「・・・で、なんでてめえがこんなところにいるんだ」
コルテスはひざに黒夢を乗せた状態で言った。
一方、コルテスと話してる男は
「別にいいだろう、お前と俺の仲だ」
そういって紫から出されたお茶を飲み始めた。
そんな彼は銀色の髪をして赤い目をしていた。
髪は少し長めで、肩ぐらいまではある。
そして、背中には開いたら体と同じ大きさはあるだろう羽がたたまれていた。
「・・・あのなあ、天魔。俺だって暇じゃねえんだ」
そういってコルテスは頭をぽりぽりかいた。
コルテスのひざの上に座った黒夢は興味深げにコルテスの手を掴みながら見ていた。
・・・少し震えた様子で。
実際妖気や見た目などで怖がっているわけではないだろう、・・・まだ直らない妖怪見知りのせいなのだから。
「・・・にしても、てめえがこのがきをひざに乗せてると・・・シュールだな」
正直、普通に見ても不良の10倍以上は怖い顔をした男のひざの上に10にも満たない子供が座っていたら・・・確かにシュールだろう。
「んな!?・・てめえ、俺の気にしてることを・・・どうせ顔面凶器だよ、見ただけで逃げられるよ」
そういってコルテスはいじけ始めた。
黒夢はコルテスの頭をなでている(コルテスは身長が190はあるので少し背伸びしながらだが。座っていてももちろん高いから)
紫の方も、
「まあまあ、落ち着いて」
そういってコルテスに紫が入れたお茶を出した。
コルテスは紫が入れたお茶を飲み干すと、少し気持ちを落ち着かせた。
今来ている客は、天魔 勇魔。
事実上の妖怪のトップとなっている天狗である。
彼の能力は、『何もかもを入れ替える能力』である。
考え、言葉・・・攻撃の位置さえも入れ替えることが出来る。
そんな彼はまさしく妖怪のトップにふさわしいだろう。
・・・そんな彼がなぜコルテスの家に来ているかは、数日前までさかのぼる。
黒夢が一人で歩いているとき、たまたま天魔が見つけたのである。
ちょうど暇で暇でしょうがなかったので嘘と本音を入れ替えて話しかけてみた。
すると、
「どうしたんですか?」
と、黒夢は普通に天魔に話しかけていた。
天魔は一瞬本心かと思ったが、長く生きてきた妖怪としての勘が違うと言った。
となると、可能性は一つしかない・・・・彼に自分の能力が効かなかった。
その理由を探すために、コルテスの家に来たらしい。
「・・だから、それはただ単なる手前の勘違いだろ」
コルテスはそういった。
「ああ?そんなわけないだろう」
天魔はそういって立ち上がった。
しかし、天魔が次の言葉を言う前に紫が
「あっ・・・私、これから結界の整備に行かないといけないから・・・コルテ
ス、後はよろしくね」
というと、紫はスキマの中に入っていった。
天魔は少しきょとんとしたが、すぐに
「・・ぁ~あ!!まだ話が済んでねえぞぉ!!!」
と怒ったときの口調になって足でどたどたを床にたたきつけていた。
「・・・黒夢」
コルテスが黒夢に話しかけた。
すると、
「・・・分かってるよ、父さん」
と、黒夢が口を開いた。
天魔はそれを聞くと暴れてるのをやめた。
「・・・説明してくれるんだな」
天魔がそういうと、黒夢はこくりとうなずいた。
「あの時、天魔の能力が効かなかったのは俺の『干渉させない程度の能力』の中でも常時発動系の自分にかけているものだったんだ」
それを聞いた天魔は少し驚いていた。
「・・・人間のがきがそんな能力を持ってるとはな」
天魔がそういったとき、
「天魔様!」
空からコルテスの家の庭に文が着地した。
「文か」
「文か・・・じゃないですよ!もう会議始まってるんですよ、早く来てください!」
文にそういわれて天魔は少し頭の中を整理した。
そして、少し経つと思い出した様子で。
「ああ、確かそんなのもあったな」
天魔がそういうと文は天魔の頭を殴った。
「あなたはいつもそうですね!いつも探し回る部下の気持ちを考えてください!」
「だからって・・・普通上司の頭殴るか?」
黒夢はそれを見て天狗の社会も大変なんだなあと思った。
「いや、その認識も少しおかしいだろ」
そんな黒夢の考えにコルテスは突っ込んだ。
しばらくすると、天魔は文にひきづられていった。
どうやら妖怪のトップである天魔も文には頭が上がらないようだ