東方神主伝   作:ごくでヴぁる

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第二十話 鬼ノ異変 ~終了~

最初から、一人だった。

気づいたときには一人だった。

俺はそれを当たり前と思っていたし、当然のことだと思っていた。

そんなある日、俺は能力に気づいた。

世界を支配できるほど多大なる力。

俺はそれに身を任せるのに後悔などしなかった。

なぜなら、最初から一人だったから・・・失うものなど無かったから。

平行世界(パラレルワールド)の世界を借りるたびに、俺は別の何かになっていくのを感じていた。

それが、平行世界(パラレルワールド)の自分だったのは最初からわかっていたことだ。

力を持っている俺がいたらもちろん、悪に染まるのはわかっていたからだ。

気づいたら、俺は俺でなくなっていた。

 

 

 

 

「・・・ぃき・・・雷鬼!」

 

俺が目を覚ますと、博麗と霧雨が立っていた。

どうやら気づいたときには俺は寝ていたようだ。

 

「雷鬼、もうすぐ博麗黒夢達が来る」

「私がまず片付けてきます」

 

俺は博麗達の言葉を聞くと指示を出した。

 

「わかった、しっかり仕留めてこい。博麗はもしやつらの残りが来たときのために俺が呼んだ勇儀と一緒に洞窟の入り口で待っていろ」

 

二人はそれを聞くと、すぐに出かけて行った。

俺もそれを見るとすぐに準備に取り掛かった。

俺がいるところは俺が絶対に勝つためにある仕掛けを施している。

それは、俺の肉体強化。

そして妖怪のレベルをはるかに超える再生力を手に入れる場所だ。

この場で戦うとき、俺は勝つことが出来るだろう。

おそらくあの二人は確かに強いが、やつらを止めることは不可能だろう。

だから、保険のためにこの場所を用意しておこう。

 

 

 

 

 

雷鬼は、腹部に霊気で構築された槍を刺されて倒れていた。

つまり、雷鬼は負けてしまったのである。

黒夢は雷鬼を見ていた。

佳奈美は華扇と萃香の治療を行っている。

二人は命に別状は無いようだ。

 

「・・・おかしい・・・なぜ、俺は負けた」

 

雷鬼は、かすれた声でそうつぶやいた。

それは離れたところで治療に専念している佳奈美には聞こえなかったが雷鬼の近くに立っている黒夢には聞こえた。

 

「お前は、自分の意思で戦ってなかったからな」

 

黒夢はそうつぶやくと雷鬼の方を見た。

雷鬼は黒夢の方を見るとため息をついた。

 

「・・・最初から、お前に勝てるはずなど無かったのだな・・・それで、まだ封印しているのだから」

 

雷鬼はそう言うと黒夢は少し驚いていた。

自分の力がまだ封印されているのに気づかれたからだ。

 

「驚いたな、まさか封印していることに気づかれていたとは。・・・まあ、お前の言うとおりあれは第五段階まであるうちで第二段階までの封印を解いた状態だ」

 

黒夢がそう言うと雷鬼は驚いた。

あれで第二段階までの封印を解いた状態だと言ったからだ。

しかも、その言葉は嘘ではないと直感でもわかるほどだったからだ。

 

「・・・なぜ、自ら力を封印する」

 

雷鬼は黒夢に聞いた。

黒夢は少し悩んだが、今の雷鬼はこの世界の雷鬼だということがわかっているので話すことにした。

 

「自分の力で、自分の身を滅ぼしてしまうからな」

 

雷鬼は黒夢の言った事に疑問を持った。

自分の生命力といえる霊気で自分のみを滅ぼすということに。

 

「お前が疑問に思うのも無理は無いだろう。だが、俺は生まれたころから人間には荷が重い力を持っていた。この能力も、無意識のうちで自分の身を守ろうとして生まれたものだろう」

 

黒夢はそう言うと懐から一枚の札を出して雷鬼の腹部に刺さった霊破槍を抜くとそれを雷鬼の左腕につけた。

雷鬼は、これから自分は殺されるのだと思った。

こんなことを起こしたのだから当たり前だろうと思っていた。

大事にならなかったのが運がよかったほどだ。

雷鬼は目を閉じた。

だが、少し妙な違和感を感じただけでいつまで経っても何も起こらなかった。

雷鬼は恐る恐る目を開けた。

すると、自分の体が萃香と同じぐらいにまで縮んでいた。

 

「な、なんだこれはっ!?」

 

同時に自分の力が弱体化しているのを感じた。

雷鬼は自分の左腕に赤色の布が巻かれているのに気づいた。

そこはさっき黒夢が札を貼ったところである。

雷鬼はそれを取ろうとしたが、触れることすらできなかった。

 

「お前の力は強すぎて制御ができていないようだった。おそらくさっきのことも平行世界(パラレルワールド)の自分の意思にのっとられかけて行ったことだろう。だから今はこのぐらいで許してやる」

 

黒夢はそう言うと霊気の封印を施した後に左腕で雷鬼を持ち上げた。

雷鬼は黒夢の腕の中でじたばた暴れているが出る事はできなかった。

 

「さて、お前には選択肢がある」

 

黒夢は抱き上げてる雷鬼を見た。

雷鬼はいきなり言われたことでビクッと反応した。

 

「一つは、このまま天魔に殺されるか。もう一つは・・・地底に行くことだ」

「地底だと?」

 

雷鬼は地底に入ったことは無いので当然の反応ではあった。

 

「地底には他の鬼も住んでいるからな、まあ勇儀に頼めば簡単に入れるだろう」

「ちょっとまて!なぜ俺が地底に行かなくては」

 

雷鬼は反論しようとしたが、黒夢と傷が回復した萃香たちににらまれて何もいえなかった。

 

「ぐっ・・・この雷鬼がああああああ!!WRYYYYYYYY」

「(これがコイツの元の口癖なのか?)」

 

黒夢はそう思いながら雷鬼を抱きかかえながら洞窟の入り口のほうに向かった。

入り口のほうでは黒夢の予想通り、勇儀と博麗、そして霧雨がいた。

 

「やはり来ていたか、じゃあ話は早いな」

 

黒夢はそう言うと雷鬼を三人に投げ渡した。

博麗と霧雨は二人で雷鬼をキャッチした。

 

「どうせ勇儀に地底に行くように前から誘われてたんだろ。だったら、そいつと

一緒に行きな。俺も妖怪の賢者も天魔も止めはしないよ」

 

そう言うと黒夢は飛ぼうとした。

すると、飛ぶ前に体がふらついて倒れそうになった。

なんとか佳奈美が黒夢の体を支えた。

どうやら封印をといた反動が今頃来たようだ。

黒夢の体は当たり前のごとく人間の体である。

だが、黒夢が所持している霊気はそれとは比例しないほどの量と回復力持っている。

つまり、さっき封印をといたときにその状態で使った霊気に加え、封印のときに使った霊気が回復したせいでその反動で体にダメージがきたようだ。

 

「っ・・・だが、次に同じようなことをしようとしたなら・・・今度こそ容赦はしないぞ」

 

そう言うと黒夢は佳奈美達に支えられながら雷鬼達から離れていった。

雷鬼はそれをずっと見ていた。

 

「・・・あいつは、強いやつだ。俺なんかよりもな。ふん、俺ももう少し生きてみたくなった。あいつのような人間と会えるならな」

 

雷鬼がそういったのを見て博麗たちはうなづいた。

 

「私達は、あなたについて行くだけです(雷鬼、縮んだな。・・・かわいいかも)」

「俺達はあなたに救われたのですから(雷鬼様、小さい)」

「よーし、じゃあ案内するからきな!(雷鬼小さくなったってからかえるね)」

 

雷鬼はこのとき、自分の能力を使って心を読むことに成功していた。

そしてその心の声がわかっているからこそ、雷鬼は苛立っていた。

 

「て~め~え~ら~!」

 

博麗たちは雷鬼の様子を見ると地底に向かって走り出した。

 

「待ちやがれ!」

 

雷鬼たちは地底に着くまでこの鬼ごっこを繰り返す羽目になったとか。

 

 

 

 

「黒夢、さあ背中見せろ」

 

黒夢たちはしばらく飛んでいたが人里に下りた。

その理由はもちろん、黒夢の怪我の治療のためである。

今の黒夢は右腕の骨折に打撲、血を流しての貧血、あばら骨のひびなどがあり・・・正直今まで動いていられたのが不思議なくらいの重傷だった。

そしてその黒夢を治療しているのが、慧音である。

慧音は黒夢の上半身の怪我を今は重点的に行っていた。

そして今は勇儀に吹き飛ばされたときに強打した背中の治療を行っている。

ちなみに黒夢は治療が効くように非干渉をしていないためかなりの痛みに襲われていた。

 

「(っあ~!痛い・・・痛みで気を失いそうだ)」

 

そんなこんなで痛みを耐えていた。

しばらくすると基本的な治療は終わったようだ。

 

「さて、お前にはしばらく私の家に泊まってもらうぞ。療養のためにな」

 

黒夢はそれを聞くと顔をしかめた。

 

「おい、じゃあだれが代わりに妖怪退治をするんだ」

 

黒夢がそう言うとさっきまで座っていた佳奈美と華扇と萃香が立ち上がった。

 

「「「それは代わりに私達がするよ!」」」

 

そう言うと三人は慧音の家からでていった。

黒夢は三人がいきなり言ってしまったので少しポカーンとしていたが、しばらくするとため息をついた。

どうやら、いやでも療養しないといけないようだ。

 

「・・・すまない、しばらく世話になる」

「人里ではお前には世話になっているからな、当然だ」

 

慧音はそういうと夕食を準備しに行った。

黒夢は布団に寝転がった。

ちなみに、右腕は骨折を治すために固定されているので当然動かすことはできない。

 

「・・・はあ、一ヶ月か」

 

どうやら黒夢の怪我は一ヶ月で治るようだが・・・どう考えても早すぎだ。

 

「(人間離れしすぎなんじゃないか?)」

 

慧音はそう思いながら夕食を作っていた。

半妖にこんなことを思わせる黒夢は、やはり(いろんな意味で)すごいのだろう。

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