「ねぇ。貴方、本当にVRMMO初心者?」
「ああ。そう言った筈だが・・・」
「なんでこんなにレアアイテムを持っているのよっ!」
ミトのそんな言葉になんとも言えない顔をするトター。
女子中学生を相手に困った表情をする大人と言う情けない状況だが、ミトからしてみればそれどころではない。
トターのレベルや装備が初心者とは思えないくらいおかしいのだ。いや、レベリングならまだ分からなくはない。他のゲームと同じようにクエストのクリアや、モンスターを倒せば経験値になる。
だが、問題は装備だ。
トターが色々使わない装備があるからどれが良いのか見てくれと頼まれ、安請け合いして見てみたら・・・出るわ出るわレアアイテムやレア装備。
中にはβ時代にミトが何時間もかけてゲットした防具も複数ある。
確かにこんな一層で馬鹿みたいにレアアイテムや装備を持っているなら初心者がソロでいてもよっぽどな下手くそでない限りは生き残れるだろう。
「武器のわりに防具が良いのばかりだからもしかしてと疑った私がバカだったわ」
「そんなに良いものがあったのか」
多分だがこの男。リアルラックがある奴である。
つまりはゲーマーである私達にとって憎き敵であった。
「ええ。これだけ強化素材があれば三層までなら普通にいけるわよ」
「・・・そうだったのか」
デスゲームになった今ではとてもありがたいことなのだが・・・ゲーマーとして納得いかない!
◇◇◇◇◇
「はぁ・・・」
あの後ミトはトターと別れ、ベッドにダイブする。
誰もいない部屋。
ミトは昨日までいたアスナのことを思い出し、目尻に涙が浮かぶ。
「・・・アスナ」
あの時、私がアスナが死ぬ所を見たくなくて唯一の友人を見捨ててしまった。
アスナはどう思っただろう?
「・・・恨んでるよね」
人として最低な事をしたのだ。もし、立ち場が逆だったら私も自分を恨んでいたと思う。
それを思うと胸が苦しくなってミトは身体を丸めて蹲った。
そして微睡む意識の中でミトはここにはいないアスナに言うのだ。
ごめん───アスナ。
◇◇◇◇◇
翌日。
「おはよう。眠れたか」
朝。ミトが時間通り集合場所に向かうと、そこには既にトターがいた。
「ええ」
「そうか。ならいい」
それ以上トターは何も言わずゆっくりと立ち上がり、ミトと向き合う。
そしてトターは口を開いた。
「今日はよろしく頼む。頼りないかもしれないが、足手まといにならないよう気をつけよう」
ミトが思っていたよりも腰が低いトター。
だが、ミトはそんなトターに言う。
「そんなに気にしなくていいわ。あと、普通にして。大の大人が学生の私にそんなこと言われるとやり辛いから」
「そうか・・・わかった」
了承したトターにミトは一度頷いてから歩き出す。
「さあいくわよ。早くしないと他の人達に取られちゃう」
「ああ」
そして彼女等の物語の歯車は動き始める。