はくのんIS(更新停止しています)   作:天神神楽

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はくのん、編入

結局一時間くらいしか眠れなかったが、案外調子は良いものだ。それよりも。

「……すまんな岸波」

二日酔いが深刻な織斑先生。大丈夫? アーチャー印のしじみ汁、どうぞ。

「……すまんな。……うん、うまいな。というかこの材料は?」

食堂のおばさま方に分けてもらいました。

「そうか。みっともないところを見せてしまったな」

いえ、ウチのキアラがご迷惑を。

「……否定はしない」

今朝はここで織斑先生と朝食を済ませる。まぁ、私も女の子。これくらいの料理なら出来る。ましてや、アーチャーのスキルがあれば倍率ドン。

「ふう。何から何まですまんな。さて、これが制服だ」

渡されたのは白を基調とした制服。今までの制服とは違うので新鮮。

キッチリスーツで決めた織斑先生の後に付いてまずは職員室に向かう。職員室でキアラに手を振られたが、見えないふり。そこで、紹介され、ついでにキアラの関係者と言われ、驚愕された。アンタは何をしていたのか。

職員室での挨拶も終わり、織斑先生と山田先生の後ろについて、教室に向かう。

「では、私が呼んだら入ってこい。まぁ、やることと言っても簡単な自己紹介くらいだな」

ふむ……、自己紹介、ですか。

ふむ。

……ふむ。

『岸波、入ってこい』

おっと呼ばれた。教室に入ると、沢山の視線が私に集まる。

「では、自己紹介をしろ」

初めまして、フランシスコ・ザビ……。

――スパン。

痛い。

「ふざけるなバカ者」

……岸浪白野です。キアラ先生に連れられてここに来ました。趣味は特にありませんが、料理とか頑張りたいです。よろしく。

「……まぁいいか。岸波の席は布仏の隣だ。では、授業を始める」

痛む頭を押さえつつ、指定した席に着くと、隣からつんつん突かれた。そこには妖怪袖余り。

「よろしく~、はくのん」

よろしく、のほほんさん。そう呼んだら、ニパっと笑うのほほんさん。可愛い。まさに子リス。ふにふに。

「ひゃめて~」

おぉ、伸びる伸びる。ふにふに。

ふにふにふにふにふにふにふにふにふにふにふ、バッシン!!

いたい。

「授業を、始める」

イエス、マム……。

出席簿アタックで始まった授業だが、腐っても鯛。いや、フナくらいだが、ハッキングとかをしていた身としては、これくらいなら何とかなる。取り敢えずは条約とかを覚えるのが面倒だ。

そして、授業が終わり、転校生の宿命、質問タイム。

「ねぇねぇ、岸波さんのそれって、専用機?」

うん。キアラから渡されたの。

「岸波先生と岸波さんって、姉妹なの?」

……流石にあの怪物と姉妹というのは恐ろしい。まぁ、親戚かな? 元々私に合わせた専用機を作っていたという設定。

「へー、どんな機体?」

えーと……『聖杯(ザ・ホーリィ)』。まんまやん。

「聖杯っていうと、アーサー王伝説のアレ?」

大元はそれだが、聖杯戦争の方だ。とはいえ、こちらでは通じないので、そういうことにしておく。

「どういう機体なの~?」

のほほんさんに後ろに抱きつかれながら説明するが、公開が許されているのは、セイバーの武装のみらしい。取り敢えず《星馳せる終幕の薔薇(ファクス・カエレスティス)》について説明する。まあ、レベル5のシールドをぶち破ったといったら引かれた。

「そ、それは大火力の技ですわね……」

たしかこの金髪さんはセシリア・オルコットさん。

「それにしても大剣か。一度手合わせ願いたいな」

この武士みたいな女の子は、篠ノ之箒さん。

「それよりも、機動力の方が気になるな。今度見せてみろ」

銀髪ウサギ娘こと、ラウラ・ボーデヴィッヒさん。

「ラウラ、いきなりそれはないよ……」

ラウラさんの保護者っぽい子は、シャルロット・デュノアさん。

「それにしても、専用機持ちなんてすごいな。一回勝負してみたいな」

そして、今まで女子に押されていたこの男の子は織斑一夏くん。織斑先生の弟さんで、世界で唯一の男性IS操縦者。

この五人がこのクラスの中心人物のようだ。篠ノ之さん以外は皆専用機持ちで、その篠ノ之さんも、ISを開発した篠ノ之博士の妹さんらしい。……このクラスに重要人物が集まりすぎな気もするが、まぁ、いろいろあるのだろう。

「それにしても、良い時期に転校してきたね」

確かこの人は相川さん。モ……可愛らしい女の子。しかし、良い時期とな?

「うん。もうすぐ臨海学校なの。ISの実験稼働とかもするけど、海で遊ぶ時間もあるんだよ」

ほほう。それは楽しみだ。そう言えば、水着なんてスク水くらいしか着たことないなぁ。

「「えええぇっ!?」」

思えばひたすら探索ばかりしていたから、遊びに行く暇もなかったし。あ、でも海には潜っていたのか。あとは、セイバーのヒモくらいか。

「はくのん、水着持ってないの~?」

今は一着も持っていない。このままだと、貝殻水着か椰子の葉水着か、ワカメ水着か。最後のはかぶれそうだ。

「き、岸波さん!? 流石にそれはハレンチですわよ!?」

辺りを見渡すと、何やらみんな真っ赤になっている。織斑なんて、女性陣にたたきのめされていた。ドンマイ。

しかし、無いものはない。流石に裸にはなりたくないから、キアラ、いや山田先生辺りに聞いてみよう。

「か、買い物に行けばいいんじゃないかなぁ?」

そう言ってもデュノアさん。ワタクシ、この辺りの地理は全くシランのです。金もないのです。

「……あー、もうっ! わたくしが買って差し上げますわ! これじゃ、本当に野蛮人になってしまいますわ!!」

いやしかし、それは悪いし。それに、貝殻ビキニは日本の伝統的セクシー水着で。

「そ、そんな伝統はない! 勝手にねつ造するな!」

しかし篠ノ之さん。貝殻ビキニは男をイチコロにする魔性の衣装ですよ? もし、篠ノ之さんの貝殻ビキニ姿を見たら、織斑君だって惚れちゃうよ? ねぇ?

「へっ!?」

「ほ、本当なのか。一夏!?」

「はぁっ!? い、いきなり言われても!?」

「ハ、ハレンチですわ、一夏さん!」

「一夏はそんなのが好きなの!?」

「嫁の趣味は特殊だな。……あとでクラリッサに聞いてみるか」

みな織斑君に詰め寄っている。ふふふ、男はみな野獣なのです。もしくはスリリングショトとかも好きだよね、織斑君?

「な、なななっ!?」

「おい岸波さん! 変なことを言わないでくれ! 俺の身が危険だ!」

……ほほう。

そうだなぁ……。

「おや、はくのん悪い顔~」

人聞きが悪いよのほほんさん。……やっぱり篠ノ之さんは貝殻ビキニで、セシリアさんはスリリングショットがいいよね。それに、織斑君的には、デュノアさんはスク水で、ボーデヴィッヒさんはあえての超☆マイクロビキニだよね、織斑君(笑)。

「岸波さん!? なんか俺に恨みでもあるの!?」

あ、でも織斑君的には織斑先生に貝殻ビキニとかスク水とか着てもらいたいのかな? 欲しがりさんだね☆

「い、一夏! そんなに見たいなら私が着てやるぞ! か、貝殻ビキニ!」

「そうだよ! 私だってスク水着てあげるんだから!」

「一夏さんったら……。そんなに見たいのでしたら、いつでも言って下さいな」

「そ、そうか……嫁は小さい水着が良いのか……」

織斑君が教室の隅に追いやられているのを尻目に、私はのほほんさんとハイタッチ。いえーい。

ゴスッ☆

……死ぬわ-。

「何をバカなことをしているのだ」

い、いえ、素直になれない女の子達に愛の手を。

ドムッ★

今度は中に芯がある一撃。《无二打》とは恐れいる。まさか織斑先生もサーヴァントなのか?

「はぁ……、もういい。ほら、お前達も席に着かないか! 授業を始めるぞ!」

織斑先生は追い詰められて追い詰めてな織斑君たちにリズミカルに出席簿アタックを決めてから教壇に立った。

さて、授業は静かに受けましょう。

「それをはくのんが言うの~?」

……クスリ。

「おぉぅ、わるい顔」

そして、授業が終わり、昼休み。転校生の宿命、質問タイ……。

正座タイム。

「……何か言うことはあるか?」

篠ノ之さん、その木刀はどこからごめんちゃい。

「全く……人畜無害な顔をして、とんだ飛び道具だったか」

でも、みんながさっきの水着を着てくれたら、嬉しいよね織斑君?

「え、あぁまあな……、はっ」

「い~ち~か~……」

「一夏さん?」

「一夏?」

「嫁よ……」

「ま、待て! 俺は無実だ!」

「「「問答無用!!」」」

さて、お昼食べに行こうかのほほんさん。

「悪い人だね~はくのん」

どうやら愉悦神父の思考までインストールしてしまったみたいだから。私の本意じゃないよ? ホントだよ?

疑いの目を向けられつつ、のほほんさんや相川さん、鷹月さんと一緒に食堂に向かった。

「岸波さんって、意外とイタズラ好きなのね」

「イタズラっていうのかなぁ、あれ?」

「あれはゆえつだね~」

よくお分かりで。あれは織斑君から超☆鈍感オーラを感じたから、つい。

「まぁ、分からない訳ではないけど。でも、岸波さんは織斑君には興味ないの?」

弄り甲斐はあるけど、そういうのはない。

「へぇ。じゃあ、もう心に決めた人がいるとか?」

どうだろうか。でもセイバー達とはそういう仲ではない。だけど、私の全てを預けられる相手だ。それに比べると、織斑君では少々物足りない。

「可愛い顔して情熱的なのね」

そうではないのだけれど、聞いてくれない。まぁ、間違いでもないので、そういうことにしておこう。セイバーとキャスターなら喜ぶだろうし。

それにしても、ここのご飯は美味しい。今日はエジプト料理。シャクーシュカという料理だ。ラニを思い出したので、食べたくなった。

「へー、ここってそんな料理もあるんだ」

そういう相川さんは日替わり和定食。日本人ですね。でも、チャレンジ精神が足りません。

「もしかして、岸波さんって、食事好きなの? 自己紹介のときも料理のこと言ってたけど?」

そういえば言った。でもあれはたいした意味はない。ただ、やるべきことがなくなったので、やってみようと思っただけだ。なに、命をかけるわけではないのだ。ゆっくりやるつもりなのである。

「へぇ。たしか、シャルロットさんが料理部だったはずだから、紹介してもらったら?」

ふむ、デュノアさんか。じゃあ、スク水を手土産に持っていこう。

「……やめてあげなさいな」

鷹月さんに怒られた。素直にお願いすることにしよう。

その後は織斑君の鈍感珍道中の話を聞きつつ、のほほんさんにご飯を食べさせていると、相川さんが突然声をあげた。なにごと?

「午後の授業はアリーナで騎乗訓練なの。遅れたりでもしたら織斑先生に怒られちゃう」

それは御免被る。あれ、相当痛いのだ。

その後、急いでのほほさんの食事を「終わらせて」アリーナに向かう。

「うぅ~、お腹が重い~」

のほほんさんがこちらを恨めしそうに見つめてくる。仲間になりたいの?

「ちがう~」

ごめんね? でも、出席簿アタックはいやだったの。ほら、織斑君が三連打を浴びて轟沈してる。

「さて、このバカ者は放っておいて、授業に入る」

しかし、こう、ピッチリスーツの女の子が一堂に会しているのは……こう、そそるものがある。

「おい、そこのバカ」

おぉぅ。ゾクリとする。

「……はぁ。岸波、良い機会だ。お前の機体を使って説明する。機動関連のことだから、お前なら出来るはずだ」

ほほぅ? 動き回っても良いと?

「節度は守れ。あと、見えるように動け。指示はこちらから出す」

イエス、マム。さ、行こうかな。

文字通りシュバンと飛び立つ。一瞬で飛び立つのがコツ。遅くなるとシュゥゥゥ……という感じになる。それじゃかっこ悪い。

「は、速い……」

「一瞬でトップスピードに……。それに、あの動き、機動部門の代表候補生でも……」

オルコットさんとデュノアさんが何か言っているが、後で聞こう。取り敢えず見えるようにといわれたので、ジグザグ走行と螺旋機動をやっておく。ぐるぐる。

『……バカ者、やり過ぎだ。まずは、的に向けて姿勢を固定させてみろ』

どうやら趣味に走りすぎたらしい。言われた通りに、ジグザグに動くホログラムの的に、《原初の火(アェストゥス・エウトゥス)》を向け続ける。ちょ、織斑先生! 剣だとやりにくいんですけど!?

『何か射撃出来る武装はないのか?』

……斬撃は飛ばせるけど、それじゃない。セイバーだから剣の攻撃なのだ。違うセイバーの技を使えば、ビームを飛ばせるけど、それをやると海まで切り裂いてしまう。

と、そこまで考えてティンときた。セイバーでダメならアーチャーだ。弓じゃやりにくいから、英雄王の方で。《擬似・王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)》。これならファンネルっぽく空中に維持できる。どっちかというと《従者の玩具》くらいの規模だけど。

うらうらうらうらうらうらうらうら。

相手はホログラムだ。こう、ばんばん打ち込むのは快☆感。打ち出すのは宝具ではなく、普通の武器。やはりセイバーの影響が強いためか、剣が多い。まあ、打ち出す感覚はさして変わらないので問題なし。

ぼらぼらぼらぼらぼらぼらぼらぼら。

『……岸波。もう十分だ。取り敢えずその剣を止めろ』

どうやら合格点らしい。次は次は?(キラキラ

『……時間はないが、一つくらい見せてやれ。被害を出さないのであれば、何でもいいぞ』

スピード勝負か。ならば一択だ。青タイツ。光の神子。決して赤のアイドル(仮)ではない。

宝具の解放ではないので、心臓をもらい受けるわけではない。スピードを極めてみよう。取り敢えず、織斑先生。

『なんだ?』

アリーナの外周に八つ的を出して下さい。こう、八方位の位置に。

『分かった』

すぐに出現する八つの的。このアリーナは結構広いので、広範囲にあることになる。あ、かなり高速で動くので、ISがある人にはハイパーセンサーで見るようお願いします。

『分かった。指示しよう』

これはいわばデモンストレーション。できる限り派手にやるべきなのだ。

剣士(セイバー)と弓兵(アーチャー)に続いて次は槍兵(ランサー)だ。やはりここは槍でなければ。

魔槍《ゲイ・ボルグ(刺し穿つ死棘の槍)》。今度はまがい物なんかではない。せっかく許可が出たのだ。

神速の槍兵の動きをイメージする。生身の私では到底出来るものではないが、今はこの鎧がある。あの大英雄の動きが出来るのだ。

――あぁ、そう考えると、《聖杯(万能の願望器)》という名もふさわしいというものだ。

まさか、英雄達の動きを我が身にインストール出来るのだから。

思い出せ。かの英雄の構えを。

想像しろ。かの英雄の視線の先を。

創造しろ。かの英雄の姿を。

 

――その心臓、貰い受ける。

 

そう、言葉に出した瞬間。私の体は光となり、八つの的を同時に打ち砕いた。

……ふぅ。流石にエネルギーの消費が激しい。それに想像以上のプレッシャーもあったようだ。槍を握る手がかなり汗ばんでいる。

まぁ、少し疲れた。それにかましていいのは一回と言われたし、下りよう。

ふわふわと下りてみると、みなポカンと口を開いていた。女の子なんだから閉じないと。

「確かに本気を見せてみろとは言ったがな。ちなみに何をしたんだ? 説明してやれ」

最速の槍兵をイメージして動きました。技術的なことを言えば、トップスピードに入って、キープしたままターンして、の繰り返しです。流石に節々が痛みますけど。

「そうか。あぁ、一応言っておくが、あの機動はこの機体だから出来たことだ。間違っても真似しようと思わないように。では実習に入る。専用機持ちがリーダーとなって、番号順に分かれろ。

私も専用機持ちだから、教師役だ。メンバーの中にはのほほんさんや鷹月さんがいる。他の人もよろしくね?

「は、はいっ」

少し緊張されたけど、まあ仕方ない。じゃあ、最初は鷹月さん。私も隣に飛んでいくから、まずは上昇ね。

「えぇ」

鷹月さんと一緒に飛び上がる。まずは基本的な機動、というか移動だ。まずはゆっくりと行こうか。

「分かったわ。でも、なかなか難しいわね」

結構上手だと思うが、思うようにいかないらしい。何かちょうど良いイメージがあればいいんだけど。例えば自分に翼があると思って。せっかくそれを飛べるんだから、重力から自由になる感じで。

「翼? ふふふ、そうね。せっかく自由なんだもの。ふらふらしていてはもったいないわね」

何故か笑われた。でも、それからの鷹月さんの飛行は安定した。どうやら良いイメージが出来たらしい。

その後の子達も、どうやら上手にイメージが出来たらしい。うん、よかったよかった。授業も終わり、無事に私のIS学園の初日が終了した。

 

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