俺は現在、ベルと共に東家の温泉に浸っている。
俺はそうでも無いが、ベルは羞恥心が勝った様で顔を真っ赤に染めながら俯いている。
「・・・咄嗟とはいえ悪かったな。ベル。」
「うぇ!?あ、いや、その、えっと・・・。だ、大丈夫・・・。」
そのままお互いに無言が続くが先に口を開いたのはベルだった。
「こ、こう君。その・・・えっと・・・。ゆ、夢の話を聞かせてくれない?」
「どうした、いきなり。」
「・・・ダメ?」
俺は目を閉じてあの夢を思い出す。今でもあの光景を忘れられない。助けた者達が殺し合うこともあった。その夢で与えられた絶望も一つや二つでは無い。
再び目を開きベルを見つめながら全てを話す。今まで誰にも語らなかった部分も含めて。
ベルは涙を流しながら聞き、俺が話終えた途端に強く抱き締めた。
「こう君・・・!ベルは絶対に、絶対に離れないから!!」
暖かい。久しぶりに心が満たされる。恐怖が和らぐ。ああ、なんて気持ちいい。
ベルが顔を上げお互いに見つめ合う。やがて距離を縮め唇が触れる寸前、入口が音を立てて開かれる。
「は、早く入りなさいよ!とっとと褒美を終わらせるの!」
「わ、分かったから押すなって!」
声の主は日万凛と和倉優希だ。お互いに顔を離し思わず笑いが込み上げる。
「こ、光来!?そ、それに月夜野組長!?」
「もう出るさ。」
俺が立ち上がるとベルも急いで立ち上がり俺の影に隠れる様に移動する。
「光来!!」
ベルがビクリと体を震わせるが俺は日万凛と目を合わせる。
「そ、その・・・さ、さっきは刺してごめんなさい・・・。」
まるで怒られた子供の様な反応に思わず幼い日万凛を思い出し笑ってしまう。今日はなんて暖かいのだ。
「お互い様だ。気にしていない。」
そのまま歩き出すと、ベルは一礼して俺の後を追ってきた。その後、着替えを済まし東家で食事をして魔都へ戻った。
俺の管理地区へ戻ると、隊員達はやはり疲れ果てている。戻れと一言伝えるだけで逃げ出す様に後にした。
そしてそのまま狩りへ移行する。いつもの様に殺して殺して殺す。小休憩の後に再び殺戮を繰り返す。
そんな折、再び客が来た。全身をローブで纏い身体を隠しているが一部隠しきれてない部分もある。
「・・・青葉か。何の用だ?」
「協力して欲しい事があるの。」
そのまま醜鬼殺しに参加する。互いの事を一瞥もせずに惨殺する。
「協力?」
「私が面倒を見てる奴らが二人攫われたの。だから情報が欲しい。」
「良いだろう。明日の組長会議には来いと言われているからな。」
最後の一匹を潰し、振り返れば既に退散した後だった。相変わらず逃げ足の速いやつだ。血を払い納刀しながら明日も荒れそうだと面倒に心が揺れる。
それにもう時期、総組長を決める選挙も始まる。俺にも投票権があるらしいが誰が総組長になろうと俺の役割は何も変わらない。
俺に死を向ける者を殺すだけ。それが俺の役割なのだから。