はくのんIS(更新停止しています)   作:天神神楽

48 / 52
はくのん、ペアを組む

朝起きて、私はふと思った。

そう言えば、私自身の技術ってどれくらいなんだろう、と。

それを朝箒さんたちに話すと首を傾げられた。

「どういうことだ?」

いやね、《聖杯》のお陰で随分楽しくやらせてもらってるけど、実際の私のIS操縦技術ってどれくらいなのかなって思って。

「機体の性能に助けられているということか?」

うん。ボーデヴィッヒさんの言うとおり、《聖杯》じゃないIS使ったらどうなるのかなって思って。

「じゃあ、試してみればいいんじゃないかな?」

それは無理。

「どうしてですの?」

他のに乗ろうとすると、《聖杯》が拗ねちゃうから乗れないの。ギリギリの妥協点が他の武装をつけることだから。

「そうだったんだ……。じゃあ、武装とか性能を制限してやってみたら?」

あ、そっか。それならいい? ……不満だけど、許してくれる? ん、ありがと。じゃ、放課後クリスカ達と一緒にやってみよっか。

「あら、私たちとでは駄目なのですか?」

だって、今日は織斑君との一緒の訓練でしょ?

「うっ」

「はぅっ」

「くっ」

「あははは……」

それに、一応ロシアの代表候補生だし、元候補生の二人の意見も聞いておきたいしね。私の方は気にしなくていいよ。……うん、二人からも了解貰えたし。

「ふむ、では後で結果は聞かせろよ?」

了解だよ。今日は私が頑張る番だね。よろしく《聖杯》。

ということで放課後。昼休みに二人には直接お願いして改めて了承を貰った。一応キアラにも伝えたら、後でデータが欲しいといわれた。まぁ、ログを渡すのでそれでいいだろう。

「お、来たか」

「ハクノ!」

どうやら私が最後だったらしい。ごめんね、突然お願いしちゃって。

「んーん。わたしはいっしょにいれてうれしいもん!」

「それに最近はあまり一緒に訓練もしていなかったしな。休日も箒たちといるようだしな」

ジト目で睨まれたのでお手上げです。

「まぁいい。今日はこうして面白そうなことを出来るしな。それで、私たちは何をすればいいんだ?」

二人には軽く私のサポートをして欲しいの。ラファールくらいの性能に調節したときどのくらい動けるか試したくて。その時は《聖杯》搭載の基本装備しか使わないつもりだから、どうなるか見てて欲しいの・

「分かった。では、まずは軌道からだな。一応言っておくが、いつものように無茶は絶対にするなよ。あれは《聖杯》の性能を駆使して初めて出来る芸当だからな」

うっ、了解です。とりあえずまずは基本的な飛行で我慢します。

《聖杯》を身に纏い飛び上がると、それだけでもいつもとは違い、少し身体が重い。

やっぱり動きにくいけど……うん、何とかなりそうかな?

「よし、軽く周回しよう。私たちの間を飛べ」

「こっちこっち!」

いつもよりゆっくりと二人の間に向かう。そして二人に挟まれながら飛行訓練。やはり慣れないからか少しふらふらだったため、イーニァに手を引っ張ってもらったりした。イーニァ何だか嬉しそう。

「えへへ。だっていつもとぎゃくなんだもん。とってもたのしいの」

そうだね。私も楽しいの。いつもみたいにビュンビュン飛び回るのも好きだけど、こうやって、一つ一つ確かめながら飛ぶのもいいね。たまにやっていこっかな。

「そのときはわたしもいっしょ!」

もちろんだとも。クリスカももちろん一緒ね。

「当たり前だ。お前一人では、何をしでかすか分かったものではないからな」

うん、だから一緒にお願い。

「わ、分かっている」

そっか。じゃ、そろそろ武装も試してみたいな。クリスカ、お願いできる?

「了解した。だが、軽くだぞ?」

はーい。とはいっても、ロマン武器だらけだからなぁ。ワイヤーがどれクレイ動かせるか試してみていい?

「分かった。どんどん打ち込んでこい」

いつもは感覚でやってるけど、今回は完全マニュアル制御だ。まずは一本ずつっと。あわわ。

「ふふっ、狙いがばらばらだぞ。もっと動きに集中しろ。並列して物事を捉えてみろ」

分かってはいるけど、難しい。《聖杯》がお手伝いしたくてウズウズしているけど、今日は駄目。ワイヤーとしてじゃなくって、私の身体の一部分として。延長線上として。私の一部なら、自由自在に動かせる。

「そうだ、まずはそれでいい。自分の手を動かすようにして動かすんだ」

クリスカに言われて通りに、自分の手を動かすようにしてワイヤーを操る。《聖杯》と一緒に動かしているときの感覚を思い出しながら、ワイヤーを動かしていく。

動きに慣れていくに連れ、ワイヤーの本数を増やしていく。四本、六本、八本と二本ずつ増やしていくが、だんだんと難しくなっていくと同時に、不思議と《聖杯》との一体感が増していくような気がする。

一端休憩と言うことで、三人で例のジュースを飲む。

「それにしても、白野の成長速度には驚きだ。いきなり十本まで伸ばせるとは思わなかったぞ」

「うん。うごきがどんどんするどくなってた」

イーニァにもそう言って貰えたのは良かった。イーニァは攻撃の技術に関してはクリスカよりも上だ。

「それよりどうする? もう少し動いていくか?」

うん。今度はイーニァと一緒にやりたいかも。次は動きながら。

「うん! じゃあいこっ!」

一瞬で飛び上がるイーニァに、周りの子達が驚愕していた。それだけ素早い展開と、美しいまでの機体制御だったのだ。夕日を反射して赤光を反射して輝く銀色の機体《ジュラーヴリク》は、見惚れるほどに美しい。

「はくの? はやくいこうよ」

うん。じゃあよろしくねイーニァ。

「うん!」

 

 

 

ふひー。

一足先にイーニァとお風呂に入り、ポカポカの状態で食堂に向かう。旅館じゃないけど、浴衣の上に一枚羽織った服装。《カリス社》印の非売品。三人お揃いです。

席を探していると、何やら重い空気の女の子。箒さんである。

箒さん、今日はどうだったー?

「あ、白野、と、クリスカとイーニァか。お揃いなのだな」

うん。お風呂に入ってきたからね。箒さんは? 織斑君達とは一緒じゃないの?

「あぁ。少し私用があってな。皆とは別れた。良ければ一緒にどうだ?」

じゃあ失礼するね。で、今日の特訓はどうだったの?

「今日は五分だったな。最近絢爛舞踏のコツが分かってきたから、随分と動きやすくなった」

むむっ、これは私もうかうかしてられない。フルパワーで来られたら、《聖杯》でも大変だからね。

「あぁ。また手合わせしよう。今度は簡単には負けないぞ? もちろんクリスカたちも」

「うん! まけないんだから!」

「受けてたとう。なんせ、将来の同僚になるんだからな」

どうやら二人も乗り気のようで。私をおいてくなー。

「もちろんだ。今の一番の目標はお前なのだからな」

おぉぅ……情熱的。照れちゃうぜ。

「全く……馬鹿なことを言うものでない。では先に失礼するぞ」

じゃーねー。

箒さんと別れた後、私たちも改めて大浴場に向かう。なんだかんだ言って大きなお風呂は気持ちいのである。

はい、背中流すよー。ざばー。

「きゃー!」

はい、もういっちょー。

「わー!」

はい、次はクリスカの背中ね。

「わ、私は自分で洗える!」

はいはい。後ろ向いて。

「はくののせなかは、わたしがあらってあげるー」

三人で並んで背中の流し合いっこである。なんだか楽しい。

「あー、岸波さん楽そうなことしてるー」

そんなことをしていたら、周りからも注目された。ふふん、いいだろ。

ちょっとした優越感に浸りながら湯船につかる。

「そういえば、今度のタッグマッチ、白野は誰と組むのだ?」

うーん、まだ決めてないけど、せっかくだから、専用機持ちじゃない人と組もうかなって思ってる。

「えー、わたしとはくまないの?」

イーニァたちとも一緒にやりたかったけど、せっかくだから。前に組んだイルフリーデさんたちと組んでみようかなって思ってるの。ジークリンデさんに聞いたら是非にって言われたしね。

「ドイツの英雄だな。だが、それも面白そうだ。オファーはしたのか?」

ううん。せっかくだから今からしに行こうか。

「わたしたちもいっしょにいってもいい?」

うん。じゃあ早くあがろうか。

お風呂から出て、お茶のセットを持ってイルフリーデさんの部屋に向かう。イルフリーデさん、いる?

『はーい。ちょっと待って下さい』

はろろー。イルフリーデさん、お邪魔してもいい?

「白野!? え、えぇ。どうぞ、入って」

イルフリーデさんのお部屋にお邪魔すると、ちょうどよくヘルガさんとルナさんもいた。

「おや、どうしたんだ?」

ちょっとお誘いを。まぁ、イルフリーデさんに用があるの。

「私に? 何?」

今度のタッグマッチのペアの申し込み。イルフリーデさん、まだフリーかな?

「へ? …………えぇぇ!?」

おぉぅ、耳が。それで、お返事は?

「も、ももももちろんオーケーよ!!!」

よし、パートナーゲット。

「むぅ、ズルいですわイルフリーデ。私だって、白野さんと一緒に組みたいです」

「私もだ。白野、私では駄目なのか?」

二人とも組んでみたいけど、私と一番相性いいのがイルフリーデさんだと思うから。それに、一回組んだのも何かの縁だしね。

「よろしくね、白野。足を引っ張らないように頑張るわ」

イルフリーデさんは操縦がとても上手だから、頼りにしてるよ。もちろん、二人にだって負けないんだから。

「わたしたちもまけないよ!」

イーニァもやる気満々のようだ。まぁ、今日はラブコールしに来ただけだから、これで失礼するね。これからもよろしく、イルフリーデさん。

イルフリーデさんの部屋から出て、今度はクリスカたちの部屋に行くことにした。イーニァのスペースはともかく、クリスカの場所は相変わらず殺風景だ。女の子としてどうなのだろうか。

「そう言われてもな。興味がないものは仕方が無いだろう」

じゃあ、こんど買い物に行こうか。唯依姫先輩とか誘って。オンナゴゴロが分かるメンツと一緒にね。

「女心が分かるメンツ? なんだそれは?」

唯依姫先輩とか、虚さんとか。今回は年上メンツを呼ぼっか。ユイさんとかも呼んでみよっかな。

「……何だか不安だ」

クリスカは何やら言っているが、もう決定事項だ。まずは唯依姫先輩たちの予定を聞いて、予定を摺り合わせないと。

じゃあ、今日はこれで。おやすみ。

「うん、おやすみー」

自分の部屋に戻ってから、早速ユイさんに電話する。ちょっと時間は遅いから心配だったけど、ユイさんは電話に出てくれた。

『こんばんは白野ちゃん。どうしたのこんな時間に』

こんばんは。実はショッピングのお誘いに。まだユイさんにしか連絡していないんですけど、予定とかどうかなって思いまして。

『えぇ、喜んで。でも、今はちょっと仕事が忙しいから、少し時間が空いてしまうのだけれど大丈夫かしら』

予定を聞けば、ちょうどタッグマッチトーナメントの後だった。うん、丁度いい。

『分かったわ。楽しみにしてるわね』

ユイさんの他にも、あっと驚くメンツを揃えるために、色々な人に連絡をする。いずれの人たちも多忙な人たちだったけれど、何とか都合がつくとのこと。

ふふふふふ、これでオンナゴゴロをつけさせてやんよ。

「ん~? はくのん、どうしたの~?」

いつもに増して目がとろーんとしているのほほんさん。かわゆい。キミはヘタな女子よりわかってそうだから、今回はお留守番。

「ん~? まぁいいや~。おやすみ~」

首を傾げていたが、眠気が勝ったのか、そのままベッドにポスンと横になり、すぐにスピスピ可愛らしい寝息が聞こえてくる。最近は夜も涼しくなってきたので、風邪をひかないようしっかりと布団を掛けてあげる。

さて、明日からは本格的にイルフリーデさんとのコンビ練習である。特製ドリンクはあるといっても、寝不足はお肌の敵。今日は大人しく寝ることにしよう。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。