疾走優駿演舞 supplement・withdrawn   作:チョコカビ人間

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あたしゃ聞いてないよ!プロットに関わるものが色々出るなんて!


住処、そして

「何もいないけど...まさか、幽霊?」

 

「そうなるな。」

 

「見えないんだけど。」

 

「そりゃ見えないだろ、幽霊なんだから。」

 

言われてみればそうである。普通は霊感がないと幽霊は見えないものである。動じなかったのはカルデアでのデカい(ヒュージ)だの色違いだの色々見てきたからである、それらは大抵高位の霊体であるサーヴァントを害する力を持つほどの強大なゴーストばかり、しかも今よりも神秘の濃い時代の幽霊である。ただ、今までのたくさんの霊的経験を積んできたはずなのに霊感の一つも身につかないのはうれしいのやら悲しいのやら...

 

「どんな人たち?」

 

「ウマ娘のやつがほとんど、現世に未練があって地縛霊になったやつが多めだな。悪霊は全部切っといた。」

 

「それは助かる。」

 

特に害はない、むしろ協力してくれるので頼りにすればいいかなと軽く考えながら簡単にそんな関係にできるのか疑問に思える。

 

「そう簡単に協力してもらえるものなの?」

 

「当たり前だろ!こう、俺からあふれるオーラ的ななんかがこう、そこいらの連中を引き寄せてな...」

 

「迫力もなにもないけど...」

 

「何言ってんだ、俺は(たぶん)源氏の大将だぞ。ほら、ゲン担ぎとかしたくなってくるんじゃないか。」

 

こんな調子だが幽霊たちに慕われているんだろう。英霊の方が位が高いのかなのか源氏の大将だからなのか、あるいは単純に古い存在だからなのかわからないが特に問題はなさそうだ。まあ今後は幽霊に頼れば常識を身に着けながら生活してもらえばよいだろう。

 

「じゃあ、まずこれ。今の恰好は時代にそぐわな過ぎる。今風な服装を何着か買ってくること。その幽霊さんたちに頼りながら、現代について勉強してきなさい。」

 

「服なんてどうでもいいだろ、まずは飯、そして寝床だろ」

 

「衣食住って言葉は知ってる?衣服も重要です。何事もまずは見た目から、まずは現代に適応しなさい。」

 

「はーい。」

 

「そういえばその仕事は?」

 

「ああ、商店街での力仕事が主で、寝床も用意してくれるみたいだ。証明のやつとかいらない好条件だし普通は中々見つからないぞ。現地民の口コミ様々だ。」

 

「あ、そこらへんの言葉は理解できるのね...。よし、じゃあそこに向かうから場所教えて。」

 

「うし、じゃあ俺もいっちょ前に働くとするかあ!」

 

「却下。まず服、そして最低でも今日は常識の勉強をすること。」

 

「ちっ、やっぱダメか。」

 

「じゃあ場所と目印の人教えて、今から行ってくる。まずは服を買うんだよ、いいね?」

 

「はーい、そのあと図書館かどっか行けばいいんだろ。えーと、場所はな...」

 

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というわけで来たりますは商店街、朝早いにも関わらず人混みでごった返している。さすがにこの中で目的の場所に突っ込むことは気が引ける。ある程度人が引いてからでないといけなさそうなのでいったん待つことにする。

 

「すみません、この辺りで住み込みの仕事があると聞いたんですけど、どこにありますか?」

 

「ああ、そいつはウチのことだよ。最近腰やらなんやら痛めてねぇ、店の2階にゃあたしゃ住んでないわけだから貸し出すついでにと思ったんだ。ところで見ない顔だけどどこで聞いたんだい?」

 

「結構遠いところから来たんですけど...まあ色々ありましてね。私の妹分がどこからか聞きつけまして...二人で仕事手伝えますかね?」

 

「何かめんどくさい事情がありそうだけど...まあウチに来な!ところでその妹分はどこだい。」

 

「色々と世間知らずなところがあるので図書館勉強させてます。少々色々ありまして...だいたい高校生ぐらいの子ですね。」

 

「そうかい、二人で色々大変なことがあったんだねぇ。あんまり詮索するのも野暮だねぇ。まあいいさ、飯もたらふく食わせてやるよ!」

 

「頼んだ身からするのもなんですが...本当によろしいですか?」

 

「えぇ、二人まとめて面倒見たる!ただし、その分はきっちり働いてもらうこと、いいね。」

 

思わず安堵の息が漏れた。想像以上にトントン拍子で話が進んだようで驚き、まだ動揺が残っている気がする。想像以上にたった一夜の野宿がストレスだったらしく、腰を据えた生活ができることに安心したようだ。

 

「ほら、住み込みで働くならとっとと来な!」

 

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「なあ、ウマ娘ってなんなんだ?妖怪みたいなものか...え、違う?」

 

割と大きめの声で独り言をブツブツ呟いているウマ娘が人混みの中を堂々と歩いている。この京極、あまり人の視線を全然気にしない気質のようである。この朝っぱらから騒がしい子は朝早くから空いている衣料品店へ向かっており、部下?と色々話しているようだ。

 

「いやでも人間とは明らかに構造とか違うだろ...いや普通に人と結婚して生まれるのか。耳の位置とか構造こんだけ違うのに生まれるの?骨格どうなってるの、生物学に喧嘩売ってない?」

 

純度100%のオカルトでできた個体が自身を棚に上げて文句を言っている。虚空から凶器を出現させるような法律にも喧嘩を売っている奴が人のことを言えない気もするが、文字通りの常識知らずには何を言っても通用しないのである。そもそもあまり興味はなかったのか話題はコロコロと変わっており...

 

「人体の神秘ってすごいんだな~。お、お前娘さんいたのか、どんな子か?かわいいか?そうか、やっぱ自分の子は可愛いに決まってるよな!...あぁ、着いたのか。何ココ、ビューティー安心沢?オカルティストか詐欺師とかかなんかか?」

 

幽霊たちは激怒した。必ずこの邪知暴虐の偉大なるウマ娘に教え込まねばならぬと決意した。幽霊たちは京極の生きていた世界は知らぬ。彼女らは、短くとも50年ほどしか存在していない幽霊である。ある者は幸せな家庭を築いた後に寿命を全うし、ある者は未練を抱えたまま亡くなったものであった。けれども現代の流行に対しては、人一倍に敏感であった。きょう未明京極らは公園を出発し、一、二駅ほどはなれた此このシラクスの市(仮)にやって来た。

 

「おい、なんかちょっとキレてる気がするんだが...うわちょっと押すな押すな。なんか高そうな店じゃん。財布の値段伝えただろ、へ?そこは大丈夫?、いやこんな胡散臭い店...いやちょっと、うわっ」

 

押された京極に反応して自動ドアが開くとどこか物々しい雰囲気が店内には包まれていた。スーツを着たウマ娘が所々おり、彼女らが原因でこのようになっているようだ。その彼女らの視線の先には二人のウマ娘がにぎやかに服を選んでいる。片方は落ち着いた雰囲気、もう片方は逆に目が痛いほどサイケデリックな恰好であるが、服装とは逆に落ち着いた方の方が押しが強く言われるがままになっているように見える。

 

「ねぇシャカール、こんな服とか絶対似合うと思うんだけど来てみない?」

 

「んなもん着ねーよ!オレがんなもん着るか!」

 

「え~、トレセンの子皆デザインしてもらってる人のやつだよ。そこいらは信頼できると思う!もしかして直接デザインしてほしい?連れてこよっか?」

 

「ええぃ、さすが王族だな!今日はコードの見直しするつもりだったのによぉ、朝っぱらからこんなとこ連れてきやがって。」

 

ああ、素晴らしき青春かな、うら若い乙女が仲睦まじく服を選んでいるところを見ると浄化されるような気分になる(幽霊談)。そんな幽霊は置いといて、押し込まれた京極は全く見たことがない風景に戸惑っている。雰囲気は気にしていないくせにブランドショップの中にはキラキラしているところに怯んでオドオドしているようだ。そんな不審者をウマ娘たちが見逃すはずもなく

 

「なぁ、本当に入ってよかったのか?こう、もうちょっと実用的な服でだな...いや、決して苦手なわけではないぞ、見覚えがあまりにもないだけだ!」

 

「すみません、今ちょっと立ち入りをご遠慮していただいているのですがよろしいでしょうか」

 

「いいのよ、そんなにカッカしなくても。その恰好、もしかしてサムライ?やった、現代にも存在したのね!」

 

「うぉう!あー、違う...んじゃないかぁ。侍は比較的新しい身分だった気がする。俺はいわゆる武士だな。」

 

「武士とサムライってどう違うの?」

 

「えーと、どうだっけ?名前はわからんがあんた、歴史習ってるだろ。どうだったかわかるか?」

 

「いきなりオレに話振るんじゃねーよ!ていうか、いったい誰なんだお前。」

 

「俺の名は京極、まともな服を探してるところだ。...で、あー、なんか服売ってそうなところに突撃してこうなってる。」

 

「あら、なら一緒に服を見繕いましょ!」

 

「しかしだな、銭が足りるかどうかちょっと不安でな...」

 

「シャカール、銭って昔のお金だよね。この人タイムスリップしてきたのかな、結構不思議な感じがするし。」

 

「いや、それはただの方言みてぇなもんじゃねえのか。日本円は持ってるか?」

 

「応、見よ!この手には千をも超える日本銀行券がある!」

 

「なんで誇らしげなんだよ。つぅか、そんなんで足りるのか?」

 

「ねぇ、一緒に選んであげましょ!足りない分は私が出すから!」

 

「それは助かる、ほら、お前も一緒に服を選んでもらうぞ、さっさと手伝え。」

 

「だからなんでさっきからこっちを巻きこんでくるんだよ。俺が何も関係ないだろ。」

 

「そこにいたお前が悪い。」

 

「よし、皆やる気みたいだしたくさん見て回るぞ~。えいえい、おー!」

 

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結局、1日中続いたのであった。料金はファインモーションというウマ娘が負担してくれたので助かったが、幽霊たちはこれを見越していたらしい。

「ねぇ、私が選んだ服どうだった?」

 

「流行りの服とか全然興味なかったからな、おかげで助かった。」

 

「そういうの結構無視してた気がするんだが。」

 

「それはそれでいいさ、この京極に似合ってるんだろう?むしろいつでも着られるからありがたい。」

 

「喜んでくれたならよかった。この後はどうするの?」

 

「マs...親戚のところに行くつもりだ。すまないが連絡手段を持っていないんだ、色々聞きたいことがあるんだが申し訳ない。」

 

「え~、色々話したかったんだけどな~、それならしょうがないか。じゃあ、またね~!」

 

「おう、お前らとはどっかでまた会える気がするぜ。またな~!」

 

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京極がどこかへ去っていた後、ウマ娘ら、エアシャカールとファインモーションは話し合っていた。

「なぁ、なんで見ず知らずのヤツに服を買ってあげたんだ、見るからにおかしいだろ。」

 

「シャカールはもっと物語を読む必要があると思うよ、だって」

 

「彼女、明らかに()()()()()じゃないじゃない。」




ちなみに藤丸のトランクは某青狸ほどではないですがそれなりに活躍する予定です。
裏設定というかあれですが藤丸のスマホはWifiでも使うことができません。通信形式が違う...というかイメージとしては鍵穴に対応する鍵が別のものであるためうまく開けない、無理やり変換しようとすると文字化けが発生する感じです。

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