IS学園に入学して初めての休日。本日の予定はオルコットさんたちとお買いものだ。ちなみにのほほんさんは熟睡中なので今日は別行動。
約束の時間になったので待ち合わせの校門前に行くと、オルコットさん他、デュノアさん、ボーデヴィッヒさん、篠ノ之さん、鳳さんがいる。織斑君はキャンセルして、織斑先生とご歓談中だ。
「では、まいりましょうか。場所はショッピングモールでいいですわよね」
おk。じゃあ、貝殻を買いに……ごめんなさいじょうだんですから睨まないで。
「全く……では行こうか」
篠ノ之さんに怒られながら街に出る。バスに乗ると注目される。これだけ美少女ぞろいだと、無理はない。……く、悔しくなんかない。
「ねぇ、あの子たち、すっごい美人……」
「あの銀髪の子の服、IS学園の制服よね。やっぱり、エリートは違うのね」
ごめんちゃい。私は裏口ならぬ異世界入学だ。試験は受けていないです。
道中も注目されていたが、こちらに近寄ってくる猛者(バカ)はいない。女尊男卑の風潮は根強いようだ。
ともあれ、ショッピングモールに到着。チョコのいい匂いに釣られそうになったが、篠ノ之さんに引っ張られた。ともあれ、水着売り場に到着。どれにしようかしら。…………。
「黙って、ヒモしかないものを取らないでください」
オルコットさんに奪われた。そうだな、じゃあ、こんな所かな?
「真面目に選べば、いいのを選ぶね……」
「ちょっと、派手な気もするけどね」
ちなみに選んだのは黒のビキニ。まぁ夏だし、これくらいはいいだろう。
「うーん、確かによさそうだけど……、ボク達も探してみるね」
そう言ってデュノアさんとオルコットさんと篠ノ之さんと鳳さんの四人は私の水着を探しに行ってしまう。残されたのは私とボーデヴィッヒさん。ボーデヴィッヒさんはどんな水着なの?
「私か? 私はまだ買っていない。初めは学校指定の水着で構わないと思っていたのだが、お前の話を聞いて迷っている」
ボーデヴィッヒさんならそれでも似合いそうだけど。ちょっと試してみようか。
「試す? 何を?」
まぁまぁ、いいから。これを試着してみて。
「? 分かった」
ボーデヴィッヒさんは首を傾げつつも、試着室に入る。その間に織斑君に連絡。すぐ返信。どうやら暇なようだ。
「着替え終わったぞ」
そう言って出てきたボーデヴィッヒさんの姿はスク水姿。しかも旧型だ。さて、ちょっと待ってね。……おし、繋がった。
「む? 誰かと連絡中か?」
『お、この声、ラウラもいたのか、って!?』
「よ、嫁!? 何故テレビ電話なんてしているのだ!?」
まぁ、旧型スク水×ボーデヴィッヒさんの破壊力の実証のためだ。で、織斑君。可愛いよね? 以下、昨夜と同文。
『うっ……、まぁ、似合ってはいるけど……って、岸波さん! また悪ふざけしてるだろ!?』
否定はしないけど。じゃ、用はこれだけだから。以上、「織斑先生」にもこの通話は流れてるから。頑張って鍛錬してね。
『えっ!? ちょ、何言って……、うわ、千冬姉!?』
ブツっと、何かを引きちぎるような音を立てて沈黙する携帯。恐らく、織斑君は一回りも二回りも大きくなるだろう。じゃ、ボーデヴィッヒさんの水着も選ぼっか。取り敢えず、着替えてね。
「……可愛い。私が、可愛い……」
もっと、可愛くなるために、着替えよっか。
耳元でささやくように告げると、ボーデヴィッヒさんは小さく頷くと素早く着替える。恋する乙女は偉大である。
さて、さっきの旧型スク水でもいいとは思うが、せっかくの臨海学校。ひと夏のロマンスのために、冒険をしてみるのも悪くない。
「しかし、どのようなものがいいのだ? 昨日言っていた、か、貝殻ビキニか?」
我は現地調達だから、今日は違うの。ちょっと、セクシーなのでいってみようか。この白ビキニとかどう?
「これか? しかし、こういうのはシャルロットやセシリアのようなスタイルでないと似合わないのではないか?」
結構フリルとか可愛いから、ボーデヴィッヒさんみたいな子でも似合うよ。あ、黒あった。ボーデヴィッヒさんの髪の毛綺麗だから、黒とか似合うよ。
「そ、そうか。では、これにしよう」
試着は……、あ、そっか。最初は織斑君に見せたいんだね。
「へ、変だろうか?」
ううん、可愛い。でも、サイズは確認しといた方がいいから、試着してきた方がいいよ。私は他の所に行ってるから。
「う、うむ。恩に着るぞ岸波」
そう言って少し足早に試着室に向かうボーデヴィッヒさん。うん、よきかなよきかな。
「って、何頷いてるのよ」
振り返るとそこには水着を持った鳳さん。あ、これが私の水着。
「あっさりとスルーしたわね。まぁいいわ。さっきのとは違うタイプのにしてみたけど、どう?」
鳳さんが持ってきたのは赤いビキニ。形もさっきのとは異なり、ひらひらしている。ボーデヴィッヒさんのに近いかな。
あ。
「ん? どうしたの、やっぱりさっきの方が良かった」
いや、バストのサイズが二つ下。
「これじゃないみたいね」
そういう鳳さんの顔は怖かった。
ブツブツ言いながら離れていく鳳さん。少し悪いことをした気がする。
「あら、鈴さんはどうしたのでしょうか?」
「さあな。ともかく水着を持ってきてみたが、どうだ」
「一応、それぞれ選んでみたんだけど」
鳳さんと入れ替わりにやってきたのは巨乳三人衆。三人とも良識的な水着である。……冒険しないの?
「流石に他人には冒険させませんわよ。でも、そういう意味でしたら、やはり岸波さんが選んだ水着が一番でしょうか?」
選んできてもらって何だが、自分で選らんだものがしっくりくる。やっぱりこれかな?
「それなら、これにしよっか。あ、この水着はボク達のプレゼントだから、遠慮せず受け取ってね」
遠慮はしてしまうけど、ありがたくいただきます。代わりに、お昼ご飯は奢る。キアラから給料先払いしてもらったので、懐は温かいのです。
「ふふ。ならば、ありがたくご馳走になろう。そう言えば、鈴とラウラはどうしたのだ?」
先程のことを言うと、三人に呆れられた。ちなみに、織斑君に連絡した下りは省略した。あれはラウラさんだけのものとしておこう。
とりあえず、二人と合流してからご飯を食べにいく。今日は和食のお店。臨海学校では旅館に泊るそうだが、こういう和食のお店とは異なるものだ。というわけで、懐石のランチセットを皆で頼むことにした。
「本格的な日本料理を食べるのは初めてですわ」
「ボクもだよ。箒や鈴は食べたことあるの?」
「私もないわね。そりゃ家庭料理とかはあるけど」
「私もほとんどないな。むしろ、日本人の方があまり食べないかもしれないな」
「……む、抹茶パフェなどもあるのか」
みんなかしましく話している。いつもは織斑君争奪戦を繰り広げているが、女の子同士ならば、仲は良いのだろう。
「岸波さんは、こういうお店とかはよく来るの?」
ムーンセルにいたから来たことはない。ただ、そういうのが得意なのがいたから、色々なご飯は食べてきた。
「へぇ、もしかして彼氏とか?」
うんにゃ。どちらかと言えば執事。バトラーさんだね。
「執事? もしかして岸波はどこかの富豪の家の娘なのか?」
いや、身元不明の菩薩の親戚です。執事っていうのは、そいつの素質というか。
「ますます岸波の素性が謎だな」
謎多き女と呼んでください。まぁ、ハッキングとかは得意だよ。
「は、ハッキング?」
うん。そうだ、篠ノ之博士にコンタクトとってみよう。篠ノ之さん携帯貸して?
「あ、あぁ……」
ありがと。んーと……。
「な、何をしているんですの?」
ログと発信先のチェック。途切れてるけど……あ、痕跡みっけ。あ、これダミーだ。
「姉さんの逃げ足は以上だぞ?」
そうみたいだねー……うん、繋がった。ハローこちら岸波。篠ノ之さんの愛のキューピットです。どーぞ。
「いや、繋がるわけが……」
『んー、何だよ誰だよ-』
「「「繋がった!?」」」
こちら岸波。魔性菩薩の親戚です。篠ノ之さんの二の腕丸出し写真をお見せしようと。
『ほほぅ、ならば見せてもらおうか』
これって……着信?
『んー何してるんだよ。早く見せ……』
『あら、篠ノ之博士。お久しぶりですわ』
『き、岸波キアラ!? 何でアンタが!?』
篠ノ之博士大絶叫。なに? キアラ知り合い?
『えぇ。愛すべき大親友ですわ。それより、篠ノ之博士の質問ですが、わたくし、白野さんの保護者ですから。まさか、ハッキングで博士にコンタクトを取るとは思いませんでしたけど』
サーセン。
『岸波って、こいつ、岸波キアラの関係者? だとしたら私を見つけられたのも納得だけど』
『ちょうどいいですから、白野さん。博士に機体とパーソナルデータを見ていただいたらどうですか?』
博士に? 私は別に構わないけど。
『んー、めんどくさいけど、見るくらいならいいよ』
許可をもらったので、ISネットワーク経由で、篠ノ之博士にデータを送る。巧妙に隠されているが、ISネットワークは、篠ノ之博士のラボに繋がっている。基本一方通行だが、この子にも協力してもらったので、こちらからもコンタクト可能である。
『……まさか、それまで掌握するなんて思わなかったよ。まぁ、いいや。えーと、何々……』
何やら呆れた様子の篠ノ之博士。しかし、データを見ると表情が変わる。
『岸波。これ、アンタが開発したの?』
『これとは、どちらのことでしょうか?』
いや、機体一択でしょうよ。私、人間。
『……どちらも、といいたいところだけど。今回はISの方。なにこれ、バカじゃないの? こいつじゃなきゃ動かせるわけないじゃん』
『白野さん以外に託すつもりはありませんので。それに、構想自体は完成しておりますし、取り敢えず、グレードを落としたものを商品化しておりますので、こちらとしてはそれで純分なのですよ』
あれ? そうなの?
『えぇ。これでも十分面白いのでありますよ』
『……まぁ、それについてはどうでもいいけど。それより岸波』
『はい?』
『そっちじゃないよ』
あ、はくのんでいいよ?
『……そうだね。お前――いや、君のことは無視できないな。はくのん、でいいんだよね?』
はい。
『じゃあ、はくのん。こっちの居場所は分かるんでしょ? いまからこっち来て? 監視はこっちでごまかしておくから。一時間以内に来て』
そう言うと、篠ノ之博士は通話を切った。いつの間にか私の携帯も通話が切れていた。まぁ距離的にも行けるだろう。ということだから、ごめんね。呼び出されちゃったから行かないと。
「あ。あぁ……」
「って、今何をしたんですの!?」
特技です。
「特技ってレベルじゃないよ!?」
まぁまぁ、料金は払っておくから、ゆっくりしていってね!
じゃ、また学校で。
「ちょ、待っ……」
さて、篠ノ之博士を信じて、ハクノ、いっきまーす!