この素晴らしい世界において、私の治療はこの上なく効果的なのだよ 作:牛乳に浸した餅
先日、お気に入り登録してくれた方を眺めてたらめちゃくちゃビックリしました
まさか私がこの小説を書くきっかけになった人がこれを読んでくださっていたとは・・・
嬉し過ぎて泣きそうです
「ふふふ、私の名前はクリス、盗賊だよ」
クリスと名乗った彼女は、やけにフレンドリーに私に話しかけてきた
「えっと・・・そ、それでクリスさんは、その、どうしたんですか?」
「いやね、君が困ってるように見えたから助けてあげようと思って。もしかして登録手数料の持ち合わせが無いの?ならちょっとだけ貸してあげるよ」
そう言って、彼女は私の手に硬貨の入った袋を渡してくれた。慌てて中を確認したが・・・多くないか?
怪訝そうな顔をしていると、クリスさんがその疑問を読み取ってくれた様で、答えてくれた
「ちょっと多いけど、私からのサービスね?それで最低限装備を整るといいよ」
何だこの人、優し過ぎる、女神か?この世界の人は何故こんなに親切で心温まるんだ・・・
私は少し泣きそうになっていて、彼女の「全くアクア先輩は毎度お金も渡さず送り込んで・・・」という呟きは私には聞こえなかった
『・・・』
(どうかしましたか?ドクター)
『いや、何でもない』
ドクターが何やら考え込んでいたけど、何を考えているのかは私には分からなかった
「おっと、早速冒険者登録をしないとね?」
と、クリスさんの声で思考の海から引き摺り出される。
幸い空いているカウンターに並んだこともあって後ろに並んでいる人はいないが、それでも受付の人を待たせてしまうのも良くない
そう思い、私は袋の中から硬貨を数枚受付のお姉さんに渡す
「はい、1000エリス頂戴いたします」
お姉さんは渡した硬貨のうち、1000エリスと思わしき量だけ取り、残りを私に返しながら登録の準備を進めている様だった
「それでは、冒険者について簡単なご説明を...」
そう言って、お姉さんは色々な事を説明してくれた
冒険者はモンスターを倒すほかにも色々やったりする何でも屋である事とか
職業がどうとかレベルがどうとか
冒険者カードが~とか、何も知らない私にとっては物凄くありがたい情報の数々だった
ドクターは、やけにレベルの話を真剣に聞いていたような気がした
「それでは、こちらのカードに身長、体重、年齢、身体的特徴などの記載をお願いします」
特に知られてマズイ情報も無いので、記載していく
163cm、52kg、16歳、少し長い程度の黒髪
これぐらいで大丈夫なのだろうか?
「はい、それで大丈夫ですよ。では、こちらのカードに触れてください。貴方のステータスが分かりますので、その後職業をお選びください」
成る程・・・というか、触れただけでその人の能力が分かるって、現実的に考えたら結構凄まじい魔道具だな?
そう思いつつ、私はカードに触れた
「はい、ありがとうございます。スズキ ユウカさんですね。うーん・・・筋力と生命力が少し低いですね、魔力と知力は普通、敏捷性も普通で・・・おや?器用度がかなり高いですね。幸運は平均より少し低い程度ですか」
まぁ、大体想定していた通りのステータスという所か・・・器用度に関しては、前世の自作グッツ作りが役に立った様だ。部屋に置いてあった自作のマイケル・マイヤーズフィギア、今頃親に捨てられてないと良いんだけど・・・
「そうですね・・・このステータスだと・・・器用度が高いおかげか、盗賊を選ぶことが出来ますよ」
とお姉さんが告げると、それに続くようにクリスさんが盗賊について教えてくれた
「盗賊は良いよ~、便利なスキルが揃ってるからね。敵の場所が分かる敵感知に気配が消せる潜伏。窃盗もかなり多種多様な活躍をしてくれるし、ダンジョン探索では役立つこと間違い無しの罠解除。まさにより取り見取りさ。需要も沢山あるよ~?」
むむむむ・・・ここまで猛烈にアプローチされたら仕方ない。盗賊を選ぶとしよう・・・
まぁ、実際近接戦闘系のスキルはドクターの能力があるから要らないし、魔法使いはステータス的に無理みたいだしこれが一番良さそうだ。潜伏なんかは触れた対象を殺す能力とかなり相性が良さそうだ。これにしてしまおう。
そう思い、私は頷いた
『盗賊・・・まさか盗人が正式な職であるとでも言うのか?何とも不思議なものだ・・・』
(あー・・・ドクター、多分盗賊といっても人の物を盗んで生計を立てる訳じゃないと思うよ。クリスさんの話を信じるなら、正式な仕事が豊富にあるみたいだし・・・クリスさんの言ったことが正しいなら多分意味合い的にはトレジャーハンターの方が近いんじゃない?)
『ふむ、盗賊といっても必ずしも盗人では無いと・・・?この世界は、まだ少しよく分からないな・・・』
・・・うん、正直私もそう思うよドクター。ゲームとかでシーフとかよく見るけど、他人から物を盗むスキルが無いとかちょくちょく見かけるし・・・
「さて、これで登録は完了です。冒険者ギルドへようこそユウカ様。今後の活躍を期待しております。」
これで登録は終わったようで、私は晴れて冒険者の一員になることができた
私の異世界生活の第一歩が幕を開けるのだ!楽しみである。
「無事に登録できて良かったね~・・・それじゃあ、早速だけどチュートリアル代わりに討伐クエスト行っちゃう?」
えっ!?そこまでしてくれるんですか!?
何だこの人、本当に女神なんじゃないだろうか、生まれてこの方現実の神を信仰した事が無かったのだが*1もうクリスさんが神だという事で信仰するべきではなかろうか。
っといけないいけない、あまりにもクリスさんが優しいもんでまた思考が変な方向に行ってしまった。ホラゲープレイヤーは、味方してくれるキャラクターに弱いのだ
「はい、是非お願いします!」
「よし来た!それじゃあさっき渡したエリスで装備を整えておいで、その間に、私の仲間を連れてくるから。前衛職としてはかなり頼りになるから、ユウカちゃんの危険も少なくなると思うからね」
どうやらクリスさんはお仲間を呼んできてくれるそうだ、正直私はステータス的に撃たれ弱いだろうし、ありがたい・・・しかしクリスさんの仲間か・・・一体どんな人なんだろうか、
そう思いつつ、私は武器屋と思わしき所へ行った
正直、あまり武器は必要じゃないとは思うが、ダガーぐらいならあれば色々便利だし・・・これからクリスさんと一緒にクエストに行くのだ、他の人にこの能力を見られた場合、どうなるか私には分からない
「おぉお嬢ちゃん、武器をお買い求めかな?どういう物が欲しい?」
「そうですね・・・安物で大丈夫なので・・・えっと、ダガーを1本ください」
「ダガーね。これとかどうだい?」
そう言って店主の人が持ってきたのは、綺麗な鉄製のダガーだ。
「良いダガーですね。これ、値段は?」
「そいつの値段なら、5000エリスだな?」
ふーむ・・・見た所かなり出来が良いし、かなり良心的な値段・・・なはずだ。
1エリスが何円なのかイマイチ分からないが、クリスさんから貰ったお金が1万5000エリスで、そのうち登録手数料で1000エリス、ダガーを買えば残りは9000エリス。私は防具を買う予定は無いので、残りはまだ使わないでおくべきか?
「分かりました。これにしようと思います」
「まいど、大切に使ってくれよな!」
無事に武器を調達することが出来た。こうしてみると、やはり刃物は奇麗だ
数多の殺人鬼達が使ってきたような、鋭利な刃物。私は別にこれで人を殺すわけではないが、これを実際に生き物に振れるとなると少しワクワクする
ウッキウキで、私はクリスさんが待っている冒険者ギルドに足を運んで行った