影と闇と   作:鉄血

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第ニ話

森の中で一人の少女が嗚咽を漏らす。

そんな彼女を一人の男は慰めるわけでもなく、ただ近くの岩に座りながら彼女を見守っていた。

中学生か高校生くらいの少女。恐らく友達とこのゲームにログインをしたのだろうか。そんな彼女が同じパーティのメンバーを自分のせいで見殺しにしてしまったのならあのような状態になるのも無理はないだろう。

しばらくして彼女から溢れる嗚咽がだんだんと小さくなり、鼻を啜る音だけが彼等がいる森の中に響き渡る。

彼女が落ち着いた所で男は口を開いた。

 

「落ち着いたか」

 

その言葉に少女は頷く。

 

「・・・ええ。ありがとう」

 

「いや、いい。目の前であのような状態になっていれば大抵の人は止めに入る」

 

「・・・そう」

 

と、誰か分からない男がそう述べる。

身長はミトよりもかなり大きく180センチは軽くあるだろうか。

大人ということもあってかなり落ち着いており、体格に見合わず厳つさというものはない。

まるでお父さんのような──というような雰囲気だった。

 

「・・・自己紹介が遅れたわ。私はミト。見ての通り大鎌使いよ」

 

大人相手に多少失礼かも知れないが、ミトからしてみれば赤の他人である大人の相手をするのは多少なりとも警戒する。

 

「俺はトター。武器は片手剣だ」

 

と、更に無愛想な挨拶が変えってきた。

そんな彼にミトは思わず唖然としてしまう。

だが今は唖然とする訳にはいかない。

ミトは座るトターに本命の質問をする。

 

「・・・どうして、私を助けたの」

 

その質問にトターはミトにどう言葉を返すか少しだけ考えて、その口を開いた。

 

「さっきも言った通りだ。目の前であのような状態になっていれば流石に見て見ぬふりは出来なくてな。まあ、職業病みたいなものだ」

 

職業病みたいなもの。つまりトターはリアルでは人を助けるような仕事をしていたということになる。

微妙な顔をする彼にミトは少しだけ気が楽になった。

 

悪い人じゃないみたい。

 

トターはなにかしら不純な目的で自分を助けた訳ではないようだった。

安堵するミトにトターは言った。

 

「それでこれからミトはどうするつもりなんだ。俺は一度村に戻って明日、クエストの依頼を終わらせようと考えている」

 

「・・・クエスト?ああ、片手剣なら必須のリトルネペントの・・・」

 

ミトは納得したように呟くが、何故トターがソロでこのクエストを受けているのかが分からない。

ソロでこのクエストは相当危険だ。

ならと、ミトは提案する。

 

「ならさっきのお礼として貴方のクエストを私も手伝うわ。これでもレベルは結構あるの」

 

「そうか。ならお願いしよう」

 

ミトの提案にトターは頷いた。

そしてトターはウィンドウを開いて、すぐに頭をかいた。

 

「どうしたの?」

 

「ああ。パーティを組もうとしたんだがどうするか分からなくてな」

 

「もしかして、VRMMOは──」

 

「ああ、初めてだ」

 

つまり彼は初心者ということになる。

初心者と聞いて一瞬、ドクンとミトの胸打ち鳴らす。

アスナの時と同じだ。

私はこの人と組んでまたアスナと同じように見捨ててしまうのではないだろうかと不安に駆られる。

 

「どうかしたか?」

 

顔を暗くするミトにトターが少し身を屈めるのに対し、ミトは言った。

 

「何でもないわ。私がやるからトターは受け取って」

 

「ああ、すまない。頼む」

 

そしてミトは自分のステータスウィンドウからパーティ申請をトターに受診させる。そしてトターはOKを押すと、ミトの視界の右端にtotterの名前とHPバーが表示された。

そして受諾したトターはミトに手を差し出した。

 

「一時的になるだろうがよろしく頼む。ミト」

 

差し出された右手をミトは握るのを躊躇った。

私のこの手でこの人の手を握ってもいいのかと。

手を握るのを躊躇うミトを見て、トターは手をおろす。

 

「すまない。無神経だったようだ」

 

「え・・・ご、ごめんなさい」

 

「いや、気にしなくていい」

 

そしてトターは歩き出す。その背中をミトは後を追う。

これがミトがトターと出会った始まりだった。

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