或る日の迷宮   作:入魂ロフス

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1話

 "それ"は『黒』の名を冠する王。

 

 "それ"は一つの大陸を平定した超越者。

 

 しかし、"それ"ですら"彼女"の前では配下の一人に過ぎなかった。

 

 この物語は"彼女"…『魔神ノワル』の覇道を描いたものである。

 

 

 

 

 

 

 

「………え?」

 

 私は、瞬きの間に暗闇に放り出された。

 

「わぁぁぁぁーーー!?!?」

 

 何も見えない暗闇の中、落下している感覚だけが私に絶望を突きつける。

 人並みの運動神経しかない私がこの状況をどうにかできる訳もなく、冷たい地面に打ちつけられて私は生涯を終える事となった……という事はなく。

 

「いてっ!?………えぇ…?」

 

 今私結構な高さから頭から落ちたよね!?なんで生きてるの!?てかここどこ!?

 混乱する頭のまま辺りを見渡すと…発光する手紙が目に入った。

 

「なにこれ…怖…」

 

 いやでもこれ以外何も無さそうだし…見るしかないか。

 恐る恐る手紙を開き、眩しさに目を細めて読み進めると…。

 

[ヘイヘイのわるちゃん元気してる!?

 例の物はこの手紙を読んだ時点で発生するから試行錯誤ガンバ!

 能力とかの諸々は約束通り実装しといたから後は自由にやっちゃって!]

 

「えぇぇー…なにこれ…怖…」

 

 訳のわからない内容に恐怖が湧いてくる。例の物って何?いつ約束したの?てかこの人誰!?怖い怖い怖い怖い……!!!

 

「ひぇぇ〜……ん?」

 

 ふと光を感じて顔を上げると…目の前に四角いキューブのような物が浮いていた。

 

「………ッ!!!」

 

 それを視界に入れた瞬間、強制的に理解させられた。"これを壊された瞬間私は死ぬ"と。

 目の前に自分の命が失われる可能性を突きつけられた瞬間、私の奥底から衝動のような物が湧き上がってきた。

 

「………抵抗できない」

 

 衝動に従い目の前のキューブ…ダンジョンコアに触れると、視界にホログラムのような物が浮かび上がった。

 

▼ステータス

 

真名:アルビ ノワル

種族:上位悪魔(アークデーモン)

職業:ダンジョンマスター

 

権能:『描画』

所持DP:1000

 

 ………完っ全にゲームだコレ!!

 

「嘘ぉ…てか私人間じゃなくなってる…あ…角もある…」

 

 思わず頭を抱えると自分の頭に角が生えている事に気付いてしまい、自分がこのステータスに書かれている種族…悪魔になってしまった事を実感し始めた。

 

 恐らくさっきの衝動は職業の『ダンジョンマスター』による物…自分の体が自分の物で無くなっているかのような感覚に少し恐怖を覚えるが、ダンジョンコアから流れ込んでくる情報によるとそんな暇はなさそうだ。

 

「あと10日でダンジョン解放…!?ダンジョンって侵入者とか来るよね…もしここまで来たら…ひぃっ!!」

 

 怖い想像をしてしまい恐怖に震えそうになるが、体が勝手に動きだしダンジョンコアを操作する

 

▼ステータス

▼権能:『描画』

『モンスター生成』を使用しますか?

 

はい いいえ

 

「何これー…」

 

 良くわからないうちに体が勝手に『はい』を押すと、目の前に黒い板が現れた。

 

「……液タブだぁ…」

 

 最早何がなんだかわからないでいると、ダンジョンコアから権能?とやらの情報が流れ込んできた。

 

「絵を描いて色々な物を作る能力…?この状況で絵を描けと…??」

 

 体が勝手に動き出す。

 

「あぁ〜!はいはいわかりました!描けば良いんでしょ描けば!」

 

 モンスター…モンスター…悪魔っぽいしこんな感じで…。

 描くモンスターを決めて描き進めること数時間…イラストが完成した。

 

「…これで完成…かな」

 

▼『モンスター生成』を完了します…

 

評価…最高

階位…A

系統…悪魔

 

新種族『黒魔』を生成しました!

 

ダンジョンメニューに『モンスター生成:悪魔系』が追加されました!

 

「…誰が評価してるんだろう」

 

 再度現れたゲームのような画面に困惑していたその時、目の前に人魂のようなものが現れた。

 

「うわっ…!これが『黒魔』…?」

 

 黒く輝く美しい人魂に思わず見惚れていると…人魂が口の中に突っ込んできた。

 

「もがっ!?!?」

 

 一瞬の息苦しさを感じるも、特に体に異常は無く困惑しているとどこからか声が聞こえた。

 

『申し訳ありません御主人様…!取り憑く先が無かったので一時的に御主人様の体に入らせて頂きました…処罰は何なりと…!』

「うわぁっ…!?」

 

 頭の中に響く声に思わず声を上げてしまう。これは脳内に直接…というやつだろうか。

 

「あ…全然良いですよ…こちらこそ取り憑く先?を準備しなくてごめんなさいね…?」

『御主人様…有難う御座います!

 それで…少し記憶を読ませていただいたのですが…御主人様はダンジョンマスターになられたばかりのご様子…良ければ私が色々とお教え致しましょうか?』

「あ…私のことはノ『いけません御主人様!!!』ひえっ!?」

 

 御主人様呼びがこそばゆく、名前を教えようとすると脳内に大声が響き渡った。

 

『ダンジョンマスターにとって真の名…真名を他人に教えるのは色々と危険です!二度となさらないで下さい!!これからは偽名で通すように!』

「りょ…了解です!………じゃあ私のことはアルビノって呼んでくれると…」

『了解しましたアルビノ様。まずはダンジョンについてお教えしましょう。ダンジョンとは………』

 

 『黒魔』の長い話をまとめると、ダンジョンとはこの星の魔力を循環させるシステムらしく、ダンジョンの管理する領域内の生き物の生命活動を利用して魂や魔力を集め、大きな流れに乗せる役割があるらしい。

 

 なんでそんなこと知ってるのか聞いてみると、私達がこの星で最初のダンジョンだから沢山の情報が与えられているのです!と言われた。

 あの手紙の主は神とかだったりするのだろうか。

 

 ダンジョンの長い話が終わった後、早速作っていきましょう!と言われるがままにダンジョンコアの操作方法を教わること1時間。

 ベッドと机と椅子が設置されることになったこの部屋…コアルームが数メートル沈み込み、上の階に10m四方の部屋が作られた。

 この間に使用したDP…ダンジョンポイントは150である。

 

「はえ〜……なんかすごいんだね、ダンジョンって」

『このダンジョンの主はアルビノ様なのでそれは自画自賛ですね』

 

 そんなことを言われても突然連れてこられただけなので全く喜べない…ていうか眠くなってきた…。

 

「ソウダネー…色々ありすぎて疲れたし一回寝るね」

『何時間後に起こしますか?』

「うーん…6時間後に起こして…すやぁ…zzz」

お休みなさいませ…

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