黒夢達は妖怪の山に行くために飛んでいた。
萃香は自分の体を霧にして周りの様子を見ている。
今のところは何もないみたいだが・・・
すると、黒夢は手から霊気で作った壁を出した。
そして、一つの妖気の塊が霊気の壁に当たった。
霊気の壁は多少傷があるだけだった。
「敵のようね」
華扇はそういうとこぶしを構えて妖気の塊が飛んできた方を向いた。
そこには、角の生えた一人の鬼がいた。
「・・・霧雨、貴方が相手のようね」
「・・・・私が用があるのはそこの博麗黒夢だけだ。退いてもらおうか・・・四
天王の面つぶしが」
華扇はその言葉を聞いても表情一つ変えていなかった。
「俺が相手をする」
そういって黒夢は霧雨の方に行こうとしたが萃香に止められた。
黒夢は多少驚いていた。
「あなたは私との戦いで怪我をしているのだから見ていたら?それに、今手を出
さないのは華扇のためにもなるからね」
黒夢は萃香が言ったことを聞くとしぶしぶ戦うのをやめた。
佳奈美も今のところは手を出さないつもりのようだ。
「・・・どうしても相手をしなければならないのだな」
「ええ、そうよ」
華扇はそういうと霧雨の方に向かって殺気をだした。
霧雨の方はそのまま立っているままだった。
先に仕掛けたのは華扇の方だった。
華扇は左のこぶしで霧雨を殴りつけた。
しかし、霧雨は当たる前に霧のようになって消えた。
「あれは、萃香と同じような能力!?・・・というわけではないようだな」
「あれは、幻術。彼の能力は幻術を操る程度の能力」
そう、霧雨と言う名を持った鬼の名の由来こそあの幻術を操る程度の能力なのである。
しかし、強力な能力であるがそれは鬼達には嫌われていた。
理由は、鬼は嘘をつくのが嫌いな種族であるという理由である。
幻術とは、偽りのものを作り出す力である。
つまり存在自体が鬼の嫌う嘘という事になる。
そのせいで霧雨は仲間である鬼達に嫌われ続けてきた。
しかし、そんな彼に救いの手をくれたのが雷鬼だった。
それで彼は雷鬼を慕っている。
「というわけ」
萃香は黒夢にそう説明した。
黒夢はそれを聞くと少し気に入らなさそうにしていた。
「くだらない、たかがそんな能力を持っているだけでそいつを嫌うなんてな」
黒夢はそういうと霧雨と華扇の戦いに目をやった。
「くっ・・・」
今は、正直華扇の方が押されていた。
幻術で5人に分裂している霧雨の本体が分からないからだ。
しかもその幻術には妖気を混ぜてどれが本物か探知されないようにしている。
これでは鬼の四天王の力を持っている華扇でも手を出すことが出来ない。
「どうした、この程度なのか?」
華扇は霧雨に言われて少しイラついていた。
そして右手の包帯を解いて霧雨たちに攻撃を仕掛けた。
しかしそれは全てよけられてしまう。
しかし、その包帯は華扇の意志で自由自在に動く包帯、霧雨達を追いかけている。
だが、長さに限界があるせいで途中でなくなってしまった。
「ふっ・・残念だったな」
「いや、これでいいの」
霧雨はその言葉を聞いて疑問に思っていた。
右腕の代わりに使用していた包帯を失って、使えるのは左腕だけ。
それで何を狙っているのか。
華扇はいつの間にか左手に掴んでいた包帯を引っ張った。
すると5人に分裂している霧雨達全員が包帯に絡まった。
「な、なんだと!?」
そして、華扇が持っている妖気を包帯を通して霧雨達に流した。
すると、多大なる量の妖気を流し込まれた霧雨達のうち幻覚で構築されたものは消滅し実体である霧雨は他人の妖気を流し込まれたせいで多大なるダメージを負っていた。
しかし、すぐに包帯をちぎって流し込まれる妖気から脱出した。
だが、突如霧雨の腹部に強烈な痛みが襲った。
それは華扇の左こぶしが腹にあたった痛みだった。
霧雨は、そのまま地面にたたきつけられた。
おそらく、しばらく立ち上がることはできないだろう。
「ぐふっ・・・・まさか・・・包帯をわざと大げさに見せることで、自分の張る
罠に気づかせなくさせるとはな」
包帯は華扇の右腕に戻っていっている。
「・・・鬼の四天王と呼ばれていても、私も根本的には貴方と何にも変わりはし
ない。勝つためにならこういう姑息な手も使うし、だから私もあんたが勝つためにその能力を使うことに何も反対はしていない」
霧雨は華扇がそういったのを聞くと驚いた表情をしていた。
昔の華扇なら、今のようなことを言わなかっただろう。
しかし、昔体験したことから・・・華扇は自ら鬼であることを封じて仙人として名乗っているのである。
「・・・・ふっ、完敗だ。だが、さすがのお前達でも雷鬼様には勝てない。雷鬼様は、鬼としての器を越えているのだから」
霧雨はそういった後に気を失った。
華扇の方も余裕そうに見せているが、幾度となく食らった霧雨の攻撃に加えてさっき使用した妖気によってかなり体力を消耗しているようだ。
「・・・華扇、無理ならここで戻ってもいいんだぞ」
だが、華扇は首を横に振った。
黒夢はそれを見ると勝手にしろという感じで先を進んだ。
「まったく、華扇も無茶するね」
そういうと萃香は華扇を持ち上げるとそのまま黒夢を追いかけた。
「にしてもさぁ」
佳奈美は突如口を開いた。
「・・・なんだ?」
「霧雨って、私の苗字と被ってるなぁと思ってね」
黒夢はそれを聞くとくだらなさそうにしていた。
そして、黒夢のその様子を見ると佳奈美は少しふてくされた様子をしていた