とはいえ、書きたいから書いた。
性格が変わっているような気がする。
――英霊をインストールされている?
意識が消える寸前、何かに引き上げられた私は、そんな言葉に首を傾げた。ベッドの横に不自然な手紙に記されたその言葉は、いまいちよく分からないものだった。
私にはムーンセルの裏側で、皆と過ごしていた記憶がある。だから、こんなにも現代的な部屋はなかったと断言できる。アルコールの匂いがするから保健室なのかもしれないが、あの校舎は木造だったから違うだろう。
本当に突然だった。サクラ迷宮に入ろうとした瞬間、何者かに意識を吸い取られるような感覚がした。遠坂やラニたちの声も聞こえないので、というか、ここは「現実」であるということがありありと感じられるので、ムーンセルではないのだろう。
「あら、目が覚めたのでございますね。少々お待ち下さいな、織斑先生をお呼びしますので」
首をかしげていると、私が起きていることに気付いたらしい保健医の女性が、なにやらどこかに連絡を取っていた。
それから数分の間、特にすることもないので、その保健医と話していると、1人の女性が入ってきた。
むっちゃ美人。どちらかというとお姉さまタイプか。猫を10枚ほど被った遠坂が、聖杯に願ってグラマーになったらこんな感じになりそう。
「……なにか変なことを考えてはいないか?」
めっそうもありませんのでさっきをださないでください。
「まぁいい。どうだ、どこか変なところはないか?」
そう言われて体のチェックをしたが、特に変な感じはしない。あたm……関係ないか。
「そうか。では、起きて早速で悪いが、ついてきてくれるか? 先生、大丈夫でしょうか?」
「はい。メディカルチェックもすんでおりますので、大丈夫でございますよ。ただ、あまり激しい運動は控えた方がよろしいので、気をつけてくださいませ」
はい。どこぞの終末僧侶のように甘ったるい声をした保健医に別れをつげ、この女性について行く。道中で互いの自己紹介をする。どうやら彼女は織斑千冬。このIS学園の教師らしい。ISってなんの略だろうか。
ともあれ、とくに話題もなかったので、さっきの保健医さんのことを聞いてみると、織斑先生はなぜか苦い顔をした。……どうやら、先生は彼女のことがどうも苦手らしい。
と、そんなこんなしているうちに、どでかいアリーナに到着した。え? これに触れろって。まぁいいですけど。
…………。
まさかのパワードスーツである。しかも、すごい遠くが見えるようになった。これで私もアーチャーに。……あのみどりいろにはなりたくないかな。
「まさか、本当に認められるとは……。岸波、おまえは本当に岸波先生のことを知らないんだな?」
はい。「殺生院」なら知っていますが。決してわたしはキアラの娘ではありませぬ。たとえ彼女が「岸波」キアラだとしても。