今日はヒナちゃんの誕生日と言うことで、番外編です。
それでは……どうぞ
空崎ヒナ。キヴォトスでも最強格の一人であり、いずれは風紀委員会の委員長になる人物である。
混沌と自由が渦巻くゲヘナにて風紀委員会に所属した彼女は、面倒事を起こしまくる
(めんどくさい……)
相棒の愛銃【終幕・デストロイヤー】を携え、廃墟化したビルに逃げた問題児を探す。迷路のように入り組んだビルの中、暗闇でキラリと光る場所から物凄い速さで弾丸が飛んでくる。
「っ!! そこ!」
とっさの判断で弾丸を避け、光った場所へデストロイヤーを向け発泡する。
「まずは一人……」
問題児の一人を無力化し、もう一人を追うため更に奥へ進む。
「いない……?」
どこを探しても見つけれない。そのことにだんだん苛立ちが募る。普段ならばそこまで気にしなかったことではあるが、風紀委員会に所属してからストレスが溜まってきていたのもある。ほぼ、同じ風紀委員会に所属する先輩のせいでもあるが……。
「早く帰って書類をしないといけないのに……絶対、先輩はやってないだろうから」
嫌がらせとイジメを兼ねて、風紀委員会の先輩はヒナ一人に書類を全部任せたり、ヒナが終わらせた書類をばら撒いたりなど、なぜ風紀委員会に所属しているのかが謎なくらい態度が悪い。いや、むしろ混沌と自由がモットーのゲヘナでは、ゲヘナ人らしいとも言えるかもしれないが。
ヒナ自身は先輩の行いに興味がなかった。自分の友人に何もしなければ。だが、それはそれとしてちゃんと書類作業をやってほしい。
「ケーッケッケ! まんまとやってきたなぁ、空崎ヒナァ!!」
地下へと繋がる階段を降り、何かの研究室みたいな部屋の中で独特の笑い声を上げながら、テロリストがニヤついていた。
「ケーッケッケ! お前みたいな生まれ持った才能持ちはわからんだろうなぁ? 私みたいに惨めな想いをしてきたやつの気持ちがなぁ!!」
手に持った爆弾のピンを抜き取りヒナへ投げつける。それをデストロイヤーで打ち抜き爆発の中を突き進む。下手すれば廃墟化したビルが崩れるが、キヴォトス人はヘイローがあれば傷つくくらいで済むため気にせず撃ち抜いたのだ。
「ケーッケッケ! やはり貴様なら撃ち抜くと思っていたとも!!」
だがその行動はテロリストも読んでいたようで、直進的に進んできたヒナの顔面へ銃口を向けていた。
「ケケケッ!! どんだけ頑丈でも至近距離で撃たれれば……流石に痛いよなぁ?」
流石に避けることはできない。痛みを我慢して進むしかないか――そう思った時、
「邪魔だ」
突然扉から入ってきた赤衣の少年に腹を蹴られ、ヒナは吹き飛ばされ背中から壁に強打してしまった。
(なに……?)
腹の痛みに手で抑えながら薄く目を開けると、赤い外套を着た少年がテロリストを抑え込んでいた。
「たまたま近くに来てみれば……またお前は問題事を起こしたみたいだな」
「ケケッ!! ケーッケッケッケッケ! 空崎ヒナを絶望の底に陥れるまで死ねんのでなぁ!!」
「実にくだらない……が、ヒナ?」
赤衣の少年はテロリストの腹にパンチを一つ入れ気絶させると、腹の痛みで起き上がれないヒナの元へ足を進める。
敵なのか味方なのかわからない少年の行動に、デストロイヤーを持つ手を強める。いざという時に撃てるように。
「む……もしやと思うが、貴様が空崎ヒナか?」
「そう、だけど……」
「なら、先程のことは謝ろう。すまなかった。まさか、依頼の対象を蹴り飛ばしていたなんて思わなかった」
「依頼……?」
少年の口から発せられた「依頼」という言葉に首を傾げる。
「あぁ、友人を助けてほしい……そう言われたんでな」
「そう、マコトが」
ヒナの脳内にいつも余裕綽々で「キキキッ!」と笑う友人の姿が思い浮かぶ。
「ありがとう……でも、お腹を蹴ったのは許せない」
「それは……本当にすまなかった」
フードを被っているため少年の顔は見れない。だが、それでも反省しているのはヒナでもわかる。
そこで少年の頭にヘイローがないことに気づき、最近噂になっている人物なのではと思い至った。
なんでも、猿の尻尾を生やした少年がアビドスにいるという噂話である。最初こそは信じていなかったが、赤い外套の端からちらりと見えた茶色い尻尾を見て、噂がは真実であることがわかった。
「取り敢えずここを出よう」
赤衣の少年はテロリストを俵担ぎすると歩き出した。ヒナはデストロイヤーを持ちになおし、赤衣の少年についていく。
ビルの外に出たヒナを待っていたのは、豊満な胸を持つ風紀委員長の熱い抱擁だった。
「お"か"え"り"〜!!」
「ちっ……! 生きてやがったか」
「こら〜! そんなこと言っちゃメッ!」
後ろで舌打ちをする先輩と、そんな先輩を叱る風紀委員長。
「無事だったかヒナ!!」
風紀委員長が逃げ出した先輩を追いかけたあと、涙目になりながら友人――
「むぐっ!」
「心配したんだぞ!! 貴様があのいけ好かない風紀委員会の策略により、テロリストを追いかけて死ぬ間際と知ったときはなぁ!!」
「待ってなにそれ私知らない」
以前から風紀委員の先輩には嫌われてる自覚がヒナにはあったが、流石にここまでするかと呆れかえてしまった。
そもそもいまだに先輩がヒナに嫌がらせする理由がわかっていなかったが、今回は少しカチンと来た。
「少しなら、八つ当たりしてもいいよね」
「少しと言わず、どんと八つ当たりしてもいいと思うがな」
背後から聞こえた少年の声。ばっと振り返れば、壁に持たれながらテロリストを踏んづけていた。
「なにしてるの?」
「こいつらが逃げ出そうとしていたからな」
「そう……」
テロリストをヒナたちの方に蹴り飛ばすと、少年はその場を去ろうと歩き出した。
「今回は助かった」
「キキキッ! 友人を助けてもらったこと感謝する! いずれ、この礼は返そう!」
「礼には及ばん」
そう言って消える少年。
「キキキッ! 素直じゃないと見る。それはそうとヒナ。今日はどこかに食べに行くか?」
「いいの? でも、仕事が」
「そんなものあのろくでなしにやらせておけばいい。のんなら監視もつけるぞ?」
「そう、なら……お言葉に甘えようかしら」
「キシシシッ! そうこなくてはな! では早速行くぞ!」
風紀委員の先輩を風紀委員長に任せ、ヒナはマコトとご飯を食べに行った。だった数時間のことではあるが、ヒナにとって久しぶりにゆっくり過ごせたこの時間は、幸せと言ってもいい。
「戻りたいなぁ……1年の頃に」
机の上に置かれた写真立てに写っているヒナとマコトを見て、風紀委員長となったヒナが小さく呟いた。
どうだったでしょうか?
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