東方神主伝   作:ごくでヴぁる

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第弐話 生活

 ○月×日

 俺が紫の家に居候してから数日が経過した。

 あの後紫から話を聞いて妖怪という人ならざるものがいること。

 妖怪以外にも神や幽霊などもいるということ。

 さらには、霊気や妖気という生命エネルギーがあること。

 特殊な人間や妖怪などは程度の能力というものを所有していることが分かった。

 話にまったくついていけなかったが、紫が目の前でスキマを開けたり妖気を出したことで無理やり納得した。

 というかせざるおえない。

 いや、だってさ…質問するたびにだんだん紫が苛立ってるのが分かるんだぜ、どう考えたってわかんなくても納得するしか無いじゃん。

 正直怖かったです、はい。

 美人は怒ると怖いというのはこういうことなんだな。

 まあ、今のところは生活ができている。

 未だに釜戸の使い方はなれないけどな。

 後はPCが無いことだ。

 やっぱり現代の生活に慣れてると心さびしい。

 まあ、空気がおいしいのとおいしいご飯が食べれるのはうれしいけど。

 ちなみにこの日記は紫からもらった紙と墨と筆で書いている。

 やっぱり筆の練習はしたいな……だが、その前に気になることもたくさんある。

 まず、なぜかは分からないが話は通じるし書いている言語も通じている。

 最初は紫が言っていた『境界を操る程度の能力』で何かしたのかと思っていた。

 でも、聞いてみたら何もしていないと言った。

 というよりは、知らない境界に関しては操れないらしい。

 本人曰く『自分の能力は万能ではあるが全能ではない』らしい。

 正直、頭が悪い俺には意味が分からない。

 ……まあ、頭がいい人には分かることもあるんだろう。

 ……とりあえず、今は考えてもしょうがないので後で調べることにしよう。

 

 PS:大体こういう日記って最後のほうは書かれていない的なことになってそう。かゆ…うま…とか書いていないことを祈ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……よし、書けた」

 

 そう言うとコルテスは墨を乾かすためにそのままの状態にして机の上に置いた。

 ここに来てから数日、未だになれない家事を続けている。

 居候させてやるから食事を作れ、ということらしい。

 お世辞でも家事ができると言えないコルテスにとってはかなり困ることだった。

 しかし、数日で料理が作れるようになった……されたと言う方が正しいが。

 紫から料理のもう特訓を受けわずか数日で料理ができるようになってしまった。

 ……どんな特訓かは詳しく言えないが。

 墨が乾いたのを見るとコルテスは本を閉じる。

 

 「……あー、暇だ」

 

 そう言うとコルテスは畳の上で横になった。

 この数日、コルテスはこの屋敷の外に出たことが無い。

 その理由としては二つある、ひとつは八雲紫にでないようにと言われているからだ。

 いくら八雲紫が住んでいる屋敷とはいえ妖怪はいくらでも来る。

 今は特殊な結界を張っているため来ないが、結界の外に出れば妖怪はうじゃうじゃいるらしい。

 そしてもうひとつの理由は……まあ、ただのコルテスの勘だ。

 外に出たら死ぬな、という勘。

 

 「(なんというか……生き物としての本能みたいなもんか?理由が無いのに妙な感覚がある)」

 

 という理由で外に出たことは無い。

 今、紫は外に出かけているためこの屋敷にはコルテスしかいない。

 紫はなにやら大事なことがあるようだ。

 

 「このまま寝てもいいんだが……調べものでもするか」

 

 実は紫からいくつかのものを支給されている。

 その一つに、今まで紫が集めた書物部屋がある。

 正確にはいつでも読んでいいと言われた物だが……

 それに、試したいこともあった。

 

 「言葉が通じるなら、文字はどうなんだ?」

 

 そう、文字だ。

 この時代に来てから紫としか話していないが言葉は通じた。

 となると、次に気になるのは文字が読めるかだ。

 コルテスは書物部屋に入る。

 書物部屋はきちんと手入れされており、戸棚にたくさんの本が敷き詰められている。

 その中には、コルテスが昔学校で習った有名な書物もいくつか混じっていた。

 

 「……竹取物語、源氏物語か。どれも学校で習ったものばかりだな。そんなものがこんなところにあるとは」

 

 そんな知っている書物の題名を読みながらぱらぱらと中身を確認する。

 すると、あることに気づいた。

 文章が読めている。

 文字自体はコルテスが知らないはずなのに意味はしっかりと頭に入ってくる。

 

 「ほんやくこんにゃくを食べたらこんな気分なのかね」

 

 冗談交じりに言葉をつぶやきながら歴史について書かれている書物を探すことにした。

 かなりの数があるので時間がかかる。

 しかし、しばらく探していると気になる一冊の本が目に留まった。

 タイトルは、『月面戦争記』と書かれている。

 見たところ墨が新しく、どうやら最近に書かれたもののようだ。

 著者名は……八雲紫、と書かれている。

 

 「あいつが書いたものか。どれ、少し読んでみるか」

 

 本を開くと重要そうな部分だけを見ながら読む。

 すべてを読み終えるに一時間ほどかかったが、詳しい部分は分かった。

 まず、この本はメインを月面戦争について書かれているがその前の準備や主に起こった重要な歴史についても書かれていた。

 たとえば、安部清明についてや三大悪妖などだ。

 そして半分以上の記述を埋めているのが、月面戦争に関するものだ。

 おおよその内容が、月面戦争を起こしたのは妖怪たちが月へ争いに行かないようにするためなどと書かれた起こした理由。

 そして月人の科学力と力についても書かれている。

 しかし、そのどれもがコルテスにとっては現実味の無いものだった。

 

 「楽園『幻想郷』?」

 

 そんな中に、ひとつの記述があった。

 幻想となったものがいける楽園、幻想郷。

 コルテスは、その単語に聞き覚えがあった。

 声が言っていた、幻想郷ができないということだ。

 

 「(俺のいた世界にはこの幻想郷という場所が無かったらしい…そしてその原因がある人物がいなかったからとも言っていた)」

 

 幻想郷に関する記述を読み始めた。

 内容に関してはコルテスは一応理解はできた。

 まず、今の状態は幻想郷の土台を作っているところらしい。

 その土台が何かはコルテスには難しくて理解できなかったが、土地と妖怪と人間が必要というのは理解した。

 そして幻想郷には何らかの方法で結界を張るということも分かった。

 

 「結界……か」

 

 結界がどのようなものかコルテスは知らない。

 だが、その土地を守るものであることは感づいた。

 

 「……おそらく、俺がしなければならないことは」

 

 コルテスの脳裏に男の言っていた事がよみがえる。

 男はこう言っていた。

 

 「ある存在が俺の世界にいなかった、だから幻想郷ができなかった。……世界を…変えろ、か」

 

 男の言っていたことを声に出して再度確認する。

 そして、確認しているときに気づいた。

 世界を変えろというのは、幻想郷を作り出す必要があるということに。

 

 「(もっともあいつが言っていたことがあっているならの話だが)」

 

 だが、今のコルテスにはそこまでしか分からない。

 再び考えるが何も思い浮かばない。

 仕方なく、コルテスは考えるのをやめて本を棚に閉まった。

 

 「くそっ、本当に厄介なものに巻き込まれたな」

 

 コルテスはそうつぶやくと再び本を調べ始める。

 しばらく調べていると、もう夕方になってしまった。

 あれから特に有力な情報は見つからなかった。

 

 「……あー、だめだ!」

 

 コルテスは畳に横になる。

 長いこと頭を使っていたため疲れたらしい。

 

 「まあ、最低俺の目的は決まったか……もともと、あの世界に興味はなかったしな」

 

 そうつぶやくとコルテスは目を閉じた。




コルテスの過去に関しては作中だと説明できない可能性もあるので説明できなかった場合は二部終了後に説明を書きます。
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