森の中、鈍い音が聞こえた。
それは妖怪が殴られた音だった。
そして妖怪達が倒れた近くに立っていたのは・・・博麗黒夢だった。
これは黒夢の習慣となっている妖怪狩りである。
これで数回痛い目にあっているのだが、それはまた別の話で話そう。
「・・・ふう」
黒夢は倒れた妖怪たちの近くに座り込んだ。
そのとき、茂みの方で音がした。
「!」
黒夢は改造したお払い棒の下からとげを出した。
そして、お払い棒に霊気をまとわせると槍の形にして音のした方に投げつけた。
すると、刺さるような音が聞こえ
「あうっ!?」
という驚いた声が聞こえた。
どうやら刺さらなかったようだ。
「・・・ははっ」
黒夢は少し笑うと音のした方に向かった。
そこには、
「あ、危ないじゃないですか!」
書くものを持った天狗が地面に座り込んでいた。
そのすぐ近くには、黒夢が投げたお払い棒が刺さっていた。
見た目は黒夢より10歳ほど年上の感じだった。
・・・まあ、妖怪だからおそらく3、400歳ぐらいだろう。
黒夢は天狗がいったことを無視して地面に刺さっているお払い棒を抜いた。
そして、お払い棒で天狗に殴りかかった。
「!?」
すると、天狗は自分の体に渦を巻いた風をまとわせて黒夢の攻撃をはじいた。
おそらく、それでさっきの黒夢の攻撃もはじいたのだろう。
「へぇ、やるね!」
黒夢は風の勢いで飛ばされたので空中にいた。
黒夢はすばやく天狗のいた方を見たが、そこに天狗はいなかった。
「人間にしては恐ろしく強いですが、まだまだですよ」
黒夢の後ろには、さっきの天狗がいた。
飛ぶ早さは幻想郷にいる中でもトップクラスなのは天狗だ。
しかし、それを合わせてもこの速さは以上だった。
普通なら力の差を感じて恐怖するところだが、黒夢は笑っていた。
黒夢はこんなのを待っていたのだ、罠にはめて倒されたり、500を超える妖怪から勝負を挑まれたときもこんな気持ちにはならなかった。
黒夢は、純粋に喜んでいるのだ。
一対一で、ここまで戦う妖怪には今まで会ったことがなかったのだから。
「(だからこそ、負けたくない)」
黒夢はそう思うと後ろを向いてお払い棒を振り回した。
しかし、棒のところは当たらず紙のところしか当たらない。
「無駄ですよ」
天狗が腰に下げてるかばんからうちわのような物を出したとき!
「・・・霊破槍(れいはそう) 拡散(かくさん)」
天狗はそのとき、この少年の強さを自分はみくびっていたのだと気づく。
なぜなら、自分の周りに霊気で出来たたくさんの小さな槍があったのだから。
おそらく、お払い棒を振り回したときに準備したのだろう。
そして、それは一斉に天狗に向かって襲い掛かっていた。
「くっ!」
天狗は手に持ったうちわのようなもので風を起こしてそれを吹き飛ばそうとした。
しかし、それをしてもまだたくさんの槍が残っていた。
そして、さらにおどろいたのはその小さな槍の破壊力である。
吹き飛ばした槍の中には、そのまま向かっていくものもあったし吹き飛ばされたものも地面にぶつかると爆発していた。
そして、その砂煙のせいで周りが見えない状況にいた。
天狗は時間差で向かってくる槍を何とかよけているが、弾が尽きればすぐに反撃できるだろう。
しかし、天狗は不思議に思っていた。
「(私の周りをこれで囲んで一斉に撃てば、私でもよけきれずに多少は食らうはずなのに・・・なぜそれをしない?・・・まさか!)」
天狗が後ろを向いたとき、もう・・・遅かった。
なぜなら、そこには地面に着地した後周りの木から飛び出してきた黒夢がいたのだから。
「霊破槍(れいはそう) 滅(めつ)」
手に霊気をまとわせたお払い棒を持った黒夢はそのまま天狗の背中に強烈な一撃を食らわせた。
「が・・・ぁあ!?」
そして、天狗に追撃と言う様に残った小さな霊気で作った槍が襲い掛かった。
そして、それが直撃し爆発した。
天狗は煙に包まれた。
「か・・・勝った?」
地面に着地した黒夢は息切れしながらそうつぶやいた。
さすがに戦いで霊気を使いすぎたのだろう、かなり体力を消費したいた。
黒夢が一息ついたそのとき!
煙は突然風で吹き飛んだ。
そして、少し口から血を流し服が少しぼろぼろになっているさっきの天狗がいた。
彼女の周りには、その身を守るかのように風が吹き荒れていた。
「・・・あと少し防御が遅れていたら・・・・やられていたかもしれません・・ね」
天狗の方も息切れしていた。
見た目では天狗の方が不利に見えるが、実際のところ逆である。
黒夢にはもう、一発分の攻撃を放つぐらいの霊気しか残されていないのである。
「・・・・・へぇ、思った以上に出来るね」
黒夢はそれでも平静を保っていた。
取り乱しても現実が変わることはないのだから。
「・・・末恐ろしい子供ですね。将来は有望ですよ」
天狗の方もかなりのダメージを追っているのみ事実なので多少はつらそうだ。
「じゃあ・・・!」
黒夢は霊気で作った槍を天狗の後ろに投げつけた。
すると、その後ろからは叫び声が聞こえた。
どうやら、意識を取り戻した妖怪が彼女を利用しようと傷つけようとしたらしい。
黒夢が少し前に倒した妖怪は『傷つけた相手を操る程度の能力』を持っていた。
そのせいで、黒夢はさっきまで500匹の妖怪に囲まれて集中砲火を受けていたのである。
しかし、500人も操るとなるとかなりの体力を消費する。
黒夢は全員の動きが鈍いことに気づくと、『霊破槍 拡散』を使い全滅させたのである。
ちなみにあの妖怪の能力は傷つけた相手が気絶すると同時に解除される。
その後の後遺症もないようだ。
まあ、このことは後日知ることになるのだが・・・・
「くぅ・・・」
黒夢は地面にひざを着いた。
そして、天狗はひざを着いた黒夢に近づいてきた。
「(・・・ここまでかな・・・)」
しかし、その行動は黒夢の予想を超えた行動だった。
天狗は黒夢を抱きかかえたのである。
「・・・なんで、お前を襲った人間を助けようとするんだ・・・?」
黒夢がそういうのを聞くと天狗は笑い出した。
「あははははっ!まったくあなたは・・・私を助けてくれた人をほおって行くほ
ど私は非道ではありませんよ、それに私は人間が嫌いではないのですよ」
天狗のいったことを聞くと黒夢は驚いた顔をしていた。
それは年にあった表情だった。
「貴方もそういう顔をするんですね。博麗黒夢さん」
天狗は微笑んでそういった。
「・・・名前は?」
黒夢は天狗に聞いた。
「私ですか?私は、射命丸文というものです」
「・・・文」
黒夢はそうつぶやいた後、文に抱っこされてまま寝た。
その寝顔は、さっきまで大暴れしていた風には見えない子供らしい寝顔だった。
後日、
「こんの、あほんだらがぁ!!」
コルテス・・・俺の父さんは森の奥でそう怒鳴った。
「まあまあ、落ち着いてくださいよコルテスさん」
その隣で文が父さんをなだめてくれていた。
「・・・今回は悪かったと思う。何も父さんに言わずに、あんなところに行って」
実はあの妖怪には手紙で呼び出されていた。
それは、文も同じだったらしいが。
俺のほうには、来ないとお前の両親を殺す。・・・と。
文の方は、いいスクープがある。・・・と。
俺はあの二人は殺せないと思ったが迷惑はかけたくないので行った。
文の方は面白そうだからという理由で。(妖怪というものは想像以上に気まぐれだった)
「ていうかな、今回の件は文!お前にも原因があるからな」
父さんはそれから俺達を一時間ほど叱った。
・・・ていうか話をした。
俺達はとてつもなく泣きたくなった。
・・・話的な意味で。
もう父さんの言うことには逆らわないようにしようと思った。
後日知ったことだが、文は天魔と呼ばれる妖怪の山のトップの補佐役とその子供の大天狗の世話をしているらしい。