レジェンド・オブ・ゴッド   作:プロトタイプ・ゼロ

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第一章・星の夢
第一話「アビドスへ」


 

 

 

 

 

 

――いつもそうだ。お前はいつの間にか強くなる――

 

――以前までならオレが勝つのに、いつからかお前には勝てなくなった――

 

――それが、お前の才能なんだろうな――

 

――正直、お前のことが羨ましいよ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――あぁ、そうだ。殺してやりたいくらいに――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ザクザクッと音を立てながらシャベルを砂に突き刺し、あらかじめ用意しておいた大きめのバケツに移す。

 

 アビドスはそのほとんどが砂漠化により廃墟となっているらしく、人の姿が……というより気配がしない。

 

 今でさえも、アビドスにいる大きな気配と言えばユメやホシノくらいで、それ以外の気配なんて感じれるかどうかの大きさしかない。

 

 念のため気配のする場所へと向かってみれば、襲いかかってくるサイバイマンや変なロボットばかりで、やはり「人」と呼べる存在はいなかった。

 

 あの出会いからしばらくして、生徒会長というらしい役職を努めているユメにより、このアビドス高校に住まわしてもらっている身として、最大限恩は返したいと思ったオレは、日課である鍛錬をしたあと事前にユメから教えてもらった道具入れからシャベルを持ち出して、こうして少しでもアビドス高校を綺麗にしようと思った。

 

 普通ならば重動労らしいこの作業も、サイヤ人であるオレならば簡単だ。ただ、あまりにも絶望的なほど砂の量が多すぎて少々心が折れそうにもなっている。

 

 もし、もしも“アイツ”がここに来ていれば、瞬く間に終わらせるだろう。“アイツ”は体力バカで力自慢だが決して頭が悪いわけではない。むしろ、惑星プラットに住んでいたサイヤ人の中では一番上と言ってもいい。

 

「……今日もやってるんですね」

 

 昔のことを思い出しながら作業しているといつの間にかホシノが来ていたらしい。声をかけられるまで気付けなかったことがショックだ。

 

「あぁ、もちろん。オレがここに住んでいる間は、少しでも砂を減らしたいと思っている」

 

「……どうせ無駄ですよ。砂漠化はどんどん広がってますし」

 

「確かに無駄かもしれない。希望はないのかもしれない。だが、それは諦める理由にはならないさ……シャンなら必ずそう言う」

 

「シャン……?」

 

 思わず口に出してしまった名前が聞こえたらしく、ホシノが首を傾げる。

 

「……弟だよ。双子のな」

 

「そうですか」

 

「それより今日はどうした? いつもよりも早い登校だが」

 

「別にいいじゃないですか。早く来ることに越したことはありませんから」

 

 それもそうだな……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあぁ!!」

 

「な、なんだよこいつ!? 全っ然当たらねぇ!!」

 

「なんでこんな奴がいるんだよ!!」

 

 向かい来る弾丸を避けながら集団に突っ込む。彼女たちはカタカタヘルメット団というよくわからない集まりのようだ。

 

 それにしても……なぜホシノやユメがあんな銃を持ち歩いているのかと思っていたが、こういうように襲撃に遭うからなのだろう。

 

 仮にそうだとしても銃の扱い方が……まぁ、いいか。

 

「ちっ! なんでヘイローもねぇのにこんな強いんだよ!!」

 

 「日々戦うことが日常なオレとお前たちのようなお遊びじゃ、こうも違うさ」

 

「うるせぇ!!」

 

 持ち前のスピード活かして銃弾の雨から逃れ、ユメが構えている盾の後ろへ移動する。

 

「どうする……?」

 

「どうしよっか〜」

 

 今現在ホシノは買い出しに行っているためここにはいない。ホシノはかなり強く敵に容赦をしないためか、彼女らもこの時間を狙ってきたのだとわかる。

 

 まぁ、許可さえくれればオレが殲滅するが……。

 

「うん、本当はホシノちゃんが帰ってくるまで持ち堪えようと思ったけど……ジャンくん、お願いしてもいいかな?」

 

「任された」

 

 許可を得たその瞬間、すぐさま盾から身を乗り出し今も銃弾の雨を降らせているカタカタヘルメット団の前衛を殴り飛ばす。続けざまにその後ろへ飛び蹴りし、銃口を掴むと振り回して近くにいたカタカタヘルメット団に投げつける。

 

 オレの背中目掛けて銃弾が飛んでくるが、それを回し蹴りで弾く。

 

 それを見たカタカタヘルメット団がなぜか膝から崩れ落ちた。

 

「マジかよ……こんなバケモン、どうやっても勝てねぇじゃねぇか」

 

「に、逃げるぞ!!」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 パニックを起こした彼女らは仲間を置いて逃げ出した。追いかけることも考えたが……まぁ、流石にそれは可哀想かもしれない。

 

 オレは座り込んだまま動かないカタカタヘルメット団に近づく。

 

「……なんだよ」

 

「いや、なぜ逃げないのかと思ってな」

 

「逃げても無駄だろ。どうせ追いつかれる」

 

 ふむ、本能的に察したのか。まぁいい。

 

「行く宛はあるの〜?」

 

「あるわけねぇだろ!! のほほん女!!」

 

 ユメ、流石にそれは失言だぞ。行く宛がある人間がこんな不良まがいのことなどしていないだろう。だが、なぜだろう……次にユメが言うであろうセリフが容易に想像つく。

 

「良かったらアビドスに来る?」

 

「はあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? バカ何じゃねぇのお前!!」

 

「前から少しバカだとは思っていたが、ここまでとは」

 

「酷くない!?」

 

 カタカタヘルメット団の叫びにオレは天を仰いだ。

 

 だが、この騒がしい日常も、またいいものだと思った。かつていた場所では味わえなかったからな。

 

 その後買い出しから戻ってきたホシノによって、ユメはこっぴどく叱られていた。

 

 やれやれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――わたしはね、初めてキミを見たときからピンときてたんだ――

 

――ホシノちゃんとあの緑の怪物と戦ってきた時に、君が来てくれたのとても嬉しかったんだ――

 

――君がいなかったから、今わたしはここにはいないから――

 

――ありがとう。そしてさようなら――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――大好きだよ、ホシノちゃん! ジャンくん!――

 

 

 

 

 

 




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