イーニァァァァァァァ!
イーニァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!
お昼休みになり、私は教室にいる。他のクラスメイトはほとんど学食にいっており、教室は閑散としている。私は、ヴィーラさんからもらったメイド印のランチボックスを食べている。美味。
「失礼する。岸波白野はいるか?」
ポテトサラダに舌鼓を打っていると、清冽な声が響く。冷たい声ながらついつい惹かれてしまう声だ。
入り口を見ると、銀髪の女の子が二人。一人はラトロワさんのようなクールな女の子。もう一人は、その女の子の後ろに隠れる長い髪のキュートな女の子。いい仕事してますわ、《カリス社》。
はーい。私です。
「む、お前か。すまないが、着いてきてくれないか」
いいよ。そちらのお嬢ちゃんも一緒に行こ?
「……うん」
控えめながらも、手を差し出してくれた。可愛いお手々です。
こちらがニコリと笑いかけると、女の子もニパリと笑顔を返してくれた。……のほほんさんと通じるものがある。
ニコッ、ニパッ。ニコッ、ニパッ。
「……ここでいいか?」
案内されたのは空き教室。鍵は持っていたらしく、忍び込むとかはせずに入ることが出来た。
それで、あなたたちがヴィーラさんが言っていたメイドさん?
「……そうだな。一応お前の従者部隊に名を連ねている。私はクリスカ・ビャーチェノワだ。それで、この子が……」
クリスカさんが紹介しようとすると、もう一人の子がピョンと前に出た。
「わたしは、イーニァ・シェスチナ! よろしくね、ハクノ!」
うん、よろしくね、イーニァちゃん。ナデリコ。
「えへへ」
「イーニァ、これからお話しないとけないから……」
あら、クリスカさん、お姉ちゃんみたい。
「まぁ、そうだな。そのような関係だ」
そう言えば、二人は国家代表候補生だったって聞いたけど、専用機を持ってるの?
「あぁ。代表候補生は辞退したが、《カリス社》の第三世代機のテスターとして、私は《チェルミナートル》とイーニァは《ジュラーヴリク》を持っている」
ふむ、戦闘機由来のネーミングですか。格好いいですね。
「高機動性と火器管制などを重視している。ハクノの機体に通じる部分があるから、相手としては十分だと思うぞ」
じゃあ、今度一緒に訓練しようね。イーニァちゃんも。
「うんっ!」
「イーニァがこんなに懐くなんて……」
ん? イーニァちゃん、人見知りなの?
「うん……。あ、でもっ、ハクノはスキだよ!」
両手を広げてどれくらい思っているかを表現してくれる。可愛い。ナデリコ。
「えへへー、ハクノのて、きもちーね」
……だめ、この子には変なこと言えない。ピュアやぁ……。
「ともかく、私たちは四組だが、出来る限り協力する。……イーニァもハクノのことを気に入ったようだしな」
「うん! わたし、がんばるよ!」
わたしもがんばる! よろしくね二人とも。
Another side クリスカ
ハクノと別れて、教室に戻る。イーニァはハクノと会ってからご機嫌だ。
「イーニァ、そんなにハクノのことを気に入ったの?」
「うん! ハクノになでなでしてもらうと、ポカポカするの!」
「イーニァ……」
滅多に人に懐かないイーニァが、初めて会った人にこんなに心を許す所、初めて見た。
上司であるヴィオリニスタや中佐に、丁重に仕えるよう言われたが、私の性分にはなかなか合わない。当の主は気にした様子はなかったが。ヴィオリニスタにバレたら、また説教をされかねないな。
「あ、イーニァ」
「あ、カンザシ」
席に戻ると、隣の席のカンザシが声をかけてきた。私たちが会話をする数少ない人物だ。
「どうしたの? 随分嬉しそうだけど?」
「ポカポカのおひさまをみつけたの!」
「お日様?」
お日様か。確かにハクノからは、光を感じた。イーニァは太陽の光と言っていたが、私が感じたのは月の光のような優しい光。あのヴィオリニスタが笑みを浮べて彼女のことを語っているのも不思議と頷ける。
とはいえ、初対面なのだ。ハクノの為人はこれから判断していけばいい。どうやら我が主はなかなかに好戦的のようだし、勝負の中で感じることもあるだろう。
少し楽しみだ。ふふっ、私の柄じゃないか。
「……コソコソ(クリスカさん、笑ってるよ?)」
「……コソコソ(クリスカもハクノのことをきにいったんだよ)」
「……コソコソ(ハクノって、誰?)」
「ん? どうしたんだ二人とも?」
「「なんでもない」」
どうしてイーニァとカンザシはニヤニヤしているのだろうか?
Side out
一組:おりむラヴァーズ
二組:ちっぱ鈴
四組:紅の姉妹+簪
三組は……?
先日、無灯火の自転車と正面衝突。
五分後、電柱に激突。
右の親指が痛い……。