので否定しようとすると、足元に少し妙な感覚が走る。
そしてすぐに、大きな揺れが襲ってきた。
「地震!?」
「いや違う!!」
「…怪獣が聞こえる!」
胸のざわつきがより酷くなり、俺は地震であることを確信を持って強く否定すると、裕太くんが突如そのようなことを言った。
怪獣? まさか、そんなはず……変な感覚はあるが、そこまでは分からなかった。
しかし何かが壊れるような音や悲鳴のような声も聞こえ、俺たちは店を出て外に出た。
するとそこには---
「何か…いる」
身体に対して直角に伸びた長い首が特徴で、その先にある頭は竜のような形をした怪獣が街を襲っていた。
それこそ、本当にウルトラシリーズに出てくるような、そんな怪獣が確かに存在していたのだ。
あの感じも、何処かで見たことのある怪獣のような……。
---フェミゴンフレイム
そうか。ウルトラマンメビウスという作品に出てくる怪獣だ。
正確には帰ってきたウルトラマンにもいるが、あの怪獣を参考にしたかのような体をしている。
しかし、これは夢なのだろうか。
グリッドマン、怪獣。
こんな非現実的なことが連続で起きると夢なのではないかと錯覚してしまう。
それを違うと否定するものは間違いなく、今起きていること。俺の中に存在している妙なザワつき。
何よりも、ダメだと分かっているのに。
俺はあの怪獣に…いや、怪獣という存在に高揚感に似たような、会えないものに会えたような、そんな感覚が存在していた---
「俺、見てくる!」
「内海!?」
「ちょ…内海くん!」
ハッと我に返った俺は先に向かった内海くんを止めようとしたが、間に合わなかった。
危機って怪獣のことだったのか、グリッドマン!
とにかく危険だってのに見てくる!じゃないだろ…!
「なんだあれ……! 本当に怪獣だ……!」
「内海!」
いつの間にか持っていたのか双眼鏡を覗いて見ている内海くんに文句を言いたかったが、俺たちも結局店から離れたから同罪だ。
お陰で少し見やすくなったが、本当に現実のようだ。
「あれが響くんが言ってた怪獣?」
「わかんないけど……」
「ってか、ここからじゃよく見えない! 大通りに出たら…」
「いや、ダメだって! 普通に考えて危ないし、死ぬつもりか!?」
許容出来る範疇を超えている。
出会って初日とはいえ、知り合いが目の前で死ぬだなんて俺は見たくない。
前に出て両手を広げることで道を妨げると、またザワつきを覚えた。
「! 伏せろ!」
無意味だと解っておきながらも、そう叫ぶしか無かった。
なぜなら怪獣が口から火球を貯め、それを発射したからだ。
叫び声に反応したのか、三人ともしゃがんでくれたが頭上を通り過ぎた火球は通り過ぎただけでも熱かった。
特に叫んだ俺は何かあったら自分を犠牲にしてでも守る気で立ったままだったので肌が焼けるかと思うほどには。
そして当然ながら、たったの一撃で終わるはずもない。
怪獣は四連続で火球を曲線を描くように吐き出し、そのひとつが着弾して爆発するわけもなくバウンドし、地面高く飛び上がったところでそのまま落ちた。
しかも、見覚えのある場所だ。
「あの方角…まさか!?」
「学校の方だ……」
そう、今日まで俺たちが登校していたツツジ台高校の方角。
まだ部活とかで残ってる人がいるかもしれない。もしそうなら、今の爆発で……。
そう考えただけで、拳に手が籠る。
ウルトラシリーズに出てくる巨人のような存在なんていない。
あの怪獣を倒せるのは誰も居なくて、俺も何か出来るわけじゃない。
もしヒーローが居たなら、あの怪獣を倒してくれるのだろう。けれどここは現実だ。
ヒーローなんていない。いないならどうするのか。俺に何が出来るのか。何も出来るはずもない。
俺は、俺に何も---ないんだ。
「……呼んでる」
「…裕太くん?」
「行かなきゃ、俺!」
「待て! どこに行くって!?」
無力感に支配され、ただ呆然とするしかなかった俺は今にも走ろうとした裕太くんに手を伸ばして咄嗟に止める。
止めた。手を掴んで止めたが、この行動は正しくない。そんな予感だけが胸の中を占める。
分からない。分からないけど、裕太くんを止めるべきではない。もしそれが、危険なことであっても。
今すぐ手を離すべきだ、と何かが言ってくる。
「ごめん……呼んでるんだ、グリッドマンが!」
「---」
「裕太!!」
「響くん!?」
俺の手を振り払うように裕太くんは駆け出していく。迷いのない行動に背を見ていることしか出来ない。
嗚呼、そういうことなのか。俺はようやく、納得が行った。確信が持てた。
どうして裕太くんにだけがグリッドマンが見えていたのか。何故グリッドマンを一番最初に知っていたのか。何故聞こえたのか。何故グリッドマンが裕太くんの名前だけは呼んでいたのか。
何故怪獣を察知出来たのか。
そういう、ことなのだろう。
俺はウルトラシリーズには詳しいらしい。それはもう、理解している。
だから分かるんだ。裕太くん、君が……君はこの世界の
俺とは違う。同じ記憶喪失なのには変わらないけれど、決定的に違うものがあった。
何も無い俺とは違って、彼には俺には想像もできないような大きなものがあって---俺は締め付けられるような胸の痛みを感じて胸を握りしめながら、それでも裕太くんの後を追った。
ほぼ無意識の行動でも、せめて何かしたかったのかもしれない。心配なのかもしれない。
何もかも分からないことだらけだけど、追い始めた俺の後を内海くんと六花さんも続くように走り出したのが見えた。
一番最初に辿り着いたのは俺だ。
ジャンク屋に戻ってきて、すぐに中に入るとジャンクに向き合う裕太くんが居た。
『私とキミは覚醒しなければならない!』
「『覚醒』…? それって……」
『説明は後だ!』
息を整えながら聞こえてきた言葉に疑問を抱く。
覚醒とはどういうことなのか。そのままの意味なのか、それとも特別な意味があるのか。
「後って一番大事なとこじゃ…え、体が---うわぁああああ!」
「はっ? んなぁ……!?」
「裕太!?」
「えぇッ!? 何アレ!?」
追いついたらしい六花さんも内海くんも見てしまったらしく、俺同様驚いていた。
なぜならさっきまでジャンクの前に居た裕太くんがいなくなってしまったのだ。
しかも。
「…裕太がジャンクに食われちまった」
「…昔のパソコンってこっわ……」
「いっ、いやいや! どう考えてもそうはならないだろ! 裕太くんは!?」
そう、ジャンクに吸い込まれてしまったのだ。
俺はすぐにジャンクに近づくと、グリッドマンと裕太くんが向かい合っている姿が映っていた。
しかもなんか線のようなコードのような白い何かが両者の頭を行き来している。
まるで接続でもしてるかのような。
「なあ…俺もなんか見えるんだけど……」
「…私も見えちゃった…」
そんな印象を抱いていたら、二人にも見えるようになったらしい。
何故今見えるようになったのかは分からないが、信じて貰えたと思っていいだろう。
それよりもこれからどうなるかの方が大事で、さっきとは違った揺れに外を見ると、そこには巨人が居た。
「うっそ……巨人!?」
「あれが二人が言ってたグリッドマンか? くそっ、ここからじゃよく見えない!」
『---止めなきゃ! この怪獣を俺が!』
「裕太くんの声…?」
「ジャンクからだ!」
直ぐにジャンクの前に戻ると、どういう原理なのか。
グリッドマンをジャンクが映し出していた。
グリッドマンは右腕を突き出し左腕を後ろの方に引き絞ることで戦闘の意志を見せる構えを取ると、一歩大きく踏み出して少しずつ加速する。
怪獣の方も敵だと本能が理解したのかグリッドマンに向かい、接敵する前にグリッドマンが角のような部分を両手で掴むと右腕で後頭部らしき場所に肘打ちし、すぐに左脚で首に膝蹴りする。
グリッドマンの一撃に怪獣の首は蹴られた方向へ動くが、そのままの勢いを活かしてぐるりと回転するように胸を頭で打つ。
その衝撃でグリッドマンは横にあったマンションにぶつかり、背中から倒れる。
そんなグリッドマンに追撃するように怪獣が火を空へ向かって吐いていた。
落ちてきた火球が爆発し、画面を爆発が覆う。
お陰でどうなっているのか見えなくなっていた。
「……裕太は今、グリッドマンになって戦っているんだ……! この怪獣から街を守るために…!」
「…なんだ、点滅してる?」
『くそっ…体が重い……!』
グリッドマンの額のランプが点滅しているのが僅かに見え、凝視しようとしたら裕太くんの声が聞こえてパトランプから警報ブザーが鳴り始め、ジャンク本体から火花や蒸気が吹き出す。
「ジャンクが!?」
「昔のパソコンってすげぇな……!?」
「突然こうなったってことはこのジャンクは警告みたいなものなんじゃないか? グリッドマンとジャンクが連動してるのかもしれない……!」
「何? 響くんがやばいってこと!?」
「多分。グリッドマンの額のランプが点滅してから同じくなった…ただ俺たちにできることは……」
あくまで俺の予想でしかなかったが、考える限り合っているはずだ。
しかし問題はひとつ。
さっきからこうして話しているのに、裕太くんからは何も言葉が返ってこない。戦闘中だから余裕がないのもあると思うが、それにしてもなさすぎるのだ。
つまり、こっちの会話が聞こえていないのかもしれない。そうなるとますます何もできない。
「あーッ! ウルトラシリーズならなぁ! 怪獣に弱点とかあるのにっ!」
「は? 急に何の話?」
「---ッ。いや、弱点なら…ある、と思う」
ズキっとした痛みを突然感じたが、怪獣を見ていて分かったことが二つあった俺は話が逸れるより早く曖昧に呟いた。
「雨野? 分かったのか?」
「…そうだ。首が綻んでて脆いんだ!
恐らくそこが弱点! それとこれは情報が少なくて自信がないからなんとも言えないが、あの怪獣の火球は遠くを打つとき大体は山なりの軌道でしか放っていない。だから避けようもある……と思うんだけど」
「じゃあすぐに響くんに知らせないと……」
「…そうか! 一方通行だから俺たちの言葉が聞こえてないのか!」
「そうなんだよ……何か伝える方法があればいいんだが」
「分かっててもそれじゃあ意味がないな…このパソコンからならいけるか?」
俺が分かっていても…というかさっき気づいたのだが、問題はこっちの言葉が聞こえていないという点だった。
これに関してはどうしたらいいのか分からない。内海くんの言う通りパソコンだからタイピングすればいいのだろうか?
正直得意じゃないと思うぞ、俺。
「…私、やってみるよ。雨野くんの言葉を私が響くんに伝えてみる」
前に出た六花さんがそう言ってパソコンの前に座っていた。
時間が無いのも確かでこれに賭けるしかなさそうで、俺と内海くんは一度顔を見合わせると六花さんに頷いた。
それが合図となったのかカタカタカタと六花さんはキーボードを打つ。
「えっ、すご…」
「はっええ…」
あまりの速さに思わず俺と内海くんは口から言葉が出てしまっていた。
正直六花さんはあまり得意じゃなさそうなイメージだったんだけど、家がジャンク屋って考えたらおかしくはないか…。
『聞こえる……! 六花と内海の…奏くんの……!』
『言葉が!!』
Powと書かれた青いゲージのようなものが他のものよりも飛び抜けて伸びていき、画面の向こうではグリッドマンが起き上がる。
再びファイティングポーズを取ったグリッドマンに怪獣は火球を貯めて数発放つが、離れてるのが原因か山なりに放っていた。
一度見上げて火球を見たグリッドマンは地面を蹴って駆け出し、着弾地点を予測したのか当たるよりも早く駆け抜けていく。
しかし上からでは当たらないと見たのか、怪獣は火球を真っ直ぐに飛ばす。
グリッドマンを足止めするためだろう。
止まってしまえば上からの攻撃を受ける。
だがグリッドマンは正面の火球に対して真っ直ぐ右ストレートをかますと、拳で打ち消した後に即座に首に組み付き、引っ張る。
引っ張ってちぎろうとしたわけではないのか手刀を勢いよく根元の手前の部分に振り下ろし、脆い部分に直撃したようで首が吹き飛んでいく。
怪獣とはいえ生物だ。
目がなくなってしまえば見えなくなるのが当然であり、グリッドマンが高く飛び上がると体を捻りながら強烈な蹴りをお見舞する。
その威力は怪獣が数歩後退するほどに強力で、 体勢が崩れた。
「すご……!」
「チャンスだ!」
「いけえええっ! グリッドマン!」
聞こえないと分かっていても、思わず叫んでしまう。
それが通じた訳では無いだろう。
しかし---
『グリッドォオオオオ---』
両腕を広げ、丸を描くように動かしながら両腕を交差するとエネルギーが貯められ、そのまま流れるように両腕を素早く動かすと---
『ビーム!!』
立てた左腕を突き出すことで、光を思わせる黄色の強力な光線を放つ。
その一撃は一直線に怪獣へと向かってゆき、直撃したのか巨大な大爆発が起きた。
「やった……のか?」
「ふぅー…」
「ああ、勝った! 勝ったんだよ! すっげぇええ!」
見てるだけで実感は全く湧かなかった。
けれど安堵の息を吐きながら脱力して椅子に持たれる六花さんや素直に喜ぶ内海くんを見てると頭が追いついてきて、ジャンクから青白い光が溢れ出ると後ろから物音が聞こえて振り向く。
そこには裕太くんが転んだような体勢で地面に座っていた。
「裕太くん!? 大丈夫か? 怪我は!?」
「ちゃんと戻ってこれたんだな! よかったぁ!」
「あ、う…うん。ただいま……」
「すっげえよ裕太! 怪獣と戦って勝っちまうなんて!」
すぐに駆けつけようとしたら、内海くんに退かされてしまった。
おい、とは思ったが…まあ興奮と喜びで感情が追いついてないのだろう。
目を瞑ることにした。
「あ。いやそれは俺だけじゃなくて…」
「俺だけじゃないって?」
『---裕太。キミの使命を果たすんだ』
「え? たった今やったんじゃ……」
『全ては始まったばかりだ』
グリッドマンもグリッドマンで変わらず口数が少ないというか言葉が通じてるのか怪しいけど、その言葉の真意を上手く呑み込めなかった。
始まったばかりってことは……これはまだ序章に過ぎないってことか?
だとしたらこれからも怪獣が出てくる……なんだよ、それ。まるで本当にウルトラシリーズみたいな…現実とは思えない。
いや、今更か。記憶喪失になって、クラスで人気者らしい新条さんと出会うばかりか彼女の家でお世話になって、一緒に登校して、今度はグリッドマンと出会って怪獣と戦う場面を見て。
本当に現実とは思えないことばかりだ。
「なあ! 俺たち四人とグリッドマンで勝ったんだ! あれだ、こういうの絶対名前があった方がいいって! グリッドマン同盟とかそんな感じの---」
「---ちょっと! ごめんだけど今日はもう…今頭の中ごちゃごちゃで…グリッドマンとか訳わかんないし友達とかも心配だし…ちょっとごめんだけど……」
「…帰るか」
「うん…」
「…だな」
六花さんの気持ちも分からないわけではない。
内海くんはちょっと興奮しすぎだが、色んなことが起きすぎたのだ。
どうやら純粋に疲れていたのもあるみたいだし、長居するわけにもいかない。
俺も気になることは出てきたし…整理する時間も全員必要なはずだ。裕太くんだって戦って疲れたはず。
「六花〜? あっ、キミたち大丈夫だった? よかった、六花ちゃんと電話出てよ」
「え?」
「え?じゃないでしょ---」
「じゃあ帰ろうぜ」
「うん」
「すみません、お邪魔しました」
六花さんの母親が帰ってきたのもあり、俺たちは帰ることにした。
帰る途中で裕太くんに怪我がないか確認したが、特になさそうで良かったと思う。
しかしまあ……ほんと、色々起きすぎたな…。
何より…。
『裕太。キミの使命を果たすんだ』
グリッドマンのその言葉を聞いたとき、胸が痛んだ。
使命。
裕太くんにはそれがあるんだ。
きっと俺には計り知れない、とても大事なものが。
誰にも言わなかったし言う空気でもなかったが、俺は自分のことを知らないけど、こんな人間だったんだなって嫌気が差した。
…いや、深く考えたら考えるほどマイナスなことばかり考えてしまう。でも俺は、裕太くんとは違う。
戦えないし何か出来る訳でもない。
もし戦いが続くなら、俺は何か出来るのだろうか? グリッドマンが居たから、裕太くんが居たから怪獣に勝てた。俺が居た意味なんてないに等しい。
いいや、きっと何か出来るはずだ。友達が困ってるなら、支えるのが友達の役目。
力になれるかは分からない。
それでももし、裕太くんが戦えなくなったら。辛くなったら。出来ることを全力でやろう。
無力なことを悔しく思いながらも、俺は心からそう思った。
…そういえば学校燃えたけど明日からどうするんだろう。正直全く知らないけど学校の人たちも無事かどうか気になる。残ってる人は居ただろうし、もしかしたら出掛けてて怪獣とグリッドマンが戦ってる現場に居合わせた人もいるかもしれない。
俺は知り合いは少ないが---そうだ。新条さんは大丈夫かな……? こんなことが起きるなら、せめて連絡先でも知ってたらな……流石に心配だ。無事だと信じよう。
それに今日寝ることが出来るだろうか---?
次の日の朝。
『はいはーい! 朝だよ、起きて起きてー! 早く準備しよ準備! 学校行く時間だよ、少年! あっ、それともお姉さんが色々と手伝ってあげようか?』
どうしよう、ついに幽霊が見えるようになってしまった件について。
しかもこの声、聞いたことのある声だ。
あの時の夢、ウルトラマンコスモスのED曲を歌っていた声だ。
ただでさえ昨日のことでまだ混乱してるのに、もしかして俺の頭がどうかしたのだろうか。そうだ、今思えばグリッドマンを俺が見ることが出来たのもきっとそれが理由だ。そうに違いない。
…それだと裕太くんも同じになっちゃうか。やっぱなしで。
にしたって、色々起こりすぎだろ……。
チュートリアル終了