そんでもって放課後。クラスメイトに囲まれている。話題は先程の授業の話。
「岸波さん、あの機動ってどうやったんですの?」
どうやったと言われても、気合い入れてグッといった感じで。イメージはあるけど、ISのおかげだ。
そういうと、みんな私の腕にある待機状態の腕章を見る。
「凄い機体だよね。これってロシアの《カリス社》が開発したISでしょ?」
うん。だから、私ロシア国籍みたいです。ボルシチ食べたい。
「ははは……。でも、カリス社って、今まではパーツ主体だったけど、まさかこんな凄い機体を作ってるなんてびっくりだよ」
へー。意外に凄い子でしたか、この子。なでなで。
「あの機動もそうだが、剣の乱射も気になったな。アレは砲撃なのか?」
《王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)》について聞いてきたのは篠ノ之さん。あれは、チートというか何というか。弓ならあるんだけど、拳銃はないの。あってせいぜいライダーの戦艦の大砲くらいか。
「大砲はあるんだ……」
「でも、岸波さんのISって、どのくらい武装積んでるの?」
調子乗って一杯出したが、第四世代ということは秘密らしい。なので、一杯と答えておこう。
「一杯って……適当ですわね。でも、とても良いものを見せていただきましたし、水着をプレゼントいたしますわ」
水着? あぁ、昼休みの。あ、そういえば織斑君の好みは分かった?
「……もうその話はやめてくれ」
なにやら織斑君がぐったりとしていた。ふふふ、それに懲りたらもっと女の子の気持ちに敏感になるのです。
「はい……」
織斑君は反省しているようだが、なぜか周りの女の子が戦慄していた。何故に?
「お、織斑君が……」
「女心について……」
「考えるだって!?」
おぉぅ、篠ノ之さん声デカイ。
「す、すまない。だが、信じられなかったものでな……」
……それほどまでのものだったのか。どれだけの女の子を泣かせてきたのかこの唐変木は。
「……はい、すみません」
やっべ、面白くなってきました☆ じゃあ、ここで質問です。織斑君のタイプは? そうだなー、専用機持ちの四人の中では誰が一番なのかな?
「へっ!?」
「一夏!」
「一夏?」
「一夏さん?」
「嫁?」
「「「「正直に言いなさい」」」」
ほらほら、誰が好きかってことじゃないんだから。例えば篠ノ之さんなら、豊かな母性。幼馴染みなんだから、優しく抱き留めてくれるだろうし。オルコットさんなら、気品溢れる美。素晴らしい愛をくれるし。デュノアさんなら献身的な優しさ。きっと全てを受け止めてくれる。ボーデヴィッヒさんなら、静かな強さ。きっと織斑君を助けてくれる。あぁ、鳳さんもいたね。あの子なら爛漫な笑顔かな。きっとずっと織斑君の隣を歩いてくれる。
ほら、こんなに素敵な女性がいるんだよ? だれが織斑君のタイプ?
「う、う……」
織斑君に教室中の視線が集まる。織斑君は顔を真っ赤にさせて口をパクパクさせている。
さぁさぁさぁっ!
「お、俺は……」
織斑君は?
「ご」
ご?
「ごめんなさーい!!」
そう言って織斑君は一目散に逃げ出した。あれはランサーよりも速かったと思う。
そして残された女の子達は呆然としている。ついでに篠ノ之さんたちは顔を真っ赤にさせていた。残念だったね、タイプを聞けなくて。
「そ、それは良いのですが……」
「あぁ……流石に恥ずかしいぞ岸波」
あんなに顔を真っ赤にさせた意中の男の子に見つめられたら照れるのも無理はない。しかも、衆人環視の中でだし。
「でも、はくの~ん。どうしておりむーにはSっ気を出すの?」
いじめ甲斐があるからっていうのもあるんだけど。
「だけど~?」
流石にあの鈍感っぷりは見ていていらいらするというか、流石に篠ノ之さんたちがかわいそうで。端的に言えば、見てて苛つく。
「ははは……随分ぶっちゃけたね」
まぁでもあれで少しでも女の子を見る目が変わればいいけど。あ、でもダークホースで、織斑先生とか山田先生がいるか。しまった、年上属性を忘れてた。
「「それはやらないでいい!」」
怒られた。しかし、まさかそっちが本命か。これは篠ノ之さんたちも大変だ。
さて、皆を存分にいじくった後は、許可をもらったアリーナに行くとしよう。織斑先生が存分に動けるようにと手配してくれたのだ。
お願いしまーす。
「あぁ、あなたが織斑先生が言っていた子ね。今日はあなただけだから存分に動いても大丈夫よ。終わったらもう一度ここに来てね」
了解です。ISスーツは下に着ているので、アリーナに出てすぐに《聖杯》を起動する。ここは第一アリーナ。高速バトルレースのキャノンボール・ファストという競技の練習場らしい。レース場のような形をしている。つまり、ぐるぐるハイスピードで回れるのである。本来の競技ならば色々な戦略が必要らしいが、今回は単純に飛ぶだけだ。飛ぶ感覚を養うのである。流石にさっきまでのは自由に飛びすぎたため、データとしてはあまり役に立たないとキアラに怒られた。
ということで。
『では、まずは三周ほどして下さいませ』
キアラにデータ取りを任せ、取り敢えず三周。ひゃっほーい。
『あら、ブースト稼働率が上がっていますわね。では、次は槍兵以外の姿で飛んで下さい。そうですね、まずは剣士で』
セイバーでか。戦車はないけど、彼女もスピードには拘っていたはずだ。その顔に泥は濡れない。
『素晴らしいですわ。槍兵の時とも劣ってはおりませんわ。そのまま武器は振るえますか?』
高速起動の中での攻撃か。対象がいないから難しいけど、今の私は彼女だ。それくらい何でもない。
『ふふふ、大丈夫そうですわ。岸波さん。基礎データは取れましたので、好きに動いて構いませんわ。モニターも続けますから、色々やってみて下さい』
色々、か。今までやってきたのはセイバーとランサーと金ピカアーチャーだ。それなら今田は赤コンビでいこう。私は彼女ほど音痴じゃないので、あそこまでの威力は出せないが。
武器は《監獄城チェイテ》。柄ではないが、独断ライブだ。
『《竜鳴雷声(キレンツ・サカーニィ)》の発動を確認しました。衝撃波も上手く出ていますわ』
上手くいったようだ。では《干将(かんしょう)・莫耶(ばくや)》《赤原猟犬(フルンディング)》、行って。
『アーチャーの能力の発動を確認しましたわ。流石に宝具解放とはいきませんでしたか』
流石にあれをここでやるには狭すぎる。障害のないところなら出来ることもあるんだけど。
『それらは今度の臨海学校で行いましょう。それより今日はこのくらいにいたしましょう。あぁ、そうですわ。私から渡すものがありますので、この後こちらにいらして下さい』
何であろうか。《聖杯》関連の書類だろうか。とりあえずさっさと着替えて向かうとしよう。
そんな大したものではなかった。
「白野さん、水着をお持ちではないでしょう? 宜しければ差し上げますわ」
まぁ、助かるのでありがたく受け取っておく。
「明日も授業がございます。今日はゆっくりお休み下さい。これは寮の鍵です。同室の人とは仲良くして下さいね」
寮は相部屋らしい。果たして誰と一緒なのだろうか。寮の番号は1030号室だ。さっそく部屋の扉をノックすると、のほほんとした返事が入ってくる。
「あれ~はくのん? どうしたの~?」
どうやら同室はのほほんさんのようだ。よかった。彼女なら一安心だ。
「はくのんが同室だったんだ~。やった~」
そういって抱きついてきてくれる。意外にグラマーなのね。
「ふふふ~、あ、じゃあ一緒にご飯食べに行こ~」
今日は一日中動いていたのでお腹が空いた。それに昨日とは違って今日は皆と一緒に食べられる。今までそのようなことはしたことがないので、これで二度目。少し楽しみだ。
「はくのんは何にするの?」
お昼はエジプト料理だったので、ミートボールでも食べよう。
「ミートボール?」
うん、北欧料理。料理を持って席を探していると、織斑君が篠ノ之さんたちと一緒にご飯を食べていた。さぁ、のほほんさん、突撃だ。
「とつげき~」
突撃隣の晩御飯。私たちに気付いた織斑君はギョッとしていた。ご一緒してもいい?
「もちろんですわ。どうぞ、こちらに座って下さい」
オルコットさんの隣に座り、ご飯を食べる。美味。
「そう言えば、岸波さんって、あの後何してたの?」
キアラと一緒にデータ取りをしてました。第一アリーナ借りてね。
「岸波先生と? あ、そっか。岸波先生って《カリス社》の人だもんね。どんなことしたの?」
取り敢えずは武装の確認。あとは、どんなことが出来るかを確認したって所かな?
「ほぅ。武装シェアなNo.1の《カリス社》のISか。楽しみだな」
そんなに凄いのかウチの会社。
あ。
「あら、どうかしましたか?」
そういえば、キアラから水着もらったんだった。
「水着をですか? あぁ、でも私からもプレゼントいたしますわ。お近づきの印ですもの」
それは嬉しい。でも、どんな水着なのだろうか?
「まだ見てないの?」
うん。部屋に行ってそのままこっちに来たから。どうせだからこの後着ようかな。あ、皆も見る?
「そうですわね。一度見てみたいですわ。一夏さんはどうなさいますの?」
お? 気になるのかい男の子。
「もう、やめて下さい……」
冗談冗談。ともかく、貴重な男子の意見も聞きたいから見せて差し上げよう。篠ノ之さん達も来る? 織斑君の監視役で。
「……そうだな、行かせてもらおう」
「嫁が浮気しないように見張っていよう」
「ははは……」
では急いで食べてしまいましょう。幸い今日のご飯はミートボール。そんなに時間はかからない。
やはりというか、一番最後はのほほんさん。彼女が食べ終わってから、織斑君・篠ノ之さん・オルコットさん・鳳さん・デュノアさん・ボーデヴィッヒさんたちと一緒に部屋に戻る。
では浴室で着替えて参ります。覗いたら、制裁するので。篠ノ之さん達が。
「しないわっ!!」
織斑君の悲鳴に見送られつつ、浴室に入る。そして、水着を見た瞬間思った。アイツはバカか、と。
『ん~? どうしたのはくのん?』
ちょっと、深呼吸をしただけです。まぁ、一度見せるといったのだ。この水着がどんなに小さかろうと、見せるのがスジというものである。……こっち来て、少しスタイル良くなったのだ。サクラより少し小さいくらいだ。間違っても副会長と書記には負けない。
着替え終わりました。行くよー。
「ふふふ、どんな水着なのでしょう」
「案外スク水かもしれないわよ。岸波先生、あれでアグレッシブだし」
うん、それは否定しない。
浴室から出ると、室内の声が止まる。もうヤケクソ。刮目せよ! これぞブラジリアン水着! 主にヒモ!
「一夏ぁ! 見たら殺す!!」
「俺は無実だーっ!?」
織斑君、撃沈(物理)。しかしこれ、相当いい素材だ。布面積は少ないが着心地はいい。これで行こうかな?
「だ、ダメですわ!? 明後日、買い物に行きますわよ!!」
えー、結構いいと思うんだけど。
「確かに似合ってるけどっ!? 流石にそれはダメだよ!」
えー、鳳さんはどう思う? ほら、触る?
「……(もにゅ)」
おぉぅ、情熱的。ナミダ、拭けよ。
「くっ、クラリッサに相談せねば……」
ほら、ボーデヴィッヒさんも、こちらに来なさいな。抱きしめ。
「私も~」
鳳さん、ボーデヴィッヒさん、のほほんさんのミニマムさんを侍らせる。ぬくい。
「というか、いつまでその格好でいるのだ! あぁもう、取り敢えずこれを羽織れ!」
篠ノ之さんの上着を渡される。おぉぅ、篠ノ之さんの二の腕せくしー。
「なっ、一夏! 見るな!」
ダメだよ篠ノ之さん! のほほんさんは織斑君を確保!
「らじゃ~」
織斑、篠ノ之の両名の捕獲完了。さあ、織斑君。存分に篠ノ之さんの艶姿を眺めなさい。
「い、一夏ぁ……見るなぁ……」
おぉぅ、エロい。さぁ、感想は? もしここではぐらかしたら、キアラの元に送り届けて、骨抜きにさせっから。多分この世全ての快楽を与えられるぜ?
「うっ……、その、なんだ……ドキッとした」
「一夏……」
……やっといて何ですが、コーヒーが欲しい。もしくは梅昆布茶。
「ず、ずるいですわ」
「箒さんが羨ましい」
「浮気か……」
「一夏ぁぁぁぁ」
まぁ、他の子達は怒り心頭だが、ここでは暴れないでね? キアラにお願いしちゃうからね? たしかどっちもイケル人だから。
取り敢えず着替えて、篠ノ之さんに上着を返して、コーヒーブレイク。梅昆布茶もあるよ。
「それにしても、アンタ、岸波先生と似ているとこがあるわね」
それはなんというか不本意というか。
「というか、アンタは色々ぶっ込みすぎなのよ。箒を見なさい。燃え尽きてるわよ」
ベッドの上で湯気を出している篠ノ之さんを見ながらため息をつく鳳さん。ちなみに織斑君はベッドの下で気絶中。篠ノ之さんの上にぶん投げたら、そのとき覚醒した篠ノ之さんにみぞおちを本気で殴られ、そのまま落下。見事なカウンターだった。
まぁ、織斑君の鈍感が治ると思えば。
「うっ……そ、それは」
ふふふ、幼馴染みの鳳さんや。今まで友達止まりだったところから一歩進みたくはないかい?
「そ、そんなことを言ったって……」
ふふふ、女の顔ですぜ。もし、可愛い水着を着ていって、顔を赤くしてくれたら嬉しいでしょ?
「でも、そんなことされたことないし……」
でも、さっきの篠ノ之さんへの反応を見たでしょ? 少し恥ずかしそうに見上げてごらんなさいな。いつもと違った弱々しい仕草を見せたらイチコロだぜ。
「一夏を……イチコロ……」
鳳さん沈黙。ダブル幼馴染みは籠絡完了。
「水着は引っ張るんだね」
悪ノリした自覚はあります。
「まったく……、嫁をあまりいじめるな」
そういうボーデヴィッヒさんだって、可愛いじゃない。今度、織斑君に抱っこしてもらうといい。さっき言ったように上目遣いで小さな声で、たどたどしくがポイント。
「む、そうなのか……」
うんうん。
「まったく……、ち、ちなみに私は……」
「ボクも気になるかなぁ……」
うーん、二人は……薄着で迫ればえぇんじゃね?
「適当ですわね……」
「ラウラ達との扱いの差が……」
まぁ、二人は普段から積極的そうだし、そのままでいいんじゃないかな?
ちなみにのほほんさんはその着ぐるみの中はあられもない姿でのギャップ効果を狙うのがベスト。
「ほほ~ぅ、ではやってみよ~」
素直で宜しい。じゃあ、そろそろお開きにしようか。とりあえず、篠ノ之さんは私が運ぶから、織斑君はよろしくね。
「む」
「え」
「あら」
「ほぅ」
バトルは厳禁だよ。