東方神主伝   作:ごくでヴぁる

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第二十二話 博麗黒夢の悩み

博麗神社は、いつもの日常があった。

それは、黒夢自身が望んでいるはずのものなのだ。

そして黒夢は今博麗神社の中で座禅をして目をつぶっていた。

その黒夢の周りには妙な気が漂っていた。

これは、神気。

神が持っている気のことである。

神気は霊気や妖気などとは比べ物にならないほどのエネルギーがあり、それは神なら信仰が増えるたびに増幅していく。

そんな神気がなぜ人間である黒夢の周りに浮いてるかというと、黒夢はある特訓をしているからである。

それは、神を身に宿すこと。

それを知ったのは数ヶ月前のことである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数年前にあった、鬼ノ異変。

その後もさまざまな異変を解決してきた黒夢だが、ある問題に悩まされていた。

それは、力の不足。

いくら人間にしては破格の霊気を持ち、妖怪とも対等に戦えるとしても・・・やはり力が足りないということは身をもって知っている。

それに封印をといて何とか倒せる大妖怪と戦った後だとしばらくは博麗の神主としては働けなくなってしまう。

なので黒夢は、それを補える戦い方を探していた。

そういうことを探しているとき、一冊の書物を見つけた。

それは、月面戦争の記述。

その中で月の民の中でも破格の強さを持っている、依姫の記述だった。

彼女は戦いのときに八百万の神を身に宿して戦うことができるらしい。

黒夢はできるかどうか試してみることにした。

安部清明が残した書物の中にそういう書物があったのを思い出した黒夢はそれを取り出して読むのをはじめた。

技を札で発動させるという見本にしたのも、この安部清明の本だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒夢はそれから、神を身に宿す修行を博麗の神主としての仕事の合間を縫ってしている。

今の状態だと、神自身の力を借りることはできないが神気だけなら借りることができる。

もちろん、それなりの代価を払っているが。

それは・・・霊気。

黒夢が使った力の分だけ霊気をその神が受け取る。

それはつまり等価交換。

神はなにもかもに平等に接する、だから普通人に肩入れすることは無い。

力を借り受けることでも同じ、その人に加担することは無い。

だから加担するときは代価を払ってもらう。

たとえるなら信仰、絶対的な服従・・・・そして、その命のしるしでもある命。

とは言っても、神の気まぐれによっては等価交換無しでも面白そうだったら力を貸してくれる。

・・・いや、それも面白いということを等価交換で出しているだけなのかもしれない。

 

「・・・ま、もう少し修行しないとな」

 

黒夢はそう言うと神を宿すのをやめて霊気に封印をかけた。

流石に神を宿すとなると封印で漏れでてる霊気だけじゃ足りないし神にも失礼だ。

しかし、普通なら前の異変のように霊気の反動が来る。

だが、なぜか神を宿した後はゆっくりと霊気が回復するため反動はそこまで無いようだ。

おそらく神の力があまりに大きすぎたのか・・・もしくは神がそういうとこを考慮してるだけなのか。

とにかく、神を宿す際には封印をといても問題は無い。

 

「黒夢~!」

 

そんな時、誰かが博麗神社にやってきた。

黒夢はその声を聞くと神社の一室から出て行き庭の方に向かった。

そこには、金髪の髪を揺らした・・・少女から女性になった佳奈美が立っていた。

・・・佳奈美は、最近魔法使いになるためにある魔法の研究をしている。

それは、『捨虫の魔法』。

つまり人間の寿命を超えて、年を取らなくなる。

更には食事をしなくてもよくなる。

実際のところ、佳奈美は今の状態だとその魔法を使うのはそこまで難しくは無いだろう(つまりそれだけ魔法の才能があるということだが)。

だが、これは黒夢の予想だが・・・佳奈美は魔法使いになることを悩んでいる。

真に魔法使いになるということは、黒夢と同じ時(・)を歩めなくなる。

佳奈美はそんな思いがあってまだ、探すことにとどめている。

 

「(・・・俺のことを気にしないで、なってくれればいい。それに、あいつの夢なら止める理由も無いしな)」

 

黒夢はそんな風に思いながら佳奈美を見る。

その姿を見ると昔よりも大人になったなと思う。

とは言っても、二人ともとっくに婚期(今の時代だと14辺りが大人のようなもので17、18だと婚期を逃しているようなもの)は逃しているのだが。

 

「佳奈美、今から晩御飯でも作るが食べるか?」

 

黒夢がそう聞くと佳奈美は神社の中に入ってきた。

 

「今回は私が作るよ、食べさせてくれるならなおさらね」

 

佳奈美はそう言うと神社の奥の部屋に向かった。

佳奈美が手を叩くとそこからエプロンが出てきた。

黒夢はその様子を見ながら魔法ってすごいなと思っている。

佳奈美はエプロンをつけると晩飯の支度を始めた。

黒夢はそれを机にひじを立てながら見ている。

しばらくそうしていると、黒夢はあることを思った。

 

「(なんか・・・このようすって)夫婦みたいだな」

 

黒夢がそう言うと味噌汁の味見をしていた佳奈美が咳き込んだ。

佳奈美は少し顔を赤らめると、晩飯の準備を再開した。

黒夢はなぜ咳き込んだのかわからなかったが、とりあえず暇なので神を宿しやすくするために清明の書いた書物を読むことにした。

 

 

 

 

 

しばらくすると、晩飯ができた。

そして今は食べ終わった後。

佳奈美は今日、博麗神社に泊まるといっていたので博麗神社に泊まることになった。

そして、辺りが暗くなり寝静まったころ。

黒夢は一人、縁側でお酒を飲んでいた。

佳奈美は奥の部屋で寝ている。

 

「うーん・・・わかってるんだけどなぁ」

 

黒夢はわかっている。

佳奈美や華扇たちが自分に恋愛感情を向けていることを。

しかし、それに・・・答えられるほど自分は器用ではない。

それに、黒夢は自分を・・・幻想郷の法と思っている。

他の妖怪や人間達もそう思っているだろう。

黒夢は幻想郷の中でも、中立に妖怪と人間を裁く。

それが・・・のちに受け継がれる博麗の宿命。

その中でも、黒夢は歴代の中でも根強く最強の博麗として君臨することとなる。

そして、それ以外にも理由がある。

黒夢は佳奈美たちが見ていないときに、たくさんの妖怪を消したり・・・人間を消したりしている。

博麗の神主は、多くのことだと人間の味方である。

しかし、幻想郷の均一を守る。

それこそが博麗の神主としての真の仕事である。

例えば、人間が妖精や妖怪を必要以上に殺そうとする。(人里には黒夢程強くはないが妖怪退治の専門の人物も住んでいる)

そのときに来るのが、博麗の神主である黒夢。

そのとき、黒夢はまず話し合いをしようとする。

妖怪と人間の均一を守るには、ある程度妖怪が人間を食らい・・・ある程度人間が妖怪を退治しなければならない。

そういって聞かないやつは・・・少ないがいるときはいる。

それはよほどの偽善者か・・・外の世界(このときはまだ博麗大結界が無いので表現的にはおかしいが)から来た人物だろう。

そして、聞かなかったときは黒夢が倒す。

そして倒してそうするように命令する。

ここまできて聞かない場合は・・・始末する。

これを行ったのは・・・数回。

数回、それは人間である黒夢には十分大きすぎる負担だった。

それを、黒夢はみんなにはばれないようにしている。

・・・気づいていて気づかない不利をしているだけかもしれないが。

 

「ま、自分で望んだことだから後悔する気は無いがな」

 

そういうと、黒夢は再び酒に口をつけた。

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