レジェンド・オブ・ゴッド   作:プロトタイプ・ゼロ

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第四話「秘密」

 

 

 

 ゲマトリアという謎の組織に所属しているらしい黒服と名乗る男と遭遇した翌日、オレがアビドス高校の教室に入ると顔を真っ青にして項垂れているホシノと理由がわからず困惑しているレンがいた。

 

 ひとまず話を聞いてみると、なにならポスターを持ったユメのアビドスの未来を考えているのかわからない発言に、ホシノの堪忍袋の緒が切れ、その場の勢いのまま彼女を罵倒しポスターを破いてしまったらしい。

 

 後悔から顔を俯かせ拳を握りしめるホシノ。

 

 正直オレには理解できない。なぜそこまで頑張れるのか、なぜそうやって喧嘩できるのか……。

 

 オレがいた惑星プラットでは、常に血が飛び散っている。どんなときでも殺し合いが起きている。ただムカついた、それだけでサイヤ人の誰かが死ぬし、他の惑星に侵略することだってあった。

 

 そんな環境から開放されてしまったオレは、どうやら随分と甘くなったようだ。

 

 オレにはとある力がある。それは危険予知だ。誰よりも危険なことに敏感なオレだからこそ、今後起こるであろうと出来事を感じることができた。

 

 このままここにいたらユメが死ぬ。そんな危険が。

 

「ジャン……私は、どうしたら」

 

「……」

 

「……ジャン?」

 

「悪いな、その答えはオレにはわからない」

 

 オレは教室の窓を開け、二人を見る。

 

「オレは今からユメを探しに行ってくる。ホシノはここで待機していてくれ。もしかしたら返ってくる可能性もある。それと……レンは一応連邦生徒会へ連絡を入れてくれ。まぁ、期待など出来んかもしれんがな」

 

 二人の返事を待たずに窓から外へ飛び出す。空中で一回転したあと、体内の気を操り空を飛ぶ。教室を出る前に二人がなにか言っていた気がするが、その時のオレには何も聞こえなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜■■の研究室〜〜

 

 

「ふむ、やはりどれほど調べても彼の実態は理解できませんね」

 

 ドローンを使って回収させたジャンの血液。知り合いに渡して数日調べてもらったが、結局のところ何もわからずじまい。

 

「遺伝子細胞が限りなく人間に近いだけで、その実態は全くの別物とは、私も一人の研究者として興味が尽きませんよ」

 

 膝を組み直し画面に一つの動画を出す。それは数日前に行われた戦闘記録である。

 

(私にとっては彼女の身勝手な行動は予想できないものではありませんが、今回ばかりは感謝していきましょう。そのおかげで、貴重なデータが取れましたからね)

 

 指でキーを押しもう一つの画面に違うデータが映し出される。

 

(彼は相手を攻撃する時、僅かではありますがエネルギー量が増幅している。それに、最初の戦闘時と数日前の戦闘では、エネルギー量の大きさに変化が訪れている……その変化の原因を理解できればもしかすれば私の目的に一歩近づけるかもしれませんね)

 

 いつものようにクククと笑いがこみ上げてくるのをなんとか我慢し、コーヒーでも飲もうかと椅子を後ろに回した瞬間、

 

「ばぁ☆」

 

「ッ!?」ビクッ

 

 至近距離で変顔をしている少年に驚き思わず椅子から転げ落ちそうになるのをなるとか阻止する。キッと睨みつけた先では腹を抱えてケラケラと笑う少年がいる。

 

「いやぁ、笑った笑った。ごめんねぇ。あんなにも真剣にモニターを見てるからさぁ〜。ちょっとイタズラをしたくなっちゃったよ」

 

「はぁ……人の心臓を止めかけるようなことをイタズラとは呼びませんよ? それで、今日はなんの用です?」

 

「連れないなぁもう〜君が知りたいことだろう情報を持ってきてあげたってのにさ〜」

 

「……ほう?」

 

 急に真面目な顔をして言う少年。それを見て黒服は改めて椅子に座り直し足を組む。とりあえずは聞く態勢に入った。

 

「まぁ、そこまで期待はしていませんが一応聞くだけ聞きましょうか」

 

「え? 酷くない?」

 

「今まで貴方が持ってきた情報のほとんどが使えないものでしたからね」

 

「ふぅん、まぁいいや。でね、情報ってのはジャンくんのことさ!」

 

 ジャン。その名前はつい最近聞いたばかりの名だ。それも今黒服が調べている男の名前であり、あまりの情報の少なさから研究や考察が行き詰まっている。

 

「ふむ、なぜ貴方が彼についての情報を持っているのかはこの際置いておきましょう」

 

「うんうん、わかるよ〜その気持ち!」

 

 頭が痛くなってきた黒服は手でこめかみを抑えた。

 

「おそらく君はもう知ってるとは思うけどジャンくんはサイヤ人と呼ばれる戦闘民族でね、戦うことを生きがいとした親族なんだよ。ここでは神秘っていう力とはまた別の【気】を使って戦うんだ」

 

「ふむ……【気】、ですか」

 

「そうさ! それらを使い戦えば戦うほど強くなるのがサイヤ人! 知ってるんだろ? 以前よりも彼が強くなってることにさ」

 

 モニターをチラッと見てニヤける少年に腹が立ちそうになるがそれでは少年の思う壺だろうと考える。

 

「なるほど……つまり彼は以前の戦闘から成長し、そして強くなっている。だから私がとったデータよりもエネルギー量が多いのは不思議では事ではない、そういうことですね?」

 

「そうだねぇ。さっきも言ったけどサイヤ人は戦えば戦うほど強くなるんだ。そしてそれはサイヤ人の特徴でもあり、死を乗り越えれば以前の倍以上に強さが跳ね上がる」

 

「なるほど……一つお聞きしますが、なぜ貴方はそれほどまでにサイヤ人に詳しいのでしょうか?」

 

「んん? あぁ、気になるよねぇ普通。そうだねぇ、強いて言うなら彼とは別のサイヤ人と戦ったことがある、って言えば納得してくれるかな?」

 

「……まぁ、今はそれでいいでしょう」

 

 少年は話し終えたからか腕を頭の後ろで組み空中で姿勢を変えると、

 

「それじゃあ! ボクはまだまだ調べたいことがあるから〜またねぇ!」

 

 そう言ってどこかへ消えていった。

 

「やれやれ……相変わらず自由な人だ。中身がまるで子供と言ってもいいかもしれません」

 

 黒服の胃にダメージが入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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