魔都精兵の狩人   作:ぺへ

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7話

一人を狩った後、散策をしていると母と姉の前に這い蹲る異能課の女が二人居た。どうやら先を越されたらしい。

 

「クフフ・・・相も変わらず化け物か。」

 

俺はその場を後にし散策を続ける。残りのメンツを考えるなら八千穂と会う可能性が高い。そう思っていた矢先、目の前から現れた。

 

「っ光来!」

 

「俺の読み通りだな。」

 

背中に背負っている車輪へ手を伸ばし抜こうとした瞬間、対醜鬼用の銃を抜いてこちらへ乱射してきた為、銃口と指の動きを頼りにサイドステップで避ける。

 

「貴様に用は無い!私様は日万凛の元へ行かねばならぬのじゃ!!」

 

「今頃、日万凛は誉と戦闘になっているだろう。大方、憂さ晴らしとお前を自由に扱うためだろうがな。」

 

俺も銃を抜き八千穂へ撃つが避けられてしまう。しかし、今のはどう見ても知っていた動き。なるほど、時間の逆行は無理か。

 

東の大辰刻(プライムタイム)!!十秒止まれ!!」

 

車輪を構えた瞬間、俺の見える世界は白黒と化した。

 

 

 

八千穂side

 

「これで!!」

 

私様は急ぎ光来から離れ日万凛を探す。光来の噂は私様にも届いている。今の光来には悔しいが勝てない。故に逃走を選んででも日万凛を

 

「そんなに俺の事が嫌いか?八千穂。」

 

「え?ガハッ!!」

 

私様しか動けないはずの東の大辰刻(プライムタイム)。母でさえ止められたのに何故・・・!!

 

「何故貴様も動ける・・・!」

 

止めた時間が戻った。クソッ!一発無駄にしてしまった!!

 

「俺にその手の能力は効かん。最も、戻す方は無理だったようだが。」

 

「おのれぇ・・・!!」

 

ならばよいじゃろう・・・。光来を退かして日万凛を助けてやるわ!!

 

 

 

 

 

日万凛side

 

今、私と優希の目の前には母である東風舞希ともう一人の姉の麻衣亜が立っている。誉を倒した後、能力の代償である『褒美』を与えていると突然現れた。そして何故か私と風舞希の二人で褒美を与えた後海岸へと移動した。

 

「麻衣亜。手を出さないでちょうだい。」

 

「はい。母様。」

 

正直、今迄の私なら全く通用しなかった。でも今は違う。『無窮の鎖』の応用である『天進』ならまともにやり合える。

 

「行くわよ、優希!!」

 

『おうっ!!』

 

天進!!

 

私と優希の声が重なった瞬間、優希の姿が変わった。

 

元々、私と優希の形態はスピード重視。天進はその長所を更に磨き上げ、あの誉にすら追い付き倒せた。

 

風舞希は能力である『太陽を穿つ槍(サンセット)』を発動させ十文字槍構える。

 

ただ構えているだけ。それなのにこの威圧感。流石としか言いようが無い。だからと言って勝負を諦めるつもりは毛頭無い!

 

それから私と優希は風舞希にあらゆる連携を試した。でもそのほとんどがダメだった。終いには優希もやられて私一人だけ。

 

「諦めなさい、日万凛。」

 

実の母から、一番の近親者である母からそんな無情とも言える提案を突き付けられる。そんな事、出来るはずがない。

 

私は抗った。今ある力を全て出し切った。それでも尚、母には届かない。それが悔しいと感じないのが嫌だ。

 

そんな時、近くの木に何かがめり込んだ。戦う者としてやってはいけないが、それでも顔を向けてしまう。風舞希もそれは同じだった様で目線だけ向けた。

 

音の正体は八千穂だった。木にめり込み蹲っている。時間を操れるあの八千穂がだ。

 

「日、日万凛・・・!!に、逃げ」

 

八千穂の声は遮られた。双子である光来の攻撃によって意識を絶たれた。その光景を見た瞬間、私の中で何かが割れた気がした。

 

いつも優しく、男という最悪な生まれを誇るかの様な昔の光来。そんな過去の思い出に全てヒビが入る。

 

今の光来にはそんな面影も無く、狂気的な笑みで八千穂のお腹を素手で貫いている。その光景を理解した瞬間、感情の行き場が完全に無くなった。

 

「光来!!!!」

 

私は思わず駆けた。今迄の疲労も痛みも消し飛んだ。身体が軽い。どれだけ調子が良くてもこんなに軽い事は無かった。

 

身体の思うままに能力を振るう。するとどうだ。蝦夷組長と同じ竜巻が竜巻が光来へ向かう。

 

狂気的な笑みは崩さず、何故か八千穂をどこかへ投げ一直線に私へ向かってきた。腰に刺した球体の何かを左手で抜き、その攻撃が迫る。

 

だが妙な感覚だ。光来の動きも私の動きも余りに遅い。でも、反応できる。ならばと既で攻撃を避けてカウンターとして蹴り飛ばす。

 

見事に喰らった光来は先程の八千穂と同じ様に木に激突し、しかし気にする事無く私は突貫する。今しか無い。今を逃せばもうチャンスは来ない。

 

右腕を刀へと変え心臓目掛けて刺した。つもりだったが、左腰に差していた刀を既で抜かれ肘から斬り離された。

 

だからなんだ!そんな事は想定内!!空中に漂う、未だ刀に変化した右腕をそのまま押し込み右胸に突き刺す。光来は血を吐き、それでも笑みを辞めなかった。

 

「私を・・・!!舐めんな・・・!!」

 

捨て台詞。そう笑らわれても構わない。それでもそう宣言せずにはいられなかった。光来にでは無い。これは、東家全てに対する宣言だ。そして、私は意識を手放した。

 

 

 

 

 

光来side

 

「クフフフ・・・クハハハハハハ!アハハハハハハハハ!!」

 

俺は今の結末に満足し、思わず笑いが出てしまう。

 

あの日万凛に。泣き虫で弱かった日万凛にこれほど迄の傷を負わされた。これほど迄の成長に笑わずにはいられない。

 

日万凛の変化した腕を胸から引き抜き、母である風舞希の元へ歩みを進める。

 

「クフフフフ・・・あなたの見解を聞きたい。日万凛は合格か?」

 

俺の右胸から血は広がり真っ白な服は血が広がる。しかし、そんな事を気にしてはいられない。それほど迄に判定を聞きたかった。

 

「・・・ええ。認めざるを得ないわ。面倒な役を引き受けてくれて助かったわ。光来。」

 

「あなたの考えは分かりやすい。しかしながら、親としては外道と言わざるを得ないだろう。」

 

東組長の・・・母さんの考えは会った時から感じ取れた。日万凛の成長としてわざと挑発し怒りから能力を覚醒させようとした。

 

しかし結果は俺がその役を奪った。だが、それで良かったとも思う。二人の溝は深く簡単には埋められないだろうが、それでも俺が敵役となる事でより良い関係を築ける気がする。

 

日万凛の成長に未だ笑みが止まず笑い続けていると、突然母さんに抱きしめられた。

 

「・・・光来。貴方は私の子よ。私を信じられなくてもいい。今迄の扱いからは当然だもの。それでも、たまには帰ってきなさい。戦いから少しでも身を引きなさい。」

 

「・・・善処しよう。すぐには無理だがな。」

 

俺は母からの愛を知っている。ベルからの愛を知っている。異なる愛を受けながら、それでも絶対に戦いからは身を引くことは出来ないと強く感じた。

 

その後、残った俺と母さん、麻衣亜は投了し『東野晩餐』は終幕を終えた。

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