私はヴィーラさんが好きなので、隙あらば彼女を登場させます。
今日は日曜日。所用で出かけようとしていたら、織斑君と箒さんが二人とも私服で出かけようとしていた。今日はデート?
「で、でででっ!?」
「いや、黛さんのお姉さんの雑誌でインタビューを受けることになってたんだ」
「…………」
あー、なんかゴメンね箒さん。
「いや、分かってたから……。白野はどうしたんだ?」
私もインタビュー。『インフィニット・ストライプス』って日本の雑誌。二人は知ってる?
「へ?」
「私たちが受けるのも確かその雑誌だったはずだ。もしかして一緒なのか?」
ん、そうみたい。どうせなら一緒に行く?
「俺はいいぜ。箒は?」
「……まぁ、白野ならいいか」
うふふ、後で二人っきりにしてあげるから。じゃ、行こっか。
電車を乗り継ぎ、都内のビルの中のフロアにある編集部に向かう。案内されたところに行くと、綺麗なお姉さんが二人出迎えてくれた。
「初めまして織斑さん、篠ノ之さん、岸波さん。私は『インフィニット・ストライプス』の編集長の桜乃宮葵です。こちらは副編集長の黛渚子です」
「黛渚子です。今日はよろしくお願いします」
黛さんは黛先輩のお姉さんのようで、黛先輩にそっくりだ。桜乃宮さんはショートヘアーがチャーミング。とっても可愛らしい女性だけど、編集長という肩書きは飾りでなく、みているだけで安心するが、それでもただ立っているだけなのにピシッとしている。
「では織斑さんと篠ノ之さんは黛と。岸波さんは私についてきて下さい」
どうやらインタビューは別のようだ。織斑君たちと別れて桜乃宮さんと一緒に景色の良い部屋に入る。綺麗な部屋ですね。
「えぇ。インタビューのための部屋ですから。始める前にお茶でもいかがですか?」
はい、いただきます。
「岸波さんは紅茶がお好きと聞きましたので、私少し張り切ってしまいました。どうぞ」
いただきます。……あ、美味しい。
「そう言っていただけて嬉しいです。《カリス社》のクラヴィア様には及びませんが、気に入っていただけてよかったです」
最近舌ばっかり肥えちゃって。幸せな悩みですけど。
「ふふっ、そうですね。では、インタビューを始めさせていただきますが、よろしいですか?」
はい。何でも聞いて下さいな。
「では……白野さんは先日正式にロシアの代表候補生と成りましたが、いまの心境はいかがですか?」
嬉しいです。キアラとかヴィーラさん達にたくさん協力してくれてますし、全力で代表を目指しますよ。唯依姫……唯依先輩との約束しましたしね。
「篁唯依さんですね。先日のキャノンボール・ファストでは岸波さんが勝利していましたが、勝つ自信はおありですか?」
もちろん。とはいえ、唯依姫先輩もすっごく速い人ですから、油断、いや、慢心なんてしてあげません。全力でお相手しますけどね。
「最大のライバル、ということですか。それに関してですが、岸波さんは機動部門を希望なさっていましたが、格闘部門でも十分に優勝を狙えると思うのですが、何故機動部門を希望なさっているのですか?」
やっぱりISに乗ったんだから、空を飛びたいからですね。色々ロマン武器を試すのも楽しいけど、やっぱり飛行を極めたいんです。だって、人間、自由に飛び回りませんし。
「キャノンボール・ファストの決勝戦では、武装を一度も使っていませんでしたが、それも空を自由に飛びたいからなのですか?」
はい。唯依姫先輩に前もって宣言していたのでとっても楽しかったです。たまにですけど、近接戦闘の訓練もたまにやってるんですよ。
「そうなんですか? では、次は学園内での……」
その後は学園での生活についてや、《カリス社》についての話をして、インタビューは終了となった。
「お疲れ様でした。この後は写真撮影になりますので、一度衣装に着替えていただきますのでよろしくお願いいたします」
写真かー。服はこれでいいんですか?
「いえ。衣装を用意していただいたので、そちらで撮影してもらいます。メイクもそちらで。こちらですよ」
用意して「いただいた」? どういうことだろうと首を傾げつつ、案内された部屋に入るとその理由が判明した。
「インタビューお疲れ様です白野様」
私服Verのヴィーラさんがいました。そういうことですか。
「はい。《カリス社》にオフォーをした際に、衣装を用意していただけると。織斑さんたちの衣装も用意して下さったのです。クラヴィア様、本日は本当にありがとうございます」
「いえ。お話を受けたとき、衣装部の者達が張り切ってしまいましたので。寧ろこちらの我が儘を聞いていただきありがとうございます」
ほらほら速く着替えて織斑君の撮影見に行きましょ! お願いしますねヴィーラさん。
「はい。薄いメイクですからすぐに終わりますわ。ではジッとしていて下さいね。……ふふふ、白野様はとても肌がお綺麗ですから、ノリがとても良いですわ」
ヴィーラさんにメイクをしてもらって、髪もアップにしてもらう。服は……わぁ綺麗。これは《Fate》の?
「いえ。このドレスは私どものものです。服飾部の者達が仕立てました」
そっかぁ……じゃあ後でお礼しなくっちゃ。さ、早く着て織斑君達の所にいこっか。
「はい。お供いたします」
上に一枚羽織らせてもらい、ヴィーラさんと桜乃宮さんと一緒に撮影スタジオに向かう。そこでは、先に織斑君と箒さんが一緒に撮影をしていた。ムフフ、くっついて真っ赤になって可愛い。
「幼馴染みのお二人で撮って差し上げたくて。黛、織斑さんたちへのインタビューはどうでしたか?」
スタッフの人たちと一緒にいた黛さんは私たちに気が付くとこちらにやってきた。
「はい。良いインタビューが出来ました。岸波さん、お化粧素敵よ。とても綺麗よ」
ヴィーラさんの腕が良いからですよ。それにしても、織斑君達初々しいですね。
「ふふっ、そうね。こういうのは初めて見たいだし、それに篠ノ之さんは特に緊張しているわね」
だって、恋する乙女ですもの。
「ふふふそうね。さ、次は岸波さんの番よ。織斑君、篠ノ之さんお疲れ様」
撮影を終えた二人がこちらに戻ってくる。お疲れ様二人とも。
「お、岸波さんも撮影なのか?」
うん。うちで作ってくれたドレスでね。箒さんもお疲れ様。その服、似合ってるよ。
「あ、ありがとう。その、白野も似合ってるぞ」
ふふっありがと。でも、そういうセリフは織斑君に言ってあげて。
「では岸波さん。準備お願いします」
はい。
こういう撮影はロシアでもしたけど、日本では初めてだ。
「じゃあよろしくお願いしまーす!」
カメラマンの合図で撮影が始まる。あんまり慣れないけど、結構楽しいのだ。カメラマンに言われるとおりのポーズをする。笑顔が苦手なのでクール(笑)っぽく。
「じゃあ最後に笑顔、お願いしまーす!」
ふむ、笑顔か。うーん……あ、じゃあ。カメラマンさん、ちょっとご相談。ゴニョゴニョ。
「ふむ……。私たちとしては嬉しいのですが……」
うん。じゃあ私がお願いしますね。ヴィーラさんヴィーラさん。こっち来て?
「はい? はい、何でしょうか?」
今日のヴィーラさんは私服。しかもオシャレなのである。本当のモデルさんのようだ。
つまりはこのまま写真に写っても問題ないくらいに。それに、まだまだ服はあるらしいし。
ということで、一緒に写ろ?
「わ、私ですかっ!? もう代表ではありませんから問題は無いかもしれませんが……」
大丈夫! イヴァンさんには許可とったから。
「迅速ですね……。分かりました。一緒に撮りましょう」
やった! じゃあヴィーラさんに合わせなきゃね。桜乃宮さん、洋服ある?
「はい。ご用意してありますよ」
ありがとうございます! じゃあ、ここで着替えちゃいましょ。あ、織斑君。覗いちゃヤーよ?
「覗かない!」
ふふふ、冗談。
物陰で着替えて、ヴィーラさんと一緒に並ぶ。ヴィーラさんの洋服が白を基調としているので、私は黒の服を着た。さ、ヴィーラさん。こっちこっち。えいやっ。
「きゃっ!? は、白野様?」
一番笑顔になれるのは、ヴィーラさんと一緒の時だから。私の大切なお姉さんだもの。
「ふふっ、はい。私にとっても、貴女は大切なお人です。私も貴女と一緒にいるときは、自然と笑顔になるのですよ」
えへ、一緒ですね。
「はい。一緒ですよ」
ちなみにこうしてイチャイチャしている間も、シャッター音が鳴り響く。でも、いまは二人の世界なので、勝手にやって下さいな。
「はい、オッケーでーす!」
おや、至福の時間は終わりのようだ。ありがと、ヴィーラさん。
「私こそありがとうございます。とても楽しかったですわ」
桜乃宮さんたちの所に戻ると、拍手で迎えられた。
「最高でした! 特に最後のお二人での写真は表紙にさせていただきたいほどです!」
そこまで喜んで貰えれば良かったです。私も楽しかったですし。
「雑誌が出来ましたらすぐにお送りいたします。楽しみに待っていて下さいね」
はい。楽しみにしてます。あ、この間のロシアの時はサインとか書いたんですけど、今回は書かなくていいんですか?
「その、よろしければ……」
うん。何に書きますか? 今日はISスーツは持ってきてないですけど……ないですよね?
「いえ。持ってきてあります。アンヌ様がデザインした新作と同じものです。白野様にも後でお渡しいたします」
じゃあ、これに書けばいいんだね。せっかくだから、色紙にも書こうかな。桜乃宮さん、色紙とかってありますか?
「は、はい! 黛! すぐに持ってきて!」
「は、はい!!」
織斑君達はどうする?
「お、俺たちは遠慮しておく」
「勝手に書いていいかも分からないしな」
確かに、織斑君は企業所属でないし、立場が微妙だし、篠ノ之さんも《カリス社》に入ることにはなっているから、あまり大袈裟にはできない。じゃあ、また今度だね。
「も、持ってきました!」
あ、お疲れ様です。じゃあ、書いちゃいましょうか。サラサラーっと。
サラサラサラサラサラサラ。
うし、色紙十枚書き終えた。ISスーツの方はどうしようかな。お腹の広い所に書いておこっと。ヴィーラさん、セットでさっきのドレスの髪飾りもつけてもいいかな?
「よろしいですよ。折角ですので、ドレスもプレゼントしてあげてはいかがでしょうか? あの子達も喜んでくれるかと」
いいの? 大丈夫ですかね?
「もちろんです! でも、本当によろしいのでしょうか?」
「はい。幾つもわがままを聞いていただいたせめてものお礼です。読者の皆様へ、ぜひ」
「本当にありがとうございます。読者の方々もとても喜ぶと思います」
それならよかった。じゃあ、頑張ってくださいね?
「はい。また、共に仕事ができることを楽しみにしています」
私も楽しみにしてます。
ヴィーラさんや織斑君たちと一緒にビルを出る。結構暗くなっちゃったなぁ。二人はこの後……あ、ヴィーラさんと予定があるからお別れだね。じゃ、箒さんも頑張ってね。
「ば、馬鹿者っ!」
じゃあまた明日学校でね。ヴィーラさん、行こっか。
「はい。それでは織斑様、篠ノ之様、失礼いたします」
織斑君たちと別れて、私たちも夕食をとることにする。
「白野様、夕食はいかがなさいますか? 今から用意させることもできますが」
それもいいけど、言ってみたいところがあるの。この間会った蘭ちゃんの家が食堂をやってるみたいなの。そこに行ってみたいんだけど、いい?
「もちろんですわ。それでは行きましょうか」
ということでヴィーラさんと一緒に、蘭ちゃんのお家、五反田食堂に向かった。中からはとってもいい匂いがする。お腹がすいてきた。こんばんはー、二人ですけどいいですか?
「あぁ、大丈夫だよ。好きな席に座ってくれ」
おじいさんに言われた通り、適当な席に座る。水を持ってきたのは男の子。五反田君である。おひさー。
「へ? って、岸波さん!?」
こんばんは。ごはん食べに来ましたよ。蘭ちゃんはいる?
「あ、あぁ。蘭ー! ちょっと来ーい!」
あ、私は業火野菜炒め定食で。ヴィーラさんは?
「では私は焼き魚定食をお願いします」
「は、はい!」
お、虚さんの次はヴィーラさんに一目惚れ? ハードル高いよ?
「うぅ……し、失礼します!」
あらら、いなくなっちゃった。
「白野様、あまりからかうのはよくありませんよ?」
ごめんなさい。織斑君といい五反田君といい、いい反応をしてくれるからつい。
「もー! いきなり何よお兄ィ……って、白野さん!?」
はい。はくのんです。久しぶりだね、蘭ちゃん。
「は、はい。久しぶりです。今日はどうしたんですか?」
蘭ちゃん家が食堂をやってるって聞いてたから、食べにきたの。あ、こちらはヴィーラさん。私のメイドさんだよ。
「初めまして五反田様。ヴィオリニスタ・クラヴィアと申します。どうぞ、よろしくお願いいたしますね」
「は、はい! よろしくお願いします! って、ヴィオリニスタ・クラヴィアさんって、ヴァルキリーのっ!?」
うん。私自慢のメイドさん。流石、IS学園に入りたいと思ってるだけあるね。あ、今度《カリス社》に招待してあげよっか? 出来たらだけど、もし出来たらISに乗ってみたりしたくない?
「いいんですか!? あ、ごめんなさい」
ふふふ。ヴィーラさん、大丈夫かな?
「はい。あまり大っぴらには出来ませんが、大丈夫ですよ。来週の土曜日辺りは空いていますが、五反田様はご予定などありませんか?」
「大丈夫です! 寧ろ予定があっても断ります!」
ふふ、じゃあ来週は私も予定を空けとくね。一緒に飛び回ろうね。
「はい! えへへ、楽しみだなぁ」
蘭ちゃんと話していると、お爺さん―巌さんがご飯を持ってきてくれた。うん、いい香り。いただきまーす。あ、美味しい。
「はい。とても美味しいですわ。良いお魚をお使いですね」
どうやらヴィーラさんもご満悦のようだ。
ご飯を食べ終え、お茶を飲んで五反田君で、いや、五反田君と話していると新たなお客さん。というか、織斑君と箒さんだった。やほー。
「白野? どうしてここに?」
一回来たかったから。二人はどうしたの? オシャレなレストランとか行ったと思ってたんだけど。
「うぅ……それが、予約を取り忘れてな」
ありゃりゃ。それは織斑君が悪いね。そう言うのは男の子がリードしてあげなくちゃ。
「そんなこと言われても」
まぁ、お説教は織斑先生に任せるとして、私たちは退散するよ。織斑君はあーんとかやってあげること。じゃあね。
「お代はこちらにおいておきますね。ごちそうさまでした」
満腹に満足しながらお店を出て、少し周りをプラプラする。すると公園があったので、そこで少し涼むことにする。近くの自販機で買ったお茶を飲みながらブランコに乗る。
「今日はお疲れ様でした。お疲れではありませんか?」
うん。楽しかったから大丈夫。それにしても……。
「どうかなさいましたか?」
ううん。ヴィーラさんがペットボトルのお茶を飲んでるのが新鮮で。
「あら……でも確かに普段は会社にいるのであまり飲みませんね。練習も兼ねて一回一回お茶を淹れますから」
そっか。でもそのお陰でいつも美味しいお茶が飲めるんですね。ありがとうございます。
「ふふ。私こそですわ。でも、たまにはこういうのもいいですわ。楽しいですもの」
私も楽しいですよ。
――――うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!
半ばドップラー現象を起こしながら聞き覚えのある声。というか蘭ちゃんである。はいどうどう。
「あ、白野さん……」
はいはくのんです。ほら、そんなに泣いたら目が腫れちゃうよ。ハンカチ使って?
「ありがとうございます」
ブランコの席を譲って、蘭ちゃんにもジュースを渡す。
どうやら箒さんが織斑君の彼女と勘違いしたらしい。
あー……それって、あれか。私のせいじゃん。
まぁ、箒さんはともかく、空いては織斑君だよ? 未だにあの鈍感は治ってないしね。
「まぁ、一夏さんは鈍感ですけど……」
それでも不安なんだね。……おや? ふふふ、でも、少しは改善されたかな。
「白野さん?」
そろそろ遅いから私もそろそろお暇させてもらうよ。ふふふ、蘭ちゃんも一人で帰ったりしちゃダメだからね?
「は、はい?」
じゃ、ヴィーラさん、行こっか。お馬さんに蹴られる前にね。
「ふふっ、かしこまりました。五反田様もまたお会いしましょう」
蘭ちゃんはまだよく分かっていないようだけど、邪魔になってはいけない。覗くのも申し訳ないし、ここは素直に退散しよう。
ISのセンサーが《白式》が近くに来ていることを告げている。すれ違わないように、少し遠回りして、《カリス社》に行く。
「お疲れ様でした。よろしければ、お茶を飲んでいかれますか?」
そうだね。ちょっとゆっくりしてから帰ろうかな。今日はヴィーラさんに淹れてほしいな。
「承知いたしました。腕によりをかけてお淹れいたしますわ」
ヴィーラさんが本気を出して淹れてくれた紅茶とスコ-ンは、思わず気を失ってしまいそうになるくらい美味しかった。
幸せな気分で寮に戻り、こっそり箒さんを部屋にご招待した。で、今日のデートはどうだった?
「デ、デデデデートだなんて!?」
はいはい。私にはごまかさないの。最後はともかく、撮影中とかは楽しかったんじゃないの?
「うぅぅ……、その、な? 腕に抱きついたり、したんだ」
うん。見てたよ。織斑君も少しは女心が分かってきたかな。まぁ、まだまだだけど。
「全くだ。私が勇気を出しても、見当違いのことを言うんだ」
まぁ、察しが良すぎるのも困りものだけどね。そしたら今頃、織斑君プレイボーイになっちゃうよ。
「そ、それはイヤだが……むぅ」
そこの所は箒さんが頑張らないとね。何度もめげずにアタックしなくちゃね。
「うぅぅぅぅぅぅ……」
はいはい、可愛く唸っても駄目です。
次は久しぶりに紅の姉妹と一緒です。ワ、ワスレテナイヨ