Jumper -IN CHRONO TRIGGER- 作:明石明
ご存知の方もこんにちは。
MLOWをほっぽり出して執筆を始めてしまった作者、明石明です。
この作品は以前スパロボ物で始まった作品を進路変更してファンタジーものとして書いてくことになったものです。
前回からの設定が残っている物もありますが、必要設定ですのでご容赦ください。
なお、このクロノトリガーはDS設定となっています。
オリ主はPS版までしかクリアしたことがありませんので、その差異にご注意ください。
第1話「目覚めれば時の最果て」
拝啓、父さん母さんそして世話のかかる姉と妹よ。
現在あなた方の長男、月崎 尊は前代未聞の状況に陥っています。
今立っているここは自宅マンションの一室などではなく、昔プレイした名作RPG――――クロノトリガーの『時の最果て』なのですよ。場所的には各時代に行ける光の柱がたくさんある部屋の隅っこ。
まだ3つしかないけど、間違いないと断言できる。学生時代にPS版のマルチエンディング完全制覇やTAS動画で散々見たのだから。
「……と言うか、マジでゲームの中だってのか? 正直、夢であってほしいぞ」
ここにいても埒が明かないのでとりあえず通路の先にいるであろう老人に会いに行ってみることに。
扉をくぐった先は――視点こそ異なるが――幾度となく見てきたあの広場だ。ただ気になるのは入ってすぐ左に見たことのない光の柱があることだが、こんなのあったか?
しかしそれよりも今は目の前で鼻提灯を吹かしている老人だ。
「――あのー、すみません」
「むお?」
話しかけると同時に提灯が破裂し、老人―――時の賢者ハッシュが目を覚ます。
「ほっほっほ、これは珍しい。こんなところにお客さんか」
「お休みのところすみません。いくつか質問したいのですが、ここはどこですか?」
「ここは時間の終点……時の最果てとも呼ばれる場所だよ。おまえさん、どこから来なさった?」
一瞬、本当のことを言っていいものか悩んだが、下手に隠すと話が進まないと判断してこの世界がゲームの中だということだけを伏せ自分のことを話し出す。
自分がこの世界の人間ではなく、気が付いたらこの場所にいたということだけを告げるとハッシュは頷くように数回頭を揺らして帽子の位置を整える。
「――――別の世界から来た、か。それは災難だったな」
「どうしてここにいるのか知りたいのですが、わかりませんか?」
「さて、な。最近妙に時間の境界線が不安定になっているみたいでの。その余波を受けたのかもしれんな」
境界線の不安定化――おそらくラヴォスが絡んでいるのだろう。ということは、あれを倒せば元の世界に戻ることが可能だというのか?
………うん、無理だな。
シミュレートして2秒、一発目の天から降り注ぐ攻撃で即死する未来しか見えなかった。
――いや、しかしクロノたちも即死する状況からレベルを上げたり防具を取りそろえたりして勝利をつかんだんだ。ならば俺にだって出来ない道理はない……はずでは?
まああれを倒す以外で元の世界に戻る方法があるのなら、それに頼るのが一番いい。
「それで、おまえさんはこれからどうするのかね?」
「……とりあえず、どうにかして元の世界に戻る算段を探しに行きますよ。両親や手のかかる姉妹がいますからね」
「ほっほっほ、家族思いだの。 ふむ……それならそこの扉に行ってみなされ」
――あそこは確か珍獣、もとい、自称戦の神スペッキオがいたはず。と言うことは――
示された扉を一瞥し、もしやと期待を膨らませてそれをくぐる。
「んあ? なんだおめーは」
――最弱(カエル)形態の奴(スペッキオ)がいた。
◇
「――――なるほど、表のじーさんがな」
事情を説明したら納得してくれたスペッキオ。しかしカエルが二本足で立って腕組んでいる姿はシュール以外の何物でもないな。
あ、でもここにいたら世界一かっこいい両生類と遭遇する可能性もあるのか?
ふとそんなことを考えていると何かに気付いたスペッキオがこちらを見つめていた。
「おめーからなんだか不思議な力を感じるな。心の力もそうだが、それ以外の力も感じられる……」
「不思議な力? なんだそれ?」
「さあな。ケドおめーには遥か昔に潰えた魔法の力を使う素質があるみてーだ」
「マジか!?」
「おれ戦の神、嘘つかない。魔法を使いたーいと念じながら壁に沿って部屋を三周してみな」
「了解した!」
言われるままにドアを起点に部屋を3周する。これキッチリ回れなかったらズルダメズルダメって言うんだよな。少し見てみたい気もするが、下手に怒らせて機嫌を損ねたら魔法を使えるようにしてもらえなくなるかもしれないから大人しくしよう。
念には念を入れてさらに一周してOKサインがでた。
例の妙な動きと呪文が唱えられると、心の奥から熱いものが込み上げてくる!
「お、おおおおお!?」
右手に雷が現れ、左手に氷が現れた!
「こりゃおったまげた! おめー天と水の二つの属性を持ってんだな!」
「え、それってめずらしいのか?」
ゲームでは確かに一つの属性が基本だったが、魔王が冥属性でありながら天と水と火を使ってたしネタ要員――もとい、ダルトンも複数属性を使えるから普通だと思っていたんだが。
「普通はありえねーんだが、どうやらおめーはかなりの変わりモンみてーだな。――で、さっそく新しい力を試してみるか?」
「当たり前だ!」
「勢いあっていいな。魔法は対象に向けて腕を突き出して唱えたら発動するからな」
魔法の使い方を簡単にレクチャーしてもらい、さっそくとばかりにスペッキオから距離をとって左手を前に突き出す。
「いけ、アイス!」
…………。
……………………。
………………………………。
しかし、何も起こらなかった。
「……はい?」
「『サンダー』」
「ぎゃああああああああ!?」
呆然としたところへスペッキオの容赦ない魔法が炸裂し、俺はそのまま意識を手放した。
◇
意識を取り戻すと、視界に――カエルなのに――呆れたような表情をしたスペッキオが映った。
「大丈夫かおめー? 死にそうな表情してたぞ」
「こ、こんなところで死んでたまるか……」
どうにか起き上がって数回頭を振り、俺はクロノたち――いや、全RPGの戦士たちを尊敬することにした。
あんな魔法を喰らっても全快時と変わらずに剣や魔法を振るい戦っていたのだから。
ついでに雷つながりで某電気ねずみを連れた少年のことも尊敬しよう。彼もまた電撃を喰らい続けて普通に生きていたのだからな。
「けど、何で魔法が出なかったんだ?」
「それなんだけどよ、おめーステータスチェックしてMPの残量確認したか?」
「……ステータス、チェック?」
それってアレか? ゲームでメニュー画面開いたりすると出てくるあれのことか?
「なんだ知らねーのか? 心の中でステータスって念じれば誰だって開くことが出来るものだ。試しにやってみな」
言われるまま一度呼吸を落ち着かせ、心の中でステータスと唱える。
すると頭の中にゲームで見たようなウインドウが現れ、俺の名前が表示された。
「……は?」
思わず間抜けな声が上がったが、たぶんそれは悪くないだろう。
まず俺のレベルは最弱の1。これはまあ仕方ないだろう。HPは初期のクロノより下の30でMPに至っては1。まあこれも現代人とこの世界の人間とで比べたら仕方ないのだろう。
だがこの特殊スキルにあるUG細胞改ってなんだ? 他にも亜空間倉庫とか精神コマンドとか、装備品には武器として召喚型多段変形武装サテライトエッジとかあるんだがこれは一体なんだってんだ。
「さっきから固まってっけど、どーした?」
「……なんでもない。とにかく、今の俺はMPが最大で1だからこのままでは魔法がつかえないことがわかった」
「なんだ、宝の持ち腐れじゃねーか。せっかく珍しい奴なのに勿体ねーな」
「――いや、そうでもない」
そうだ、足りないなら足りるようにすればいいんだ。
「スペッキオ。俺を鍛えてくれないか?」
◇
「くそ! いったいどこへ飛ばされたというのだ!」
一人の女性が悔しそうに机を叩き、己の不甲斐なさを呪う。
ここは天上の神々の職場の一つである天界東京支部。仕事の内容は死んだばかりの人間にそのまま昇天するか別世界での転生を提示し、可能な限り願いを叶えることを主としている。
しかし今回は少し事情が違い、別に死んでもいない普通の人間が別の世界へと飛ばされてしまったのだ。
――神の戯れなどと言う理由で生者の人生が狂わされるなど、決してあってはならないことだと言うのに。
と言うのも、先日までこの支部に30年以上勤めていた神が「マブラヴ世界に人を送って以来面白い転生を望む奴がいないし、定年近いからちょっと遊んでも問題ないよね?」と、余りにも自分勝手な発想で死んでもいない一般人を別の世界へ飛ばそうとしていたのだ。
問題の神は捕縛されたが、肝心の保護対象が暴走したエネルギーと次元に干渉してきた謎の力に呑まれて行方知らずとなってしまった。
なおその神は即刻解雇を命じられ最後に退職金をもらおうとしたが、ピンクの髪をした天上一応おっかない女神からこう言われたそうな。
「こんなことをしでかしておいてそんなものが出ると思うのか!? 恥を知れ、俗物!!」
退職金は出なかったが男の表情は非常に恍惚としており、吐き気を催すほどキモかったとその場に居合わせた神たちは語った。
一部例外としてその女神の姿を目の当たりにし、胸に薔薇を刺した一人の神が「ばんざあああぁぁぁい!!」と幸せそうな顔で鼻血をブチまけながら叫んだそうな。
それはさておき。肝心の青年はなんらかの一応特典をつけられてから飛ばされてしまったらしいが、厄介なことにその行き先が皆目見当つかないでいた。
――どうにか接触して、最低でも常に位置が判明する物を持たせなければ。
歯痒い思いをしながら女性は部下たちに指示を出して再びとばっちりを受けた青年――月崎 尊の行方を追い始めた。
一方、とばっちりを受けた件の男はと言うと――――――
「『ファイア』」
「どわああああああああ!?」
修行の一環で放たれた戦の神を名乗るカエルの火炎を避け損ねて絶叫を上げていた。
◇
時の最果てに飛ばされてから早3日。この数日で自分の現状についていくらかわかったことがある。
まず特殊スキルとして表示されていたUG細胞改は本来の三大原則である自己再生、自己増殖、自己進化に加えて自己エネルギー生成、自然治癒強化を備えていて、これがある限りちょっとやそっとでは死なず、魔法やステータスを上昇させるブーストアップをかけられる身体となっていた。また、自己再生は体が欠損した際に元の状態へ戻るように働きかけるもので、自然治癒強化とは別物らしい。
うん、これだけでかなり人間をやめているな。なおブーストアップは自己エネルギー生成で無理やりエネルギーを作り出し、それをさらに自己増力で増幅させて稼動させる代物らしく、使用後はすさまじく疲労が溜まってしまい使用時間に比例して一定時間体が動かなくなると言う欠点がスペッキオとの修行で実証された。
亜空間倉庫はどうもこの世界の連中なら誰でも持っている力の一つらしく、どんな大きさのアイテムもいくらでも保管することができるらしい。これを知ったとき、だからRPGの主人公たちはいくらでも物が持てるんだと勝手に納得した。
精神コマンドは聞いた人なら察していると思うが、まさしくスパロボのあれである。俺が最初に所持していたコマンドは努力だけで、これはSPではなく魔法で消費するMPを兼用して使うことができることが分かった。扱いとしては技と同列らしいが、これのおかげで思ったより早くレベルが上げることができた。
そして最後に装備品としてあった召喚型多段変形武装というサテライトエッジは念じるだけでその姿を現し、ザンバー、ツインソード、ハルバード、シールド、ブラスター、ボウの6形態に変形する代物だった。
ザンバーは少し長めの柄とクリアブルーの両刃を備えた大きな剣のモード。(割りと重い)
ツインソードはザンバーの両刃が分離して片手で扱える双剣のモード。(それなりに軽い)
ハルバードは長い柄の先にザンバーの片刃と先端に刺突用の刃が付いた槍の形態。(ツインソードよりちょっと重い)
シールドはザンバーの柄を展開せず腕に装備する防御用の形態。(片腕に負荷がかかるから割りと重い)
ブラスターは近距離から中距離程度の射程を持つ大きな銃。(ハルバード以上、ザンバー以下の重さ)
ボウは長距離を狙い撃つのに適した大きな弓の形態だった。(シールドと同じくらいの重さ)
今のところリーチのあるハルバードが扱いやすかったので基本形態はこれで固定。あとは臨機応変でやっていくことになるだろう。
さて、長々と説明してきたが努力のコマンドのおかげで思ったより早くレベルが上がり――その割には同じレベルのクロノたちと比べてステータスが非常に低いが――スペッキオもカエルからよく見慣れたマモの姿になった。
「―――だいぶレベルも上がってきたし、別の時代に行って修行してみるか?」
スペッキオから切り出されたその言葉に、俺は内心で歓喜した。
ようやくクロノトリガーの世界に足を踏み入れることができるのだという喜びと、この何もなさすぎる空間から抜け出せることへの喜びだ。
無論、後者の方が圧倒的に強いが。
餞別として3000Gが入った財布と雑魚モンスターの残りHPがわかるサーチスコープをもらい、早速向かう時代を選定することに。
まず柱の部屋に入って中央の光。これは未来のプロメテドームにつながっているゲートで、クロノたちがここに初めて訪れたときの場所に出る。しかし未だクロノたちはここには訪れておらず、未来に行ったとしても扉の電源が死んでいるので外に出れない。故にここはスルー。
左の光は原始につながっており、グランドリオン修復に必要なドリストーンを取りに行くのに向かったゲートだ。ただしゲートの出口は足場がない崖の中腹で、抜けた瞬間に地面へ向かって真っ逆さまだ。しかも恐竜人がいないという保証もないのでうまく着地できても大量の恐竜人に囲まれたら終わりだ。なのでこれもスルー。
残った右の柱は現代の魔族で構成されたメディーナ村につながっており、人間に対して穏健派の民家に出るがその時点では特に危険はない。無論、グッズマーケットなどに行けば人間を憎む魔族に囲まれて袋叩きは避けられないだろう。だが西には命の賢者ボッシュがおり、その北にあるヘケランの洞窟を抜ければもう安全圏と言っていいだろう。
「と言うわけで、俺は現代に行く」
「何がと言うわけでなのかは知らねーが、まあ気をつけてな」
マモのスペッキオに見送られ現代につながるゲートに飛び込むと、不思議な浮遊感が俺を包みこんだ。
おお、これがゲートをくぐる感覚なのか…………あれ、そういえば俺ゲートホルダー持ってないけどこれ大丈夫なのか?
飛び込んだ後になって、俺はこのゲートを使用するにあたっておそらく必須であろうものの存在を思い出したのだった。
どうも、MLOWのプロットを組んでいるくせに新作に着手したダメ作者です。
さて、タグでもありましたがこの作品は多重クロスとなる予定です。
どの作品が来るかはまだ明かせませんが、多くの方が知っている作品とクロスする予定となります。
構想は固まっているのですがMLOWも少しずつ書いていくので更新は非常にゆっくりになると思いますが、どうかよろしくお願いします。
また、あとがきの最後に主人公のステータスを乗せていきます。
数値は独断と偏見によるものなので、申し訳ありませんが「これおかしいんじゃね」と言う言葉はスルーさせていただきます。
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共通ステータス
名前:月崎 尊(24)
属性:天・水
魔法・精神コマンド
努力 MP2
サンダー ★ MP2
アイス ★ MP2
集中 MP4
???
???
???
???
???
???
???
???
???
???
特殊スキル
UG細胞改
亜空間倉庫
ブーストアップ
???
???
???
???
尊が認知できていない特殊スキル
次元跳躍
└神の気まぐれによって付与された特典能力の一つ。
特定条件を満たすか自分のすぐ近くで転移が起こるとそれに誘発されて別の世界へ飛ばされてしまう。また、クロノ世界ではゲートをくぐる際にゲートホルダーを必要としない。
本来なら大量の魔力を消費するだけで転移の際に行きたい世界へ移動できるはずだったが、最初の転移で起こったエネルギーの暴走と謎の力の干渉で狙った世界へとうまく移動できなくなってしまった。
底力
└体力が一定数以下になると攻撃力と防御力が上昇する。スパロボのアレである。
クロノ世界でのステータス
Lv :12
HP :130
MP :21
力 :22
命中 :10
すばやさ:8
魔力 :8
回避 :11
体力 :26
魔法防御:18