東方神主伝   作:ごくでヴぁる

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第参話 対談

○月□日

 あれから数日が経過した。

 日記は不定期だがきちんと書いている。

 え、それじゃあ日記の意味がない?

 ……しょうがないじゃん、書くこと少ないんだから!

 もともとこういうの書くのは得意じゃないしさー!。

 ……って、誰に話してるのやら。

 頭に響くように聞こえていたあの声が聞こえなくなってからか、独り言が増えたような気がする。

 後、自分でも驚きだがこの時代の道具をあらかた使えるようになった。

 それで自信がついたのかいつもの素が出てくるようになった。

 いや、でも紫にはそこまでおちゃらけて話せない。

 別に万能な能力を持っているから何かされると怖がっているわけではなく、ただ俺が一緒にいるには合わないからと思ってるからだ。

 ……つまり、ただ背伸びして同じような態度を取れるようにしようと思っていただけだ。

 まるで子供のような考え方だが。

 とりあえず、今日も引き続きなぜ言語が通じ文字も読めるのか調べてみようと思う。

 ……そういや、紫は今日お客さんが来るからお茶と茶菓子の準備しないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……さてと、じゃあ準備しますか」

 

 そう言うとコルテスは台所に向かい戸棚から茶菓子とお茶っぱを出す。

 そして、手際よくお茶っぱで緑茶を作る。

 そんな作業の中コルテスは無意識のうちに現時点の状況、不可解な点について思考をめぐらす。

 まずは、なぜ言語が通じ文字が読めるのかだ。

 ……正確には、聞こえてくる言語がすべて自分の知っている言語に聞こえ話しているときは相手にはこの時代で使われている言語を使われている。

 文字はたとえるなら漢文を日本人が読みやすいように並び替えた訳ではなくその意味を現代の日本語に直した和訳の様な感じだ。

 つまり、文字の読み方ではなく文字で記された文章の意味だけが伝わってくるということ。

 ……これに関してはコルテスは頭の中にいた声の仕業じゃないかと思っている。

 理由としては、何かして欲しいならあちらの言語がまったく分からないのは困ると思ったからだ。

 いくら相手と話がしたくても言語が違うとお互いに意思疎通ができず何かを調べたくても文字が読めなければ結果的に何もわからないからだ。

 

 「しかし、あいつが未だにどんなやつか分かってないんだよなぁ」

 

 そこが困りどころだ、そうコルテスは困った様子でつぶやいた。

 再びコルテスは思考を始める。

 次に不可解な点はここがコルテスのいた世界の過去かどうか。

 だが、それは分からない。いや、分かる方法がない。

 なぜならどうやってこの時代に来たか、まだ分かっていないからだ。

 別に早く帰りたいとか思っているわけではないようだが。

 ただし、頭の中の声が言っていたことを思い出すと気になる点は一つ。

 

 ‐幻想郷-

 

 -八雲紫‐

 

 この二つはおそらく現時点の重要事項だ。

 そう考えている。

 と、こんな風に思考をめぐらしていると。

 

 「何かいいにおいがすると思ったら緑茶ですか。最近は飲んでいなかったので久しぶりですね~」

 

 コルテスの隣に全体的に緑色のチャイナ服を着た長髪紅髪の女性が立っていた。

 まったく気配を感じなかったのでコルテスは内心ものすごくビビッていた。

 しかし、コルテスはそれを表情には出さない。

 

 「(あくまでここは紳士的に、紳士的に。た、たかが気配を消して俺の隣に立っていただけだ。うん)」

 

 考えがおかしい方向に行っているが平静は取り戻す。

 そして、コルテスは口を開く。

 

 「今日、紫様はお客様が来ると言っていましたがもしかしてあなたがそうですか?」

 

 もしこの様子を紫が見たら笑いをこらえきれないだろう。

 それほどまで、普段とのギャップがあるということだ。

 目の前の女性は少し生暖かい目でコルテスを見ると、

 

 「はい、今日お客としてきた紅美鈴です。よろしくお願いします」

 

  と言って手を差し出した。

 

 「私は紫様の身の回りの世話をしているコルテスです。よろしくお願いします(さっきの生暖かい目は何だ?)」

 

 コルテスはさっきの生暖かい目を少し気にしたがすぐに握手をする。

 握手を終えるとコルテスは湯飲みと和菓子を載せたお盆を持ち美鈴を紫のいる客間へ案内する。

 そして、ふすまを開けるとコルテスは美鈴を客間へといれ机の上に湯飲みと和菓子を二つ置く。

 

  「ありがとう、あなたは下がっていいわ」

 

 紫がそう言うとコルテスはふすまを閉めてその場から立ち去る。

 さすがに来客との会話を聞けるとはコルテスは思っていないから素直に従った。

 

 「(それにしても……紅美鈴か。ただの妖怪ではないだろうなー、気配をあそこまで消せるなんて。一般人である俺でも分かるレベルだ)」

 

 そう考えながらコルテスは縁側でお茶でも飲んでいようと思った。

 

 

 

 

 

 ▼

 

 

 

 

 

 「紫、彼は人間ですか?」

 

 美鈴はコルテスの“気”が縁側へ向かったのを確認すると紫に聞いた。

 彼女の能力は『気を使う程度の能力』を持っている。

 気とは誰しもが持ち合わせているものであり、美鈴はその気を見ただけで認識することができる。

 無論、自分の気を闘いに使用することも可能だ。

 

 「ええ、そうよ。……彼、面白いでしょう」

 

 紫はいつもと変わらない胡散臭い笑みを浮かべる。

 長い付き合いである美鈴は紫がコルテスに興味を抱いているのが分かる。

 そもそも興味がなければまずここに住まわせないだろうが。

 

 「あなたがそういうとは少し興味を持ちますね」

 

 この言葉は本心から出たものである。

 八雲紫という人物が特定の人間に興味を持つこと自体がまれだということをよく知っているからだ。

 今まで美鈴が紫が興味を持った人間といえば人間の力を超えた力を持っていた安部清明ぐらいだろう。

 まあ、紫にとって彼は計画を邪魔しないかと警戒する存在だったらしいが。

 

 「……それで聞きたいのだけれど、あなたは彼の気をどう感じた?」

 

 紫は少し真剣な表情で美鈴に聞いた・

 美鈴はその様子を見ると素直に答える。

 

 「うーん、気自体はただの一般人と大差はありませんね。考えを見ただけで分かる程度の気ですから」

 

 美鈴にとって“気”とは生命エネルギーとして以外に読み取るものとして認識している。

 気は相手の気持ちや感情によって変化するものだ。

 美鈴はそれを見ることである程度考えを予測することができる。

 さっきの生暖かい目線も考えを呼んでのことだった。

 まあ、コルテスはそのことを知ることはないのだが。

 

 「しかし、少し変でした」

 

 「……変?」

 

 美鈴の言葉に紫は少し首をかしげる。

 美鈴は話を続ける。

 

 「ええ、彼の気からただの人間であるのは間違いないです。しかし、外部から何かされたような。そんな感じの違和感がありました」

 

 もっとも、この違和感に関しては美鈴ほどのレベルの妖怪でなくては気づかなかったごくわずかの変化だった。

 気にわずかな乱れがあった。

 もっともその乱れはすぐになくなったのだが。

 

 「……違和感か。彼は普通の人ではないと感じてはいたけど、それはなんらかの関係はありそうね」

 

 少し考え込んだ様子をしていたが紫はすぐやめた。

 理由としては単純だ。

 分からないからいい。害はなさそうだし。

 ただそれだけだった。

 

 「そういえば、例の土地。すでに準備はできている?」

 

 紫は話の流れを切り替えて本題に入る。

 今回美鈴がここに来たのは紫が呼んだからだ。

 その理由としては久しぶりに友人と話がしたかった以外にも重要な話があったからだ。

 それは、紫が望んでいるある計画のために重要な土地の確保だった。

 

 「紫が望んでいた土地のことですね。……ええ、確保はできていますよ。人里も作って人も住み始めています。後は紫は頼んでいた妖怪たちを全員集めれば完成します」

 

 それを聞くと紫は安心した様子を見せる。

 計画はすでに最終段階まで向かっているためここで土地の確保や人里ができていないともう次はないのだ。

 美鈴もそのことを知ってかきちんと準備をあらかた終えている。

 

 「しかし、あなたもよくやりますね。わざわざ月面戦争を起こして妖怪たちに警告までして」

 

 「……」

 

 美鈴の言うことに紫は何も答えない。

 美鈴も別に嫌味で言っているわけではない。

 紫のことを心配して言っている。

 

「こうでもしないと、彼らは月へ行っていたでしょうから」

 

 最近、妖怪たちの間でどこかへ移住しようという話がちらほらあった。

 もちろん、大妖怪たちはそんな話くだらないと思って移住する気はなかった。

 しかし、ある日移住に居場所として妖怪の一部は月を提案していた。

 それはいいと妖怪たちは準備を始めた。

 彼らは知らなかった、月にはとんでもない科学力を持った月の民がいたことを。

 そのことを紫は知っていたため、止めようとした。

 しかし、ただ止めるだけではまた同じことが繰り返される。

 ならばと思い、紫は月面戦争を起こすことにした。

 

 「……今の紫の気はかなり乱れています。月面戦争で能力を行使しすぎたせいですね」

 

 美鈴は能力で今の紫はかなり消耗していることに気づいた。

 無理もない、なぜなら月面戦争が終わってからまだ1ヶ月も経っておらず月面戦争時には能力をフルで使っていたのだから。

 

 「そうね、私はしばらくここで回復を待つのに専念しないといけないわ」

 

 そう言うと紫は手を振ってスキマを開く動作をする。

 しかし、そこに開いたスキマは普段よりかなり小さくすぐに消えてしまう。

 

 「……少し前までは移動するスキマぐらいは開けていたはずですが」

 

 実際、コルテスが読んだとき背後から現れたのはスキマを使ってだった。

 しかし、あの時使っていたのは……

 

 「あれは月面戦争に行く前に事前に用意していたスキマよ。ごくわずかの力で開け閉めができるようにしてあるの」

 

 そう、紫は事前にほんの少し能力を使うだけでスキマを開けれる様にしていた。

 なお、紫が住んでいる屋敷で開けられるスキマの数はおおよそ1000!

 そのスキマは家の中や親しい関係である妖怪の住処につながっている。

 

 「……なるほど、そういうことですか。ちなみに回復が終わるまでどれくらいかかりますか?」

 

 紫は、美鈴の一言に少し動揺した。

 動揺した際、気が乱れたのか美鈴は少し不思議そうだった。

 少し、無言が続いた。

 しばらくすると、紫は少し疲れたような笑みを見せはなし始める。

 

 「私としたことが、やっぱり疲れてるわね」

 

 「……どういう、意味ですか」

 

 紫の言うことに美鈴は動揺する。

 いつもらしくない言動に態度だからだ。

 

 「……私の妖力は回復するでしょうね、でも……能力は」

 

 

 

 -もう、今までどおりには使えない‐

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらくすると、美鈴と紫は部屋から出てきた。

 ちょうど、皿洗いをしていたコルテスは帰り際の二人の話をたまたま聞くことができた。

 

 「……ほんとうにいいんですね」

 

 「ええ」

 

 真剣な様子で話していると美鈴はそのまま玄関まで向かう。

 向かう途中で美鈴はコルテスとすれ違った。

 

 「彼女のこと、よろしくお願いします」

 

 そう一言つぶやくと、美鈴は帰っていった。

 さっきの言葉はコルテスに向けられていたようだ。

 

 「……なんなんだろうか」

 

 しかし、あの言葉の意味はもっと深いもののようにコルテスは感じた。

 だが、今のコルテスには分からないだろう。

 

 「うーん、まあ今は後片付けだな」

 

 コルテスは二人分のお皿と湯飲みを片付け洗い始める。

 洗い始める寸前、紫が小さく何かをつぶやいた。

 

 「……もう、限界ね」

 

 「……」

 

 紫は聞こえないと思っていたのだろうが、コルテスには聞こえていた。

 コルテスは聞こえない振りをしながら皿洗いをしていた。




久々の投稿ですいません!
キャラ設定もあまり固まっていなかったので苦労しながら書いています。
次の投稿もたぶん遅くなると思います。
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